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もうすぐ北風が強くなる

ユーロの危機は労働階級を試練にさらす

ギリシャ ギリシャ2

 ギリシャは財政破綻を回避するため支援をうけるが、その条件は財政緊縮策である。
 財政緊縮策を実行すれば経済不況は悪化し、国民は窮乏化する。

 最悪の場合は、暴動やクーデターの危険さえある。
 最悪の事態にはならなくても、経済需要が激滅するので、政府の税収が大幅に減少することは疑いない。
 そうなると少なくとも、再び財政危機の深刻化が襲う。
 循環する財政危機のスパイラルである。

 しかも支援の金(カネ)はギリシャ政府には行かない、貸方である各国金融資本の所有するギリシャ国債の債権を直接買い取る形で行われる。
 ギリシャの国民経済を救うのではない。仏、独、ベルギー、オランダなどの金融資本を救うのである。 

 まさに、仕掛けられたギリシャ危機なのだが、その債権買取の「つけ」はギリシャを先頭にユーロ圏の諸国民が支払わされることは言うまでもない。

 すなわち、大半は賃金労働者の税金と社会保障全般の削減である。

 米国は3.3倍もの過剰流動性を供給すると共に、その一部で大胆な財政の社会的出動を行ったが、保守派の巻き返しで緊縮財政に向かおうとしている。

 インフレを恐れる欧州はマネタリーベースを多くは増やさず、元来の階級闘争と社会保障が有るのだが、この社会保障が危機に陥ると考えられる。
 ギリシャの、そしてヨーロッパの労働階級とその階級闘争が試されるだろう。

 翻って、労働運動が無きに等しく、公務員も全然増えないどころか減らし続けている日本。
 大衆の闘う組織が無いために、手厚い社会保障など何もなく、米国よりも低い水準。
 完全円建ての国債など幾ら発行しても、経済成長で吸収できるのだが、あえてデフレ脱却しない政府。

 超低金利、デフレ循環、円高の国際金融資本向け3点セットを様々な嘘と騙しでつらぬく政府とマスコミ。
 実際に、不況だろうが戦争だろうが、自国通貨建ての国債で、財政破綻した国家など世界の歴史上に無いのである。
 万が一にもあったら、誰か教えて欲しいものだ。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 ギリシャの国家破産に備える欧州連合   10/11  「マスコミに載らない海外記事」から

ギリシャに関して、ヨーロッパ体制側は明らかに方針を変えた。
ギリシャを“救済”するかわりに、彼等はギリシャの破産について論議し、それが伝染する危機を弱めようとしている。
ギリシャの支払い能力を保障するはずだった欧州金融安定基金が、国家破産の結果から貸方銀行を守るのに使われている

方向転換は、株式市場の激しい変動という圧力や、金融市場、銀行破産の脅威の下、ギリシャ政府の緊縮政策への反対が増大する中で徐々に起きた。しかし、それは明白な階級の論理に従っている。

制御不能な連鎖反応の脅威ゆえに、EUはかつてギリシャ崩壊というリスクを阻止した。
彼等は、2008年9月に破産した後のアメリカのリーマン・ブラザーズのように、大きな貸方銀行が破産し、更に多くの銀行を奈落に引きずり込むことを恐れたのだ。
万一ユーロ圏加盟国のギリシャが破産した場合、ポルトガル、アイルランド、スペインやイタリア等、他の大きな債務を負った国々も与信を受ける可能性を失ってしまう脅威があったのだ。

こうした状況の下、何十億ユーロものギリシャ救済パッケージは時間稼ぎに役立っている。
このパッケージは、ギリシャ国家、ましてギリシャ国民に役立ってはおらず、融資を、全ての支払利息付きで全額返済された、貸方銀行の金庫に直接入った。欧州中央銀行は、大量のギリシャ国債も公開市場で購入し、諸銀行を更なる手形で直面するリスクから解放した

徹底的な経費削減策と結びつけられていた、ギリシャ救済パッケージは、悪化するギリシャ経済が回復する可能性を当初から除外していた。緊縮政策によってひき起こされた不況が、あらゆる予算上の節約も無駄にしてしまうことは、素人にさえ明らかだ

緊縮政策の狙いは、財政改革というよりも、労働者階級の破壊にある
いわゆるトロイカ、つまり欧州中央銀行、欧州委員会と国際通貨基金の命令で、ギリシャ政府は、年金と所得を削減し、何万もの公共部門の仕事を破壊し、増税により、自営業者を破産に追いやったが、裕福なエリート達は、富を外国の銀行口座に貯め込んでいる。

この間、これらの施策に反対する抗議行動が益々ギリシャ政府を脅かしている。
今月だけでも、いくつかのゼネストや抗議行動があった。政府と密接に協力している労働組合は、抵抗運動を抑えておくことが、益々困難となりつつある。

トロイカの代理人達はこれで、ギリシャを放棄する時が来たと判断した。
国家破産とは、政府に、給料や年金や他の公共支出にも支払う資金が無くなることを意味する。丁度、アメリカの自動車会社が、破産手続きを、労働者に対する財政上の義務を、一気に帳消しにするのに活用したように、ギリシャ政府も、既存の契約や法的処遇を実質的に破棄することができよう。
そこでの問題は、一体どれだけの職が廃止されるか、あるいは給料がどこまで削減されるのかではなく、そもそも、一体誰が職についていられるかだ。

ギリシャの国家破産は、他のヨーロッパ諸国の労働者を脅迫するのにも活用されるだろう。
それは、もし政府が押しつけている緊縮政策を受け入れなければ、一体何が彼等を待ち受けているのかを示す明確な脅しとなるだろう。

ギリシャ国内では、国家破産が暴力的な社会不安をひき起こすだろう。
しかし、EUは、これまで、ギリシャの労働者と、いかなる国際的団結を組織することも拒否してきた労働組合の協力を得て、それも隔離できるだろうと期待している。
ギリシャ軍も、遠慮なく発言し、PASOK政府を打倒すると脅している。“大佐ら”の支配の下、軍は1967年から1974年迄、残忍な独裁政治で、ギリシャの労働者階級を抑圧したのだ。

EUの当面の懸念は、ギリシャ国家破産によって、国際的な銀行や他のヨーロッパ諸国が破産するのを、いかにして防ぐかにある。これまでの何週間、何日間にわたるあらゆる決定と議論は、この問題を巡って展開した。

ユーロ圏の政府は、既に6月に、欧州金融安定基金(EFSF)を増大し、権力を拡大することで合意していた。単にユーロ圏の不調にあえぐ国々に信用保証を提供するとのではなく、EFSFは、脆弱な国々の国債を公開市場で買い占めて、銀行が直面している危機を取り除くことができるのだ。

EFSFからの資金、あるいは他の公的資金によって、銀行の資本を増やすことが、議論の話題に上がっている。
これが、先週火曜のEU蔵相会談での、主題だった。蔵相達は、ギリシャが、支払い不履行をすることになった場合の、ヨーロッパの各銀行の回復力を検証するよう、欧州銀行監督機構(EBA)に依頼した。

水曜日、ドイツのアンゲラ・メルケル首相も、この方針に合意した。EUのジョゼ・マヌエル・バローゾ委員長と、主要な国際的金融機関幹部との会談後に、もし銀行が緊急に資金を必要とした場合、ヨーロッパの国々“適切に投資された資金”になるのだから、金融支援を遅らせるべきではないと述べた。

木曜日、欧州中央銀行は同様に、破綻に瀕した銀行を大量資金で支援すると決定した。

言い換えれば、ユーロ救済パッケージとECBの資金は、破産に直面しているユーロ圏諸国を救うのでなく、今や債務国が破産した場合に銀行を救済するために使用されるのだ。

専門家達は、ギリシャ国家破産を乗り切るには、ヨーロッパの銀行は、少なくとも、2000億から3000億ユーロの追加資本が必要だと考えている。2008年の金融危機の際の、銀行救済と同様、これらの資金は、またもや労働者階級を犠牲にした緊縮政策を通して取り戻されることとなる。

多くの政治家やマスコミは、今やギリシャ国家破産を必然的なものと見なしている。

シュピーゲル・オンラインは、先週の出来事に対し“今や金融機関は公的資金するしかあるまい。危機にある国々を救済するよりも、安上がりだろう。”とコメントした。

また、木曜日にヨーロッパの主要な金融関係新聞フィナンシャル・タイムズは“ユーロを救え。ギリシャは破産させよ”という見出しの下で、コメントを発表した。

“債務、財政と経常収支赤字と、悲惨な程の競争力の欠如からして、ギリシャは負債の罠からは逃れられまい”“緊縮財政に続く緊縮財政では、病人は死ぬしかない。”と述べている。

ギリシャ破産に対処するため、フィナンシャル・タイムズは、“協調的な銀行の資本増強と、欧州金融安定基金の資金を、2兆ユーロへと、4倍増するよう呼びかけている。”これらの施策のつけは、更なる削減と緊縮政策という形で、ヨーロッパの労働者によって支払われざるを得まい。

ギリシャ国家破産に対する準備は、金融エリート支配層による、労働者階級に対する攻勢の、新たな段階を示している。この攻勢に反撃できるのは、銀行と大企業の収用と、ヨーロッパ社会主義国家連合の樹立に焦点を当てた、社会主義綱領に基づくヨーロッパの労働者による共闘しかない。

記事原文のurl:www.wsws.org/articles/2011/oct2011/gree-o08.shtml

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60歳の地獄か、年金と再雇用の現実

 政府は、狂気の増税のみならず、年金支給年齢のさらなる引き上げまで目論んでいる。
 実に犯罪的な、緊縮財政宣伝だ。
 50代は地獄の60歳を迎えるかも知れない。

 デフレ大不況がますます悪化してゆく中で、仕事などあるわけも無し。
 運良く再雇用されても、実際には手取り収入は20万未満。パートなら10万未満である。
 10万未満で死ぬほど働かされるか、雑務とお茶汲みに追いやられるかだ。

 それよりも、再雇用されない、働く仕事もないの大多数だ。
 東京はまだ良い方だ。地方ではまるっきり仕事など無いのだ。
 貧乏に生まれて、何とか家族を養い、やっと住宅を手に入れ、これからと言う時に路頭に迷うのか。
 高齢者のホームレスが増えているが、さらに窮乏化が老人を襲う。
 
 アメリカの全米退職者組合のような力のある組織が、なぜ日本には無いのだろう。
 「選挙で思い知らせてやろう」などと言っても、その選挙をなかなかしない。
 選挙の時だけではなく、普段の日常の運動が必要だ。

 怒れ、勤労者!これ以上、馬鹿にされないために。
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全国民必読 まやかしの再雇用 いつわりの年金
「仕事はない、年金は大幅減額」60過ぎたら、この世は地獄


 ハッピーリタイアメント、定年後は悠々自適など、夢のまた夢。地獄が待っていた。当てにしていた年金は先延ばしにされたうえ、大幅減額。代わりに用意したという職場では邪魔者扱い。この国はおかしい。

   平均年収200万円

「入社以来、事務部門に勤務していました。退職前は課長職になり、部下も十数人従え、年収は1200万円あった。定年後、再雇用を希望すると、『幸い、北海道の営業所で販売課長の職が残っていますよ』と言われたので、年収は300万円台に下がるけれど、2~3年は働けるだろうとホッとしていたのですが・・・・・・。

 いざ赴任して与えられた仕事は、カバン片手に中小零細企業を回って、新規顧客を開拓する営業職。部下はひとりもいない代わりに、販売課長という肩書を持った再雇用者がすでに4人いて、誰もが毎日必死に走り回っている。営業経験がなかった私は、まったく契約が取れぬまま精神的に参ってしまい、3ヵ月で辞めて東京に戻りました」(大手事務機器メーカー・61歳)

 国民年金はすでに支給開始年齢が順次上がっているが、2013年度から厚生年金の報酬比例部分も現行の60歳から3年ごとに1歳ずつ上げられ(男性の場合)、最終的に65歳が年金支給開始年齢となる。

 だが、大多数の企業の定年は60歳。企業年金が整備されていない会社も多く、無収入・無年金生活が現実のものとして迫ってきた。

 こうした事態を避けるため、65歳までの雇用を確保しようという趣旨で生まれたのが「継続雇用制度」のひとつである「再雇用制度」。政府が'04年に高年齢者雇用安定法を改正してつくった制度で、定年退職者を企業が一度退職させて再び雇用するというものだ。

「政府は、定年の引き上げか定年の廃止、あるいは継続雇用制度の導入のいずれかの措置をとることを企業に求めました。この中から企業はどれを選択したか。'10年6月1日現在、社員30人以上の規模の会社で、定年を廃止したのは2.8%、定年を引き上げたのは13.9%、対していわゆる再雇用制度を導入した会社は83.3%と、圧倒的に多かったんです」(『よくわかる継続雇用制度導入の実務と手引き』の著書がある、特定社会保険労務士の川端重夫氏)

 現在の日本では、60歳を過ぎて新たな再就職先を探そうにも、高齢がネックになってやりたい仕事はなかなか見つからない。ましてコンビニでレジ打ちをするよりは、それまでお世話になった会社に残ったほうが、働きやすいはず。だから、企業の再雇用制度導入には大賛成と思う人は多いかもしれない。

 しかし、冒頭の告白にもあるように、再雇用制度は多くの〝不幸〟を孕んでいる。

 まず第一に、給与が大幅に下がることを覚悟しなければならない。

 一般に、企業は再雇用者の賃金を定年前の給与の3分の1程度に抑えている。平均的な再雇用者の年収は200万円台で、300万円台だったり、賞与が払われるなら恵まれているほうだ。中にはアルバイト同然の時給制になっている企業もある。


「うちの再雇用システムは契約社員として、1年ごとの更新制をとっています。給与は時給にして900円弱。勤務形態は週4日、1日8時間労働なので、1ヵ月の給与は約14万円。少ないとは思いますが、毎日、ハローワークで職探しをするよりはましだと割り切って働いています」(元大手通信会社管理職・61歳)

 時給制の場合、最低賃金(東京都なら837円)以上なら、再雇用者はその条件を呑まざるを得ない。彼らの中には、年収が定年前の5分の1になったというケースもある。すなわち、会社側は戦力としてはほとんど期待していないということの表れだ。しかも、65歳で再雇用が終了した後は、何の保障もないし、65歳から改めて仕事を探すこともきわめて難しい。

   プライドはズタズタに

 第二に、職務内容が現役時代とすっかり変わってしまうケースが多い。企業は必ずしも労働者の希望に沿った職種や労働条件を提供しなくとも良いとされているからだ。

「定年になったとき、子どもの教育費と住宅ローンにおカネがかかり、まだ働かざるを得ない状況でした。年収が3分の1に下がる条件も呑んで再雇用制度を利用したんですが、いざ働きだしたら戸惑うことばかり。それまでやっていた仕事はすべて後輩たちに引き継がれ、部長待遇の肩書もなくなり、社外秘の資料は見ることさえ許されない。仕事といえば、せいぜい資料整理やお茶出し。『これお願いします』と後輩たちが頼んでくるのはそれ以外の雑用だけです」(大手電機メーカー・62歳)

 清掃会社や警備会社など再雇用されても仕事がほぼ変わらない職種もあるが、ほとんどは現役時代と無関係に決められる。中には再雇用者の仕事を、抽選でランダムに決める企業もあるというのだ。

 第三の不幸には、再雇用されたはいいものの、仕事が回ってこなかったり、企業に都合よく使われてしまうことが挙げられる。

「再雇用者は、月30万円くらいもらえて、それまでいた会社に65歳まで残れるのはよいのですが、座席だけ決まっていて仕事がないというケースが非常に多いんです。たまに回ってくる仕事といえば、支店のトラブル処理。そのせいか、65歳まで残る人はほとんどいませんね。結局、待遇がよい薬の原材料を仕入れる商社に、コネで再就職する人が多いですよ」(元医薬品メーカー管理職・64歳)

 鉄鋼会社に勤める63歳男性の場合は、再雇用され、逆に仕事が増えたが・・・・・・。

「20年近く勤め上げた後、年収150万円の条件で再雇用してもらったのですが、大震災で鉄鋼需要が激増したとき、きつい仕事、危ない仕事は全部、『ベテランの人じゃないとダメだから』と再雇用組に回ってきたんです。おかげで、ピンピンしていた仲間も過労で体を壊し、次々と会社を辞めていった。割に合わないので、私もとっとと辞めたい」

 かくして、第四に、再雇用者たちはプライドを傷つけられる。

「かつての部下が直属の上司になってしまったのは、どうにも困った。タクシーで出掛けるときは、私が運転手の隣に座り、元部下が後ろの席に座る。そして降りるとき、『料金を払っておいて』と言われたりする。そのうえ『おいちょっと、~クン』と呼ばれるのは、仕方ないとわかってはいても、怒りと屈辱で精神的に病んでしまいました」(元食品メーカー勤務・65歳)


 勿論、再雇用者への待遇が十分に整備されている企業もあるが、総じて恵まれているとは言いがたい実情が見えてくる。

   再雇用者は「厄介者」

 だが、待遇は悪くても仕事があるだけまだマシかもしれない。実のところ、再雇用制度を導入している企業で「希望する者全員を雇用」しているのは全体の31.5%にすぎない('10年度、産労総合研究所の調査による)。残りの企業は「本人が希望し、会社が必要と認めた者」を選んで雇用している。つまり、企業は再雇用する人の基準を独自に決めることができ、それに適合しない者は雇用しなくともよいのである。

「会社にしてみれば、必要な人材だけを継続的に雇用して、そうでない人には定年で辞めてもらいたいというのがホンネです。だから一流企業の中にも、その人は再雇用にふさわしくないと判断するために、定年前にわざと人事考課を下げておくところもある。『会社のために自主的に身を引いてください』とこっそり引導を渡しているんです」(大手製造業の人事担当者)

 多くの企業が定年制の廃止などではなく、再雇用制度を導入した、〝本当の理由〟を、人事コンサルタントの荒川大氏が説明する。

「定年を65歳以上に延長したり、定年制を廃止してしまうと、年功序列が維持され給料が上がり続ける日本企業では、人件費負担が大きくなりすぎてしまうからです。いったん定年退職になった人間を再雇用すれば、全く新たな雇用契約になるため、賃金は新入社員並みに抑えられるでしょう。しかしそれ以上に、会社にとっては、高齢者よりも、会社の将来を担う若い社員を雇ったほうがいい」

 ほとんどの企業が再雇用制度を進んで導入したわけではなかった現実が、どこまでも横たわっている。要するに、会社にとって再雇用者は「厄介者」なのだ。

 前出の川端氏はそれを踏まえたうえで、再雇用される側も意識改革をする必要性を強調する。
「定年後も会社に残りたいのなら、今の自分が会社に何を提供できるかをはっきり示す必要があります。ある企業の元部長は再雇用を希望する際の面接で『あなたには何ができるか』と聞かれ、『私は一日に何百枚もハンコを押してきました』と真顔で答えたそうです。こんな人、再雇用する側はいりませんよね。退職すれば肩書はなくなるのですから、それでも周りから評価されるだけのスキルやウリを何かひとつでも持っていないと、再雇用されても長続きしない」

 そうしたスキルがない場合、基本的に他人が嫌う仕事をやらされるのは当然だと、覚悟したほうがいいだろう。会社は、「お茶汲みさせやがって」と不満タラタラの老人より、若い女性をアルバイトに雇ったほうが、コスト的にもよほどいいと考えてもいる。

   「対策はありません」

 金銭面、環境面での不平不満を訴える再雇用者たちと、制度の拡充にあまり乗り気ではない企業との溝はあまりに深い。無収入・無年金時代のセーフティネットとなるはずの再雇用制度は、どうしてこのような機能不全に陥ったのか?

 社会保険労務士の真山勝義氏が語る。

「そもそも国が年金政策に失敗して、年金支給開始年齢を遅らせざるを得なくなったツケを、再雇用制度という形で企業に押しつけてしまったことが問題なんです。中小企業には希望者全員を65歳まで雇う体力はありませんし、そもそもこの制度を知らない会社もあります。再雇用制度を知っていながら制度化していない会社もあって、それは法律違反になるはずですが、だからといって罰則があるわけでもない」

 要するに、再雇用制度は整備されていない穴だらけの制度なのである。

 それをつくった国はどう考えているのか。本誌が厚生労働省の高齢者雇用対策課に対して、再雇用制度が抱える問題を改善する施策を取ろうとしているかを問うたところ、

「各企業からは年に1回、再雇用についての報告書を提出してもらっていますが、個々の実態、労働条件の不満などについては、記述するところがないため、細かい実態は把握していません。今すぐに何か対策を、というのもありません」

 との答えが返ってきた。再雇用者の労働条件についてはそもそも俎上に載せようとすらしていないのだ。

 他方、厚労省は今月12日、年金の支給開始年齢引き上げに伴って、65歳までの再雇用を企業に義務付ける制度をもっと厳格に適用する案を議論し始めた。再雇用の制度充実はつねに企業任せのままである。定年後の天下り先に事欠かない官僚には、庶民が再雇用先で直面している深刻な問題など、想像の外なのだろう。

 本誌9月24日・10月1日合併号でも詳述したように、政府は数年前から、年金支給開始年齢のさらなる引き上げと大幅減額を模索している。将来的に、支給開始年齢が65歳よりもっと引き上げられると、再雇用という「地獄の職場」はますます広がってゆく。70歳近くになって、若い上司に怒鳴られながらきつい下請け仕事をする自分を、あなたは想像できるだろうか。

「日本の人口構成を考えたら、年金支給開始年齢が67~70歳になっても、少しもおかしくありませんし、法改正により『完全65歳定年制』が義務づけられる可能性もあるでしょう。国がもはや年金を支払えない以上、労働者はそれほどきつくない仕事でそこそこ賃金をもらえる程度で折れるべきだし、企業は低い賃金でもいいから再雇用する。ここ数年、『再雇用拒否』に関する民事訴訟が急激に増えていますが、企業と雇用される側が揉めないためには、歩み寄りと我慢が必要なんです」(労働問題に詳しい弁護士の藤田進太郎氏)

 支給開始年齢をなし崩し的に引き上げざるを得ない公的年金は、事実上破綻しているいつわりの制度だ。一方企業は、官僚に強制されて、いやいや付け焼き刃で、まやかしの再雇用制度をつくった。

 現実を知らない官僚たちの「制度いじり」に苦しめられるのは、いつも市井のサラリーマンなのである。

                 「週刊現代」2011年10月15日号より
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   厚労省は国家詐欺師集団だ    10/13   日刊ゲンダイ

<役人が勝手をやって原資を食いつぶした穴埋めを国民に押しつける悪党顔負けの手口ややり口、対象世代を中心に怒りのデモを組織せよ>

 国民はどこまで虐げられるのか。厚労省が年金支給開始年齢を68歳に引き上げるという暴挙を画策している。民主党政権が6月に「社会保障と税の一体改革」で示した「68~70歳への引き上げ」に沿ったものだ。

 年金財政の改善が狙いだというが、ちょっと待て! 2004年に年金制度を改正したとき、政府は「100年安心」を喧伝(けんでん)していたではないか。たった7年で、支給開始年齢引き上げだなんて、国家が公然と国民をだましたことになる。
 経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。
「年金制度改革は小泉内閣時代に行われました。現役世代の保険料を引き上げ、年金支給額を従来の現役世代の収入の6割から5割に引き下げることが柱でした。その代わり、年金制度の破綻は避けられ、100年安心の年金がつくれるという触れ込みでした。それなのに、過去10年の経済指標をベースにした2年前(09年)の試算で、2031年度に積立金が枯渇するとした。そして今回の支給年齢引き上げの動きです。まさに国家的詐欺ですよ」

 年金行政を一手に引き受けている厚労省は、さしずめ国家詐欺師集団といったところだ。
 厚労省はすべてを少子高齢化のせいにしているが、問題はそんな単純なものではない。原資である年金積立金は05年度末には150兆円あった。ところが、役人どもの甘い見積もりとデタラメ運用で、10年度末には116兆円に目減りしているのだ。

 結局は役人の無責任体質のせいだ。ジャーナリストの北沢栄氏が、その呆れた実態をこう指摘する。
「年金積立金は国民の資産です。本来なら、すべて給付に回されるべきものです。ところが、かつては郵貯、簡保などと共に、主要な原資として財政投融資に投入され、特殊法人への融資で大きな焦げ付きが生じ、目減りの原因となったのです。その後も社会保険庁のマッサージチェア問題が発覚するなど、どこにどう使われているのか分からず、国民は疑心暗鬼になっている。いま最も必要なのは徹底した情報公開です。そこに手をつけず、原資を食いつぶしてきた責任も取らないで、消費税増税とセットの支給年齢引き上げをもくろんでいるのだから話になりませんよ」

 自分たちの失敗のツケを「少子高齢化」でごまかし、すべてを国民に押し付けようとする悪党顔負けの集団をこれ以上のさばらせていたら国民の犠牲者は増えるばかりだ。この国家的謀略の対象世代にあたる40代、50代前半のサラリーマンを中心に怒りのデモを組織しないと、この国はいつまでたっても変わらない。
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食卓にあがった.放射能(欧州の経験)

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 100%安全な食品を調達することが、日々困難さを増している国内です。
 チェリノビリの放射能に汚染された当時のヨーロッパで、どんな食品がどのくらい汚染されたのか、そしてどのように加工され、偽装されて食卓に上がってしまったのか。

 食べるものも、食べ方も違いがあるとは言え、貴重な経験は大いに参考となる。 
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今、改めて食品汚染を考える(その1)/『食卓にあがった放射能』高木仁三郎   「フランスねこ」氏から

このところ毎日のように、日本のあちこちで放射能による汚染食品(主に牛肉)の報道がなされています。朝刊の地方版ページで、近所のスーパーやデパートで汚染牛肉が販売されていたことを知った方も多いのではないでしょうか。
また、福島での原発事故発生直後の汚染食品への緊急警戒体制から、日常的に汚染を避ける体制へとシフトしていらっしゃる方も多いことでしょう。

それでも、全ての食品について放射線量が表示されている訳ではない現状、時に一部の食品については産地までが偽装される現状では、「この食品は大丈夫?」と迷う場面に遭遇されることもあることと思います(ところで東京大学アイソトープ総合センター長の児玉教授は先日国会で食品の放射能汚染に関する検査を最新の機器を用いてどんどん実施すべき、と提言していたはずですが、除染への対応はともかく、汚染食品への対策は忘れ去られてしまったのでしょうか)。

そんな時、せめて過去の具体的な事例やデータに照らして考え判断することができれば、より安心だと思います。「知識は力なり」です。間違った情報にも惑わされずにすみます。

既にお読みになった方も多いことと思いますが、名著『食卓にあがった放射能』(高木仁三郎&渡辺美記子著、七つ森書館、1400円+税)http://pen.co.jp/index.php?id=596 
は、チェルノブイリ原発事故の際に起きた食品汚染の状況を具体的なデータを示しつつ分かりやすく解説した良書です。
もちろん、チェルノブイリと福島での状況には異なる部分も多々あり、全てをそのまま日本の状況に当てはめることはできません。
しかし、どのようなメカニズムでどんな食品にどのような形で汚染が発生したのか、注意すべき点は何か、など参考になる点は多くあります。

という訳で、ここで本書の要点を一部簡単に御紹介したいと思います。ただし、きちんと全体を理解するために、御自分で本を買って(もしくは図書館で借りて)じっくり読まれることを強くお勧めします。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
1. 原発事故の後の1年間で食品から平均6.4mSvの内部被曝

日本で原発事故が起きた際にそれまでと同様の食生活を継続した場合、食品からのセシウム摂取量は年42万ベクレル、想定される被曝量の平均は1年間に6.4ミリシーベルトにまでのぼると推定される。
この数値は一般人の年間の線量限度の6倍以上に相当し、日本全体でも10万人に近い癌患者をもたらす可能性がある。
しかしこの計算は、事故後の10日間は汚染食品をいっさい遠ざけることができると仮定し、特に汚染の強いものについては政府の規制により出回らない、という仮定をした上での計算である(詳しくはp.126-129)。
汚染の強い食品が市場に出回っている場合には、数値は更に高くなると予想される。

ちなみに、ここで述べられている6.4mSvという数字には外部被曝は含まれていない。
食品による内部被曝は被曝量全体の80%程なので、これに更に20%相当の外部被曝分が追加されることになる。

2. 汚染食品に気をつけた人、気をつけなかった人の体内に現れる汚染度の差

汚染食品に気をつける人と気をつけない人では、体内への放射性物質の蓄積量、ひいては内部被曝の度合いに差が出る。
西ドイツのハンブルクで1987年に報告されたデータによると、チェルノブイリ原発事故の後で汚染された食品に気をつけた人と気をつけなかった人では、事故発生後1年以上にわたって体内に蓄積されたセシウム(134+137)の量に常に250ベクレル以上の違いが見られた(p.47、図2-6)。

住んでいる場所によって、やはりセシウムの蓄積量には差が出てくる。
チェルノブイリ事故から約8ヶ月(250日)後、ウィーンに住む人の体内には3000ベクレル近いセシウム137が蓄積されていたが、イタリアのボローニャでは2000を下回り、ベルリンでは1000を下回った(p.60)。

3. 牛肉汚染:時間の経過ではなく、飼料の質で汚染が決まる

西ベルリン市における測定では、チェルノブイリでの事故の後も牛肉の汚染は数年にわたって続き、汚染度の低い餌が不足した1987年の冬(事故の約半年後)には一旦減っていた汚染度が増加している。
時間の経過ではなく、牛の飼料によって大きく左右されているのがわかる(p.55)。

他方、チェルノブイリ事故の後、ヨーロッパから日本に輸入された飼料用の脱脂粉乳に汚染が見られ、生産国に送り返されたものもあった(p.140)。
当時、汚染レベルの高い脱脂粉乳が廃棄されずに世界的に安売りされ、輸入されて家畜の飼料にまわったと考えられる。
汚染された飼料を食べた牛の肉は、当然ながら汚染されてしまう。

ちなみに、当時の西ドイツには商品の放射線量を表示して販売し、1キロ70ベクレルを超えた肉は産地に送り返すことで安全な肉だけを販売するペータ―・ヤコブさんと言う方の肉屋があったそうです。

4. 牛乳と乳製品に含まれる放射能

牛乳に含まれるストロンチウム、セシウム、ヨウ素をそれぞれ100とすると、ヨーグルトの上澄み液(酸性乳しょう、乳清、ホエーとも呼ばれる)にはストロンチウムが86.2%、セシウムが82.9%、ヨウ素が80%移行する(ヨーグルトを食べる時には、ホエーを水切りして取り除いてから頂いた方がよさそうです。p.56)。
乳製品でも、多くの放射性物質が移行するものとそうでないものがある(詳しくは本文参照)。

5. 最も放射能に汚染された「動物」、淡水魚

チェルノブイリ事故の後、スウェーデンにおいて最も汚染された植物はキノコ類だった。
では動物では?意外にも、湖の淡水魚である。
これは、湖が雨によって運ばれるセシウムの「吹きだまり」となり、激しい汚染が起きたため。チェルノブイリ事故が起きた年、スズキ科の淡水魚パーチからは、最高でも1キロあたり4800ベクレルのセシウムが検出されていた。2年後の1988年夏には、なんと最高8万2000ベクレルもの汚染が検出されている(p.57)。

(後半では、「手を変え品を変えて」流通する汚染食品について取り上げる予定です)。
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今、改めて食品汚染を考える(その2)「姿や場所を変える汚染食品」/『食卓にあがった放射能』高木仁三郎

福島原発から約250キロ離れた横浜市で、堆積物1キロ当たり195ベクレルのストロンチウム90が検出されました。「横浜でストロンチウム検出 100キロ圏外では初」(朝日新聞 10月12日)

私たちが思っていた以上に広い範囲で、ストロンチウムその他の放射性物質が降り注いだ可能性があります。

ストロンチウムはカルシウムに近い性質を持ち、骨に蓄積して放射線を出し続けることで白血病などの癌を引き起こします(半減期は29年、体内から排出されるまでの半減期は18年)。
あらかじめカルシウムを摂取しておくことで、ストロンチウムが体内に取り込まれるのを防ぐことができると言われています。
安全な食品から良質のカルシウムをとって、被曝を防ぎたいものです。

9月に名著『食卓にあがった放射能』(高木仁三郎&渡辺美記子著、七つ森書館)を御紹介して以来、随分時間が経ちました。
今回は「その2」として、チェルノブイリ事故の後に現れた輸入食品への異変を中心に、「手を変え品を変える汚染食品」をテーマに、もう一度身近な食品汚染について考えてみたいと思います。

尚、ブログでお伝えできる情報には限りがあります。
本書は科学者の著作ですが、チェルノブイリ原発事故の際に起きた食品汚染の状況を具体的なデータを示しつつ一般向けにとても分かりやすく解説した良書です。
このテーマに御興味のある方は、本を購入されるかもしくは図書館で借りられて、汚染のメカニズムを体系的に理解されることをお勧め致します。
<御参考>
『食卓にあがった放射能』(高木仁三郎&渡辺美記子著、七つ森書館、1400円+税)
http://pen.co.jp/index.php?id=596

(以下、高木・渡辺両氏の著作から要点をまとめました。)
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
1986年のチェルノブイリ原発事故の後、汚染度の高い乳製品、肉、野菜の多くは廃棄されず、薄められて他の食品に加工されたり、基準や検査の厳しくない国に輸出された。
この時期にヨーロッパから日本に輸出された食品からも、高いレベルの放射能が検出されている。

●汚染小麦がパスタに

イタリアやギリシャではパスタの原料となる小麦が汚染された。小麦としては放射能汚染の規制値を超えるために販売できないが、パスタ製品に加工すれば規制値を下回ることになっていた。

これを受けて、事故から2年半以上たった後に日本国内で市販された輸入食品からも、高い汚染が検出されている(セシウム134と137の合計値。1987年2~3月に計測。「バリラ」のみ1988年10月の計測値。p.84、表4-3;p.98、表4-10)。

     スパゲティ
        「リカルディ」  123.7 Bq/kg
        「バリラ」  55 Bq/kg 
         http://www.barilla.co.jp/pasta.html

     マカロニ(「ブィトーニ」) 54.8 Bq/kg

「バリラ」のパスタを一度に150グラム、週1回食べるとすると、1年間のセシウム摂取量は396 Bqになる。

ここで注意しなければならないのは、各食品の汚染濃度だけではなく食品の摂取量だ。
主食となる食品(米、パン、パスタなど)やまとまった量を頻繁に摂取する食品(牛乳など)については、少ない量の汚染であっても年間の放射性物質摂取量で見れば大きな数字になる。

●汚染牛乳が脱脂粉乳、そしてチョコレートやアイスクリームに

イタリアでは、チェルノブイリ事故の後、ある乳業メーカーが汚染牛乳を長期保存用のパック詰め(「ロングライフミルク」)にし、製造年月日をチェルノブイリ事故前の日付に偽って売っていたことが暴露された。
その他、1987年10月にイタリアから輸入されたアイスクリーム・ペーストで417 Bq/kgの汚染が見つかり、日本の港から送り返されている(p.93、表4-8)。

脱脂粉乳はアイスクリームやヨーグルトなどの乳製品、チョコレート、パン、クッキーなどの加工食品に広く使われているため、ヨーロッパを中心にこれらの食品にも汚染が広がった。
日本に輸入され市販されたものからも、汚染が検出されている。

     チョコレート菓子「フェレロロシェ」(イタリア産) 83 Bq/kg
http://www.amazon.co.jp/フェレロ-ロシェ-16粒-T16-並行輸入品/dp/B00471P9EA 
     
     チョコレート菓子(非特定) 50.4 Bq/kg
     ウエハース菓子      40.7 Bq/kg
     ナチュラルチーズ      46.3 Bq/kg

(セシウム134と137の合計値。1987年2~3月に計測。フェレロロシェのみ1988年10月の計測値。p.84、表4-3;p.98、表4-10)

●家畜用飼料に広がる汚染

汚染された脱脂粉乳は廃棄されず、直接私たちの口に入る食品だけではなく牛や豚の飼料にもまわされた。

1988年、ポーランド・イギリス・西ドイツ等の国から輸入された飼料用の脱脂粉乳からは、最大で1,060 Bq/kgの汚染が検出され、基準を上回るものについては日本の港から原産国に送り返された(p.140、表6-3。当時の日本の輸入基準は370 Bq/kg)。

日本国内で使用された家畜用脱脂粉乳からは、その後も高い汚染が検出されている(セシウム134と137の合計値。
最大値のみ記載。1988年~1989年製造。p.139、表6-2)。汚染された飼料で生育された家畜の肉や乳への影響が懸念される。

     子牛用 260 Bq/kg
     豚用   215 Bq/kg
     酪農用 110 Bq/kg

●漂流する汚染食品

事故から約3年半後の1989年8月の時点でも、モスクワ等で売られているソーセージ類にはチェルノブイリの汚染肉が多く混入していた。
これは、保健省による汚染肉の廃棄処分命令にも関わらず肉が廃棄されず、汚染が比較的低い肉と混ぜてソーセージに加工された結果である。
当時、「目新しくない」と現地の新聞では記事として報道すらなされない状況だった。

汚染牛は形を変え、海をこえていった。
1989年9月には、アイルランド産の汚染牛肉数百トン以上がオランダで冷凍加工された後に西アフリカへ輸出され、現地の住民にパニックが広がったことが報道されている(p.142)。

また、1988年のはじめ、インド政府はアイルランドより低価格のバター200トンを輸入しミルクに加工して市場に出そうとしたが、「いかなるレベルの汚染物も安全ではない」としてノーベル賞受賞者や労働組合を巻き込んだ反対運動が起きた。

●まとめ

以上のように、汚染された生産物が廃棄されず、国内や他国で加工品に使われたり家畜飼料として使用され、知らないうちに身の回りに出回ることも考えられる。
著者は、市民が行政に対し基準値と検査体制の厳格化を求めるとともに、行政・市民の両方が食品の汚染を計測する体制を整える動きが広がりつつあることを記している。


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