TPPは国を揺るがす大問題に発展するか
2011-11-05
小泉構造改革が国民の生活を犠牲にして、大資本のみを肥やすものだったこと。
2009年、ついに身に沁みた国民は政権交代を生み出した。
正しくも「国民の生活が第一」と掲げた民主党政権だったが、米国を後ろ盾とする検察とマスコミによる小沢秘書逮捕と大キャンペーンによって、政権の責任者である小沢氏は党務のみに押し込められ、党内に力を増した松下政経塾グループによって、翌年鳩山氏とともに排除される。
管を経ての野田政権は、小泉と同じかそれ以上に対米盲従を表明している。
だが現在、大震災と原発事故の大試練のなかで、「TPP」と「増税」を表明し、突き進もうとしている現政権だが、本当にそんな力があるのか。
民主も自民も特に「TPP」については、内部は過半数が反対である。
米国が後押しし、マスコミが必死で大キャンペーンを続けても、大企業以外は皆利害が反対であることが現在の特徴である。
反対が盛り上がれば、もう一度、今度は民主、自民の両方を再編成する、政権の「大変動」につながる可能性がある。
以下の田中宇氏の論評は、TPPに反対の論拠主張を重点に述べているのではないことに注意されたい。
この「TPP」と「増税」の議論が、反対派の盛り上がりによっては、政党再編と再度の政権交代につながる可能性を十分にはらんでいる。
と言う分析論評である。
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TPPが日本の政界再再編につながる? 11/1 田中 宇
日本政府は、11月12日にハワイで開かれるAPECサミットまでに、米国主導のTPP(環太平洋経済協定)に参加するかどうかを決めねばならない。ここ数日、TPPをめぐる議論が政界やマスコミで激しくなっている。
私が見るところ、日本でTPPの参加に賛成している人々の本音は「米国は日本にとって唯一絶対に大事な国であるのだから、米国が日本のTPP参加を強く望んでいる以上、参加しない選択肢はない」というものだ。賛成派の多くは、対米従属論者である。
日本が入った後のTPPの加盟諸国をGDPで見ると、米国が全体の7割、日本が2割を占めている。他の7カ国の加盟国・加盟交渉国は合計で1割にしかならない。TPPは事実上、日米FTAである。
日本がTPPに入る経済的な利得は少ない。農業産品については、米国や豪州から日本への輸出が増え、日本の農業が打撃を受ける。
日本経済全体に占める農業の割合はわずかだが、地方の社会は、農業で支えられている部分が大きい。農業が成り立たなくなると、地方の社会がますます過疎になって荒廃する。食料安保の問題を外して考えたとしても、社会的、政治的、国家安全保障的に良くない事態が加速する。
金融については、ゆうちょ銀行つぶしが加速するだろう。全国津々浦々、コンビニがない集落にも、郵便局があり、金融サービスを提供している。この点も地方の荒廃を加速する。
工業製品については、すでに日米間の関税がかなり低く、日本企業の北米での現地生産の割合も高いので、いまさら自由貿易体制を強化しても大してプラスにならない。
TPP参加によって日本経済は10年間で2・7兆円の利得があるという。年間2700億円だ。約500兆円ある日本の経済全体(GDP)の0・05%の効果しかない。
米国の債券金融システムが隆々として、米国民が気軽に借金をして旺盛な消費をしてしいた以前なら、日本企業が製品を米国に輸出しやすくなることは、日本側の大きな利得となったが、リーマンショック後、米国民は借金できなくなり、米国は世界から大量に輸入できる体質でなくなった。
オバマがTPPに力を入れるのは、米国製品を日本市場で売りやすくして、米国の輸出産業を復活させ、再選に向けた自らの政治的得点にしたいからだ。
半面オバマは、日本などアジア諸国に対し、対米輸出で経済発展しようと考えるのはもうやめろ、と警告している。衰退しつつある米国は、日本を含む世界にとって、旺盛に消費してくれる経済覇権国でなく、逆に、政治と軍事の力で世界から利益をむしりとる存在になっている。 (経済覇権国をやめるアメリカ)
日本がTPPに入ると、利得より不利益の方が大きい。それなのに、政府や外務省、マスコミなどがさかんにTPPに入った方が良いと言い続けるのは、米国が日本に入れと強く言っているからだ。
TPPは、実は経済の話でなく政治の話、対米従属という日本の国是をめぐる話である。対米従属の話であるので、TPPの報道には、沖縄基地問題などと同様、マスコミ報道にプロパガンダ的な歪曲がかかっている。
たとえば、TPP反対論者である京都大学の中野剛志準教授が出たフジテレビの番組では、テレビ局側が「TPPの日本経済へのメリットは2・7兆円」と「10年間で」という条件をすっ飛ばした表記や「日本から米国へのテレビの輸出にたとえば100%の関税がかけられるとすると・・・」と、実際には10%である関税率を「たとえば」という言葉をつけて「100%」と誇張してしまう報道を行った。
中野氏がこれらの点を語気荒く指摘し、テレビ局のプロパガンダ体質がその場で暴かれる番組の展開になっている(番組内で暴露されてしまう点は、国粋主義の側からの、別の演出がある感じもするが)。 (TPP問題で中野剛志氏がフジテレビを論破!)
▼腐敗した米国型の体制を強要される
TPPの要点は、ほかにもある。TPPは加盟国に、関税だけでなく、政府の監督政策、労働、環境、公共事業政策、安全基準など、規制や制度といった「非関税障壁」の撤廃を義務づけている。
参加国の中で、米国の政治力と経済規模が圧倒的に大きいので、事実上、米国が、日本などの他の参加諸国に対し、米国型の規制や制度を押し付けるかたちとなる。 (Wooing Japan with TPP deal as 'economic saviour')
米国の規制や制度が、日本よりすぐれているか、日本と同程度ならまだ良いのだが、この10年あまり米国の政府と議会は、金融界や防衛産業、製薬業界、医師会、農業団体など、各種の産業のロビイストに席巻され、各産業界が思い思いに米政府を牛耳り、自分たちに都合の良い政策を政府にやらせる傾向が年々強まっている。
911以後、防衛産業(軍産複合体)が有事体制を作り、民主主義の機能低下が起きたことに他の業界が便乗した結果、米国の行政はものすごく腐敗したものになっている。 (The Left Right Paradigm Is Over! It's You Vs. The Corporations)
その結果、金融界をはじめとする大金持ちに対する課税の比率が少なくなって貧富格差が急拡大している。
リーマンショックでで金融界が潰れそうになると、巨額の公金が注入され、金融界による連銀の私物化に拍車がかかってドルが過剰発行された。
製薬業界や医師会が、メディケアなど管制健康保険の診療報酬や処方箋薬適用をお手盛りで拡大した結果、メディケアなどは支出過剰になり、米政府の財政赤字が急増している。
これらの全体に対する米国民の怒りが「ウォール街占拠運動」などにつながっている。 (アメリカ財政破綻への道)
公的な事業であるべき、道路や電力網など公的インフラの整備が、市場原理重視策によってないがしろにされている。
ここ数年の米国では、大都市で大規模な停電が起きている。電力自由化のなれの果ては、01年に起きたエンロン破綻事件だ。道路や橋の整備が不十分なので、民間企業が橋や道路を建設して高めの通行料をとるケースも増えている。 (U.S. electricity blackouts skyrocketing) (With U.S. infrastructure aging, public funds scant, more projects going private)
米議会の共和党は、米国の産業界が守るべき環境基準を緩和し、環境汚染を今よりも容認することで、企業が環境保全に払ってきたコストを減らし、その分、雇用を増やせるはずだから、汚染容認が雇用対策になるのだと主張している。
TPPに入ると、日本政府が企業に環境保護や消費者保護、厳しい安全基準の遵守などをやらせるのは非関税障壁だという話になっていきかねない。 (Party of Pollution By PAUL KRUGMAN)
米国型の経済政策は、自由市場主義を表の看板として掲げているが、それは実は、企業が米政府を牛耳った腐敗構造の産物だ。そうした構図が露呈し、米国型の経済政策がうまくいかないことが明らかになった今ごろになって、日本はTPP加盟によって、米国型の経済政策を強制的に導入させられる方に進んでいる。
日本が唯々諾々とTPPに入って米国にむしり取られていくと、それは終戦後、日本が米国から技術や資本をもらって成長してきた分を、すべて米国に差し戻して、再び貧しい「第二の敗戦」の状態へと向かっていくことになる。
米国は、日本の「戦後」をちゃらにするリセットをかけようとしている感じだ。
日本の財界はTPPへの参加を支持している。米国からの圧力で、日本市場での規制が緩和されていくと、日本企業にとってもプラスだとの思惑からだろう。
だが実際には、米国企業がロビイ活動によって米国政府を牛耳ってやらせている米政府の産業政策が、TPPを通じて強制的に日本に導入されると、得をするのは米企業であり、損をするのは日本企業だ。
日本の官僚機構はこれまで、官僚の権限を維持するために、各業界に対して厳しい規制を敷き、日本企業はその規制を満たす努力をすることで、環境や安全の面で技術を磨いてきた。規制を満たせない外国企業は入ってこれなかった。
今後、日本の規制が崩されて米国型に変質していくと、この点での日本市場における日本企業の優位性が失われてしまう。
同時にTPPは、農水省や厚生労働省など、日本の官僚機構の中でも現業官庁の既得権益を破壊する。
半面、対米従属の国是を推し進める主役である外務省は、当初からTPPを強く支持している。外務省は、対米従属の国是を守るために、仲間であるはずの現業官庁の権限を削って米国に譲渡する戦略をとっている。(日本の外交官たちは、現業官庁の官僚を馬鹿にしており、仲間と思っていないが)
▼「対米従属vs国粋主義」の対立軸に転換する?
農業団体から左翼系市民運動まで、TPPへの反対を強めている。
だが、野田首相はすでに米国側に対し、TPPに参加しますと表明してしまっている。日本政府は、反対論を押し切って、無理やりにTPP参加を実行しようとするだろう。
しかし、それは野田政権にとって、政治的に危険なことだ。自民党も民主党も、内部で賛成派と反対派にわかれ、反対派の方が多い。
これまで対米従属が日本のために良いのだと思っていた人々が、米国の露骨な利権あさりのやり方を見て、米国との関係を損ねてもTPPに入らない方が良いのでないかと思い始めている。
これまで対米従属で一枚岩だったはずの日本の中心部分が、対米従属に残る勢力と、米国を見限ってもっと国粋主義(鎖国)の方向に移り出す勢力に分裂し始めている。
これまで少数派だった反米主義の左派(社民党や共産党)と、国粋主義の右派(自民党)が「日本の農業や、市民生活の安全を守れ」という点で一致して、TPP反対集会で並んで座っている。
日本の政界は、これまでの「左派vs右派」「民主党vs自民党」という構図が崩れて「対米従属主義vs国粋主義(鎖国主義)」という対立軸に再編されていくかもしれない。
米軍基地の存続に反対する沖縄の人々と、TPPに反対する本土(ヤマト)の国粋主義者が連携しうる。
対米従属プロパガンダ機関であるマスコミは、TPPの本質を隠す報道に力を入れ、国民の怒りをそらす努力をしているが、それを超越してTPP問題で怒る日本人が急増すると、野田政権は意外と短命で終わる。
日本の政治が、再び面白い時期に入っていくかもしれない。
前回、日本の政治が大転換したのは、09年秋に自民党が下野して民主党政権ができ、鳩山元首相が対米従属をやめる方向性を示したり、小沢一郎が大量の国会議員を引き連れて中国を訪問したりした時だ。
あの時は、日本の国是を、対米従属からアジア重視に転換させようとする政治ベクトルが動き出し、すぐに官僚やマスコミといった対米従属派が全力で反撃して乱闘状態になった。
当時は「対米従属vs中国重視」だった。今回は「対米従属vs鎖国(国粋主義)」である。これは、幕末の「尊皇攘夷」以来の事態になるかもしなれない。(「鬼畜米英」は米英に引っかかって始めた戦争でやむなく使った言葉なので、もっと底の浅い話だ)
フジテレビなどは、日本が米国から「日本は韓国ともっと仲良くして、日米同盟を米日韓の3国同盟にせねばならない」と命じられた結果なのか、韓国の芸能人をテレビに大量に出す韓流重視策をやっていた。
しかし、それは「韓国人なんか嫌いだ」という排外的な国粋主義の反発にあい、フジテレビ前で韓流反対運動のデモが起きたりした。日本人の特性として、鎖国的な国粋主義はかなり強い。
2009年、ついに身に沁みた国民は政権交代を生み出した。
正しくも「国民の生活が第一」と掲げた民主党政権だったが、米国を後ろ盾とする検察とマスコミによる小沢秘書逮捕と大キャンペーンによって、政権の責任者である小沢氏は党務のみに押し込められ、党内に力を増した松下政経塾グループによって、翌年鳩山氏とともに排除される。
管を経ての野田政権は、小泉と同じかそれ以上に対米盲従を表明している。
だが現在、大震災と原発事故の大試練のなかで、「TPP」と「増税」を表明し、突き進もうとしている現政権だが、本当にそんな力があるのか。
民主も自民も特に「TPP」については、内部は過半数が反対である。
米国が後押しし、マスコミが必死で大キャンペーンを続けても、大企業以外は皆利害が反対であることが現在の特徴である。
反対が盛り上がれば、もう一度、今度は民主、自民の両方を再編成する、政権の「大変動」につながる可能性がある。
以下の田中宇氏の論評は、TPPに反対の論拠主張を重点に述べているのではないことに注意されたい。
この「TPP」と「増税」の議論が、反対派の盛り上がりによっては、政党再編と再度の政権交代につながる可能性を十分にはらんでいる。
と言う分析論評である。
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TPPが日本の政界再再編につながる? 11/1 田中 宇
日本政府は、11月12日にハワイで開かれるAPECサミットまでに、米国主導のTPP(環太平洋経済協定)に参加するかどうかを決めねばならない。ここ数日、TPPをめぐる議論が政界やマスコミで激しくなっている。
私が見るところ、日本でTPPの参加に賛成している人々の本音は「米国は日本にとって唯一絶対に大事な国であるのだから、米国が日本のTPP参加を強く望んでいる以上、参加しない選択肢はない」というものだ。賛成派の多くは、対米従属論者である。
日本が入った後のTPPの加盟諸国をGDPで見ると、米国が全体の7割、日本が2割を占めている。他の7カ国の加盟国・加盟交渉国は合計で1割にしかならない。TPPは事実上、日米FTAである。
日本がTPPに入る経済的な利得は少ない。農業産品については、米国や豪州から日本への輸出が増え、日本の農業が打撃を受ける。
日本経済全体に占める農業の割合はわずかだが、地方の社会は、農業で支えられている部分が大きい。農業が成り立たなくなると、地方の社会がますます過疎になって荒廃する。食料安保の問題を外して考えたとしても、社会的、政治的、国家安全保障的に良くない事態が加速する。
金融については、ゆうちょ銀行つぶしが加速するだろう。全国津々浦々、コンビニがない集落にも、郵便局があり、金融サービスを提供している。この点も地方の荒廃を加速する。
工業製品については、すでに日米間の関税がかなり低く、日本企業の北米での現地生産の割合も高いので、いまさら自由貿易体制を強化しても大してプラスにならない。
TPP参加によって日本経済は10年間で2・7兆円の利得があるという。年間2700億円だ。約500兆円ある日本の経済全体(GDP)の0・05%の効果しかない。
米国の債券金融システムが隆々として、米国民が気軽に借金をして旺盛な消費をしてしいた以前なら、日本企業が製品を米国に輸出しやすくなることは、日本側の大きな利得となったが、リーマンショック後、米国民は借金できなくなり、米国は世界から大量に輸入できる体質でなくなった。
オバマがTPPに力を入れるのは、米国製品を日本市場で売りやすくして、米国の輸出産業を復活させ、再選に向けた自らの政治的得点にしたいからだ。
半面オバマは、日本などアジア諸国に対し、対米輸出で経済発展しようと考えるのはもうやめろ、と警告している。衰退しつつある米国は、日本を含む世界にとって、旺盛に消費してくれる経済覇権国でなく、逆に、政治と軍事の力で世界から利益をむしりとる存在になっている。 (経済覇権国をやめるアメリカ)
日本がTPPに入ると、利得より不利益の方が大きい。それなのに、政府や外務省、マスコミなどがさかんにTPPに入った方が良いと言い続けるのは、米国が日本に入れと強く言っているからだ。
TPPは、実は経済の話でなく政治の話、対米従属という日本の国是をめぐる話である。対米従属の話であるので、TPPの報道には、沖縄基地問題などと同様、マスコミ報道にプロパガンダ的な歪曲がかかっている。
たとえば、TPP反対論者である京都大学の中野剛志準教授が出たフジテレビの番組では、テレビ局側が「TPPの日本経済へのメリットは2・7兆円」と「10年間で」という条件をすっ飛ばした表記や「日本から米国へのテレビの輸出にたとえば100%の関税がかけられるとすると・・・」と、実際には10%である関税率を「たとえば」という言葉をつけて「100%」と誇張してしまう報道を行った。
中野氏がこれらの点を語気荒く指摘し、テレビ局のプロパガンダ体質がその場で暴かれる番組の展開になっている(番組内で暴露されてしまう点は、国粋主義の側からの、別の演出がある感じもするが)。 (TPP問題で中野剛志氏がフジテレビを論破!)
▼腐敗した米国型の体制を強要される
TPPの要点は、ほかにもある。TPPは加盟国に、関税だけでなく、政府の監督政策、労働、環境、公共事業政策、安全基準など、規制や制度といった「非関税障壁」の撤廃を義務づけている。
参加国の中で、米国の政治力と経済規模が圧倒的に大きいので、事実上、米国が、日本などの他の参加諸国に対し、米国型の規制や制度を押し付けるかたちとなる。 (Wooing Japan with TPP deal as 'economic saviour')
米国の規制や制度が、日本よりすぐれているか、日本と同程度ならまだ良いのだが、この10年あまり米国の政府と議会は、金融界や防衛産業、製薬業界、医師会、農業団体など、各種の産業のロビイストに席巻され、各産業界が思い思いに米政府を牛耳り、自分たちに都合の良い政策を政府にやらせる傾向が年々強まっている。
911以後、防衛産業(軍産複合体)が有事体制を作り、民主主義の機能低下が起きたことに他の業界が便乗した結果、米国の行政はものすごく腐敗したものになっている。 (The Left Right Paradigm Is Over! It's You Vs. The Corporations)
その結果、金融界をはじめとする大金持ちに対する課税の比率が少なくなって貧富格差が急拡大している。
リーマンショックでで金融界が潰れそうになると、巨額の公金が注入され、金融界による連銀の私物化に拍車がかかってドルが過剰発行された。
製薬業界や医師会が、メディケアなど管制健康保険の診療報酬や処方箋薬適用をお手盛りで拡大した結果、メディケアなどは支出過剰になり、米政府の財政赤字が急増している。
これらの全体に対する米国民の怒りが「ウォール街占拠運動」などにつながっている。 (アメリカ財政破綻への道)
公的な事業であるべき、道路や電力網など公的インフラの整備が、市場原理重視策によってないがしろにされている。
ここ数年の米国では、大都市で大規模な停電が起きている。電力自由化のなれの果ては、01年に起きたエンロン破綻事件だ。道路や橋の整備が不十分なので、民間企業が橋や道路を建設して高めの通行料をとるケースも増えている。 (U.S. electricity blackouts skyrocketing) (With U.S. infrastructure aging, public funds scant, more projects going private)
米議会の共和党は、米国の産業界が守るべき環境基準を緩和し、環境汚染を今よりも容認することで、企業が環境保全に払ってきたコストを減らし、その分、雇用を増やせるはずだから、汚染容認が雇用対策になるのだと主張している。
TPPに入ると、日本政府が企業に環境保護や消費者保護、厳しい安全基準の遵守などをやらせるのは非関税障壁だという話になっていきかねない。 (Party of Pollution By PAUL KRUGMAN)
米国型の経済政策は、自由市場主義を表の看板として掲げているが、それは実は、企業が米政府を牛耳った腐敗構造の産物だ。そうした構図が露呈し、米国型の経済政策がうまくいかないことが明らかになった今ごろになって、日本はTPP加盟によって、米国型の経済政策を強制的に導入させられる方に進んでいる。
日本が唯々諾々とTPPに入って米国にむしり取られていくと、それは終戦後、日本が米国から技術や資本をもらって成長してきた分を、すべて米国に差し戻して、再び貧しい「第二の敗戦」の状態へと向かっていくことになる。
米国は、日本の「戦後」をちゃらにするリセットをかけようとしている感じだ。
日本の財界はTPPへの参加を支持している。米国からの圧力で、日本市場での規制が緩和されていくと、日本企業にとってもプラスだとの思惑からだろう。
だが実際には、米国企業がロビイ活動によって米国政府を牛耳ってやらせている米政府の産業政策が、TPPを通じて強制的に日本に導入されると、得をするのは米企業であり、損をするのは日本企業だ。
日本の官僚機構はこれまで、官僚の権限を維持するために、各業界に対して厳しい規制を敷き、日本企業はその規制を満たす努力をすることで、環境や安全の面で技術を磨いてきた。規制を満たせない外国企業は入ってこれなかった。
今後、日本の規制が崩されて米国型に変質していくと、この点での日本市場における日本企業の優位性が失われてしまう。
同時にTPPは、農水省や厚生労働省など、日本の官僚機構の中でも現業官庁の既得権益を破壊する。
半面、対米従属の国是を推し進める主役である外務省は、当初からTPPを強く支持している。外務省は、対米従属の国是を守るために、仲間であるはずの現業官庁の権限を削って米国に譲渡する戦略をとっている。(日本の外交官たちは、現業官庁の官僚を馬鹿にしており、仲間と思っていないが)
▼「対米従属vs国粋主義」の対立軸に転換する?
農業団体から左翼系市民運動まで、TPPへの反対を強めている。
だが、野田首相はすでに米国側に対し、TPPに参加しますと表明してしまっている。日本政府は、反対論を押し切って、無理やりにTPP参加を実行しようとするだろう。
しかし、それは野田政権にとって、政治的に危険なことだ。自民党も民主党も、内部で賛成派と反対派にわかれ、反対派の方が多い。
これまで対米従属が日本のために良いのだと思っていた人々が、米国の露骨な利権あさりのやり方を見て、米国との関係を損ねてもTPPに入らない方が良いのでないかと思い始めている。
これまで対米従属で一枚岩だったはずの日本の中心部分が、対米従属に残る勢力と、米国を見限ってもっと国粋主義(鎖国)の方向に移り出す勢力に分裂し始めている。
これまで少数派だった反米主義の左派(社民党や共産党)と、国粋主義の右派(自民党)が「日本の農業や、市民生活の安全を守れ」という点で一致して、TPP反対集会で並んで座っている。
日本の政界は、これまでの「左派vs右派」「民主党vs自民党」という構図が崩れて「対米従属主義vs国粋主義(鎖国主義)」という対立軸に再編されていくかもしれない。
米軍基地の存続に反対する沖縄の人々と、TPPに反対する本土(ヤマト)の国粋主義者が連携しうる。
対米従属プロパガンダ機関であるマスコミは、TPPの本質を隠す報道に力を入れ、国民の怒りをそらす努力をしているが、それを超越してTPP問題で怒る日本人が急増すると、野田政権は意外と短命で終わる。
日本の政治が、再び面白い時期に入っていくかもしれない。
前回、日本の政治が大転換したのは、09年秋に自民党が下野して民主党政権ができ、鳩山元首相が対米従属をやめる方向性を示したり、小沢一郎が大量の国会議員を引き連れて中国を訪問したりした時だ。
あの時は、日本の国是を、対米従属からアジア重視に転換させようとする政治ベクトルが動き出し、すぐに官僚やマスコミといった対米従属派が全力で反撃して乱闘状態になった。
当時は「対米従属vs中国重視」だった。今回は「対米従属vs鎖国(国粋主義)」である。これは、幕末の「尊皇攘夷」以来の事態になるかもしなれない。(「鬼畜米英」は米英に引っかかって始めた戦争でやむなく使った言葉なので、もっと底の浅い話だ)
フジテレビなどは、日本が米国から「日本は韓国ともっと仲良くして、日米同盟を米日韓の3国同盟にせねばならない」と命じられた結果なのか、韓国の芸能人をテレビに大量に出す韓流重視策をやっていた。
しかし、それは「韓国人なんか嫌いだ」という排外的な国粋主義の反発にあい、フジテレビ前で韓流反対運動のデモが起きたりした。日本人の特性として、鎖国的な国粋主義はかなり強い。
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米軍を拒否したイラクと拒否しない日本
2011-11-05


イラクからの米軍撤退は米国が望んでのものではなく、一定の残留部隊への刑事免責をイラク側が認めず、交渉が決裂したためである。
米国のかいらいと見られた者も含め、ほぼ全党派が駐留米軍の刑事免責を「脅し」に屈せずに、拒否したためである。
関連ページ「米軍のイラク撤退とイスラム復興勢力」。
オバマ、イラクからの米軍撤退を発表 11/2 「マスコミに載らない海外記事」から
Patrick Martin
2011年10月24日
アメリカのバラク・オバマ大統領は、ヌリ・アル-マリキ首相の政権との、米軍駐留を2012年まで引き延ばす交渉が挫折した後、金曜日に、イラクに残っている米軍が、12月末前に、イラクから撤退すると発表した。
オバマは、急いて短期間に招集された記者会で行った発表で、この決定はイラクでの戦争を終わらせるという、2008年の選挙キャンペーンでの約束の具現化だと表現した。ブッシュ政権が2008年に交渉した、アメリカの完全撤退期限の2011年12月31日を覆そうと、オバマ政権が今年ずっと努力を続けてきたことからすれば、選挙キャンペーンでの約束を忠実に守ったふりは滑稽だ。
マリキ政府を威嚇して、2012年以降もイラクに米軍を駐留させるような協定に持ち込むことを狙って、アメリカの政治・軍幹部達が、何カ月間もイラクに慌ただしく出入りした。彼等は、まず何万人もの兵士を維持することを提案し、次に、18,000人、更には、5,000人、更には、3,000人を提案したが、究極的には、期限前に、いかなる協定もまとめられなかった。
オバマは、就任後ほぼ三年間、戦争を拡大し、実質的に、ブッシュ政権がその座を去るまで採用していた政策を遂行したのだ。
想定されていた、ほぼ9年間の戦争の終結に対する、オバマのホワイト・ハウス発表について、事前の通知が無かったことと、金曜日午後1時直前という発表の奇妙なタイミングは、発表を地味にして、主に、イラク人聴衆に向けることを狙ったものであることを示唆している。
オバマの声明は、現地時間の午後8時頃に、イラクで生放送された。これはつまり、アメリカ占領の終わりと、“主権を持った”“対等な”パートナー間の新たな関係の始まりを主張する声明は、少なくとも、一部は、イラク国内における、米軍駐留への民衆多数の反対をなだめ、イラク国会議員や政治家に対して、米兵をアメリカに帰すための何らかの新協定を交渉する大義名分を与えることを狙ったものだ。
オバマ声明に続き、イラク国防相は、イラク軍を訓練するという触れ込みで、米軍駐留の継続が必要だと宣言した。
イラクのマリキ首相は、更なる話し合いの為、12月にワシントン訪問予定であり、オバマは、アメリカの軍事産業からイラク政府が購入する兵器システムの使い方をイラク軍兵士に教育することを装って、イラクに米軍を駐留させる協定を将来結ぶ可能性を粘って維持した。
とはいえ、アメリカ帝国主義外交政策の瓦解は到底隠しようがない。9年間の戦争の後、米兵4,400人が死亡し、何万人もが負傷し、何兆ドルも浪費したあげく、アメリカ合州国は、イラク国内の基地を利用する特権的権利も、米兵が享受している法的免責も失うことになるのだ。
この声明は、共和党大統領候補や、ブッシュ政権のイラク戦争推進で、中心的役割を果たした、中核のネオコン論客や戦略家の連中から、痛烈にやり返された。
2008年のイラクへの米兵“増派”において、デービッド・ペトレイアス将軍の主な顧問であったアメリカン・エンタープライズ研究所のフレドリック・ケーガンは、この行為は、隣国イランの政権を力づけてしまうと、非難した。“自らを守る能力がないような状態のままで、イラクから撤退してしまって、一体どうして、イラン封じ込めを語れるのか、理解できない”と彼はウオール・ストリート・ジャーナルに語った。
共和党の大統領選・最有力候補ミット・ロムニーは、“イラクにおける秩序だった移行を確保しそこねるという、オバマ大統領驚くべき失敗は、何千人ものアメリカの人の血と犠牲によって贖った勝利を、不必要に危うくする”と言明して、決定を非難した。
ミシェル・バックマン下院議員は、アメリカ合州国は“まさに我々が解放したはずのイラク国民”によって、イラクから“追い出されつつある”と文句を言った。“イラクのけりをつけた後、ホンジュラスに、イラクに残すであろう兵士より多い兵士を派兵することになる。”と、彼女は不満を口にした。
しかし、重要なのは、議会の共和党指導部の対応が、遥かに慎重であったことだ。下院議長、ジョン・ベイナーは、イラク戦争は、“アメリカの将軍達が作り上げ、実施した戦略のもと、ブッシュ大統領とオバマ大統領両者のリーダーシップで”アメリカ軍が勝ち取った軍事勝利だと主張した。
ロムニーや、彼の主なライバルであるテキサス州知事リック・ペリーや、他の数人の共和党大統領候補達は、この行動によって、オバマは、アメリカ合州国の反戦世論に屈服したのだと示唆している。“オバマ大統領、健全な、軍事上、安全保障上の判断より、政治的ご都合主義を優先している”とペリーは語り、ロムニーは(協定を阻止したのが、アメリカ合州国国内ではなく、イラク国内の政治的敵対勢力だったという不都合な真実を無視しながら)オバマに対する、アメリカ軍の助言が一体どのようなものだったのか知りたいと相づちを打った。
アメリカ占領継続に対する圧倒的な大衆の敵意を前にして、イラク国会に議席を持つ、どの政党たりとも、イラク国民に対してなされた犯罪に対して、アメリカ兵はイラクの法律の下で責任を問われることはないと言明する協定を進んで支持しようとはしなかった。
これには、過激な反米派の聖職者ムクタダ・アル-サドルによる支持に依存する不安定な同盟を率いるマリキのダーワ党のみならず、元の雇い主とのいかなる協定にも反対することを強いられていると感じている元CIA協力者(アセット)アヤド・アラウィが率いるスンナ派を基盤とするイラキヤ同盟も含まれる。
ワシントンとの密接な関係を享受してきた、クルド民族主義政党、KDPやPUKすらも、イラクに駐留するアメリカ兵士に対する刑事免責を、これ以上認めることに反対している。
バグダッドでの記者会見でマリキはこう語った。“刑事免責の問題が話題になり、イラク側が、完全な免責を認めなければ、アメリカ側は一兵卒たりとも撤退させないと聞かされて、一人のアメリカ兵に対しても免責を認めるのは不可能だというイラクの答えで、人数、場所と訓練方法についての交渉は止まった。”
オバマ政権とペンタゴンは、イラク侵略と征服と、それに続く占領の中で行われた無数の残虐行為にもかかわらず、というよりは、そうした行為ゆえに、法的に刑事免責される体制を維持することを主張した。こうした行為は、軍服を着たアメリカ兵のみならず、何万人もの準軍事組織の保安要員、ブラックウオーター社の傭兵や 私服スパイや、工作員によって犯されたのだ。
少なくとも、こうした傭兵の5,000人は、12月31日以後も、イラクに残ることになるが、その大半は、バグダッドにある巨大な、世界最大のアメリカ大使館の警備業者だ。ある推計によれば、国務省はイラクに、何と16,000人もの職員を擁している。彼等には外交官の特権があるが、警備会社社員は、4年前の、バグダッド、ニスール広場におけるブラックウオーターによる虐殺のような事件を将来起こした場合には、逮捕され、イラクの裁判所で起訴されることを免れない。
オバマは、自分とマリキは“将来どういう方向に進めるかについては、完全に合意しており”、将来の米イラク関係は“主権国家間の正常な関係、相互利益と相互尊重に基づく対等なパートナーシップ”として進められることになると主張して、政治的敗北に対して、できる限り良い面を強調しようとした。百万人の国民が虐殺され、インフラが破壊された、被侵略国と、そうした大惨事をもたらした侵略勢力の間で、そのような関係が、まるで可能であるごとく!
金曜日の声明でも、また土曜日のインターネットとラジオでの演説でも、イラクにおける、アメリカ軍の直接的な関与の終了は、世界中でのアメリカ軍の活動を縮小する道へと向かう岐路だとオバマは示唆した。“戦争の潮流はひきつつある”と金曜日に彼は語った。
土曜日の、イラクに関する決定の演説で、オバマは、先週のカダフィ殺害に終わったリビアのカダフィ政権滅亡に触れ、“十年にわたる戦争の後、我々はページをめくり、前進する… これらの戦争を終わらせ、我々は、国家として、最大の課題、アメリカの経済再建と国内で我々の力を取り戻すことに力を注ぐ”と宣言した。
これは少なくとも二つのレベルで厚かましい嘘だ。世界中の他の多くの国々に、米軍配備を促進するためにだけ、米軍はイラクから撤退しているのだ。“反戦”候補のふりをする、誠実さをあざ笑うような偽キャンペーンを展開して、ホワイト・ハウスを、ジョージ・W・ブッシュから引き継いで以来、オバマは、アメリカ軍の作戦規模を世界中で大幅に拡大してきた。
ブッシュは、イラクとアフガニスタンでの戦闘に、そして密かにパキスタンで、アメリカ軍を投入した。オバマは、アフガニスタンとパキスタンでの戦争を大幅にエスカレートし、リビア、イエメン、ソマリアで、新たな戦争をはじめ、先週には、ウガンダに、100人のアメリカ特殊部隊を派兵した。
オバマ政権は、イラクではなく、アメリカ合州国の国内で“国づくり”に向かうつもりだという主張は選挙目的の見せかけの態度に過ぎない。オバマ政権は、共和党右派とぐるになって、軍事支出を冷戦中のそれを超えるほどの水準にまで増やす一方で、米国内の社会的支出を削減した。
イラクからの“撤退”は、いかなる意味においても、軍事力で中東を作り変えるというブッシュ・ドクトリンから、アメリカ合州国が後退することを意味するわけでもない。
アメリカは、もはや、イラクほどの規模で、無制限の軍事的関与を続ける余裕はなく、ペルシャ湾と中央アジアの石油資源を支配するというアメリカの計画を推進する他の方法を見いださねばならないという、ペンタゴンと支配階級集団全般における認識に基づいて、オバマは単に行動したに過ぎない。
アフガニスタン、パキスタンや、いくつかの中央アジアの独裁国家を訪問したヒラリー・クリントン国務長官は、イラク声明の機会を利用して、イランに、中東に対するアメリカの狙いで“見込み違いを”しないよう警告を発した。
日曜日の対談番組で、インタビューされて、イラクからの最終撤退の後も、50,000人の米兵がこの地域に配備されたまま残ることを彼女は指摘した。
これは、トルコ、クウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦、オマーンやサウジアラビア、更にイエメンの紅海対岸にあるジブチの基地に駐留する軍隊を含んでいる。アラビア半島の秘密の場所に、無人機ミサイルを発射するための新たなCIA基地も設置されている。
記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2011/oct2011/iraq-o24.shtml
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これは本当だろうか?
敗戦から66年、敗戦前の体制から、本質的転換がないまま、アメリカ用の間接支配のツールでありつづけた官庁、与党政治家、メルトダウンの極致。失政を続けたあげく、国を丸ごと、宗主国に差し出そうとしている。
国破れて、惨禍あり。
官庁・与党幹部政治家、元CIA協力者協力者、アヤド・アラウィ以下ということになる。
本当とは思いたくないが、漢字変換で「患部」が第一候補。政界、いや、正解だ。
対米従属を継続し、基地拡大を推進し、原発を推進してきた、現在の大本営の幹部連中、本来、すべからく、投獄、無期懲役に値するだろう。戦勝国による軍事裁判はあったが、それ以降は、プロパガンダをたっぷり行った上での選挙で、手代連中が、自民党やら、民主党やら、旗印を変えただけで、居残り続ける、うまい仕組み。
失政を続けた裕福な良家の1%の?皆様が、
沖縄基地問題でアメリカに良い顔をし、沖縄に無理を押しつけ続け
原発問題は、巨大な除染事業(効果のほどは無関係)、輸出商売にすり替え
TPPに参加し、祖国を永久属領として差し出しても、
支配層でい続けられる、天国日本。
イラクでは、各政党の反対で、
米軍が撤退し、
米兵不逮捕特権?もなくなる、
という記事、大本営広報部は決して報道しない。日本への米軍駐留は、宗主国滅亡まで、継続するだろう。ギリシャ、アメリカと違い成熟した、粛々と永久属州化を黙認する日本国民万歳。
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藤原、本澤対談:松下塾政権とは何者か
2011-11-05


野田政権の主体を構成している松下政経塾と、その政治思想の根幹をなすものが何なのか。
藤原肇氏が本澤二郎氏と対談を行った。
藤原氏は日本人では珍しい石油開発工学の専門家で、今も海外で活動しているが、十数年前から日本の社会政治と国際関係についてのフリージャーナリストとして、批判者の立場をとって極めて怜悧な論評を続けている。
本澤氏は元東京タイムス政治部長。現在はフリージャーナリスト。
管、野田と続くオリジナル民主党政権の主な構成をなしている松下政経塾出身者達。
地盤、看板、カバンの無い高学歴青年を3年間合宿させて学習訓練する、松下政経塾とは何なのか。
彼らはいったいどういう組織集団なのか、彼らの政治思想はいったいどういうものなのか。
なぜ、対米盲従なのか。
米国は彼らをどう見ているのか。国民にとって、彼らはどんな利害をもたらすのか。
この対談がすべてを網羅しているわけでは毛頭ないが、国内のマスコミが彼らの実態を一切報道しない中で、多くの示唆を得ることができる。
なお、この対談後の本澤氏の感想とまとめを併せて御覧ください。
「藤原肇氏と初対談:本澤」。
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藤原肇・本澤二郎が語る日本の現在と未来
-松下政経塾政権のスタートとその真相-
慧智研究センター所長 ジャーナリスト 藤原 肇
ジャーナリスト 本澤二郎 「財界にっぽん」2011年11月号
わが国は今、歴史的な困難に直面している。長引く景気の低迷の中で3・11地震による東日本大震災が東北地方を襲い、さらに原子力発電所の爆発事故による放射能汚染を筆頭に、民主党政権の稚拙な対応で被災者は泣いている。復興に向けて政治がダイナミックに取り込むどころか、相変わらず権力闘争にあけくれている。その実態はまさに危機的である。気鋭かつ異色のジャーナリスト2人が鳴らす警鐘に耳を傾けたい。(9月1日)
…………………..
本澤 実は今日、僕は一番最初に聞きたいことがあるんです。 日本人に聞いてもなかなか分からないことなんですが、今年は外国へは一度、上海にしか行ってないんです。 それで秋から暮れにかけて一度行きたいと思っているんです。
ところが、今、超円高にもかかわらず格安のチケットが全然、格安じゃない。確かにガソリンも高騰したまま。 しかし、超円高がそれをカバーしているはずなんですが燃油サーチャージとかいってべらぼうに高い。
このカラクリが何なのか。恐らく石油業界も含めていろんな状況を上手く利用して相当ボロ儲けしているのではないかと疑っているのですが、 残念ながら僕は経済が分からないので(笑)教えていただきたい。
藤原 カラクリがあるところよりも、日本経済は完全に死に体ですから円高還元をするゆとりがないのです。
ただ、一見、金があるように見えるのは、企業がホールディング会社になって、例えば武田製薬が1兆円以上のスイスの会社を買収したりしているが、 あれは自分の金ではない。
ファンドの金を動かしているだけで虚飾にすぎない。
経済の話は後半に譲って、今年の民主党の代表選挙の結果、松下政経塾の一期生が首相になったことについて、 あなたから教えてもらわなければいけない (笑)。
というのも、僕はこの国に来た時には新聞・テレビは一切見ないことにしている。 余計なゴミが入っているので一週間滞在して外国に行くと、元に戻るのに三週間、三倍の時間がかかってしまう。
本澤 それは正解ですよ。僕も新聞を読むのを止めて七~八年になります。読むと訳が分からなくなってしまう。一般国民を誑かす内容なんですね。 その結果、今年の代表選で野田(佳彦)が代表になった。
つまり、野田総理大臣をつくるために海江田(万里)を叩きまくった。それで見事に 〝どじょう内閣″ができ、〝よいしょ記事″ を 書きまくっている。
それまで野田は財務大臣として何もしていないばかりか、円高に対して4兆円も市場介入しても全然効果なし。 彼は落第生ですよ。その落第生をここ数日間、新聞・テレビは褒め称えた記事を流している。
藤原 松下政経塾から初めて首相が生まれたことはとてつもない大変なことだと僕は思う。
本澤 そうですね。
藤原 これはまさに1980年代に中曽根が首相になった時、日本にファシスト革命が始まると、非常に危機感を持ちましたが、それに匹敵する危機感を持っている。
落第生首相が誕生
本澤 藤原さんの先見の明は凄いですよ。正直なところ、僕は1972年中ごろから中曽根番の記者をやってまして、ある意味で中曽根を側面から支援していた。
当時、彼の最大の弱点は、青年将校上がりで軍国主義思想の持ち主ですから財界の支持が全くなかった。
それで「経済界にもっとテコ入れしなければ大成できませんよ」とか 「土光(敏夫)さんを頂点とする経済界が今一番願っていることは行財政改革だから、行政改革を必死にやれば財界と仲良くなれますよ」みたいなことを、僕なんか教えていた方なんですよ。
そんなことで彼がいざ総理になった頃まではまだ安心していた。
ところがワシントンに行ったとたんに土下座して「日本は不沈空母です」と。 ソ連と戦争をしても日本は大丈夫ですよみたいなことをレーガンの前でやっちゃった。それで愕然とし、以来、反中曽根になった。
藤原 そうですか。僕は1970年代から中曽根は非常に危険な人物とみていた。特に福田(越夫)内閣が誕生した時に、ある雑誌に 『60年安保とファシスト革命の失われた鎖の輪』というタイトルで、福田内閣はファシスト革命の中間点と位置づけ、その後のファシスト革命を中曽根がやると書いた。
実は私、ファシズムの勉強をするためにヨーロッパに行った。ファシズムとナチズムに関しては日本で最も勉強した一人です。
本澤 そうですか。僕はすっかり油断していたんですね。
藤原 しかし、松下政経塾内閣ができたことについて、日本ではあなたが一番危機感を持っており、その辺りの背景をいろいろお聞きしたい。
本澤 松下政経塾は、これはまさにメディア戦略の成果といえます。多くの国民が尊敬している 〝経営の神様″ が創った政経塾ということで僕もそれにだまされていた人間の一人で、当初は悪いイメージはまったくなかった。
ところが、十年位前から「はてな?」となってきた。 民主党内で彼等OBが中枢を占めるようになってから、話す内容、行動が可成りファシスト的で、調べる必要があると思った。
調べていくと、松下幸之助が70億円で塾を立ち上げている。僕は政治に影響力を行使できる巨大企業を 〝財閥″ と呼んでいるが、したがって、 塾は松下財閥そのもので、その財閥の政治部門です。
その一財閥の政治部門が政権を牛耳っているというのは、戦前、戦後を通して初めてのことです。
かつて財閥は侵略戦争をやり戦後解体されたから、彼等はじっと沈黙して目立たないようにしていた。今は財閥から初めて経団連会長が出ていますが、 ともかく一財閥が日本の政権を牛耳ったというのは、空前絶後の非常事態といえる。
最初は市民派ということで菅内閣を傀儡で使っていたが、 今度は正真正銘の一期生が総理大臣になった。
藤原 実は、僕は松下政経塾というかPHPとは30年以上の長い付き合い歴史がありました。
本澤 えー、その辺のことを詳しく聞きたいですね。
藤原 PHPは僕がエネルギー問題に詳しいということで、「VOICE」 の副編集長が読者だったこともあり、「創刊号を出したから 21世紀問題について、寄稿して欲しい」と言ってきた。そこで記事を書く暇はないが、21世紀は老人問題が大事だから、対談ならOK」 と返事してある作家と対談した。
そうしたら、2000年の12月号まで25年以上も、航空便で毎月アメリカまで送ってきた。
凄い資金量と工作能力だと手の内が良く分かったが、 PHP研究所は若い研究者を「VOICE」にスカウトして、次に「諸君」や「正論」に送り込む役割を演じていたのです。
本澤 PHPは松下政経塾の司令塔で、「VOICE」はその機関誌ですね。
藤原 その通りです。それから五年後くらい経った時に、PHPの 総帥の江口克彦という人が、帰国する時に会いたいと連絡して来た。
そして、彼が京都から出てきて対談をしたが、この段階で外国のジャー ナリストから江口という人が、松下幸之助の隠し子だという話を聞いていたのです。
本澤 その話は僕も聞いたことがある。まさに幸之助の側近中の側近なんでしょうね。だからPHPが政経塾の指令塔で、前原や野田らに対して指令が出ている。
カルト集団PHP
藤原 彼に会った時、いつも雑誌を送ってくれていることのお礼を述べた後、僕の目から見ると、毎号松下幸之助の記名記事が載って いるが、5~6人の若い人が書いていることはすぐに分かる。
どうして松下さんの隣りに若い人を育てるためにも名前を載せてあげないのか、 といった批判的なことを言ったら、神様を批判する藤原は危険人物ということで、対談はボツになった。
本澤 そうですか。
藤原 それでもVOICEは30年近くも、毎号送ってきましたね。
本澤 江口氏とは今も交流はあるのですか。
藤原 ないないー。
僕は松下幸之助が政経塾を作った段階で、外国の諜報機関の人物から、松下幸之助が青山にマンションを借りてある男を住まわせ、その 母親が一緒に住んでいるが、その母親は松下のオンナではないという話まで取っていた。
その若衆宿が松下政経塾の始まりだったとか。
しかも中曽根内閣の時に京都大学の高坂正尭教授が政府委員会の委員長や委員を数多くやっていた。
本澤 そうですね。
藤原 彼が東京に出てきた理由は男漁り。この情報も外国の諜報機関の連中からです。
本澤 (驚きながら) そういうことっだったのですか。
藤原 米国というより世界では、諜報機関においては強請るタネはホモ人脈が当り前になっている。
本澤 ほうー。
藤原 高坂の弟子が前原でしょう。
本澤 そうです。前原は高坂教授に言われて松下政経塾に行ったと言われています。
藤原 高坂はエイズで亡くなっていて、京都では知る人ぞ知るです が、日本のメディアは一切報道していない。
実は、中曽根政権時代に海軍短現人脈が目立ち、男の友情が取り沙汰されたことがある。
男の友情は秘密を守る口の堅さに由来し、情報関係における歴史のキイワードです。『スパイキャッチャー』などを読めば、ホモ人脈 が重要な役割を演じていて、KGB,MI6,CIAといった諜報機関を支配していた。
そのことは『平成幕末のダイアグノシス』の 中にヒントとして書いて置いた。 だが、日本の皆さんは、日本の裏社会のことは暴力団、同和、カルトの3つしか言っていないが、もう一つホモというのがある。
これは世界で通用する言葉だが、日本では分かっていても表には出てこない。
本澤 いや、全然分からないですね。
藤原 それは今、日本にはろくな情報機関がいないからだ。25年位い前は有楽町の電気ビルに優秀な 外国の新聞記者、情報機関がいっぱいいたが、そういう連中から情報を取ると全部出てくる。
しかし日本人の記者は、外国の情報機関 を相手に情報を採れる人がいなかった。だから僕は今から30年前に石油事業を止めてフリーランス・ジャーナリストをやり始めた。
本澤 しかし中曽根さんはかつて著名な女性金庫番がいましたからそういう世界にいるとは思えない。
藤原 いやいや、両刀使いがいっぱいおり、むしろそれが当り前。 最近、岩瀬達也が『新潮45』に松下幸之助のことを少し書いているが、彼は奥さん以外の女性のことにふれているものの、他の女性で はなく若衆を相手にする世界には触れていないのが惜しかった。
つまり、松下政経塾があってPHPはある意味、幸福○△党と同じでカルトといえる。
本質は改憲軍拡派
本澤 今のお話は何か分るような気がする。僕も政経塾を取材する まではPHPのことは分からなかった。取材を進めていくと本丸はPHPで、そこから永田町へ指令が出ると、今の国対委負長のように 自民党にもOBがいるから、民主、自民双方に指令が届く。
ですから政経塾は絶対に超保守から外に出ない。実際、民主と自民それ以外にはいない。
特に調べていくと、心配になってきたのは、われわれ流に言うといわゆる改憲・軍拡派。戦争に加担する側、軍事産業とのつながり、 前原が特にそうですね。
それとワシントン右派とのつながりが非常に強いことが分かった。リベラルでは全然ない。前原はもちろん、 野田もそうです、野田は最近、韓国で大騒ぎになったが、A級戦犯は戦争犯罪者ではないといって、怒りをアジアからくっていますよね。
基本的に可成り偏向思想の人 たちだ。だから僕は非常に心配なんです。
藤原 そうした心配については日本を離れて外で見ていると、クリントン大統領も学んだワシントンのジョージタウン大学の中にある戦略国際 問題研究所(センター・フォー・ストラテジック・アンド・インターナショナル・スタディーズ=CSIS)。ここは実は、ナチス思想のアメリカ版ゲオポリティークスの砦です。
ジョージタウン大学はアメリカにおけるカトリック教会及び、イエズス会創設の最古の歴史を持つ大学で、日本ではそのヴァチカンのお目付け役としての上智大が、 東京の中心の四谷にある。そこには日本の反動思想の扇動者の渡部昇一とか、保守思想の大家だった篠田雄一郎教授が輩出している。
本澤 小泉元首相が、英語が得意というだけの理由で可愛がっていた女性議員(猪口邦子)もそうでした。小泉チルドレンの一番手で、 初当選してすぐ大臣になった。上智大の教授でその後、復職した。
藤原 上智はマッカーサー時代から占領軍の後押しがあり、あんな良い場所を確保している。
そういう意味でCSISは、世界戦略の中心になっているが、そこに実は、京セラの稲盛和夫(稲盛財閥)が5億円(6億5千万ドル)を提供して理事に納まっている。
本澤 (驚いて)そうですか。
藤原 だから稲盛の関係で京都は皆CSISに行く。
本澤 松下政経塾もですか。
藤原 いえ、政経塾だけでなく、小泉進次郎もCSISの日本部長をやっていたマイケル・グリーンのラインでそこに入っている。
本澤 成る程-。
藤原 だからアメリカの対日戦略の拠点としてのジョージタウン大学は注目しなければならない。
もう一つは、英国のアメリカ支配としてのコロンビア大学。進次郎はコロンビア大学からCSISに入っている。だいたい彼はコロ ンビア大学に入学できる力はなかったのに枠外で入った。ジェラルド・ カーチス教授というジャパン・ハンドが一役かった。
カーチスは日本に来て、大分県の佐藤文生の選挙を密着取材して「代議士の誕生」を博士論文に仕立てて日本通として認められるようになったが、 実力的には?がつくような人物で、しかし、奥さんのみどり夫人が優秀だった。
本澤 日本人ですか。
藤原 もちろん。アメリカの対日関係者の奥さんは、ほとんどが日本人ですよ。
本澤 成る程-。
藤原 奥さんが優秀だと、その男は出世する(笑)。ライシャワーもそうで、ハル夫人は松方財閥の お嬢さんでした。とにかく日本の女性は凄いですよ。世界のいろいろな国で奥さんになってるから、子どもができればその子は対日専門家になる。
世界のことを知らないからそういうことを調べた日本人はほとんどいない。もっとも、そうしたことを書くと人脈を断たれるのでアメリカにいる間だけは、 危ういという理由もあって僕も書かなかった。
本澤 対談に先だっての雑談で、藤原さんが日本はアメリカの属国ではなく、属領だとおっしゃったがよく分かりますね。
藤原 なぜ属領かというと、例えばマイケル・グリーン。彼は大臣でも政府の高官でもない。CSISの日本部長だった。 しかも、アメリカの対日要求を反映させるためのエージェントにすぎない。それにタコ入道のアーミテージだって国防次官補の属僚に過ぎません。
もうひとつ、アメリカの重要な大学としてジョーンズ・ホプキンス大学がある。
この大学はワシントンに高等国際研究所を持っており、 そこのサナイエル・セイヤー教授の手引きで、1954年に中曽根が初めてハーバード大の夏期講座に参加した。その前にセイヤーはCIAのアジア太平洋部長だった。 それが縁で中曽根はCIAとつながった。
ただ、中曽根は正力みたいなおっちょこちょいと違い、コードネームももたないからアメリカの隠れエージェンシーとして 出世するのに成功した。
本澤 秘密の代理人みたいなものですね。
藤原 そうそう。中曽根はそれで首相になれたわけですが、結局、ジョーンズ・ホプキンス大学の系列でもってハーバードの キッシンジャーのゼミに出席して、そこで洗脳されて、原子力の重要性をたたき込まれた。帰国後は、彼の伝記を読むと、手柄話として自分が 原子力予算をつけたことを書いている。
本澤 そうですね。
藤原 正力がスパイになった同じ時期に、中曽根もアメリカに協力していたことがはっきりする。
アメリカには外交官になる大学が2つあります。ひとつはジョージタウン大学で、外交官になるための学部がある。もうひとつは、 ハーバード大学とタフト大学が共同で、外交官になるための大学院大学を持っている。
そこの大将が日本大使になると予測が流れた ジョセフ・ナイ教授です。
本澤 あ~、ジョセフ・ナイ。成る程ねー。
藤原 その事ひとつとっても、日本にはアメリカに対する研究機関がひとつもないから、本当の情報を知る人がいない。
本澤 特にアメリカの情報はまったくないですね。
藤原 アメリカにいる時には、僕もそんなことは書けない(笑)。だから適当にぼかしてヒントだけは書いてるから、 分かる人には分かるんですが、日本人は自分で考えて絵を作る才能が残念ながらない。
答を書いてやらない分からないわけですね。 だから書評で飯を食っている立花隆や佐高信などは、私の本は敬遠して書評しようとしない。
日本には謀略史観というのがあって、やれロックフェラーがどうだ、フリーメイソンがどうだとか出鱈目を書いているのを皆んな読んでいる。 やはり自分でフィールドワークをしなければだめだ。
本澤 確かにそうだ。
藤原 取材をして、あるいは事件を知っている人が死ぬまで絶対に話さないというのを聞き出す能力が必要だが、 そういう能力を持った新聞記者がいない。皆んなサラリーマンだし、下手に書くと消されてしまう。
しかし、今回出した『生命知の殿堂』は 世界で最初のカミトロニクス書籍で、従来の紙の本と電子本を組み合わせて、情報を行間と遠近法で読み解くようになっている。 だから、パソコンで開くと、そういう記事が全部出ており、紙には書けなくても2~3年先には世界中の半分はカミトロニクスになると思う。
稲盛財団が資金を
本澤 今の話と関連すると思うが朝日新聞の阪神襲撃事件で記者が殺されましたよね。事件の犯人が「俺がやった」と 言って出てきてその後、週刊新潮に2~3回連載された。しばらくすると俺が犯人だという人物の核心は、自分は頼まれてやったんだと。 頼まれた先はCIAであると仄めかすわけですよ。
そうすると途端に週刊新潮が謝罪文を載せて、その本人は分けの分からない形で死んじゃうわけです。 僕は完全に消されたと思っているんですが、それで何んとなく、CIAはますます日本では恐怖の対象にされてしまう。
藤原 CIAというのはわれわれ自由人と違って、役人として優秀な人が多く知識を一杯持ってる。 しかし、実際に自分でフィールドワークしてやっている人は本当に少ない。
例えば「CIAは何をやったか」を書いたベアーみたいな人物は やはり組織の硬直性に愛想を尽かして辞めている。官僚組織と優秀な人とは合わないからですね。 官僚組織にいるのは頭が良く日本の役人と同じで、退職金を一杯もらい、天下りするという人が多い。
そのことはさておき、CSISの話に戻すと、例えば、国務長官のヒラリー・クリントンとかブレジンスキーとか、あるいは、国防副長官をやった リチャード・アーミテージのように、アフガン戦争の時にパキスタンに行き大統領に向かって「協力しなければパキスタンを石器時代に戻してしまうぞ」 と脅すような、倣慢な奴が集っている。
ただ、ここで何故、稲盛がCSISに基金を提供して、CSISの中に「アブジャイア・イナモリ・リーダーシップ・アカデミー」を作ったことに触れる必要がある。
アブシャイヤーはCIAと関係の深い諜報の専門家で、レーガン時代にNATOに大使として派遣され、ミサイル問題に精通していることで知られている。
しかも、CSISはナチスの生存圏の思想を作った、ハウスホーファーの思想を米国に輸入する目的で、イエズス会のジョージタウン大学に作られたシンクタンクとして、 地政学に基づく世界戦略を展開している。 松下政経塾-稲盛財団-ナチスの親衛隊の思想という、こんな不気味な構図が見え隠れしており、ヒムラーが作った親衛隊の組織構 成は、イエズス会を手本にしていることは良く知られ、近代化がゲシュタポを育てた事実が気がかりです。
また、ハウスホーファーという人物は、日露戦争の頃に日本に駐在武官として来ているが、彼はドイツの地政学者でミュンヘン大学の教授だった。 その弟子が副総統になったルドルフ・ヘスであり、彼はヒトラーの『わが闘争』の口述筆記をしただけでなく、メッサーシュミットで英国に飛んだ奇妙な 行動をしているが、ヘスは渾名が「お嬢さん」でホモとして知られている。
そういう流れを辿っていくと、ナチスの分派が日本に流れてきて、松下政経塾になり、 稲盛財団になる。こういう大変な状況が起きていることを、日本で書けるジャーナリストがいない。
日本では松下政経塾の首相が誕生したという程度の扱いだが、これは大変なことなんですよ。
本澤 外交面でも外交戦略面でも当然、影響が出てきますね。
藤原 野田という男が最初に現われてきたが、これからはアメーバーのような奇妙な連中がぞろぞろと現われてくる。
本澤 稲盛がね……。我々には稲盛のイメージは悪くなかったのですがね…。
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