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もうすぐ北風が強くなる

ゆでガエル!

 ■このままでは国民皆「茹で蛙」  11/20   田村秀男

 国会では東日本大震災からの復興に向けた2011年度第3次補正予算案に続き、復興増税法案が月内成立の見通しだ。
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 ◆甘すぎるコーヒー

 復興債償還財源に使う所得税の臨時増税は25年と長期にわたる。増税期間の引き延ばしの結果、1世帯当たりの所得税年間負担増は薄められ、財務省の試算では年収500万円の場合で1600円、800万円だと7360円という。
 野田佳彦内閣と民主、自民、公明の3党は「月にならすと負担額はコーヒー1、2杯分にすぎない」と納得したわけだが、甘すぎる。
 増税路線は慢性のデフレ病をさらにこじらせるからだ。

 グラフは総理府の家計調査データから作成した。物価下落を上回る幅で国民が消費や貯蓄に回せる可処分所得が下落し続けている。
 可処分所得のもとになる世帯主の収入が細っているためで、家電製品や身の回り品の価格が下がっても、100円ショップで何でも買えても、暮らしぶりはより貧しくなるのが日本のデフレ病の特徴だ。
 2010年のサラリーマンのひと月当たり可処分所得は13年前の1997年に比べ6万6700円、13・4%減ったが、前年比で平均1%、4770円ずつ下落している。

 ◆超長期で縮む所得

 同じデフレ不況とはいえ、賃金が3年間で一挙に45%も減った1930年代の大恐慌時の米国に比べると、今の日本は極めて緩やかで超長期にわたり所得が縮む。
 当時の米国のデフレは11年間で終わったが、日本は延々と続き、出口が見えない。米国の名目賃金は大恐慌勃発(ぼっぱつ)から12年目の日米開戦年で大恐慌前の水準に戻ったが、日本は昨年まで13年間も下がり続け、ことしはさらに下振れしている。

 こうみると現代日本病のデフレ病は大恐慌時の米不況を期間と規模で上回る深刻さがあるのだが、上記の国会論議のように概して危機感に乏しい。日銀も「デフレが問題だ」とようやく認めるようになったが、あいまいな「包括緩和」政策に固執し、はっきりとした金融の量的緩和に踏み込まない。
 ビジネス界や経済学者の主流も大手経済メディアもそんな日銀政策をそのまま受け入れる声が目立つし、財務省の増税路線に同調する見解が多い。
 慢性デフレに世の中が麻痺(まひ)したかのようだ。

 ここで思い起こすのは、「茹(ゆ)で蛙」の寓話(ぐうわ)である。蛙は常温の水を入れた鍋に入れられ、時間をかけて熱せられてもじっとしている。
 するといつの間にか茹で上がってしまう。
 日本のサラリーマンは蛙と同じように、少しずつデフレ水の温度を上げられているために、何かおかしい、懐具合がどうも悪いな、と思いつつも、そんな日常に順応してしまう。
 昼食をコンビニ弁当に切り替え、割安な社員食堂でラーメンをすすり、夜は外での同僚との飲み食い回数を減らす。

 復興関連の負担増は所得増税に限らない。年1千円の住民税負担増(2014年6月から10年間)や地方の退職所得減税の13年1月から廃止も盛り込まれている。
 このほか、野田政権は年金保険料の引き上げや医療・介護の負担率引き上げに加え、2013年あたりからの消費税率を小幅で段階的に引き上げ、10%にしようともくろむ。
 消費増税には政局がからみ、予断を許さない情勢だが、野田氏は復興増税同様、財務官僚のシナリオ通り、国会で押し切るつもりだ。

 ◆政治家は現実見ろ

 財務官僚が仕込んだ盛りだくさんの国民負担メニューを唯々諾々と受け取り、家計や企業に押し付けるだけなら、政治家も国会も議院内閣制度も不要である。
 財務官僚主導の政策の枠組みにどっぷり染まってしまった野田首相や安住淳財務相に物申すのはもはやむなしいが、有権者と国家の将来に全身全霊をささげる覚悟のある政治家ならデフレの現実を直視してほしい。

 経済学の常識からしても、個人や企業は、明日、1週間後、ひと月後、あるいは来年、数年後を見越して、今消費するか、無理してでも貯蓄するか、投資するかを決めるものだ。
 デフレで所得が毎年着実に減っている上に、増税などで可処分所得はさらに減る。そうなら、家計は消費を、企業は投資を控える。
 カネは動かず、雇用は縮小の一途をたどる。税収は名目の国内総生産(GDP)の伸びに比例するのだから、増税によるデフレ効果が大きければ所得税収も法人税収も減る。サラリーマンどころか、日本国全体が茹で蛙になりかけている。

 野田政権も日本の復興・再生を使命とする言葉に偽りがないなら、日銀もしっかりと巻き込んで責任ある脱デフレと成長のための戦略を打ち出し、脱デフレが確実になるまで増税を避けるのが当然の選択ではないか。
 ーーーーーーーーーーーーーーーー
 (以下はもうすぐ北風)

 経済が異例の縮小循環を続けるデフレ・スパイラルは、97年の橋本政権による消費税3%から5%への増税を引き金にして始まった。 
 グラフの97~99年あたりから典型的に現れているように、先ず勤労家計の世帯主収入が減り、追いかけて勤労家計の可処分所得が減ると、この消費額の減少に牽引されて消費者物価が下降している。
 「なぜデフレなのか、なぜ放置するのか」。

 需要の減少でさらに供給側物流側の賃金が下がり、設備投資も下がるために、さらに勤労世帯は家計の可処分所得が減る。
 民間資金需要は減少し、中小零細企業に貸し渋る金融機関は預金の貸出運用が出来ずに国債でまかなっている。
 「増税の結果はデフレ恐慌」。
 
 勤労世帯の可処分所得は13年間で13.4%の減少である。
 「増税負担がコーヒー何杯か分だ」などというのは経済音痴の最たるものだ。
 このデフレ・スパイラル毎年およそ1%が、3.4年分加速するわけである。

 そのとおりなのだが、田村氏は、少なくとも東京の大企業の役員幹部であるから、実感がズレている面がある。
 緩やかに、しかし超長期にわたってデフレが続いているため、東京などでは勤労者は慣らされているのかも知れないが、地方都市では現実ははるかに厳しい。

 昼食をコンビニ弁当に切り替え、割安な社員食堂でラーメンをすすり、夜は外での同僚との飲み食い回数を減らす。と言うのは、東京でも大企業社員の話だ。
 社員食堂など最初から無いのだ。外勤や作業業務では、若い男でも弁当持参が増えているし、あまり体力を消耗しない内勤業務では、昼食抜きの「欠食勤労者」が増えている。

 増税に社保の保険料引き上げ、賃金減少に雇用悪化。
 勤労者の可処分所得をさらに減らすことは、さらに勤労者に必死の節約を強いることであり、この国の経済を崩壊させることだ。

 地方では、ゆでガエルは既に死にかかっている
 これ以上の国民負担増は致命的な結果となるだろう。
 勤労者も地方も中小零細も、社会が崩壊してしまうだろう。
 「公平な分配で経済成長を続けるアルゼンチン」。
 政府は、少しは真面目にデフレ対策を考えよ!
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