世界経済を壊す財政再建原理主義者ども
2011-08-05
米国が債務上限額引き上げの議会承認と引換に、大幅な歳出削減に追い込まれたことが、米国政府の財政出動を縛りつける。
そのため、ついに過剰流動性供給しかソフトランディングの手段は無く、世界通貨戦争をさらに激しいものにしてゆく。
「通貨戦争(36)米国経済の悪化は必至、沸騰する世界」を御覧ください。
このことを、経済政策からいえば植草氏のとおりとなる。
参照:「資本主義のイデオロギー危機:スティグリッツ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
NY株価急落・危機主因は財政再建原理主義にあり 8/5 植草一秀
NYダウが前日比512ドル安の急落を示し、世界経済に暗雲が広がっている。と言うよりも、世界経済の暗雲を読み込んで株価が急落したと表現する方が適切かも知れない。
世界経済には三つの大きな問題が存在する。欧州の財政危機、米国の債務残高上限引上げ、そして日本の増税問題である。
欧州では南欧諸国を中心に財政赤字が拡大し、政府債務の履行について不安感が高まった。ギリシャの財政危機では、EUによる資金支援が決定されたが、民間金融機関にも負担を求めたため、ギリシャ国債の一部が債務不履行に陥ったとの評価が格付け機関からなされている。
ギリシャ以外のスペイン、ポルトガル、イタリア、アイルランドなどの財政危機も深刻であり、これがユーロ不安をもたらすとともに、世界経済の不安要因のひとつになっている。
日本では政府が大震災の復旧・復興対策の規模を今後5年間で19兆円とし、その財源のうち、10兆円を復興増税で賄う意向が示された。経済が危機に直面するなかでの10兆円増税問題が重くのしかかっている。
米国の問題は二つに分けて考えることが必要だ。8月2日までの焦点は政府債務残高の引き上げが実現するのかどうかにあった。議会における債務上限引上げ法案の可決がなければ、米国政府は債務不履行に陥る。米国金融市場が大混乱に陥ることが警戒されていた。
ぎりぎりの段階で債務不履行は回避された。これによって不安が払しょくされたのかと言うとそうではない。債務上限引き上げ法が成立したのに株価が急落し、米ドルも強い下落圧力を受けているのだ。
その理由は、米国政府と議会が財政赤字大幅削減の方針を示したからだ。背後には2012年の大統領選をめぐる政局がある。2010年の中間選挙では共和党が大躍進した。上院、下院で過半数を制していた民主党が大敗し、下院の与野党勢力分布が逆転した。オバマ政権は共和党の主張を取り入れなければ政権を運営できない状況に追い込まれたのだ。
共和党には、オバマ政権に失点をあげさせることが、大統領選に有利に働くとの計算が働く。つまり、政策運営のインセンティブが国民経済にとってマイナスの方向に設定されるという「不幸」な状況が生まれているのである。
このことと、共和党の伝統的な政策主張があいまって、超緊縮財政政策が共和党から主張され、それが債務引上げ法案可決の条件に組み入れられたのである。
結論から言えば、債務上限引上げ法案とともに、超緊縮財政政策が米国に強制されるとの図式が生まれたわけである。この超緊縮財政政策こそ、米国株価急落の主要原因である。
米国では、今回の米国議会の政策決定を1937年の米国の経済政策と重ね合わせる論議が盛んに示されている。大恐慌時代の1937年にルーズベルト政権が増税や緊縮財政に舵を切り、米国の不況を深刻化させ、長期化させたことと、今回の米国政府・議会の対応が重なるというものである。
大恐慌不況は深刻化、長期化して、これが第二次世界大戦の引き金になったことはよく知られている。
米国経済、世界経済は2009年に危機に陥った。背景にあるのは600兆ドルにも膨れ上がった、デリバティブ金融商品の想定元本である。サブプライムローンと言う金融債権を原商品として、様々な派生金融商品が机上で創出され、その規模が制御不可能な規模に膨張した。
600兆ドルを1ドル=100円で換算すると、6京円になる。日本のGDP規模の100倍を上回る規模だ。この想定元本のわずか1%が損失になるとしてもその金額は600兆円になる。この規模の損失が発生したと見て間違いない。
この危機に対して米国政策当局は経済政策を総動員した。財政金融政策をフルスロットル状態に移行し、さらに金融機関の資本増強策を全面実施した。
この政策対応が功を奏して、株価は反発、経済も一定の改善を示した。ただ、副作用として財政赤字が年間1兆ドルをはるかに上回る規模に拡大した。
米国議会はこの財政赤字拡大に対して、超緊縮財政を強制し始めている。この超緊縮財政がもたらすものを予測して、まず株式市場、為替市場が動き始めたのである。
実は、この状況は日本にも先例がある。1996年に橋本政権が消費税増税を含む超緊縮財政政策の方針を打ち出してから日本株価は暴落に転じていった。97-98年と株価は暴落し、経済は急降下、その延長上に金融危機が発生した。
この危機を打開したのは小渕政権だった。財政金融政策を総動員し、さらに金融機関の資本増強策を実行した。この積極政策が功を奏して日経平均株価は2000年に2万円を回復、経済・金融市場は明確な改善を示した。
ところが、小渕元首相が脳梗塞で倒れられて、状況が急変した。後継政権となった森・小泉政権は財務省路線に完全に乗って、超緊縮財政運営を開始したのである。
その結果、2万円の株価は7600円に暴落し、経済は急降下、金融不安が再び広がったのだ。
米国の政策対応は、日本の11年遅れの対応である。2000年から2003年にかけての超緊縮財政政策が日本経済を破壊したように、このまま進めば、2011年から2014年までの超緊縮財政政策が米国経済を破壊し、世界の金融市場に大混乱を引き起こす可能性が高い。金融市場の地下には、デリバティブ金融商品残高6京円が生み出す損失という巨大マグマが蠢いていることを忘れてはならない。
つまり、経済政策は積極から中立に戻す局面ではあっても、積極を超緊縮に転換する局面ではないのだ。1937年まで遡らなくとも、2000-2003年の日本に、反面教師の重要事例がある。これを踏まえて、米国は経済政策運営の基本スタンスを「超緊縮」から「中立」に直ちに切り替える必要がある。この政策対応が遅れれば、米国金融市場の混乱は、世界金融市場の大混乱を引き起こしてしまうに違いない。
日本でも、大手術の輸血用血液を手術の患者からの献血で賄うような、狂気の治療を行うべきでない。復興債を発行することを決めているのだから、まずは全額を復興債で賄うべきだ。
経済復興を増税で賄おうという財政再建原理主義が世界経済の最大のリスクであることを肝に銘じる必要がある。
そのため、ついに過剰流動性供給しかソフトランディングの手段は無く、世界通貨戦争をさらに激しいものにしてゆく。
「通貨戦争(36)米国経済の悪化は必至、沸騰する世界」を御覧ください。
このことを、経済政策からいえば植草氏のとおりとなる。
参照:「資本主義のイデオロギー危機:スティグリッツ」
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NY株価急落・危機主因は財政再建原理主義にあり 8/5 植草一秀
NYダウが前日比512ドル安の急落を示し、世界経済に暗雲が広がっている。と言うよりも、世界経済の暗雲を読み込んで株価が急落したと表現する方が適切かも知れない。
世界経済には三つの大きな問題が存在する。欧州の財政危機、米国の債務残高上限引上げ、そして日本の増税問題である。
欧州では南欧諸国を中心に財政赤字が拡大し、政府債務の履行について不安感が高まった。ギリシャの財政危機では、EUによる資金支援が決定されたが、民間金融機関にも負担を求めたため、ギリシャ国債の一部が債務不履行に陥ったとの評価が格付け機関からなされている。
ギリシャ以外のスペイン、ポルトガル、イタリア、アイルランドなどの財政危機も深刻であり、これがユーロ不安をもたらすとともに、世界経済の不安要因のひとつになっている。
日本では政府が大震災の復旧・復興対策の規模を今後5年間で19兆円とし、その財源のうち、10兆円を復興増税で賄う意向が示された。経済が危機に直面するなかでの10兆円増税問題が重くのしかかっている。
米国の問題は二つに分けて考えることが必要だ。8月2日までの焦点は政府債務残高の引き上げが実現するのかどうかにあった。議会における債務上限引上げ法案の可決がなければ、米国政府は債務不履行に陥る。米国金融市場が大混乱に陥ることが警戒されていた。
ぎりぎりの段階で債務不履行は回避された。これによって不安が払しょくされたのかと言うとそうではない。債務上限引き上げ法が成立したのに株価が急落し、米ドルも強い下落圧力を受けているのだ。
その理由は、米国政府と議会が財政赤字大幅削減の方針を示したからだ。背後には2012年の大統領選をめぐる政局がある。2010年の中間選挙では共和党が大躍進した。上院、下院で過半数を制していた民主党が大敗し、下院の与野党勢力分布が逆転した。オバマ政権は共和党の主張を取り入れなければ政権を運営できない状況に追い込まれたのだ。
共和党には、オバマ政権に失点をあげさせることが、大統領選に有利に働くとの計算が働く。つまり、政策運営のインセンティブが国民経済にとってマイナスの方向に設定されるという「不幸」な状況が生まれているのである。
このことと、共和党の伝統的な政策主張があいまって、超緊縮財政政策が共和党から主張され、それが債務引上げ法案可決の条件に組み入れられたのである。
結論から言えば、債務上限引上げ法案とともに、超緊縮財政政策が米国に強制されるとの図式が生まれたわけである。この超緊縮財政政策こそ、米国株価急落の主要原因である。
米国では、今回の米国議会の政策決定を1937年の米国の経済政策と重ね合わせる論議が盛んに示されている。大恐慌時代の1937年にルーズベルト政権が増税や緊縮財政に舵を切り、米国の不況を深刻化させ、長期化させたことと、今回の米国政府・議会の対応が重なるというものである。
大恐慌不況は深刻化、長期化して、これが第二次世界大戦の引き金になったことはよく知られている。
米国経済、世界経済は2009年に危機に陥った。背景にあるのは600兆ドルにも膨れ上がった、デリバティブ金融商品の想定元本である。サブプライムローンと言う金融債権を原商品として、様々な派生金融商品が机上で創出され、その規模が制御不可能な規模に膨張した。
600兆ドルを1ドル=100円で換算すると、6京円になる。日本のGDP規模の100倍を上回る規模だ。この想定元本のわずか1%が損失になるとしてもその金額は600兆円になる。この規模の損失が発生したと見て間違いない。
この危機に対して米国政策当局は経済政策を総動員した。財政金融政策をフルスロットル状態に移行し、さらに金融機関の資本増強策を全面実施した。
この政策対応が功を奏して、株価は反発、経済も一定の改善を示した。ただ、副作用として財政赤字が年間1兆ドルをはるかに上回る規模に拡大した。
米国議会はこの財政赤字拡大に対して、超緊縮財政を強制し始めている。この超緊縮財政がもたらすものを予測して、まず株式市場、為替市場が動き始めたのである。
実は、この状況は日本にも先例がある。1996年に橋本政権が消費税増税を含む超緊縮財政政策の方針を打ち出してから日本株価は暴落に転じていった。97-98年と株価は暴落し、経済は急降下、その延長上に金融危機が発生した。
この危機を打開したのは小渕政権だった。財政金融政策を総動員し、さらに金融機関の資本増強策を実行した。この積極政策が功を奏して日経平均株価は2000年に2万円を回復、経済・金融市場は明確な改善を示した。
ところが、小渕元首相が脳梗塞で倒れられて、状況が急変した。後継政権となった森・小泉政権は財務省路線に完全に乗って、超緊縮財政運営を開始したのである。
その結果、2万円の株価は7600円に暴落し、経済は急降下、金融不安が再び広がったのだ。
米国の政策対応は、日本の11年遅れの対応である。2000年から2003年にかけての超緊縮財政政策が日本経済を破壊したように、このまま進めば、2011年から2014年までの超緊縮財政政策が米国経済を破壊し、世界の金融市場に大混乱を引き起こす可能性が高い。金融市場の地下には、デリバティブ金融商品残高6京円が生み出す損失という巨大マグマが蠢いていることを忘れてはならない。
つまり、経済政策は積極から中立に戻す局面ではあっても、積極を超緊縮に転換する局面ではないのだ。1937年まで遡らなくとも、2000-2003年の日本に、反面教師の重要事例がある。これを踏まえて、米国は経済政策運営の基本スタンスを「超緊縮」から「中立」に直ちに切り替える必要がある。この政策対応が遅れれば、米国金融市場の混乱は、世界金融市場の大混乱を引き起こしてしまうに違いない。
日本でも、大手術の輸血用血液を手術の患者からの献血で賄うような、狂気の治療を行うべきでない。復興債を発行することを決めているのだから、まずは全額を復興債で賄うべきだ。
経済復興を増税で賄おうという財政再建原理主義が世界経済の最大のリスクであることを肝に銘じる必要がある。
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通貨戦争(36)米国の経済悪化は必至、沸騰する世界
2011-08-05
米国が債務上限額引き上げの議会承認と引換に、大幅な歳出削減を約束させられた。
このことで、米国の急速な経済悪化は必至となり、まさしく再三の過剰流動性供給しかソフトランディングの手はなくなった。
実体経済の回復はもう殆んど望めない。
ドルの下落は勢いを増し、世界的な物価高騰は続くだろう、
中期には一部の新興国以外は世界的な飢えと貧困にさらされるだろう。
一貫して下がり続けるのは、基軸通貨であるドルのみである。
世界通貨戦争は、新たな激しい段階に入った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
通貨戦争「新時代」に突入か-米減速による追加緩和観測でドル安加速
8月4日(ブルームバーグ):ブラジルのマンテガ財務相が通貨切り下げ競争の「休戦」を宣言してからわずか8カ月。日本とスイスが円とスイス・フラン相場の押し下げに動き、外国為替市場の緊張は再び高まった。勢いを失いつつある米経済の動向がドル安を加速させていることが背景にある。
日本は4日に介入を実施。円はドルに対し一時4%以上も下落した。過去1カ月では5%上げていた。スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は3日、フラン高に歯止めを掛けるため緊急利下げに踏み切った。フランは過去1年で約36%上昇。
欧州債務危機と米国の債務上限引き上げをめぐる政治混乱が投資家を安全な円とフランに追いやった。米国にリセッション(景気後退)再来の恐れが生じ、米連邦準備制度理事会(FRB)が新たな量的緩和を開始するとの観測がドル安を加速させている。昨年のドル下落の結果、アジアの10大経済は全て、自国通貨上昇阻止に向け何らかの措置を取った。
スタンダードチャータード銀行の通貨調査世界責任者のカラム・ヘンダーソン氏(シンガポール在勤)は「通貨戦争の新時代に突入したようだ。ドル下落に対処しているのは新興市場ばかりでなくなった」と指摘。「今後は介入がはるかに活発になるほか、ドル相場についてのとげとげしい空気も増すだろう」と述べた。
全米経済研究所(NBER)で景気循環を判定する委員会では9人中5人が、米経済に減速の兆しがあるとみている。メンバーの1人、ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授はリセッション再来の確率を50%とみる。
G7当局者が電話会議
主要7カ国(G7)の財務当局者らは3日に電話会議を持ち、欧州ソブリン債危機と米国の債務上限引き上げをめぐる政治こう着について協議したと、G7当局者が明らかにした。
5日発表の米雇用統計では7月の失業率が9.2%と、前月と同水準にとどまると見られている。3月の8.8%を0.4ポイント上回る水準だ。バークレイズ・キャピタルのアナリストらは、9日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を控えて「量的緩和第3弾(QE3)の観測が高まっている」と指摘した。
ブルームバーグ・データによれば、主要16通貨の中で、スイス・フランとニュージーランド・ドル(NZD)、円、ブラジル・レアル、シンガポール・ドルが過去3カ月に米ドルに対して最も大きく上昇している。
ブラジルのマンテガ財務相は昨年11月に休戦宣言したが、レアルはその後に米ドルに対して約10%上昇。同財務相は先月、いわゆる戦争はまだ続いていると発言した。ブラジルはドル買いや投機的な取引の抑制策によってレアル上昇に歯止めを掛けようとしている。
沸騰する「通貨戦争」
ニュージーランドのイングリッシュ財務相はNZDが変動相場制移行以来の高値を更新した後、為替相場の流れを変えるために政府ができることはほとんどないと発言している。これに対して、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)のシニア通貨ストラテジスト、スー・トリン氏はニュージーランドなどの諸国が利上げを遅らせる可能性を指摘した。
スタンダードチャータード銀のヘンダーソン氏は、日本とスイスが主要10カ国(G10)のメンバーであることを強調する。G10諸国が日本を除き介入をしなかった2000年代初めから、時代が変化したと指摘。「通貨戦争は泡立ち続け、さらに深刻化していく」と予想した。
このことで、米国の急速な経済悪化は必至となり、まさしく再三の過剰流動性供給しかソフトランディングの手はなくなった。
実体経済の回復はもう殆んど望めない。
ドルの下落は勢いを増し、世界的な物価高騰は続くだろう、
中期には一部の新興国以外は世界的な飢えと貧困にさらされるだろう。
一貫して下がり続けるのは、基軸通貨であるドルのみである。
世界通貨戦争は、新たな激しい段階に入った。
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通貨戦争「新時代」に突入か-米減速による追加緩和観測でドル安加速
8月4日(ブルームバーグ):ブラジルのマンテガ財務相が通貨切り下げ競争の「休戦」を宣言してからわずか8カ月。日本とスイスが円とスイス・フラン相場の押し下げに動き、外国為替市場の緊張は再び高まった。勢いを失いつつある米経済の動向がドル安を加速させていることが背景にある。
日本は4日に介入を実施。円はドルに対し一時4%以上も下落した。過去1カ月では5%上げていた。スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は3日、フラン高に歯止めを掛けるため緊急利下げに踏み切った。フランは過去1年で約36%上昇。
欧州債務危機と米国の債務上限引き上げをめぐる政治混乱が投資家を安全な円とフランに追いやった。米国にリセッション(景気後退)再来の恐れが生じ、米連邦準備制度理事会(FRB)が新たな量的緩和を開始するとの観測がドル安を加速させている。昨年のドル下落の結果、アジアの10大経済は全て、自国通貨上昇阻止に向け何らかの措置を取った。
スタンダードチャータード銀行の通貨調査世界責任者のカラム・ヘンダーソン氏(シンガポール在勤)は「通貨戦争の新時代に突入したようだ。ドル下落に対処しているのは新興市場ばかりでなくなった」と指摘。「今後は介入がはるかに活発になるほか、ドル相場についてのとげとげしい空気も増すだろう」と述べた。
全米経済研究所(NBER)で景気循環を判定する委員会では9人中5人が、米経済に減速の兆しがあるとみている。メンバーの1人、ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授はリセッション再来の確率を50%とみる。
G7当局者が電話会議
主要7カ国(G7)の財務当局者らは3日に電話会議を持ち、欧州ソブリン債危機と米国の債務上限引き上げをめぐる政治こう着について協議したと、G7当局者が明らかにした。
5日発表の米雇用統計では7月の失業率が9.2%と、前月と同水準にとどまると見られている。3月の8.8%を0.4ポイント上回る水準だ。バークレイズ・キャピタルのアナリストらは、9日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を控えて「量的緩和第3弾(QE3)の観測が高まっている」と指摘した。
ブルームバーグ・データによれば、主要16通貨の中で、スイス・フランとニュージーランド・ドル(NZD)、円、ブラジル・レアル、シンガポール・ドルが過去3カ月に米ドルに対して最も大きく上昇している。
ブラジルのマンテガ財務相は昨年11月に休戦宣言したが、レアルはその後に米ドルに対して約10%上昇。同財務相は先月、いわゆる戦争はまだ続いていると発言した。ブラジルはドル買いや投機的な取引の抑制策によってレアル上昇に歯止めを掛けようとしている。
沸騰する「通貨戦争」
ニュージーランドのイングリッシュ財務相はNZDが変動相場制移行以来の高値を更新した後、為替相場の流れを変えるために政府ができることはほとんどないと発言している。これに対して、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ(RBC)のシニア通貨ストラテジスト、スー・トリン氏はニュージーランドなどの諸国が利上げを遅らせる可能性を指摘した。
スタンダードチャータード銀のヘンダーソン氏は、日本とスイスが主要10カ国(G10)のメンバーであることを強調する。G10諸国が日本を除き介入をしなかった2000年代初めから、時代が変化したと指摘。「通貨戦争は泡立ち続け、さらに深刻化していく」と予想した。
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為替介入のふりして米国に巨額資産を献上、新帝国循環
2011-08-05
また、昨日から始めましたね。
「円高是正の為替介入」とやら。金額は隠しているが、通常は一日1兆円。(翌日判明4.5兆円)
いつものとおり、一週間ほどしか効き目はない。
世界通貨市場の規模を考慮すれば、いつまでも効くわけもない。
最初から「円高是正」は茶番であり、政府とマスコミが国民大衆を馬鹿にしている証拠でしかない。
巨額の国民資産を米国政府に資金移動するための、米国債購入をカモフラージュしているだけである。
財務省が円高是正の為替介入と称しては、ほぼ政府の税収に匹敵するほどの莫大なドルを買い、そのドルで米国債を買っては国民の金を米国政府に献上していることは前にも明らかにしてきました。
「日銀の為替介入はトリック」、「米国債で巨額損失、国を滅ぼす財務官僚」を御覧ください。
大震災の復興予算は大幅に遅らせ、しかも大幅に根切り、かつ消費増税で取引と言った中で、巨額の国民資産を米国に献上し始めたわけだ。
まさに国家犯罪と言ってよいだろう。
「新ベンチャー革命」山本尚利氏から
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3.11大震災パニックの虚を突いて、今起きているのは『新帝国循環』ではないか 8/5
1.また政府・日銀は為替介入に踏み切る
2011年8月5日の報道によれば、政府・日銀はまた円売り・ドル買いの為替介入に踏み切ったようです。一時、80円台まで円安に振れましたが、再び78円台に戻したそうです。
このような日銀による円売り・ドル買いオペは3.11事件直後にも行われています(注1)。なお、このときは、3月14日より8営業日で、総額102兆6000億円の資金供給が行われたと朝日新聞が3月24日に報道しています(注2)。ということは、前回、日銀はその都度、資金供給の規模を公表していたのです。
しかしながら、今回は、資金供給規模を公表していません、実に不思議です。
2.マスコミ報道の不思議
マスコミの報道姿勢は実に紋切型であり、“超円高が続けば、日本企業への打撃が大きく、日本企業の日本脱出が止まらない、日本経済は大変なことになり、国内雇用に影響が及ぶ”といった、まさにオオカミ少年論調です。
さらに、経済界や財界の人間に“何とか円高是正してほしい!”と悲鳴を上げさせ、日銀の為替介入を正当化させています。
ところが、不思議なことに、マスコミは、経済苦境の日本の円がなぜ、こうも買われるのかについての理由はさっぱり触れないのです。米国連邦政府の財政危機で米ドル売りが起きていることは周知の事実ですが、なぜ、苦境日本の円が買われるのかは謎です。
さらに言うと、なぜ、高度経済成長の中国の人民元を買われないのでしょうか。対ドル人民元相場は長期的には右肩上がりですが、最近はむしろ下落しているようです。
3.3.11事件以降に起きている現象は『新帝国循環』ではないのか
本ブログでは、3.11事件後に起きている日銀による円売り・ドル買いオペは、いわゆる『新帝国循環』ではないかとみています。
簡単に言えば、日本国民にとって、“自分のカネで自分が買われる”という世にも悲惨な珍現象です(注3)。
新帝国循環とは、故・吉川元忠・神奈川大教授の唱える日米間の金融循環を意味します。本ブログの理解する新帝国循環とは以下です。
(1)米国の国際金融資本などが、外為市場にてドル売り・円買いを仕掛け、日本の経済競争力の強弱にかかわらず、超円高相場を意図的・計画的に創出する、
(2)円高を是正するという名目にて日銀が円売り・ドル買いオペを実施する、ただし、資金は特別会計の外国為替資金特別会計(原資は国民の税金)である、
(3)日銀(日本国民の税金で米国債を買う)や日本の外為金融機関(国民から預かった預貯金で米国債やドル建て金融商品を買う)の引き受けた米ドルにて、米国債を購入する、
(4)大量の米ドルが米国連邦政府に還流する、
(5)米国の国際金融資本はドルを売って得た円にて、円キャリートレードを行うほか、日本企業の株を購入したり、日本企業を買収したり、日本の不動産を購入して日本資産の権利を獲得する、
(6)日銀や日本の外為金融機関の保有する米国債は償還を迎えても、借り換え債などで契約更新していき、日本の対米債権(累積利子含む)は増える一方となる。なぜなら、米国連邦政府の財政は、常に真っ赤化であり、到底、返済できないからである。
ちなみに、日米関係評論家・副島隆彦氏の試算では日本の対米ドル債権累積は官民にて総額700兆円から1000兆円規模(米国債およびドル建て金融商品含む)に達するようであるが、正確な実態は公表されないので不明である。
日本と並び、中国も大量の外貨準備金(3兆ドル規模)を保有していますが、対米輸出で得たこの豊富な米ドルで、世界中の油田利権や鉱山利権獲得に多額投資しています、すなわち、第二次世界大戦戦勝国・中国は、手持ち米ドルを有効に活用しています。
ところが、第二次世界大戦敗戦国・日本は今なお、米国の属国であり、日米間の暗黙の取り決めにて、手持ちドルを米国政府の了解なしに勝手に使えないよう縛られています。
その証拠に、日本のもつ米ドル資産(外貨準備金)は、財務省の公表している分だけで、1兆ドル強(1ドル80円で80兆円)もありますが、これほどのドル安でもこの米ドルが売られていません、それどころか、逆にドル買いオペをやって、米ドル相場の暴落を阻止しているほどです。
したがって、日本の場合、実質的に、国富が一方的に日本から米国に垂れ流され続けるわけです(注4)。
皮肉なことに、日本の対米ドル債権が膨らめば膨らむほど、日本は米ドル相場を維持するために、米ドルの買い支えを永遠に続けざるを得ないわけです。一方、
米国は膨大な対日負債を返済しないよう、日本を永久に属国化し続けるわけです、そして、在日米軍が駐留し続けているのは、そのためと考えるべきです。
4.菅政権と政府・日銀は東日本復興より米ドル救済を優先してはいないか
菅政権の背後に控える財務省官僚や日銀のトップは、とにかく米ドル相場を維持することを最優先しているようです。
そして、マスコミは、この属国日本の悲惨な実態をひた隠しするのに協力しています。
われら国民の願いは、3.11事件の真相究明と一刻も早い東日本の復興ですが、日本の政官財に巣食う“悪徳ペンタゴン日本人”連中は、東日本の復興を差し置いてでも、いくらでも国民資産を米ドル救済に湯水のように使う覚悟です。そのために増税を言い、平気で国民を欺きます。
なお、上記、“悪徳ペンタゴン日本人”および、その支配者・米国戦争屋の定義は、本ブログのNo.225の注記をご覧ください。
日銀の円売り・ドル買いオペに関する悪徳ペンタゴン・マスコミの報道ぶりから、彼らは日本国民のための報道機関ではなく米国覇権主義者の中の日本支配者のための報道機関であると改めて痛感します。
とにかく、彼らは国民に『新帝国循環』現象を絶対に悟られたくないようですが、これは彼ら悪徳ペンタゴン日本人を支配する米戦争屋やFRBを含む米国覇権主義者の強い意思なのでしょうか。
5.新帝国循環という米国の巧妙な対日搾取のカラクリを暴いたのは故・吉川元忠氏(長州藩毛利家の末裔)
米戦争屋を母体とする米国覇権主義者が日本国民に知られることを非常に恐れているのが、この新帝国循環の実態でしょう。
このカラクリを暴いた国士・吉川元忠氏は遺作となった『国富消尽』(注4)を脱稿した直後、2005年10月26日に急逝されていますが(注3)、生前、同氏は何者かに狙われていた(本人の発言による)と聞いています。
注1:本ブログNo.402『3.11東日本大震災の火事場泥棒:ATM窃盗7億円ではなく100兆円規模の大被害か』2011年7月16日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/25587397.html
注2:朝日新聞、2011年3月24日
http://www.asahi.com/business/update/0324/TKY201103240098.html
注3:本ブログNo.107『“自分のカネで自分が買われる”という奇病に罹った悲惨な日本』2010年4月11日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/12450525.html
注4:吉川元忠・関岡英之[2006]『国富消尽』PHP研究所
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追記
為替介入は過去最大の4.5兆円規模か-日銀当座預金が大幅上ぶれ(1)
8月5日(ブルームバーグ):政府・日本銀行が4日の外国為替市場で実施した円売り介入額は約4.5兆円と、過去最大規模に膨らんだもようだ。日銀の発表によると、週明け8日の当座預金残高は事前の予想に比べて大幅に拡大する見通しで、市場では政府から介入資金が流れ込んだことが原因とみられている。
日銀が5日午後6時過ぎに公表した当座預金増減要因と金融調節(予想)によると、為替介入が決済される8日の財政等要因は4兆5000億円程度の資金余剰になる見込み。東京短資による介入実施前の予想(1000億円程度の資金不足)を大幅に上回った。
東短リサーチの高橋雄一研究員は、「財政資金の4.5兆円前後がまるまる介入額と考えて良いのではないか。予想を上回る過去最大の介入だったようだ」と言う。
「円高是正の為替介入」とやら。金額は隠しているが、通常は一日1兆円。(翌日判明4.5兆円)
いつものとおり、一週間ほどしか効き目はない。
世界通貨市場の規模を考慮すれば、いつまでも効くわけもない。
最初から「円高是正」は茶番であり、政府とマスコミが国民大衆を馬鹿にしている証拠でしかない。
巨額の国民資産を米国政府に資金移動するための、米国債購入をカモフラージュしているだけである。
財務省が円高是正の為替介入と称しては、ほぼ政府の税収に匹敵するほどの莫大なドルを買い、そのドルで米国債を買っては国民の金を米国政府に献上していることは前にも明らかにしてきました。
「日銀の為替介入はトリック」、「米国債で巨額損失、国を滅ぼす財務官僚」を御覧ください。
大震災の復興予算は大幅に遅らせ、しかも大幅に根切り、かつ消費増税で取引と言った中で、巨額の国民資産を米国に献上し始めたわけだ。
まさに国家犯罪と言ってよいだろう。
「新ベンチャー革命」山本尚利氏から
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3.11大震災パニックの虚を突いて、今起きているのは『新帝国循環』ではないか 8/5
1.また政府・日銀は為替介入に踏み切る
2011年8月5日の報道によれば、政府・日銀はまた円売り・ドル買いの為替介入に踏み切ったようです。一時、80円台まで円安に振れましたが、再び78円台に戻したそうです。
このような日銀による円売り・ドル買いオペは3.11事件直後にも行われています(注1)。なお、このときは、3月14日より8営業日で、総額102兆6000億円の資金供給が行われたと朝日新聞が3月24日に報道しています(注2)。ということは、前回、日銀はその都度、資金供給の規模を公表していたのです。
しかしながら、今回は、資金供給規模を公表していません、実に不思議です。
2.マスコミ報道の不思議
マスコミの報道姿勢は実に紋切型であり、“超円高が続けば、日本企業への打撃が大きく、日本企業の日本脱出が止まらない、日本経済は大変なことになり、国内雇用に影響が及ぶ”といった、まさにオオカミ少年論調です。
さらに、経済界や財界の人間に“何とか円高是正してほしい!”と悲鳴を上げさせ、日銀の為替介入を正当化させています。
ところが、不思議なことに、マスコミは、経済苦境の日本の円がなぜ、こうも買われるのかについての理由はさっぱり触れないのです。米国連邦政府の財政危機で米ドル売りが起きていることは周知の事実ですが、なぜ、苦境日本の円が買われるのかは謎です。
さらに言うと、なぜ、高度経済成長の中国の人民元を買われないのでしょうか。対ドル人民元相場は長期的には右肩上がりですが、最近はむしろ下落しているようです。
3.3.11事件以降に起きている現象は『新帝国循環』ではないのか
本ブログでは、3.11事件後に起きている日銀による円売り・ドル買いオペは、いわゆる『新帝国循環』ではないかとみています。
簡単に言えば、日本国民にとって、“自分のカネで自分が買われる”という世にも悲惨な珍現象です(注3)。
新帝国循環とは、故・吉川元忠・神奈川大教授の唱える日米間の金融循環を意味します。本ブログの理解する新帝国循環とは以下です。
(1)米国の国際金融資本などが、外為市場にてドル売り・円買いを仕掛け、日本の経済競争力の強弱にかかわらず、超円高相場を意図的・計画的に創出する、
(2)円高を是正するという名目にて日銀が円売り・ドル買いオペを実施する、ただし、資金は特別会計の外国為替資金特別会計(原資は国民の税金)である、
(3)日銀(日本国民の税金で米国債を買う)や日本の外為金融機関(国民から預かった預貯金で米国債やドル建て金融商品を買う)の引き受けた米ドルにて、米国債を購入する、
(4)大量の米ドルが米国連邦政府に還流する、
(5)米国の国際金融資本はドルを売って得た円にて、円キャリートレードを行うほか、日本企業の株を購入したり、日本企業を買収したり、日本の不動産を購入して日本資産の権利を獲得する、
(6)日銀や日本の外為金融機関の保有する米国債は償還を迎えても、借り換え債などで契約更新していき、日本の対米債権(累積利子含む)は増える一方となる。なぜなら、米国連邦政府の財政は、常に真っ赤化であり、到底、返済できないからである。
ちなみに、日米関係評論家・副島隆彦氏の試算では日本の対米ドル債権累積は官民にて総額700兆円から1000兆円規模(米国債およびドル建て金融商品含む)に達するようであるが、正確な実態は公表されないので不明である。
日本と並び、中国も大量の外貨準備金(3兆ドル規模)を保有していますが、対米輸出で得たこの豊富な米ドルで、世界中の油田利権や鉱山利権獲得に多額投資しています、すなわち、第二次世界大戦戦勝国・中国は、手持ち米ドルを有効に活用しています。
ところが、第二次世界大戦敗戦国・日本は今なお、米国の属国であり、日米間の暗黙の取り決めにて、手持ちドルを米国政府の了解なしに勝手に使えないよう縛られています。
その証拠に、日本のもつ米ドル資産(外貨準備金)は、財務省の公表している分だけで、1兆ドル強(1ドル80円で80兆円)もありますが、これほどのドル安でもこの米ドルが売られていません、それどころか、逆にドル買いオペをやって、米ドル相場の暴落を阻止しているほどです。
したがって、日本の場合、実質的に、国富が一方的に日本から米国に垂れ流され続けるわけです(注4)。
皮肉なことに、日本の対米ドル債権が膨らめば膨らむほど、日本は米ドル相場を維持するために、米ドルの買い支えを永遠に続けざるを得ないわけです。一方、
米国は膨大な対日負債を返済しないよう、日本を永久に属国化し続けるわけです、そして、在日米軍が駐留し続けているのは、そのためと考えるべきです。
4.菅政権と政府・日銀は東日本復興より米ドル救済を優先してはいないか
菅政権の背後に控える財務省官僚や日銀のトップは、とにかく米ドル相場を維持することを最優先しているようです。
そして、マスコミは、この属国日本の悲惨な実態をひた隠しするのに協力しています。
われら国民の願いは、3.11事件の真相究明と一刻も早い東日本の復興ですが、日本の政官財に巣食う“悪徳ペンタゴン日本人”連中は、東日本の復興を差し置いてでも、いくらでも国民資産を米ドル救済に湯水のように使う覚悟です。そのために増税を言い、平気で国民を欺きます。
なお、上記、“悪徳ペンタゴン日本人”および、その支配者・米国戦争屋の定義は、本ブログのNo.225の注記をご覧ください。
日銀の円売り・ドル買いオペに関する悪徳ペンタゴン・マスコミの報道ぶりから、彼らは日本国民のための報道機関ではなく米国覇権主義者の中の日本支配者のための報道機関であると改めて痛感します。
とにかく、彼らは国民に『新帝国循環』現象を絶対に悟られたくないようですが、これは彼ら悪徳ペンタゴン日本人を支配する米戦争屋やFRBを含む米国覇権主義者の強い意思なのでしょうか。
5.新帝国循環という米国の巧妙な対日搾取のカラクリを暴いたのは故・吉川元忠氏(長州藩毛利家の末裔)
米戦争屋を母体とする米国覇権主義者が日本国民に知られることを非常に恐れているのが、この新帝国循環の実態でしょう。
このカラクリを暴いた国士・吉川元忠氏は遺作となった『国富消尽』(注4)を脱稿した直後、2005年10月26日に急逝されていますが(注3)、生前、同氏は何者かに狙われていた(本人の発言による)と聞いています。
注1:本ブログNo.402『3.11東日本大震災の火事場泥棒:ATM窃盗7億円ではなく100兆円規模の大被害か』2011年7月16日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/25587397.html
注2:朝日新聞、2011年3月24日
http://www.asahi.com/business/update/0324/TKY201103240098.html
注3:本ブログNo.107『“自分のカネで自分が買われる”という奇病に罹った悲惨な日本』2010年4月11日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/12450525.html
注4:吉川元忠・関岡英之[2006]『国富消尽』PHP研究所
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追記
為替介入は過去最大の4.5兆円規模か-日銀当座預金が大幅上ぶれ(1)
8月5日(ブルームバーグ):政府・日本銀行が4日の外国為替市場で実施した円売り介入額は約4.5兆円と、過去最大規模に膨らんだもようだ。日銀の発表によると、週明け8日の当座預金残高は事前の予想に比べて大幅に拡大する見通しで、市場では政府から介入資金が流れ込んだことが原因とみられている。
日銀が5日午後6時過ぎに公表した当座預金増減要因と金融調節(予想)によると、為替介入が決済される8日の財政等要因は4兆5000億円程度の資金余剰になる見込み。東京短資による介入実施前の予想(1000億円程度の資金不足)を大幅に上回った。
東短リサーチの高橋雄一研究員は、「財政資金の4.5兆円前後がまるまる介入額と考えて良いのではないか。予想を上回る過去最大の介入だったようだ」と言う。
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