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もうすぐ北風が強くなる

小出:放射能汚染された世界で、闘い生きる覚悟を

 タイトルはこのブログのオリジナルです。
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2011年6月9日(木)、MBS(毎日放送)ラジオの番組「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏

要約

・(福島市などでストロンチウムが検出された。セシウム以上に危険な物質か?)ストロンチウムは危険な放射性核種の一つで、セシウムの10倍から数十倍も危険。ただし今回検出された量はセシウムの数百分の1から1000分の1くらい。今どちらからの危険が大きいかと言えば、セシウムの方だ。

・(セシウムの人体への影響は?)セシウムはアルカリ金属で、カリウムという放射性物質と同じような挙動をする。全身に平均的に分布する性質をもつ。ストロンチウムはカルシウムと同じアルカリ土類金属で、骨に蓄積する性質。

・(ストロンチウムは原子炉の炉心がより高温になると気化するもので、早い段階で出ていたはず。なぜ今検出されたのか?)ストロンチウムはベータ線しか出さない。ガンマ線を出すものは測定するのが容易だが、ベータ線しか出さないものを検出するのは大変だ。東電は事故後それどころではなかったのかもしれないが、行政が率先して測定、検出すべきだった。

・(ストロンチウムは土壌にあると言うが、水や農産物への影響は?)これからは影響してくる。

・(今の段階ではセシウムの方により気をつけるべき?)今も今後もセシウムが重要だ。

・(セシウムやストロンチウム以外にもあるのか?)50~60年代に大気圏内核実験が沢山行われた。当時ばらまかれたセシウムとストロンチウムの量はほとんど同じ量だった。原発事故の場合と違い、核実験では同じ量となる。人類に最も影響したのはストロンチムで、次にセシウム。福島原発事故では、最初はヨウ素だったが、今後はセシウムとストロンチムの影響が大きくなる。今回はセシウムの放出量が圧倒的に多かったためセシウムが問題になる。

・(今回事故を起こしたものと同じ型の原子炉に関して1980年にアメリカの原子力規制委員会が耐震設計の問題を指摘していたと言うが?)GEの3人の技術者が、マークIが構造的に弱いことを告発して退社した。

・(それを踏まえて改善はあったのか?)格納容器の形がマークI改良型、マークII、マークIIIと変わっている。

・(マークIは今でも使用されている?)福島、敦賀などにある。今は動いていないが浜岡原発にもある。

・(それは大丈夫なのか?)どれも大丈夫ではない。マークIIもIIIも壊れるときは壊れる。少しずつ良くなっている程度だ。

・(日本は原発を止めたらどのくらい電力が足りなくなるか?)完璧に足りる。水力発電所と火力発電所が膨大にあり、それを動かせば夏のピーク時でも問題ない。

・(原発が止まったら足りなくなると多くの人が考えているが?)マスコミが悪い。

・(火力と水力でまかなえるか?)そうだ。政府の統計データに基づく限り、十分に足りる。

・(そういう発電所は稼働していない?)火力発電所は5割止まっている。発電所はそれほど余っている。老朽化した火力発電所も動かさないといけないかもしれないが、原子力よりはいい。そもそも原発も老朽化したものが沢山動いている。

・(コストはどうか?)電力会社の経営データによれば、原子力発電が一番高い。今回の事故の費用を上乗せしたら、電気代はどのくらいになるか分からないほど高くなる。

・(海江田大臣が、原発を停めた場合の追加経費は今年度で2兆4000億円、来年度は3兆円以上と言うが?)石油などの燃料費がかかるのは確かだが、原発をやめればその分ウランは買わないで済む。それに、事故のことを考えればはるかに楽に済む。

・(原発の電力は不可欠というわけではない?)全く違う。電力会社とマスコミとで騙してきた。

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2011年6月8日(水)、MBS(毎日放送)ラジオ「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏

MC:小出さん、こんばんは。

小出氏:こんばんは。

MC:よろしくお願いします。

小出氏:こちらこそ。

MC:東京には近藤さんです。

近藤氏:こんばんは、よろしく。

小出氏:こんばんは、よろしくお願いします。

MC:今日は、東日本の下水処理施設の汚泥から、
  相次いで放射性物質が検出されているのですが、
  東京都内の汚泥にもいろいろと問題が生じている、
  という話を伺いたいと思っております。

  東京には、関西の方達にとってもご家族がいたり、
  知人の方も多いのではないかと思いますし、
  私にとっては、まずは近藤さんの顔が浮かぶ訳なのです。

  その東京の汚泥処理施設での話なのですが、
  まず大田区にあります下水処理施設の中の空気を調べてみたら、
  毎時2.7μSvの放射線量が検出された、といいます。
  この数字をどうご覧になりますか。

小出氏:高いですね。

MC:高いですか。

小出氏:普通だと、0.05μSv位しかない訳だから、
  50倍もあるという事ですね。

MC:50倍の数字になりますよね。
  これは現在計画的避難区域になっている福島県の飯舘村でも、
  これ位の高さが検出されている、と思うのですけれども。

小出氏:はい、そうですね。

MC:ただ、原発から230km離れた場所なのですよ。

小出氏:でも、下水処理場の汚泥というのは、
  物凄い濃縮されて出て来ますので、
  その位の事は、たぶんあちこちで出て来ると思います。

MC:これは、今回の東京の大田区の話だけではなくて、
  もっと、あるいは距離のある、こちらの関西に関してもあり得る話なのですか。

小出氏:そうですね。
  関西でももちろん下水処理場の汚泥というのは、
  それなりの濃度の放射能を含んで出て来ると思います。

MC:それは、どうしてなのでしょうか。

小出氏:空気中を飛んで放射能があちこちに汚染を拡げた訳ですけれども、
  それは結局下水に流れ込んで来るものが、もちろんある訳で、
  下水処理場というのは、そういう流れ込んで来た物質を
  水の中から取り分けて、水を綺麗にするという、そういう施設ですので、
  取り分けれた放射能は、汚泥の方に物凄い倍率で濃縮されてしまう訳です。

MC:濃縮されているから、このような高さになっている訳ですね。

小出氏:そうです。

MC:所が、これを調査しました東京都は、
  これまで調査結果を公表しておりませんでした。
  理由がどういう事かと言いますと、
  検出された場所があくまでもこの下水処理施設の中か屋内であると。
  その処理施設の敷地の境界で計ったら問題がないので、
  つまり、この下水処理施設の敷地から外に出て行く時は
  大丈夫じゃないか、という意味だと思うのです。
  誤解を招く恐れがあるから公表していなかった、と言うのですが、
  これは敷地内にこの濃度の放射性物質は、留まるのですか。

小出氏:たぶん、これまで下水処理場の汚泥というのは、
  コンクリートに混ぜるための材料として使ったりしてきたはずで・・・

MC:だいたい8割程がセメントや肥料になるのだそうですね。

小出氏:ですから、今後はそれをやってはいけないという事になりますので、
  その汚泥をどうやって処分するのかという事が
  大切な事になると思います。

近藤氏:あの先生、東京都がそういう配慮で発表しないというのは、
  僕はおかしいと思うのですが、
  つまりそれは我々市民がその情報を得て判断をすれば良い事であって、
  東京都が事前にそういう判断を自ら下して情報を伏せるというのは、
  おかしいのではないですかね。

小出氏:おかしですね。
  もともと下水処理場というのは、放射線を取り扱う施設ではありませんし、
  放射線の管理区域にもなっていないはずですが、
  1時間に2.何μSvもの被曝環境であるとすれば、
  放射線の管理区域にまず指定をしなければいけなくなるはずです。

  ですから、東京都という行政組織として、
  その事もきちっと手続きをしなければいけなかったはずだと思います。

近藤氏:そうですよね。

MC:公表しなかったという事は、いろいろな面に影響してきますね。
  例えば、作業員の方も普通の服装でなさっていたという事になりますよね。

小出氏:そうですよね。
  もともと被曝管理もされていないはずですから、
  作業員の方々が今までにどれだけの被曝をしてしまったのか、
  という事も知り得ないまま、ここまで来てしまったと思います。

近藤氏:これから以降の段階で、パニックが起きるからとか、
  いたずらに不安行動に走らせるから、とかいう事をもって、
  情報をストップするというのは一切まかりならん、と思うのですけれどもね。

小出氏:はい、私もそう思います。
  マスコミの方には、十分心して欲しいと思います。

MC:そうですね、大切な事です。
  この5月の調査では、今申し上げている施設の焼却した灰から、
  1kgあたり1万Bqを超すセシウムが検出されていたのだそうです。
  この値はどうなのでしょう。

小出氏:凄いですね。
  私は京都大学原子炉実験所で廃液の処理という事を、
  毎日やっていますけれども、
  そんなレベルの放射能を取り扱った事は、未だかつて一度もありません。

MC:そんな状況なのに、管理区域になっていないという事ですよね。
  一般の方が立ち入る事ができるままに置かれている
  という事になっています。

  で、先ほど小出先生もご指摘なさったように、
  セメントとしてこうした汚泥を再利用する事を国は進めている訳ですよね。
  ただ、このセメントや肥料にするにあたって、国がこう言っております。
  「セメントとして、1kgあたり100Bq以下になっていれば、問題はない」
  と言っているのです。
  どうでしょう。

小出氏:私、何度も申し上げたと思うけれども、
  放射線というのはどんなに微量でも危険な訳です。
  ですから、1kgあたり100Bqであっても、もちろん危険があるし、
  仮に10Bqだって危険がある訳ですね。

  ですから、どこまでなら社会的に受け入れが可能なのかという事を、
  どこかで判断をするしかないという事なのですが、
  今その大田区で出て来ているような汚泥は、もう猛烈な濃度ですので、
  まずはそれをこれからどうやって始末をするのかという事を、
  きちっと方針を示して頂かないといけないと思います。

MC:でも、国がこうした基準を出したのが5月でして、
  それまでの分については、もうセメントになって出回っている、
  という情報もあるのですね。

小出氏:そういう事ですね。

MC:そういう事は、どこにそのセメントが行っているかも、
  なかなか解らないでしょうし、
  でも、セメントで、例えば道路を舗装したとしましょうか。
  その道路からずっと放射性物質が出る訳ですよね。

小出氏:放射線が飛び出して来る訳ですね。

MC:例えば、それをビルに使っていたとしましょう、ビルの建築に。
  そうすると、1kgあたり100Bqとしても、
  わずか1kgのセメントで建物って立ちませんよね。
  建物中が汚染された物質で覆われている、
  という事になる訳ですね。
  そうすると例え1kgあたり100Bqという基準を示しても、
  何十kg、何百kg使うか解らない訳ですから、
  その分にどんどん積算されて行くものなのですか。
  使えば使う程。

小出氏:もちろん、そうです。
  量が増えれば増えるだけ・・・

MC:100kgだったら100倍になる訳ですか。

小出氏:そうです。

MC:そうしたら、1kgあたり100Bqというこの基準のあり様自体は
  どうなのですか。

小出氏:私はもちろんお勧めしたくはないけれども、
  もう地球上全てが福島からの放射能で汚れてしまっている訳ですね。
  もうこういう事故を招いてしまった日本というこの国は
  汚染から逃れられないと覚悟を決める以外に、私はないと思います。
  でも、小学校にそういうものを使わないとか、
  そういう配慮はあってしかるべきだと思います。

MC:汚染された世界で生きていかねばならないとしても、
  まず子供たちを守るにはどうしたら良いかという事をも、
  考えなければいけない時期に来てしまっている、と。

小出氏:そういう世界になってしまっているのですね。

MC:そうお考えですか・・・(溜息)。
  それから、もうひとつの東京のゴミ処理施設のお話で、
  これは江東区の保護者で作っている会が、
  東京都のこの汚泥処理施設近くの、今度はグラウンドです、
  グラウンドの土から高い濃度の放射性物質を検出した、
  というふうに発表しております。
  これは、近隣の皆さんにとっても、大変不安かと思うのですね。
  どういうふうに考えたらよろしいのでしょう。

小出氏:それは、今私は俄かには理解出来ませんが、
  下水処理場ですか?

MC:汚泥処理施設ですね。

小出氏:汚泥処理施設で、もし何か焼却をして汚泥を処理するような
  作業があるとすると、煙の方に放射性物質が出て来て、
  それが施設の周辺に汚染を拡げるという事はあるだろうと思います。

  すみません、私は、その施設がどのような作業をしているのか
  解りませんが・・・

MC:そうですね。
  私も、ここを具体的に見ている訳ではないですが。

小出氏:でも、周辺にそういう異常な濃度のがあるという事は、
  たぶん焼却をしているのではないかな、と今私は思いました。

MC:焼却をすると、灰が出ます。
  その灰はもちろん汚染されたままで大気中に出て行く。
  という事は、焼却をストップさせなければいけない訳ですが・・・

小出氏:特に放射性物質が出て来ているという事であれば、
  焼却をまずストップさせなければいけませんし、
  もしこれからやるというならば、煙を処理するための高性能なフィルターとか、
  そういう施設を付けてからでなければやってはいけない、と思います。

MC:しかし、汚泥というのは毎日毎日溜まる訳ですね。
  もうその汚泥を置いておく場所がない、
  あるいは焼却した灰を外に出さないようにしたら、
  中で灰を置いておく場所がもうなくなりかけている、と。
  そういう状況で何をしたらよろしいでしょう。

小出氏:解りません。
  こんな事が起きないように、原発を止めたかった訳ですけれども、
  既に事故が起きてしまったので、
  もうこれからは、今までの世界とは違った世界に私達は生きるしかない、
  と思って頂くしかないと思います。

MC:2百何十kmと離れた所でも、こうした事態が起こりつつあるという事、
  そしてまた他の所にも、これは共有されて行く問題であろうという、
  小出先生のお話、今日伺いました。
  どうもありがとうございました。

近藤氏:ありがとうございました。

小出氏:はい、ありがとうございました。





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