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もうすぐ北風が強くなる

裏表を使い分ける卑劣な連中:武田

 その時々でその都度、裏表を使い分けるマスコミ、御用学者と御用評論家たち。
 卑劣漢と言うのでしょう。

ダブルB」から「シングルM」へ1 森林とCO2   10/31  武田邦彦

福島原発事故は、1)私たち大人の責任であり、2)子供たちが被曝した、という点では、その原因を求めて直しておくのは、これも大人の責任でしょう。

福島原発事故のもっとも大きな原因は、日本社会、または日本の大人の行動が「ダブルB(ダブルバインド)性」が強く、日本人の意思や心が「シングルM(シングルマインド)」(裏表ナシ)ではなかったことと思います。
そこで「批判ばかり(ダブルBを批判する)」だけではなく、これからは「前向きに(シングルMを具体的に)」書くことにしたいと思います。

第一回目は、もっとも優しいダブルBで、日本の大人の幼稚性に基づくものを取り上げ、原発ばかりの話題をしばしの間、忘れたいと思います。
・・・・・・・・・
日本の環境専門家は次のように言います。

学問的研究会「森林はCO2(二酸化炭素)を吸収しません」

ホームページ「森林はCO2(二酸化炭素)を吸収します」

その心は  「ウソを言って補助金を貰います」
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樹木はCO2を吸収して体を作ります。そして死してCO2を微生物が分解して自然は「持続性」を保ちます。森林は今日、誕生する樹木もあれば、今日、朽ち果てる樹木もあります。森林は増やし続けることもできません。

このような国民の「幼児性」と指導者の「不誠実」が福島原発事故を招きました。

首相、知事、市長「原発は安全です」

立地委員会   「原発は危険だから僻地、海岸に作ります」

その心は    「ドイツに美味しいワインを飲みに行きたい」

私は日本人として恥ずかしい。シングルMにする方法は簡単です。
1)温暖化は日本は歓迎、
2)日本は海に囲まれているから気温は変わらない、
3)もし気温が変わるとしたら中国とアメリカだがCO2の削減はしていない、
4)「森林はCO2を吸収する」というウソを止めてシングルMで行く、
5)景気は良くなり若者の就職率はあがる、
6)暗い昼休みは終わりになる、
7)特に東京の人は森林もないのだし、気温も3.5℃も上がっているのだから黙る。

シングルMの誠実は社会を子供たちに引き継ぎたいと思います。瀬戸内海に浮かぶ大三島にいると心は綺麗になり、日本人のルーツ、素朴な心、美しい海、人情溢れる人々、私たちが忘れたものを思い出します。
今日は、講演に疲れてすぐ寝たいと思ったのですが、この大三島の自然が私に呼びかけています。
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「ダブルB」から「シングルM」へ2 これまでの食品事件と汚染された食品   11/3 武田邦彦

原発事故前に、マスコミ報道部が大騒ぎした食品事件といえば「産地偽装」、「冷凍保存」、「添加物の記載順序が法律と違う」などで、相手の多くが中小企業の食品会社だったこともあり、マスコミ報道部は徹底的に業者を叩き、時には廃業にまで追い込みました。

特にひどかったのは「キャラメルの中に混入したホルムアルデヒド事件」です。もともとホルムアルデヒドは食品の中に多く含まれていて、椎茸には100ppm、リンゴに10ppmぐらい入っています。
それがキャラメルに混入して0.04ppmが検出されました。椎茸の2500分の1、致死量はあまりに多くて実例がないのですが動物実験からは25000ミリグラム程度と考えられています。

しかし、マスコミ報道部はお菓子屋さんを叩きに叩き、ついに600万個のキャラメルをすべて廃棄させました。その時にテレビなどで激しく攻撃していた人の中にはまだ今でも解説している人もいます。

最初は、「危険なホルムアルデヒドを子供が食べるキャラメルに入っているとは!」と怒っていたキャスターやコメンテーターは、そのうち普通の食品に1000倍ぐらい入っていることを知り、
「本来、キャラメルに入ってはいけないものだ。自然に入っているものと比較するな!」と変わり、
さらに毒性が弱いことを知ったり、規制値の100分の1であることが判ると、
「規制値の100分の1であるかどうかが問題ではない。健康を害するかどうかでもない。入っていけないものが入っているのが問題だ。企業倫理も地に落ちた」と言い続け、新聞は書き続けたのです。

その頃、私は、
1)規制値より低い、
2)自然の食品に普通に入っているもの、
3)実体的に健康に被害はでない、
という理由から、マスコミ報道部の「徹底追究」を批判しました。
日本は法治国家ですから、規制値を作るのを忘れていたという場合は別にして、食品基準がしっかりあるものなら、「望ましい」かどうかは別にして規制値以下のものを「徹底的に社会から葬る」という姿勢は食品安全を進める上でかえって障害になると感じたからです。
・・・・・・・・・
2011年の福島原発事故が起こると、マスコミ報道部は事故前の食品に対する報道姿勢を一変させました。それは、
1)自分たちが放射性物質は他の毒物と別扱いと考えた、
2)政府が言ったことに従った、
3)電力からお金を貰っていたから電力に有利に報道した、の3つが考えられます。

私がセシウム137の方が青酸カリより1000倍の桁で危険だというと「そんなことを言ってはいけない。安全と言え」と叩きました。
また、「放射性物質が入った給食を食べないというのは自分だけが安全になりたいのか!」と汚染給食を支持して、心配するお母さんを批判しました。

それにしてもあまりの豹変にビックリしました。放射性物質は、
1)1年1ミリの被曝と規制が決まっている、
2)自然放射線と比較してはいけない、
3)実質的な危険性は判っていない、
ということですから、キャラメルと比較するとマスコミ報道部の報道姿勢は決まり切っていたと思いますが、それが180度変わったのです。
・・・・・・・・・
私はこの件に関して、「いったい、マスコミ報道の人の心の中はどうなっているのか? 
食品に本来、入ってはいけないものが入っていることでキャラメルを攻撃したが、それはどういうことを考えたのだろうか?」と疑問に感じるのです。

人間は「そのたびその度に自分の都合の良いように意見を言う」ほど危険なことはありません。
法治国家だから法律に基づくのか、相手が中小企業でも東電でも同じ態度で行くのか、正義を振りかざすなら自分も正義でなければならない、などの最低の倫理観は必要でしょう。

このダブルバインドの態度をマスコミ報道部は厳しく自己反省し、批判的な人をテレビや新聞で発言させ、誇りある日本の一員としての自覚を持って貰いたいと思います。

もしマスコミ報道部がこれまらもダブルスタンダード、ダブルバインドを続ける場合、私たちは別の報道に基づく情報を得なければならないでしょう。
わたしは、時代が複雑で広告費でマスコミが経営せざるを得ないことを考えると、「マスコミは報道しない」という原則をたてるべきと思います。

関連記事

売国協定となる日米TPP:中野

 韓国はアジア通貨危機でIMFに侵略され、主な金融資本が米国に乗っ取られた。
 いままた、米国とのFTAでとんでもない条件の協定を結ばされた。
 韓国では与党以外は「売国協定」として紛糾し、現在、国会は野党が実力占拠し、籠城している。

 米韓FTAの韓国担当官「主要な争点において、われわれが得たものは何もない。米国が要求することは、ほとんど一つ残らず全て譲歩してやった」。

 関連ページ「異様なTPP開国論:内橋克人」、「世界通貨戦争(16)米国TPPは100年目の攻撃」。

米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか
「TPP亡国論」著者が最後の警告!    10/24  中野剛志   ダイヤモンド・オンライン

TPP交渉に参加するのか否か、11月上旬に開催されるAPECまでに結論が出される。国民には協定に関する充分な情報ももたらされないまま、政府は交渉のテーブルにつこうとしている模様だ。しかし、先に合意した米韓FTAをよく分析すべきである。TPPと米韓FTAは前提や条件が似通っており、韓国が飲んだ不利益をみればTPPで被るであろう日本のデメリットは明らかだ。

 TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加についての結論が、11月上旬までに出される。大詰めの状況にありながら、TPPに関する情報は不足している。政府はこの点を認めつつも、本音では議論も説明もするつもりなどなさそうだ。 

 しかし、TPPの正体を知る上で格好の分析対象がある。TPP推進論者が羨望する米韓FTA(自由貿易協定)である。

   米韓FTAが参考になるのは
   TPPが実質的には日米FTAだから

 なぜ比較対象にふさわしいのか? 

 まずTPPは、日本が参加した場合、交渉参加国の経済規模のシェアが日米で9割を占めるから、多国間協定とは名ばかりで、実質的には“日米FTA”とみなすことができる。また、米韓FTAもTPPと同じように、関税の完全撤廃という急進的な貿易自由化を目指していたし、取り扱われる分野の範囲が物品だけでなく、金融、投資、政府調達、労働、環境など、広くカバーしている点も同じだ。

 そして何より、TPP推進論者は「ライバルの韓国が米韓FTAに合意したのだから、日本も乗り遅れるな」と煽ってきた。その米韓FTAを見れば、TPPへの参加が日本に何をもたらすかが、分かるはずだ。

 だが政府もTPP推進論者も、米韓FTAの具体的な内容について、一向に触れようとはしない。その理由は簡単で、米韓FTAは、韓国にとって極めて不利な結果に終わったからである。 

 では、米韓FTAの無残な結末を、日本の置かれた状況と対比しながら見てみよう。

   韓国は無意味な関税撤廃の代償に
   環境基準など米国製品への適用緩和を飲まされた

 まず、韓国は、何を得たか。もちろん、米国での関税の撤廃である。

 しかし、韓国が輸出できそうな工業製品についての米国の関税は、既に充分低い。例えば、自動車はわずか2.5%、テレビは5%程度しかないのだ。しかも、この米国の2.5%の自動車関税の撤廃は、もし米国製自動車の販売や流通に深刻な影響を及ぼすと米国の企業が判断した場合は、無効になるという条件が付いている。

 そもそも韓国は、自動車も電気電子製品も既に、米国における現地生産を進めているから、関税の存在は企業競争力とは殆ど関係がない。これは、言うまでもなく日本も同じである。グローバル化によって海外生産が進んだ現在、製造業の競争力は、関税ではなく通貨の価値で決まるのだ。すなわち、韓国企業の競争力は、昨今のウォン安のおかげであり、日本の輸出企業の不振は円高のせいだ。もはや関税は、問題ではない。

 さて、韓国は、この無意味な関税撤廃の代償として、自国の自動車市場に米国企業が参入しやすいように、制度を変更することを迫られた。米国の自動車業界が、米韓FTAによる関税撤廃を飲む見返りを米国政府に要求したからだ。

 その結果、韓国は、排出量基準設定について米国の方式を導入するとともに、韓国に輸入される米国産自動車に対して課せられる排出ガス診断装置の装着義務や安全基準認証などについて、一定の義務を免除することになった。つまり、自動車の環境や安全を韓国の基準で守ることができなくなったのだ。また、米国の自動車メーカーが競争力をもつ大型車の税負担をより軽減することにもなった。

 米国通商代表部は、日本にも、自動車市場の参入障壁の撤廃を求めている。エコカー減税など、米国産自動車が苦手な環境対策のことだ。

   コメの自由化は一時的に逃れても
   今後こじ開けられる可能性大

 農産品についてはどうか。

 韓国は、コメの自由化は逃れたが、それ以外は実質的に全て自由化することになった。海外生産を進めている製造業にとって関税は無意味だが、農業を保護するためには依然として重要だ。従って、製造業を守りたい米国と、農業を守りたい韓国が、お互いに関税を撤廃したら、結果は韓国に不利になるだけに終わる。これは、日本も同じである。

 しかも、唯一自由化を逃れたコメについては、米国最大のコメの産地であるアーカンソー州選出のクロフォード議員が不満を表明している。カーク通商代表も、今後、韓国のコメ市場をこじ開ける努力をし、また今後の通商交渉では例外品目は設けないと応えている。つまり、TPP交渉では、コメも例外にはならないということだ

 このほか、韓国は法務・会計・税務サービスについて、米国人が韓国で事務所を開設しやすいような制度に変えさせられた。知的財産権制度は、米国の要求をすべて飲んだ。その結果、例えば米国企業が、韓国のウェブサイトを閉鎖することができるようになった。医薬品については、米国の医薬品メーカーが、自社の医薬品の薬価が低く決定された場合、これを不服として韓国政府に見直しを求めることが可能になる制度が設けられた。

 農業協同組合や水産業協同組合、郵便局、信用金庫の提供する保険サービスは、米国の要求通り、協定の発効後、3年以内に一般の民間保険と同じ扱いになることが決まった。そもそも、共済というものは、職業や居住地などある共通点を持った人々が資金を出し合うことで、何かあったときにその資金の中から保障を行う相互扶助事業である。それが解体させられ、助け合いのための資金が米国の保険会社に吸収される道を開いてしまったのだ。

 米国は、日本の簡易保険と共済に対しても、同じ要求を既に突きつけて来ている。日本の保険市場は米国の次に大きいのだから、米国は韓国以上に日本の保険市場を欲しがっているのだ。

   米韓FTAに忍ばされた
   ラチェット規定やISD条項の怖さ

 さらに米韓FTAには、いくつか恐ろしい仕掛けがある。

 その一つが、「ラチェット規定」だ。

 ラチェットとは、一方にしか動かない爪歯車を指す。ラチェット規定はすなわち、現状の自由化よりも後退を許さないという規定である。

 締約国が、後で何らかの事情により、市場開放をし過ぎたと思っても、規制を強化することが許されない規定なのだ。このラチェット規定が入っている分野をみると、例えば銀行、保険、法務、特許、会計、電力・ガス、宅配、電気通信、建設サービス、流通、高等教育、医療機器、航空輸送など多岐にわたる。どれも米国企業に有利な分野ばかりである。

 加えて、今後、韓国が他の国とFTAを締結した場合、その条件が米国に対する条件よりも有利な場合は、米国にも同じ条件を適用しなければならないという規定まで入れられた。

 もう一つ特筆すべきは、韓国が、ISD(「国家と投資家の間の紛争解決手続き」)条項を飲まされていることである。

 このISDとは、ある国家が自国の公共の利益のために制定した政策によって、海外の投資家が不利益を被った場合には、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」という第三者機関に訴えることができる制度である。

 しかし、このISD条項には次のような問題点が指摘されている。

 ISD条項に基づいて投資家が政府を訴えた場合、数名の仲裁人がこれを審査する。しかし審理の関心は、あくまで「政府の政策が投資家にどれくらいの被害を与えたか」という点だけに向けられ、「その政策が公共の利益のために必要なものかどうか」は考慮されない。その上、この審査は非公開で行われるため不透明であり、判例の拘束を受けないので結果が予測不可能である。

 また、この審査の結果に不服があっても上訴できない。仮に審査結果に法解釈の誤りがあったとしても、国の司法機関は、これを是正することができないのである。しかも信じがたいことに、米韓FTAの場合には、このISD条項は韓国にだけ適用されるのである。

 このISD条項は、米国とカナダとメキシコの自由貿易協定であるNAFTA(北米自由貿易協定)において導入された。その結果、国家主権が犯される事態がつぎつぎと引き起こされている

 たとえばカナダでは、ある神経性物質の燃料への使用を禁止していた。同様の規制は、ヨーロッパや米国のほとんどの州にある。ところが、米国のある燃料企業が、この規制で不利益を被ったとして、ISD条項に基づいてカナダ政府を訴えた。そして審査の結果、カナダ政府は敗訴し、巨額の賠償金を支払った上、この規制を撤廃せざるを得なくなった。

 また、ある米国の廃棄物処理業者が、カナダで処理をした廃棄物(PCB)を米国国内に輸送してリサイクルする計画を立てたところ、カナダ政府は環境上の理由から米国への廃棄物の輸出を一定期間禁止した。これに対し、米国の廃棄物処理業者はISD条項に従ってカナダ政府を提訴し、カナダ政府は823万ドルの賠償を支払わなければならなくなった。

 メキシコでは、地方自治体がある米国企業による有害物質の埋め立て計画の危険性を考慮して、その許可を取り消した。すると、この米国企業はメキシコ政府を訴え、1670万ドルの賠償金を獲得することに成功したのである。

 要するに、ISD条項とは、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」規定なのである。気の毒に、韓国はこの条項を受け入れさせられたのだ。

 このISD条項に基づく紛争の件数は、1990年代以降激増し、その累積件数は200を越えている。このため、ヨーク大学のスティーブン・ギルやロンドン大学のガス・ヴァン・ハーテンなど多くの識者が、このISD条項は、グローバル企業が各国の主権そして民主主義を侵害することを認めるものだ、と問題視している。

   ISD条項は毒まんじゅうと知らず
   進んで入れようとする日本政府の愚

 米国はTPP交渉に参加した際に、新たに投資の作業部会を設けさせた。米国の狙いは、このISD条項をねじ込み、自国企業がその投資と訴訟のテクニックを駆使して儲けることなのだ。日本はISD条項を断固として拒否しなければならない。

 ところが信じがたいことに、政府は「我が国が確保したい主なルール」の中にこのISD条項を入れているのである(民主党経済連携プロジェクトチームの資料)。

 その理由は、日本企業がTPP参加国に進出した場合に、進出先の国の政策によって不利益を被った際の問題解決として使えるからだという。しかし、グローバル企業の利益のために、他国の主権(民主国家なら国民主権)を侵害するなどということは、許されるべきではない。

 それ以上に、愚かしいのは、日本政府の方がグローバル企業、特にアメリカ企業に訴えられて、国民主権を侵害されるリスクを軽視していることだ。

 政府やTPP推進論者は、「交渉に参加して、ルールを有利にすればよい」「不利になる事項については、譲らなければよい」などと言い募り、「まずは交渉のテーブルに着くべきだ」などと言ってきた。しかし、TPPの交渉で日本が得られるものなど、たかが知れているのに対し、守らなければならないものは数多くある。そのような防戦一方の交渉がどんな結末になるかは、TPP推進論者が羨望する米韓FTAの結果をみれば明らかだ。

 それどころか、政府は、日本の国益を著しく損なうISD条項の導入をむしろ望んでいるのである。こうなると、もはや、情報を入手するとか交渉を有利にするといったレベルの問題ではない。日本政府は、自国の国益とは何かを判断する能力すら欠いているのだ。

   野田首相は韓国大統領さながらに
   米国から歓迎されれば満足なのか

 米韓FTAについて、オバマ大統領は一般教書演説で「米国の雇用は7万人増える」と凱歌をあげた。米国の雇用が7万人増えたということは、要するに、韓国の雇用を7万人奪ったということだ。

 他方、前大統領政策企画秘書官のチョン・テイン氏は「主要な争点において、われわれが得たものは何もない。米国が要求することは、ほとんど一つ残らず全て譲歩してやった」と嘆いている。このように無残に終わった米韓FTAであるが、韓国国民は、殆ど情報を知らされていなかったと言われている。この状況も、現在の日本とそっくりである。

 オバマ大統領は、李明博韓国大統領を国賓として招き、盛大に歓迎してみせた。TPP推進論者はこれを羨ましがり、日本もTPPに参加して日米関係を改善すべきだと煽っている。

 しかし、これだけ自国の国益を米国に差し出したのだから、韓国大統領が米国に歓迎されるのも当然である。日本もTPPに参加したら、野田首相もアメリカから国賓扱いでもてなされることだろう。そして政府やマス・メディアは、「日米関係が改善した」と喜ぶのだ。だが、この度し難い愚かさの代償は、とてつもなく大きい。

 それなのに、現状はどうか。政府も大手マス・メディアも、すでに1年前からTPP交渉参加という結論ありきで進んでいる。11月のAPECを目前に、方針転換するどころか、議論をする気もないし、国民に説明する気すらない。国というものは、こうやって衰退していくのだ。
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米軍のイラク撤退とイスラム復興勢力:田中宇

 米軍のイラク撤退後の中東は、親米保守からシーア派中心のイスラム復興勢力に重心が移るだろう。
 イラン、トルコ、エジプト、そしてイラクである。
 シオニストへの包囲網でもある。

 関連するページ「復興するイスラムの力」、「復興するイスラムの力(2)」、孤立を深めるシオニスト国家と復興するイスラム」、「狂信的シオニストと闘うパレスチナ」。
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 イラクの夜明け    10/24   田中 宇

 10月21日、米オバマ大統領が、年末までにイラクから米軍をすべて撤退させ、イラクでの軍事行動を終了すると発表した。
 オバマはこの日、イラクのマリキ首相とビデオ回線を介して会談し、今年末に予定されている米軍のイラク撤退を延期するかどうか、詰めた話し合いをした。マリキは予定通り今年末の米軍撤退を望んだため、オバマはそれを承諾し、会談後の記者会見でイラク撤退を発表した。 (Obama: U.S. will pull troops out of Iraq by year-end)

 イラクでは昨年12月、マリキ首相が「2011年末までに米軍に撤退してもらう」と宣言した。
 米政府内には、米軍のイラク駐留を恒久化・長期化したいと望む人々もおり、今年初めから、米イラクの政府間で、米軍駐留の延長に関する交渉が続けられた。国防総省や軍事産業の関係者は、イラク側に、駐留を延長しろと圧力をかけた。 (Maliki's Troop Mistake) (In Surprise, Iraq May Enforce Withdrawal Deadline)

 イラク政界の最大勢力である親イランのシーア派指導者ムクタダ・サドルは、駐留延長に強く反対した。サドルの意向を重視するマリキ首相も、一貫して撤退延長はしないと表明し続けた。
 だが米国では「第二次大戦から60年経っても、日本や韓国には米軍が駐留している。イラクも同様に、米軍の駐留が恒久化されるだろう」「大油田があるイラクから、米軍が出て行くはずがない」「米軍が撤退したら、イラクは大混乱になる。米軍駐留が必須だ」といった報道が喧伝された。 (US Out of Iraq. Really.)

 これらは、だまし絵的な幻影報道だった。昨年末に米イラク政府間で締結された米軍撤退に関する合意文書では、交渉によって米軍駐留の延長すること自体ができないようになっていた。
 「マリキは米国の傀儡だ。駐留延長しないと言っているのは、反米感情が強いイラク国内向けのニセのポーズにすぎない」といった米国での分析は間違っていた。 (Iraqis Cancel Meeting on US Troops Extension)

 米軍は、駐留延長の条件として、米兵士がイラクで犯罪を犯してもイラク当局に逮捕されない不逮捕特権を要求したが、イラク政府は認めなかった。今年8月以降、米イラク間で米軍の駐留延長について、公式な交渉は行われなくなった。
 そして、10月21日のオバマとマリキの会談で、駐留を延長しないことが正式に決まった。 (US troops to leave Iraq by end of year)

 今回のオバマの発表に対し、米国の反戦運動家などからは「米軍がやすやすと撤退するはずがない。オバマの発表には裏があるはずだ」「イラクが米国の傀儡である状態は変わらない」「駐イラク米国大使館の警備などの名目で、少なくとも5千人の米軍傘下の傭兵部隊が残る」といった指摘が出ている。
 だが、不逮捕特権を持たない以上、米兵は事実上、大使館警備の範囲を超えてイラクに駐留できない。 (US to Withdraw From Iraq By December)

▼米国からトルコの傘下に移る北イラク

 米軍は10月20日、クルド人地域などイラク北部を担当してきたティクリートの米軍基地を閉鎖した。米軍は、北イラクのモスル市内などからも出て行き、イラク北部からの撤収を完了した。
 これとほぼ同時に、イラク北部に隣接するトルコが、北イラクに軍を越境派兵してきた。トルコの反政府武装勢力であるクルド人のPKKが、トルコ南部でテロ的な攻撃を起こし、トルコの警察官24人を殺したため、その報復としてトルコ軍が国内の南部で大規模なPKK掃討作戦を行い、隣接するイラク領内に15キロほど越境侵攻した。 (US Closes Northern Iraq Base As Turkey Intensifies PKK Border Operations) (Mosul celebrates US forces withdrawal)

 トルコ軍の侵攻に対し、イラク政府はPKKを非難する声明を出し、トルコが自国に侵攻したことを容認した。
 米国もPKKをテロ組織とみなし、無人偵察機で集めたPKKに関する情報をトルコに伝えている。米軍のイラク撤退後、米側がイラクで使っていた無人偵察機群をトルコに売る話もある。
 これらの状況からみて、イラク北部で米軍の撤退とトルコ軍の侵入が同時期に起きたのは、偶然でない。イラク北部で支配的な影響を持つ勢力が、米国からトルコ・イランに変わりつつある。 (Erdogan signals joint Turkish-Iranian action against Kurdish rebels in Iraq)

 クルド人はイラク、トルコ、イラン、シリアの4カ国に分散して住んでいる民族だ(第一次大戦後、英国の策略でクルド人の居住地域が4分割された)。北イラクには、反トルコ勢力PKKのほか、反イラン勢力PJAKもおり、トルコとイランは協調して北イラクの反政府勢力を制圧する戦略で合意している。
 米政府は、仇敵であるはずのイランが、イラク北部で影響力を拡大することを黙認している。 (Amid Own Tensions, Turkey and Iran Pledge Mutual Aid Against Kurdish Rebels)

 イラク政府が米軍を撤退させる方針を固めた今年初めから、トルコ企業がイラクのインフラ整備などの事業への参入を急拡大している。
 北イラクでは、物資の8割がトルコから入ってくる。バグダッドでは今春以来、米軍がテロ防止用に市内の各所に構築した隔離壁などを、壊して以前のような道路交通の流れを再確保するための工事を、トルコ企業が受注して行っている。米国が無茶苦茶にしたイラクを、トルコが元に戻している。
 このような全体の流れを見ると、イラクにおける米国の影響力が低下し、トルコやイランの影響力が拡大しているのは、不可逆的な動きと考えられる。 (Turkey learns rules of the game in Iraq) (Iraq Steps Back Onto the Regional Stage)

 クルド人はイラク国民の15%にすぎないものの、かつて米CIAやイスラエルの庇護のもと、イラクで最強の政治勢力だった。
 だが米軍の撤退が近づくにつれ、イラク政界におけるクルド人の政治力は低下している。米軍侵攻後、イラク北部やバグダッドでクルドの旗が堂々と掲げられていたが、最近では、クルドの旗を掲げることが違法行為と見なされ始めている。 (Raising Kurdish flag violates Article 140 of Constitution)

▼全中東のシーア派を覚醒させる

 クルドの力の縮小と対照的に、中東全域の民主化運動からの影響として、イラク国民の6割を占めるシーア派が政治的に覚醒してきたのも、今年の目立った動きの一つだ。
 その象徴は、エジプトの政権転覆から間もない今年4月、イラクのシーア派の政治家アハマド・チャラビがバーレーンの民主化運動を支持して「イラクはずっとスンニ派が支配している国だったが、今や民主化されてシーア派の国になった。バーレーンも同様に王政が転覆されて(多数派の)シーア派が主導する国になるべきだ」と宣言し、ロンドンで亡命生活を送っているバーレーンのシーア派の反政府勢力と会合を持ったことだ。 (Iraq's Chalabi Advises Protesters Abroad)

 チャラビはもともと米国に亡命していたイラク人で、イラク侵攻時に米中枢のネオコン軍団の一人として開戦の大義をでっち上げ、米国右派の傀儡として「活躍」した。
 だが実は、以前からイラン当局との関係がある二重スパイとも言われ、イラク侵攻後にイラクで政治家となり、反米主義に転じ、米軍の早期撤退を求めるようになった。チャラビは、イラクが中東全域のシーア派による民主化要求運動の主導役になるべきだと主張している。 (Iraq's Chalabi, who sought invasion, now wants US out)

 イラクで、バーレーンの民主化(王政転覆とシーア派政権の樹立)を支援しているのはチャラビだけでない。
 イラク政界のキングメーカーとしてチャラビより有力なサドルも、5月にカタールで開かれたバーレーンの民主化を話し合う会議に出席するなど、バーレーンの民主化を支援している。 (Al-Sadr in Doha to discuss Bahrain's crisis)

 イラクの中でも特にシーア派の比率が高い南部では、バーレーンだけでなく、その隣のサウジアラビア東部で起きているシーア派の権利獲得運動に対する支持も強く、サウジ製品に対するボイコット活動が行われている。
 米軍撤退によって政治抑圧から解放され、外交面で言いたいこと言えるようになる来年以降のイラクは、しだいに声高に、サウジやバーレーンの王政がシーア派を弾圧していることを非難するようになる。 (Shiites in Iraq Support Bahrain's Protesters)

 シーア派国民に対する差別を隠し、国際問題にしたくないサウジ王室は、これまで米国のマスコミなどに手を回し、サウジやバーレーンでのシーア派弾圧についての報道が大きく出ないようにしてきた。
 だが今後、イラクが声高にこれらの弾圧を批判するようになると、サウジやバーレーンの王室は国際批判の対象になって困窮する。サウジやバーレーンは対米従属の国是によって国際社会での優勢を保ってきたが、中東での米国の影響力が低下する中で、その状態も続かなくなる。
 サウジの大油田は、シーア派が多数を占める東部に集中している。東部の不安定化は、サウジ全体をゆるがす。油田なしのサウジは、砂漠の貧しい国である。

 サウジ周辺のペルシャ湾岸の産油諸国の中で、イラクに隣接するクウェートは今年、イラクの唯一の港であるウムカスルのすぐ対岸のモバラク(Mobarak)で港湾建設を開始した。航路の重複を引き起こしそうなので、イラク側から、嫌がらせの敵対行為だと非難されている。
 この問題は、かつて英国がイラクとクウェートの国境線を引いたとき、意図的にイラクの海岸線を短くして、イラクが港湾を作りにくいようにして封じ込めをはかった名残である。 (`Allegation to hurt Iraq, Kuwait ties' Calls made in Basra to protest against port project)

 今年、イラクとクウェートの関係は全体的に悪化した。米軍撤退によってイラクが再び国家として自由の身になることが確定するとともに、シーア派の国になったイラクを封じ込めようとする、クウェートなどサウジ主導のスンニ派勢力からの敵対行動が開始されている。
 この紛争は、イラクに対する米国の影響力が低下していることを示している。 (Sadr called for stern stand against Kuwait - MP)

 中東全体として、イラクやイランを中心とするシーア派の勢力が、1300年間の抑圧から解放されて盛り返し、サウジを中心とするペルシャ湾岸やヨルダンなどの対米従属のスンニ派諸国が弱くなっていくだろう。
 シーア派勢力は、イラクとイランを合わせると、OPECを支配してきたサウジと並ぶ石油埋蔵量となる。石油をめぐる国際政治の世界でも、イラクとイランの台頭が予測される。

 イラク侵攻から8年間、イラクでは10万人とも50万人ともいわれる市民が殺された。開戦大義のはずの大量破壊兵器がそもそも存在せず、でっち上げで侵略戦争をしてしまった米国は国際法上、重大な国家犯罪をおかしたが、国連の制裁も受けていない。
 だが今、米軍が撤退していく方向が定まり、ようやくイラクにとっての夜明けが近づいている。 (Iraq By The Numbers: The World's Costliest Cakewalk)

 米軍に政権転覆されたイラクが、やがてイランと結託し、中東全体としてのシーア派の台頭を導くことになる流れは、ブッシュ前政権時代の米国自身が作ったものだ。
 この流れのおかげで、反米のイランやイラクが台頭し、親米のサウジやヨルダンが窮して、米政界を牛耳っていたはずのイスラエルが国家存亡の危機に追い込まれている。
 米国(特に共和党)には、隠れた国際戦略があると考えるのが自然だ。共和党のマケインは「イラク撤退はイランの勝利になる」とオバマを批判したが、イランを勝たせる流れを確定したのは、オバマの前の共和党政権である(オバマでなくマケインが大統領になっていたら、もっとイランの勝利になっていただろう)。 (Iraq rejects US request to maintain bases after troop withdrawal)

 オバマは、10月21日にイラクからの米軍撤退を発表した際、イラクだけでなく、アフガニスタンやリビアでも「戦争の流れは退却している」と述べた。
 リビアではカダフィ大佐が拘束・殺害されて内戦が一段落したため、NATO軍が10月末に撤兵することを決めた。
 アフガン情勢ははっきりしないが、もはや米国にとって勝てない戦争であることが、すでに確定している。
 中東全域が、米国やイスラエルの抑圧から脱し、世界の極の一つとして機能していく「中東の夜明け」が、近いうちにやってくるだろう。この動きを誘発したのは米国自身である。
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