ウラン鉱山と核実験でナバホは絶滅の恐れ
2011-08-18
1950年代のネバダ核実験によって、60~70年代にわたってハリウッド俳優、スタッフ、エキストラなど数千人が各種の癌などで死亡した。
「そして誰もいなくなった:航空の現代」。
ウラン採掘鉱山はこれまで100万トン以上が採掘され、放射能残土は16億8000万トン以上にのぼる。
採掘鉱山の多くは辺地の先住民族居住地であり、採掘後の除染などはろくに処理されていない。国連科学委員会はウラン鉱山の鉱滓こそが、人類最大の被曝源と指摘している。
「原発の建設は最初から許されないこと」。
アメリカの核実験はネバダが中心だったが、ウラン採掘鉱山はアリゾナだった。
よく、ハリウッド西部劇に出てくるアリゾナのモニュメントバレーは、ナバホの居留地である。
米国はここに先住民族のナバホを押し込めて、居留地としていた。
そこでウラン採掘をしたわけである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アリゾナの夢と核の現実 8/15 「マスコミに載らない海外記事」から
放射能による病気で、アリゾナ州のナバホ・ネーション住民は絶滅の恐れ
大半のアメリカ人が不景気を懸念する中、アメリカの一部では先住民の人々は、生き延びようと苦闘している。地域のナバホ・ネーションの人々は、放射能による病気によって絶滅の危機にあるのに、誰も懸念しているようには見えない。
1940年代のウラン・ブームで、アリゾナに一部には、鉱山が雨後の筍のように作られた。結局、核燃料需要は落ち込み、数十年後、施設は放棄され、環境を汚染するがままにされた。
このアリゾナの北東部分は、アメリカ・ナバホ・ネーションの一部を包含している。ウランが豊富な先住アメリカ人が管理する領地は、アメリカのウラン需要で破壊された。
“全く違う世界です。私たちにはお金がありません。豊かな社会の人々にあるような資金が、我々にはありません。しかも、何とか生き抜こうとせざるを得ない環境にあります。この放棄されたウラン鉱山地域で暮らしたり、汚染された水を飲んだり”アリゾナ州ブラックメサのナバホ・ネーション住民フェイは言う。
1944年から、民間会社やアメリカ政府の主導で、約400万トンのウラン鉱石がナバホの土地から採掘された。放射性物資資源は、原子力開発のために、大いに需要があった。
40年後、企業は工場を閉鎖したが、除染は無視した。放棄された鉱山、家と、飲料水は、高い放射能レベルで汚染されたままにされた。残された住民達は、悪化する健康状態と戦っている。
ナバホ・ネーションに暮らす老女エルシー・トホミーは、ひざが痛み、歩くのが容易ではないと言う。
“何かの癌だと診断されています。あごの下が痛みます。薬を飲んでいます”と彼女は言う。
アメリカ当局は、大気中と飲料水中の放射性核種は、何千症例もの、肺ガン、骨肉腫や、腎機能損傷と関連していると語っている。
“これは目の薬です。これは高血圧用に飲む必要があります。これは甲状腺用に飲んでいます。”やはりアリゾナ州ブラックメサの住民で、40歳の元がん患者ロランダは言う。
ロランダには子どもが三人いるが、ナバホ・ネーションの住民は企業には搾取され、政府に見捨てられたと語っている。
“新世代がないんです。私の後には何もありません。娘は、子どもをうみたがりません。奇形の子が生まれるからといって。息子は子どもを持ちたがりません。でも子どもたちがいる息子もいますが、問題があって”と彼女は言う。
2007年、環境保護庁は、ユタから、ニュー・メキシコまでに広がる500カ所の放棄された鉱山を含む、ナバホ・ネーションを浄化する五カ年計画を立ち上げた。月に二度、新鮮な飲料水が、約54,000人の住民に配送されている。
汚染された家は再建され、人々は移住した。しかし、多くの人々が、文化的な生活再建を支援するという点で、連邦当局はまだまだ不十分だと言っている。
アリゾナ州トゥバ市のニー・ナバホのリーダーで活動家のレイモンド "ドン" イエローマンは言う。 "地域社会は、いまでもウランや他の物質の影響に苦しんでいます。道路はなく、教育も、若者のチャンスもありません。”
“私はここで暮らします。他にゆく場所はありません。選択肢がないのです。”アリゾナ州トゥバ市のナバホ・ネーション住民、ジョンはそう語っている。
記事原文のurl:rt.com/news/arizona-uranium-threatens-navajo/
..........................................
この記事を読んで、ブログ『私の闇の奥』を書いておられる藤永茂氏の著書『アメリカ・インディアン悲史』、『ロバート・オッペンハイマー』を思い出した。前者は書店で入手可能だが、後者は残念ながら絶版?入手困難だ。なぜだろう?いずれの本も、直接この記事と繋がっている。
名著『アメリカ・インディアン悲史』の終わりには、こうある。
インディアン問題はインディアンをどう救うかという問題ではない。インディアン問題はわれわれの問題である。われわれをどう救うかという問題である。
フクシマ後、この文章ますます迫ってくる。ナバホ・ネーションの現在は、泊原発をトメズ・核燃料リサイクル・六ヶ所村再処理工場・もんじゅを推進する日本の近未来だろう。
上記記事は、採鉱・精錬・核実験場・広島・長崎・発電所・再処理・廃棄、あらゆる過程で、核が災厄をもたらす実例の一つ。
アメリカの大手メディア、ネバダ核実験場、ハンフォード工場や、スリーマイルの現状を報告してくれると有り難い。してくれるとは全く思わないけれど。そもそも、911の真実も、アフガン侵略の真実も、イラク侵略の真実も報じないのだから。ロシア・トゥディも、せめて、チェルノブイリ事故や、ウラル核惨事の現状を報告してくれると有り難い。
ウラル核惨事の現状については、ロシアでなく、フランスの会社が制作した番組(BSドキュメンタリー 「終わらない悪夢」として放送された)では、出演者が、テチャ河の川床の泥をフランスに持ち帰り、測定し、テチャ河流域のムスリュモヴォ村、住民をすぐに避難させるべき、深刻な汚染度であると証言していた。ロシア当局者、必要がないと語っていた。知的・精神的に頽廃している当局者、どこでも、いつでも、フクシマと同じ。
「終わらない悪夢」NHK BSドキュメンタリー、福島第1原発・廃炉: 誰も欲しがらない使用済み燃料棒に、映像リンクを埋め込んである。元データ、いつ削除されても不思議はない。未見の方には、一度ご覧になられるようお勧めしたい番組。
あほうどりのひとりごと「終わらない悪夢」NHK BSドキュメンタリー前篇から で書き起こし?が読める。
そして、フクシマの現状、日本の惨状、大本営広報部の大手・商業マスコミではなく、例えば佐藤和良いわき市議のブログや、ドイツで暮しておられる方や、上杉氏のブログで拝読できる。後者、二つに掲載されているシュピーゲル記事は立派。
8月7日玄海原発プルサーマル裁判の会?での講演内容。風のたより いわき市議会議員 佐藤かずよし 佐賀でのお話 2011年 08月 12日
Der Atomstaat (原子力帝国) ブログ『ドイツの生活 Mein Leben in Deutchland』
ジャーナリスト上杉隆-公式ウェブサイト シュピーゲル」誌(2011年5月23日号) 「原子力国家」日本語訳
シュピーゲル記事題名は、ロベルト・ユンクの『原子力帝国』からとっているはずだ。
「そして誰もいなくなった:航空の現代」。
ウラン採掘鉱山はこれまで100万トン以上が採掘され、放射能残土は16億8000万トン以上にのぼる。
採掘鉱山の多くは辺地の先住民族居住地であり、採掘後の除染などはろくに処理されていない。国連科学委員会はウラン鉱山の鉱滓こそが、人類最大の被曝源と指摘している。
「原発の建設は最初から許されないこと」。
アメリカの核実験はネバダが中心だったが、ウラン採掘鉱山はアリゾナだった。
よく、ハリウッド西部劇に出てくるアリゾナのモニュメントバレーは、ナバホの居留地である。
米国はここに先住民族のナバホを押し込めて、居留地としていた。
そこでウラン採掘をしたわけである。
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放射能による病気で、アリゾナ州のナバホ・ネーション住民は絶滅の恐れ
大半のアメリカ人が不景気を懸念する中、アメリカの一部では先住民の人々は、生き延びようと苦闘している。地域のナバホ・ネーションの人々は、放射能による病気によって絶滅の危機にあるのに、誰も懸念しているようには見えない。
1940年代のウラン・ブームで、アリゾナに一部には、鉱山が雨後の筍のように作られた。結局、核燃料需要は落ち込み、数十年後、施設は放棄され、環境を汚染するがままにされた。
このアリゾナの北東部分は、アメリカ・ナバホ・ネーションの一部を包含している。ウランが豊富な先住アメリカ人が管理する領地は、アメリカのウラン需要で破壊された。
“全く違う世界です。私たちにはお金がありません。豊かな社会の人々にあるような資金が、我々にはありません。しかも、何とか生き抜こうとせざるを得ない環境にあります。この放棄されたウラン鉱山地域で暮らしたり、汚染された水を飲んだり”アリゾナ州ブラックメサのナバホ・ネーション住民フェイは言う。
1944年から、民間会社やアメリカ政府の主導で、約400万トンのウラン鉱石がナバホの土地から採掘された。放射性物資資源は、原子力開発のために、大いに需要があった。
40年後、企業は工場を閉鎖したが、除染は無視した。放棄された鉱山、家と、飲料水は、高い放射能レベルで汚染されたままにされた。残された住民達は、悪化する健康状態と戦っている。
ナバホ・ネーションに暮らす老女エルシー・トホミーは、ひざが痛み、歩くのが容易ではないと言う。
“何かの癌だと診断されています。あごの下が痛みます。薬を飲んでいます”と彼女は言う。
アメリカ当局は、大気中と飲料水中の放射性核種は、何千症例もの、肺ガン、骨肉腫や、腎機能損傷と関連していると語っている。
“これは目の薬です。これは高血圧用に飲む必要があります。これは甲状腺用に飲んでいます。”やはりアリゾナ州ブラックメサの住民で、40歳の元がん患者ロランダは言う。
ロランダには子どもが三人いるが、ナバホ・ネーションの住民は企業には搾取され、政府に見捨てられたと語っている。
“新世代がないんです。私の後には何もありません。娘は、子どもをうみたがりません。奇形の子が生まれるからといって。息子は子どもを持ちたがりません。でも子どもたちがいる息子もいますが、問題があって”と彼女は言う。
2007年、環境保護庁は、ユタから、ニュー・メキシコまでに広がる500カ所の放棄された鉱山を含む、ナバホ・ネーションを浄化する五カ年計画を立ち上げた。月に二度、新鮮な飲料水が、約54,000人の住民に配送されている。
汚染された家は再建され、人々は移住した。しかし、多くの人々が、文化的な生活再建を支援するという点で、連邦当局はまだまだ不十分だと言っている。
アリゾナ州トゥバ市のニー・ナバホのリーダーで活動家のレイモンド "ドン" イエローマンは言う。 "地域社会は、いまでもウランや他の物質の影響に苦しんでいます。道路はなく、教育も、若者のチャンスもありません。”
“私はここで暮らします。他にゆく場所はありません。選択肢がないのです。”アリゾナ州トゥバ市のナバホ・ネーション住民、ジョンはそう語っている。
記事原文のurl:rt.com/news/arizona-uranium-threatens-navajo/
..........................................
この記事を読んで、ブログ『私の闇の奥』を書いておられる藤永茂氏の著書『アメリカ・インディアン悲史』、『ロバート・オッペンハイマー』を思い出した。前者は書店で入手可能だが、後者は残念ながら絶版?入手困難だ。なぜだろう?いずれの本も、直接この記事と繋がっている。
名著『アメリカ・インディアン悲史』の終わりには、こうある。
インディアン問題はインディアンをどう救うかという問題ではない。インディアン問題はわれわれの問題である。われわれをどう救うかという問題である。
フクシマ後、この文章ますます迫ってくる。ナバホ・ネーションの現在は、泊原発をトメズ・核燃料リサイクル・六ヶ所村再処理工場・もんじゅを推進する日本の近未来だろう。
上記記事は、採鉱・精錬・核実験場・広島・長崎・発電所・再処理・廃棄、あらゆる過程で、核が災厄をもたらす実例の一つ。
アメリカの大手メディア、ネバダ核実験場、ハンフォード工場や、スリーマイルの現状を報告してくれると有り難い。してくれるとは全く思わないけれど。そもそも、911の真実も、アフガン侵略の真実も、イラク侵略の真実も報じないのだから。ロシア・トゥディも、せめて、チェルノブイリ事故や、ウラル核惨事の現状を報告してくれると有り難い。
ウラル核惨事の現状については、ロシアでなく、フランスの会社が制作した番組(BSドキュメンタリー 「終わらない悪夢」として放送された)では、出演者が、テチャ河の川床の泥をフランスに持ち帰り、測定し、テチャ河流域のムスリュモヴォ村、住民をすぐに避難させるべき、深刻な汚染度であると証言していた。ロシア当局者、必要がないと語っていた。知的・精神的に頽廃している当局者、どこでも、いつでも、フクシマと同じ。
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安全な原発など有り得ない:院長の独り言
2011-08-18
核廃棄物も、核に汚染された廃棄物も、放射能は永遠になくならない。
100万年の間、隔離保管するしかない。
現世人類の誕生から10万年。
歴史の開始から5千年。
世界中の膨大な量の核廃棄物を、いったい何者が管理保管できるだろう。
使用済み核燃料は崩壊熱を発するので、10年にわたって冷やし続けなければならない。
高濃度汚染物は放射化するので人は近づけない。
世界で50年研究しても、ガラス固化など出来ていない。
災害や戦争や不注意による事故を想定しなくても、最初から作ってはいけなかった代物だ。
核兵器も原子力発電も。
元東京電力福島第二原発及び本店の原子力部門に勤務し、現在は熊本で内科医の小野俊一氏のブログ
「院長の独り言」から
8/18
原子力発電入門(10)まとめ-絶対安全な原発は無理
原発入門シリーズも、とりあえず今回で終了です。おおよそ基礎的な内容は理解できたのではないかと思います。元ネタは1回目でご紹介したように、米国の原子力専門家(Arnie Gunderson)の学生に向けた講義。米国の専門家の講義は、本当の基礎から応用まで入っており、大変ためになります。
今回の入門シリーズは、この講義を参考にしながら、私なりにまとめたものです。従いまして、具体的な数値・・・例えば炉心の大きさ、出力・・・などが抜けていますが、そこはご了承ください。
また、ICRP(International Commission on Radiological Protection: 国際放射線防護委員会)と ECRR(European Committee on Radiation Risk:欧州放射線リスク委員会)の違いについて、補足しておきます。
内部被爆の問題は、次のたとえが大変わかりやすいと思います。
「ICRPの健康基準なんか、信用してはいけない」
(週刊現代 2011年8月6日号)
- 日本政府が錦の御旗にするICRPのモデルには、どんな問題があるのか。
ひとつは、やはり内部被曝の危険性を過小評価している点です。
外部被曝と内部被曝の違いは、こうイメージしてください。石炭がくべられている暖炉の前に私が座ると、身体を温めることができます。しかし、その赤熱した石炭を食べて体内に取り込もうとすれば、どうなるでしょうか?私はすぐに死んでしまいます。それが、外部被曝と内部被曝の危険度の違いです。
内部被曝を軽んじてはいけません。mSvなどの単位で計測できるようなものではないのです。
■関連ブログ
われわれは原発事故にどう対処すればよいか(肥田舜太郎氏)2011.6.26
さて、1回目からまとめます。
・原子炉でお湯を作って(火力と全くおなじ原理)発電する。特殊な方法ではない。
・発電効率はもっともわるい。明治時代の蒸気機関車を図体をでかくしただけ
・核分裂で熱を生成し、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムなどの放射能を大量に作り出す。
・ウラン燃料を作るには、同等火力の石炭以上のウラン鉱石が必要であり、燃料精製にも多大の費用がかかっている
・蒸気を冷やすために海水が必要。海水を取水するため、日本の原発は沿岸に立地している
・放射能には3種類(アルファ線、ベータ線、ガンマ線)がある。外部被曝はガンマ線、内部被曝はアルファ線、ベータ線が問題となる。
・原子力発電は停止しても、相当量の崩壊熱が数年間残る。
・核分裂生成物は体内に入り、内部被曝を引き起こす。また、放射能がなくなるには数百年必要
・使用済燃料は数万年の管理が必要。
以上。
では、絶対安全な原発は作ることができないわけを説明しましょう。
・核分裂反応を止めても、崩壊熱が数年間出続ける。
・使用済燃料の管理には数万年
これが全てです。つまり、なにか事故が起きたとしましょう。当座の応急処置を数年間続け、さらに燃料を取り出さなければなりません。そんなことは不可能です。地震があっても、津波があっても、数年間は大丈夫なように、機械が設計できると思いますか?今の津波対策では、への突っ張りにもなりません。
ストレステストは、カネの無駄で書いたように現在の事故対応は、非常用装置が動いた時点で解析をやめています。
少なくともその手順を燃料取り出しまできちっと担保できるようにしなければなりません。それは、ストレステストよりももっと前の話です。
原子力の技術者ならば、全員分かっています。この話が全く表に出てこないのはなぜでしょう。私には不思議でなりません。
福島は燃料が溶融して、圧力容器から下に落ちてしまっています。このように溶融した燃料を取り扱う技術はありませんし、今後も開発できないでしょう。
すなわち、福島の原発立地点は、数万年の管理が必要な地点とすでになってしまっているのです。この地域をどう管理していくか。また、日本全国に散らばってしまった莫大な放射性廃棄物をどうするのか、答えは明らかです。
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原子力発電入門(5)なぜ、海に面しているのか?2011.8.10
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原子力発電入門(3)原子力-莫大なエネルギーの見返りは放射能 [2011/08/08 21:25]
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100万年の間、隔離保管するしかない。
現世人類の誕生から10万年。
歴史の開始から5千年。
世界中の膨大な量の核廃棄物を、いったい何者が管理保管できるだろう。
使用済み核燃料は崩壊熱を発するので、10年にわたって冷やし続けなければならない。
高濃度汚染物は放射化するので人は近づけない。
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元東京電力福島第二原発及び本店の原子力部門に勤務し、現在は熊本で内科医の小野俊一氏のブログ
「院長の独り言」から
8/18
原子力発電入門(10)まとめ-絶対安全な原発は無理
原発入門シリーズも、とりあえず今回で終了です。おおよそ基礎的な内容は理解できたのではないかと思います。元ネタは1回目でご紹介したように、米国の原子力専門家(Arnie Gunderson)の学生に向けた講義。米国の専門家の講義は、本当の基礎から応用まで入っており、大変ためになります。
今回の入門シリーズは、この講義を参考にしながら、私なりにまとめたものです。従いまして、具体的な数値・・・例えば炉心の大きさ、出力・・・などが抜けていますが、そこはご了承ください。
また、ICRP(International Commission on Radiological Protection: 国際放射線防護委員会)と ECRR(European Committee on Radiation Risk:欧州放射線リスク委員会)の違いについて、補足しておきます。
内部被爆の問題は、次のたとえが大変わかりやすいと思います。
「ICRPの健康基準なんか、信用してはいけない」
(週刊現代 2011年8月6日号)
- 日本政府が錦の御旗にするICRPのモデルには、どんな問題があるのか。
ひとつは、やはり内部被曝の危険性を過小評価している点です。
外部被曝と内部被曝の違いは、こうイメージしてください。石炭がくべられている暖炉の前に私が座ると、身体を温めることができます。しかし、その赤熱した石炭を食べて体内に取り込もうとすれば、どうなるでしょうか?私はすぐに死んでしまいます。それが、外部被曝と内部被曝の危険度の違いです。
内部被曝を軽んじてはいけません。mSvなどの単位で計測できるようなものではないのです。
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われわれは原発事故にどう対処すればよいか(肥田舜太郎氏)2011.6.26
さて、1回目からまとめます。
・原子炉でお湯を作って(火力と全くおなじ原理)発電する。特殊な方法ではない。
・発電効率はもっともわるい。明治時代の蒸気機関車を図体をでかくしただけ
・核分裂で熱を生成し、ヨウ素、セシウム、ストロンチウムなどの放射能を大量に作り出す。
・ウラン燃料を作るには、同等火力の石炭以上のウラン鉱石が必要であり、燃料精製にも多大の費用がかかっている
・蒸気を冷やすために海水が必要。海水を取水するため、日本の原発は沿岸に立地している
・放射能には3種類(アルファ線、ベータ線、ガンマ線)がある。外部被曝はガンマ線、内部被曝はアルファ線、ベータ線が問題となる。
・原子力発電は停止しても、相当量の崩壊熱が数年間残る。
・核分裂生成物は体内に入り、内部被曝を引き起こす。また、放射能がなくなるには数百年必要
・使用済燃料は数万年の管理が必要。
以上。
では、絶対安全な原発は作ることができないわけを説明しましょう。
・核分裂反応を止めても、崩壊熱が数年間出続ける。
・使用済燃料の管理には数万年
これが全てです。つまり、なにか事故が起きたとしましょう。当座の応急処置を数年間続け、さらに燃料を取り出さなければなりません。そんなことは不可能です。地震があっても、津波があっても、数年間は大丈夫なように、機械が設計できると思いますか?今の津波対策では、への突っ張りにもなりません。
ストレステストは、カネの無駄で書いたように現在の事故対応は、非常用装置が動いた時点で解析をやめています。
少なくともその手順を燃料取り出しまできちっと担保できるようにしなければなりません。それは、ストレステストよりももっと前の話です。
原子力の技術者ならば、全員分かっています。この話が全く表に出てこないのはなぜでしょう。私には不思議でなりません。
福島は燃料が溶融して、圧力容器から下に落ちてしまっています。このように溶融した燃料を取り扱う技術はありませんし、今後も開発できないでしょう。
すなわち、福島の原発立地点は、数万年の管理が必要な地点とすでになってしまっているのです。この地域をどう管理していくか。また、日本全国に散らばってしまった莫大な放射性廃棄物をどうするのか、答えは明らかです。
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