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広瀬隆インタビュー浜岡停止後の課題(1)

広瀬隆
広瀬隆 特別インタビュー
「浜岡原発全面停止」以降の課題  2011/5/11 ダイヤモンド・オンライン

 菅直人首相が浜岡原発の全原子炉停止を中部電力に要請し、日本のエネルギー政策が大きく軋み始めた。これから脱原発の流れは加速するのか、夏季に向けて電力供給に支障は生じないのか。原発とエネルギー問題に詳しい作家・広瀬隆氏に語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド社論説委員 坪井賢一)

――これまで広瀬さんは原発の危険性、とりわけ浜岡原発の危険性について警告してこられましたが、今回の運転停止をどう受け止めていますか?

 この問題は『原子炉時限爆弾』(ダイヤモンド社)で、私も著書を通して訴え続けてきた一人なので、まず何よりも菅首相の決断を讃えたいです。新聞やテレビの報道では「拙速な要請」「唐突な発表」などの論調が目立ちますが、東海地震はいつ起きてもおかしくないわけですから、国民の安全を考えれば即刻止めるのは正しい判断です。

 そもそも、2006年1月に「東海地震が今後30年間に起こる確率は87%」と公表したのは政府の地震調査研究推進本部です。政府自ら東海地震は必ず起こると明言していました。唐突に起こるのが大地震です。その震源域の中心にある浜岡原発を止めることが、どうして唐突でしょうか。むしろ、遅すぎたくらいです。

 5月9日に中部電力が運転停止を受け入れたことで、注釈付きですが原発廃止への第一歩を踏み出しました。今後はこの動きをさらに加速させるために、国民規模で論理的な議論を積み上げなければなりません。

――首相要請は地震対策が完成するまでの「運転停止」で「廃炉」ではありません。この違いはあまり伝わっていないようです。

 私が言いたい問題は、そこにあるのです。原子炉の内部、あるいは貯蔵プールに核燃料があるかぎり、運転中の原子炉と危険性は何ら変わらないという事実は、誰もが理解したはずです。
 福島第一原発の事故では、運転停止中の4号機で水素爆発が起こりました。原子炉から取り出した使用済み核燃料棒が貯蔵プールに保管されていたため、電源喪失によってアッという間に温度が上がり、水素爆発を起こしたと発表されました。
 今になって、あれは水素爆発ではなかったという怪しげな説が出ていますが、いずれにしろ、電源喪失で冷却不能になれば、爆発します。したがって、最終的な目的は燃料を搬出することにあるわけです。

 残念ながら今回の首相発言は「廃炉」には言及していません。2、3年で防波壁あるいは防潮堤を建設し、その間に安全性を検証するといった話です。
 もし中部電力が本格的な工事に取りかかってしまえば、そのために大金を投じますから、浜岡原発が延命するという最悪のシナリオが進んでしまい、浜岡の危険性が去らないまま、菅首相の意図とまったく正反対の結果を招きます。
 それを止めなくてはなりません。「防波壁の建設計画ちょっと待て!」という世論が、いま急いで起こされなければなりません。

――津波対策として建設される防波壁は、実際にはどれだけ効果が見込めるのでしょう。東日本大震災の津波被害を見ると、そう簡単には食い止められそうにありません。

 まったくです。計画では高さ15m超の防波壁をつくるようですが、その程度ではとても防げません。今回の東日本大震災で津波が陸上を這い上がった最大遡上高さは岩手県宮古市の38.9mでした。これは観測史上の記録では最大ですが、ほんの100年前の1896年(明治29年)の明治三陸地震津波で、岩手県綾里ではほぼ同じ高さの38.2mが記録されています。
 さらに1771年(明和8年)の八重山地震津波では、石垣島に85.4mもの津波が押し寄せました。日本の歴史から見れば、こうした規模の津波は、頻繁に起こっているわけです。

 しかも、勘違いしている人もいるようですが、中部電力が計画してきたのは「防潮堤」ではなく「防波壁」なのです。
 防潮堤はダムと同じような堅固な構造物ですが、防波壁はただの高い塀です。そこに津波が一気に押し寄せればひとたまりもないでしょう。津波とは、後ろから次々と水波が押し寄せてくる現象です。それは、巨大な体積とエネルギーをもった水の塊だから、壁の高さ、防潮堤の高さは関係ありません。
 たとえ堅固な防潮堤が建設されても、今回、宮古市の閉伊川河口で堤防を簡単に津波が乗り越えたように、どこまでも乗り越えてきます。
 仙台平野を、海水がどこまでも陸をなめつくす津波のおそろしさを私たちは目撃しました。内陸に侵入した範囲は、実に6kmにおよんだのです。

 また中部電力は、電源を高いところに設置すると言っていますが、あの人たちの頭を疑います。これで、大丈夫だと思う人はいますか?

 津波がさらってきた自動車も、船も、岩石も、家屋も、濁流となって、電源のケーブルに激突してくるのです。地盤が2mも隆起するのが東海地震です。それでも電源ケーブルは大丈夫ですか? ケーブルが切断されても、電気が送られるのですか?

 地震対策にしても同じです。今回の東北地方三陸沖地震は、沖合130kmとかなり遠くで起こりました。しかし、想定されている東海地震は、それと同じ規模の巨大地震が浜岡の真下で起こるわけです。想像したくもありませんが、浜岡原発は一撃で終わり、福島第一原発より大規模な放射能放出を一瞬で起こすでしょう。そこへ津波もくるし、電源も遮断される。結論を言えば、そもそも有効な地震対策など、あり得ないのです。

 もちろん、他の原発も危ないのですが、まずは歴史的な周期性から考えて、最も大地震が逼迫している浜岡を止めることは、日本人が生き残るための緊急課題です。そして浜岡を真の廃炉にもって行き、中部地方の経済が大丈夫だと証明されれば、すべての原発を止めてもよいという意識が、日本人のなかに確実に高まってゆくでしょう。

――浜岡を止めても中部電力は、計画停電はしない、電気料金は上げない、節電は要請する、と発表しています。しかしマスメディアは電力不足になるという懸念を書いている。この点をどうご覧になっていますか?

 それは報道に携わる人たちがデータをきちんと調べていないからです。中部電力の言い分だけを聞いて、電力問題の本質を調べたことがないからです。日本全体で見れば、原発がまったく稼働しなくても火力と水力で十分賄えます。
 下のグラフは、発電施設の設備容量と最大電力の推移を表したものですが、1960年代から最近まで、真夏のピーク時の最大電力が「火力+水力」の発電能力を超えたことは一度もありません。しかも2008年度以降は電力消費が大幅に落ち込んで、ますます発電所が余っている状況です。
最大電力

 具体的に、中部電力の場合を見てみましょう。異常な猛暑を記録した昨年、2010年夏の最大電力と発電能力を示したのが下のグラフです。ピーク時の最大電力2698万kWに対して、発電能力は原発を除いても3101万kW。つまり、あの猛暑のときでさえ、浜岡原発なしに403万kW(約15%)もの余力があったということです。
猛暑

 今年の夏が昨年のように猛暑になることはまずあり得ないので、余裕をもって乗り切れます。だから何を騒ぐのかというのが第一の疑問です。テレビと新聞が、産業界や庶民に要らぬパニックを煽っているのです。私が報道記者に言いたいのは、電力会社の発表を鵜呑みにせず、実績値を自分たちで調べてみなさいということです。そうすれば、もっとレベルの高い議論ができるはずです。

 中部電力が今年夏のピーク電力を2560万kWと予測していることは、昨年の異常気象時の2698万kWより138万kW少なく、正しい判断です。電力が不足するかも知れないと言っていたのは、持っている火力を停止しているからです。
 そのプラントを稼働させるには、燃料の手当てだけが必要なので、三田敏雄会長が急遽カタールに飛んだことも、まったく正しい行動です。その手当てがついたので、浜岡停止を決定したわけです。
 加えて、来年7月には、中部電力が新潟県に建設中の上越火力発電所が運転を開始するので、最新鋭のLNG2基238万kWが加わって、電気があり余るほどになります。
 ほぼ360万kWの浜岡原発の稼働率は50%、つまり180万kWが精一杯だったので、上越火力だけでお釣りがきます。

(広瀬隆インタビュー浜岡停止後の課題(2)へ続く)
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広瀬隆インタビュー浜岡停止後の課題(2)

 (広瀬隆インタビュー(1)からの続き)

 加えて、政治家もマスメディアも知らないらしいので驚くのですが、日本で発電できる会社は、電力会社だけではないのです。電力が足りないと言うのなら、電力会社は、日本の全産業界にすぐに送電線を開放する義務があります。
 なぜかというと、IPP(Independent Power Producer=独立系卸電力事業者)がたくさん発電能力をもっているからです。鉄鋼、機械、化学などの業種がこの分野に参入しており、これをフルに活用すれば、たった今、日本全土のすべての原発をストップしても、停電など起こり得ないのです。

 日本で卸電力入札制度が始まった1997年の電気事業審議会の調査によれば、IPPの潜在供給力は、最低でも2135万kW、最大では5200万kWに達するという結果でした。では現在の数字を見てください。
 2011年現在の商業用原子炉は、名目上 54基 4911.2万kWですが、廃炉になる福島第一原発は469.6万kW。地震で破壊された柏崎刈羽原発2・3・4号機は再起不能の停止中で、330万kW。したがって現在の原子力発電所は、実際には4111.6万kWしか能力がありません。
 それに対して、総務省統計局のデータによるIPP、つまり自家発電の能力はすでに4000万kWもあるのだから、即刻、全原発の停止ができることを、日本人がまったく知らないのです。
 テレビと新聞が、見当違いの電力不足パニックを煽っていると批判したのは、このことなのです。

 ところが電力会社が送電線を独占し、高額の送電価格を設定しているため、これらのすぐれた事業者が電力市場から排除され、自由に電気を売れないわけです。日本の国家としては、即刻、送電と発電の事業を完全に分離して、電力の自由化を進め、国民のために送電線を開放させることが、国会と政府の急いで行うべき務めなのです。
 政治家とマスメディアは、電力会社に飼われた犬ではないでしょう? 産業界を含めた国民のためにあるはずだと、今こそ誰もがその疑問の声を上げるべき時です。

――これから発電設備を増強するとすれば、原子力発電に代わるエネルギーをどこに求めるべきだとお考えですか?

 電力会社としては、LNG(液化天然ガス)火力発電所を増やすことです。エネルギー・環境問題研究所代表の石井彰氏によれば、LNG火力は最短で数か月あれば設置できると言います(「ガスエネルギー新聞」2011年4月6日)。電力会社は停電を口にする前に、最もクリーンで、世界の発電のエースであるLNG火力を増設するべきです。

 LNG火力というのは、現在、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた「ガス・コンバインドサイクル」として完成しています。この発電設備は、火力のなかで最もエネルギー効率が高いのです。
 じつは原発のエネルギー効率は驚くほど低く、わずか30%です。電気にならなかった残りの70%は、温排水として海を加熱して、自然破壊を進めています。一方、従来型火力は45%まで、そしてガス・コンバインドの熱効率は実績で60%まで高まっています。

 しかも、この方式ではタービンでLNGを燃焼させた後に、何度も排熱を回収してエネルギーを発電機に送るため、熱効率は原発の2倍なのに、排熱量は2分の1に抑えられる。ほかにも、天然ガスはクリーンで地球環境に最もやさしい、小型なので設置に場所をとらない、電源を入れてから1時間で起動できるので消費量の変化に追随できる、という数々のメリットがあります。

 原発がなければ経済成長できないと考えるのは大きな誤りで、これがいま世界の趨勢なのです。

ガス

実際、日本の電力会社もこの設備の導入を進めており、2010年9月14日には、中部電力が西名古屋火力発電所の石油火力を刷新してコンバインドサイクルを導入する方針を打ち出しました。これによって、この発電所の出力は119万kWから220万kWへ100万kWほど高まることになります。
 このことからも、浜岡原発を延命させるよりもコンバインドを推進したほうがはるかに効率的であることがわかるでしょう。

 東京ガスと大阪ガス、中部電力、独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の4社がこの5月9日に、三菱商事が進めるカナダのシェールガス(シェール層から採取される天然ガス)事業に共同で参画すると発表したことは、その最先端の動きです。アメリカの天然ガスは、今後ほとんどシェールガスに依存する計画ですから。

 さらに、今後の将来的なエネルギー政策を考えた場合には、エネファーム(家庭用燃料電池)が主力になることに期待しています。何しろ最大エネルギー効率はコンバインドより高い80%で、天災などで大打撃を受ける集中型の設備ではなく、家庭ごとに設置する分散型の理想的な姿になるからです。これが2020年には累計250万台に達するという市場予測が出ています。
 そうなれば、20世帯に1台の割合で普及するわけですから、家庭での成功によって製造部品のコストが大幅に下がって、現在のパソコンと同じように量産による低コスト化が実現され、工場をはじめとした産業界に広まってゆきます。つまり、最大の電力消費者が、エネルギーの有効利用を達成できるわけです。


――菅首相が強調していた自然エネルギーについてはどうですか?

 原発に代わって自然エネルギーを普及せよと言われますが、これで一番喜んでいるのはじつは原子力産業なんです。自然エネルギーは20年経っても、原発の電力分を100%賄うことはできませんから、原発を推進するための格好の口実になってしまうわけです。

 日本の電力消費は、家庭用が3割弱で、残りの7割以上を産業用と業務用が占めています。しかも、日中は家庭にあまり人がいませんから、ピーク電力の問題はほとんどが産業用・業務用の問題です。

 電力の大半を消費している産業界が、その日の天気や風の気まぐれに頼る自然エネルギーでは夏のピーク需要を賄えないことを一番よく知っています。産業界の協力がどうしても必要なので、いま議論が必要なのは、自然エネルギーではなくコンバインドサイクルのような安定供給できる設備です。

 太陽光発電は優れていますが、原子炉1基分の100万kWの電力をつくろうとすると、山手線の内側と同じくらいの面積にソーラーパネルを敷き詰める必要があります。原発50基分では、その50倍ですよ。そうなると自然破壊をもたらすため、設置場所が建物の屋根などに限られてきます。だから、それらは長期的なペースで徐々に進めればよいのです。

――浜岡原発が立地する御前崎市では、雇用や消費などの面で大きな影響が出るのではないかと波紋が広がっています。

 浜岡原発を本当に止めるために、最も考慮しなくてはならないのが、この問題です。御前崎市の予算の42%(原発交付金と固定資産税の合計)が原発に依存しているわけで、これを解決する方法はお金しかありません。これまで御前崎市の人たちには、大都会の人が原発の危険性を負わせてきたのだから、これは国家の責任として原発交付金に代わる資金を政府が手当てするべきです。

 というのは、かつて国策で石炭から石油へ移行する時代に、政府は炭鉱を閉鎖する企業に対して「閉山交付金」を支給しました。それでも石炭産業の人たちは大変だったのですが、今回は金額がはっきりしているのだから、そっくり補填しなければいけません。

 その財源は4330億円にのぼる原子力関連予算から手当てすれば簡単です。御前崎市の財源などすぐつくれます。事業仕分けで何ら削減されなかったこの予算が、莫大なムダを出し続けているわけですから。
 たとえば、高速増殖炉「もんじゅ」と六ヶ所村の再処理工場を合わせると、建設費だけで5兆円以上の資金が注ぎ込まれています。
 しかも、どちらも信じられないような人為的なミスによって、まったく機能していない、無用の長物なのです。今後も絶対に、まともな運転はあり得ません。
 加えて、将来の放射性廃棄物の処理に30兆円を要する原子力産業など、あってはならないでしょう。

 原発に依存した生活を続けるのは、現地住民にとっても、すべての国民にとっても良くないことです。原発から自立することは、新しい希望の生活を意味します。
 古いものが消えれば、必ず新しいものを生み出すのが、人間です。否定的に考えてはいけません。

 私が自信をもってそれを言うのは沖縄を見ているからです。米軍基地に経済が依存してきた沖縄では、「米軍基地の跡地」の地域が県内で最も経済発展しているからです。
 いま沖縄県が全土をあげて米軍基地に反対できるのは、その経済的な実績があるからです。

 それと同じ輝ける未来図が描けることを、御前崎市の人たちに知っていただきたいです。
 そしてそこに行き着くまでの期間は、責任をもって政府が手厚く支援する必要があります。


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小出:3号機300度超は異常な状態

「小出裕章非公式まとめ」から
 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5月10日MBSラジオ小出裕章氏「警戒区域一時帰宅、3号機圧力容器温度上昇・プールの放射性濃度について
ーーーーー
メインキャスター(以下「MC」):水野晶子
コメンテーター:平野幸夫・毎日新聞「ほっと兵庫」編集長
 ( )は補足等。

MC:小出先生、こんばんは。

小出氏:こんばんは。

平野氏:こんばんは。

MC:よろしくお願い致します。

平野氏:よろしくお願いします。

小出氏:こんばんは、よろしくお願いします。

MC:まず、今日から福島第一原発から半径20km圏内の警戒区域への
  住民の方々の一時帰宅が始まりました。
  そして、今日一時帰宅した方々を、その後被曝量を調べた所、
  1μSvから10μSvという数字だったそうなのですが、
  これはどうご覧になりますか。

小出氏:2時間という事で、その程度で収まって良かったと思います。

MC:これだったら心配はないと思ってよろしいですね。

小出氏:私は、被曝に関して安全量は無いとずっと言って来ましたので、
  心配がないとも言いたくはありません。
  ただ、どうしても皆さんお帰りになりたかっただろうし、
  当然必要な行動だった訳ですから、やって頂けた訳で、
  その結果が、1μSvから10μSvで収まったという事であれば、
  私としては、少し安心したという事です。

MC:そうですか。
  また、ペットについてなのですが、何とかペットを連れ帰りたいという方々も多くて
  明日職員が連れ帰るのだそうです。
  基準値をもし上回った場合は、水で放射能を洗い流すらしいのですが、
  外部被曝というのは、ワンちゃんなどの毛並みの中も綺麗に洗えば
  取れるのかな、と素人ながら思うのですが、
  この間、そうした原発に近い区域で暮らしていた動物達が、
  内部被曝をしていないのかな、と思うのです。

小出氏:もちろん、してしまったのですね。

MC:そうしますと、これは、外側を洗っただけでは取れないのですか。

小出氏:ペットを連れて来た後に、そのペットに接する人間が
  どういう被曝をするかという事をもし気にされるのであれば、
  あまり大きな危険にはならないと思います。

MC:大きな危険にはならない。

小出氏:はい。
  ただ、ペット自身はこの間ずっと汚染区域に居た訳ですから、
  汚染した空気を吸い込んでしまっています。
  どうやって生き延びたか、私はよく解りませんが、
  なにがしかの、もちろん、水も飲んだでしょうし、食べ物も食べたでしょうから、
  きっと体の中に放射性物質を取り込んでしまっていると思います。
  ですから、そういう放射性物質を取り込んだペットの体から、
  今度は放射線が飛び出して来ていますので、
  そのペットを抱き締めたりすれば、抱き締めた人間が
  被曝をするという事はあると思います。

MC:しかしながら、それを非常に心配しなければいけないような濃度ではないだろう
  という事ですか。

小出氏:解りませんけれども、例えば、相手が人間だったとすれば、
  必ず連れ出したいと思うでしょうし、
  ペットであったって人間と同じように、きっと思っている方々でしょうから、
  自分の被曝位は我慢すると思われるのではないかと思います。
  当然生きるという事は、そういう事なのではないでしょうか。

MC:そして、今日は、3号機についてのご質問がリスナーの方から
  沢山寄せられておりまして、(ラジオネーム省略)という方の言葉ですが、
  「3号機の圧力容器の温度が毎日どんどん上がっているようなのですが、
  大丈夫でしょうか」というご質問です。
  これはいかがでしょう。

小出氏:私も、不思議だな、と思いながらデータを見て来ました。
  東京電力の発表する数値というのは、
  時々後から間違いでしたと言われてしまう事がこれまでにも度々あったので、
  今回の事も間違いであったと言って欲しいと私は思いながら見ていますが、
  既に300℃という温度を超えているのですね。

MC:圧力容器の上の方の部分ですか。

小出氏:上なのですか?
  私は下だというふうに聞いたのですが。

MC:そうですか。

平野氏:ニュースが二通りあるみたいですね。
  使用済み核燃料プールの過熱と、圧力容器の中の温度ですか。

MC:まず、今おっしゃった300℃というのは、圧力容器の話ですか。

小出氏:圧力容器の温度が333℃というふうに夕方聞きました。

MC:確か、4月の末には80℃台だったのですね。
  これは、100℃以下の方が良いと確か小出先生はおっしゃっていたので。

小出氏:もちろんです。

MC:80℃台で比較的安定をしているのではないか、と見られていたはずでしたね。
  これが今333℃に上がって来たというのは、何が要因だとお考えでしょう。

小出氏:よく解らないのですが、もしその測定値が正しいのだとすれば、
  冷却に失敗しているという証明になります。
  今は外から水を入れているのですが、外から入れている水を送っている
  配管のどこかに破れがあって、水が原子炉の中に正しく入っていない、
  という可能性はあると思います。
  東京電力もそれを心配しているようで、
  別の配管から入れようとしている作業を今している、
  というふうに報道されています。

MC:これが何度になるといけないのですか。

小出氏:何とになるといけないという事はありませんが、
  運転中であったとしても、圧力容器の温度は精々280℃とか
  300℃以下の温度になっているのです。
  それが、300℃を超えているという訳ですから、
  かなり異常な状態になっていると思わなければいけません。

MC:早急に温度を下げるために、新たな配管を考えて、
  冷やし続けなければいけないという事ですね。

小出氏:と、東京電力が言っているのですね。

平野氏:先生、停止した時に燃料棒そのものは2000℃位あったと
  聞いているのですけれども。

小出氏:そうです。

平野氏:これが、それだけ一端は停止した後に収まっていたのが、
  また熱を持って行って、また上がって来ているという判断でいいのですか。

小出氏:可能性があると思います。
  運転中の燃料ペレットというのは、一番高温の部分は2000℃近くなっています。
  核分裂の連鎖反応自体は止めたはずですので、
  かなり温度は下がったはずだと私は思うのですけれども、
  その後外部電源も所内電源も非常電源も無くなってしまって、
  冷却が全く出来なくなる、そういう事態に追い込まれたために
  燃料棒被覆管は壊れてしまいましたし、
  燃料ペレット自身も温度がたぶん2800℃近くになって溶けてしまった、
  と私は思っているし、今やもう東電も国も全てが認めているのですね。
  溶けた塊が、私は未だに、もともとウランのペレットがあった炉心という所に
  留まっているというふうに、想像して来たのですが、
  ひょっとするとそれが溶け落ちて、
  圧力容器という圧力釜の底に流れ落ちて、
  そのために圧力容器の温度が上がって来ているという可能性はあると思います。

MC:それは、メルトがダウンするという、メルトダウンの状況・・・

小出氏:なのですけれども、私が本当に恐れているメルトダウンとは違います。

MC:それではないのですか。

小出氏:まだ水が原子炉圧力容器の半分位まではありますので、
  その状態で溶け落ちたのであれば、水蒸気爆発は起きません。
  溶けたウランの塊が圧力容器の底に流れて行っただけですけれども、
  もちろん水がまだありますので、(溶けた燃料の)外側はまた固まると思います。
  一部溶けた状態でそこの場所にあって、
  圧力容器の温度を上げるという事になっている可能性があります。

平野氏:使用済み燃料のプールの方ですけれども、
  即発臨界説というのも何か最近出ているようなのですけれども、
  これとの因果関係というのは、直接ないのでしょうか。

小出氏:それは全く関係ないです。

MC:ただこの使用済み燃料プールの中の写真が公開されまして、
  瓦礫だらけで燃料棒が全く見えない状態だという事なのです。

小出氏:それは3号炉ですか。

MC:はい。

小出氏:この3号炉の使用済み燃料プールのあったフロアは、
  物凄い爆発がありましたので、きっと使用済み燃料プールそのものも
  かなりの破損を受けているはずですし、
  使用済み燃料も大きな破損を受けているのではないかな、
  と私は心配して来ました。
  もし出来るならば、きちっと写真を撮って状態を調べて欲しいと思います。

MC:燃料棒の状態を知りたいですよね。

小出氏:はい、知りたいです。

MC:それから、このプールの中で通常は検出されない放射性物質が
  出ているという話があります。
  これが、通常の原子炉内の水と比べると1000倍程度の濃度で
  検出されているという話があるのですが、
  これはどうお感じになりますか。

小出氏:それは何という放射性核種でしょうか。

MC:セシウム137。
  このセシウム137が1㎤当たり15万Bq、またセシウム134が14万Bq、
  またヨウ素131が11000Bq、という情報があるのです。

小出氏:それは使用済み燃料プールの中の水の事ですか。

MC:はい。

小出氏:その水を採取出来たという事ですか。

MC:そうですね。
  注水のコンクリートポンプ車で採取したようです。

小出氏:そうなのですか。
  それは、今伺った限りは、たぶん使用済み燃料プールの中にあった使用済み燃料が
  かなりの程度破損をしていて、既に使用済み燃料の中に溜まっていた
  放射性物質がプールの水の中に漏れて来たという事だと思います。

MC:そういう事ですか。

小出氏:当然あるべきものです。

MC:燃料棒が損傷していれば、こうした高い濃度でこうした物質が出るのは
  当然の事なのですか。

小出氏:はい。
  当然の事ですけれども、今ちょっと私は不信に思っているのは、
  ヨウ素131という放射性核種の事をおっしゃいましたね。

MC:はい。

小出氏:それが、セシウム137、セシウム134に比べて、
  10分の1位の数字をおっしゃったでしょうか。

MC:そうです。

小出氏:多すぎると思います。

MC:ヨウ素の方が多すぎる。

小出氏:はい。
  ヨウ素131というのは、半減期が8日ですので、資料を採取した時がいつなのか
  私はよく解りませんが、既に2カ月経っていますので、
  随分無くなって100分の1以下になっているはずで、
  ちょっと多すぎると思います。

MC:プールの水を採取したのは(5月)8日の事でして、
  東京電力が分析結果を明らかにしたのが、今日なのです。

小出氏:なるほど、8日ですか。
  ほぼ二月ですね、60日ですから。

MC:そうするとヨウ素の量が多いという事は何を示している
  可能性があるのでしょうか。

小出氏:ちょっと難しいけど、若干私は多いように思いますけれども、
  もし多いとすると、途中で核分裂の連鎖反応があったという事です。
  もともとは3月11日に核分裂の連鎖反応自身は
  全て終わったはずという事になっている訳ですから、
  もしヨウ素という寿命の短い核分裂生成物がそこに、
  私が予想しているよりも多くあるとすれば、
  どこか途中の段階でまた核分裂反応が起きたという事を示します。
  ちょっと今正確にはお答え出来ませんが。

MC:こうした新しい情報を今申し上げている所ですので、
  突然の事で分析して頂くお時間もなく申し訳ないのですが、
  リスナーの方々も非常に注目している所でもございますし、
  また是非詳しく分析をして頂いて、また明日以降教えて頂ければと思います。

小出氏:承知しました。

MC:ただ東電は、プールの高い放射能濃度について、
  燃料棒の損傷を否定しているとの情報も入っています。

小出氏:(失笑)それは面白いですね。
  だって、使用済み燃料プールの水が高い放射性濃度を示している訳ですよね。
  それで燃料棒の損傷はないとしたら、一体どこから来たというふうに
  東京電力は言っているのですか。

MC:原子炉損傷による核分裂生成物の落下という事、
  あるいは瓦礫に付着した放射性物質がプールに落ちて溶けたのではないか、
  という話をしているようです。

小出氏:(かなり爆笑)正気かどうか訊いてみて下さい、
  東京電力に。
  そんな事では到底説明出来ない量だと、私は思います。

MC:そうです。
  例えば瓦礫に付着した放射性物質がプールに落ちて溶けたというような事では、
  今申し上げた高い数字にはなり得ないという・・・

小出氏:その瓦礫というのは、どこから来たのですか。

MC:そうですね~。(溜息交じりに)
  周りに沢山あるのでしょうかね~。

小出氏:爆発をしたのですよね(失笑しつつ)、3号機というのは。
  巨大な爆発をしましたけれど、
  それは使用済み燃料プールがあったフロアで爆発をしました。
  沢山の瓦礫が飛び散ったと思いますが、
  その瓦礫はもともとそのフロアにあったはずの瓦礫です。
  その瓦礫で一番放射能濃度の高いのは、使用済み燃料そのものです。
  それが壊れていないというなら、他にどういう説明が出来るのか、
  東京電力に訊いてみたいです。

MC:写真で、この燃料棒の損傷の度合いを確かめたい、という思いですよね。

小出氏:はい、そう思います。

MC:どうもありがとうございました。

平野氏:ありがとうございました。

小出氏:ありがとうございました。

MC:京都大学原子炉実験所助教の小出裕章先生に伺いました。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
詳細な写真、図面、熱分布と分析
http://www.houseoffoust.com/fukushima/fukushima.html
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