加来氏インタビュー/Democracy Now
2011-04-21
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-2656.htmlからDemocracy Nowによる加来教授のインタビュー。
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日本の状況を議論するために、日系アメリカ人の物理学者であり、ベストセラーの作家でもあり、ニューヨーク市立大学シティカレッジの理論物理学部教授である加來道雄氏をお招きしました。彼の新書は、『物理学の未来:2100年までに科学はどのように毎日の生活を変えるのか』です。
ようこそ、「Democracy Now!」へ。また、お会いできて光栄です。
加來道雄博士: エイミー、ショーにお招きいただきましてありがとうございます。
エイミー・グッドマン:まず、福島第一原発がチェルノブイリと同じカテゴリーの「レベル7」になったことについてお話しいただけますでしょうか。
加來道雄博士: さて、この原子力事故の大きな衝撃を控え目に扱おうとして、東京電力は最初は「レベル7」になったことを否定していました。
しかしながら、この事故がどんなレベルであるかを決定づける公式、数式があります。 この事故は、すでに5京ベクレルの放射能を放出しました。計算してみて下さい。原子事故評価のレベル7に当たります。まだ、チェルノブイリ以下です。
しかしながら、放射能は、原子炉から漏れ続けています。状況は全く安定していません。 つまり、福島第一原発は、カチカチと音を立てる時限爆弾を抱えているようなものです。
それは安定しているように見えますが、本の小さな引き金(たとえば、二次地震、パイプ破損事故、福島の作業員の避難など)で、3基の原子炉で完全な炉心溶解を起こして、チェルノブイリを超える規模になる可能性もあるのです。
エイミー・グッドマン:物理学者として、実際に日本のこれらの原子力発電所で何が起きているのかみんながわかるように説明して下さいませんか。
加來道雄博士: 自動車の運転を思い浮かべてください。もし、車が突然暴走しだしたら、まずは、ブレーキを踏みますね。でも、ブレーキは利きません。地震と津波で、安全制御装置が破壊されてしまったからです。
そのとき、ラジエータが加熱されて爆発します。それが、水素ガス爆発です。それから、もっと最悪なことに、ガソリンタンクが熱くなって、突然車全体が炎に包まれます。それが、完全なメルトダウンです。
そうしたら、何をしますか。車を川まで運転します。これが、炉心より上に水を保つために太平洋の海水を注入するといった、施設で行われた破れかぶれの方法です。
しかし、海水には塩が含まれているため、車のラジエーターをだめにします。そうなったら、何をしますか。地元の消防士を呼びます。そして、
日本人のサムライ戦士たちが来ました。彼らは、これが決死隊の任務であることをうすうす気づいています。溶融した炉心の上からホースで水を注水し続けます。
ですから、当局が全て安定していると言うときは、崖っぷちに爪だけでぶら下がっている状態が安定しているという意味で、時間がたつにつれて、爪が一枚一枚剥がれていくのです。現在は、そんな状況です。
エイミー・グッドマン: 食物の汚染レベルについてはどうですか。これから、徐々に輸出が禁止されていくのでしょうか。
加來道雄博士: 悲劇はこの事故が、チェルノブイリの約10%にあたる多量の放射性物質であるヨウ素-131を放出したということです。ヨウ素は水溶性です。 雨が降ると、土に吸収されます。 牛は植物を食べて、ミルクを作ります。
そして、次に、ミルクの中で濃縮されます。 ミルクに含まれる放射性物質濃度が高過ぎるので、農家では、今、その場でミルクを全て捨てています。食物はその地域で囲い込まれなければなりません。
そして、率直に言って、「チェルノブイリ製」と表示された食物を買いますか。そして、日本人もまた、「福島産と表示された食物を買うべきですか?」と、言っています。
私たちは地域経済の崩壊に関して話しています。 ただ、政府がすべての数を故意に低く見積もろうとし、事故の厳しい状態を控えめに扱っているため、事態をさらに悪化させています。
エイミー・グッドマン:それでは、今、何をするべきですか。つまり、大きな問題の一つは、福島原発を経営する東京電力と事故当初から常に事故の重大さを控えめに報告してきた政府の隠蔽体質です。しかし、補償を要求しながら批難している多くの人々がいます。仕事もなく、お金もない福島の避難民たちが、「私たちは補償を要求します。」と言って、東京電力に強く抗議したところでした。
加來道雄博士: さて、TEPCOは*小さなオランダ人の少年に似ています。 突然、堤防にひびが入りました。一人がこの穴を指でふさぎ、もう1人は、あそこを指でふさぎます。すると、突然新しい漏出が始りまって、そして、みんなくたくたになります。
東京電力や政府は、リーダーシップから完全に外されて、監査役の地位に置かれるべきです。
世界でトップの物理学者や技術者からなるチームに日本の自衛隊を利用する権限を与え、彼らの後を引き継がせるべきです。日本の自衛隊こそが、この大掛かりな事故を抑制できる唯一の組織であると考えています。
そして、それは、1986年にゴルバチョフがやったことです。彼はチェルノブイリでこの燃える原子力発電所を見たとき、レッド・エア・フォースと呼ばれる空軍を呼び出しました。
同時にゴルバチョフは、ヘリコプター、タンク、装甲兵員輸送車を呼び出して、5,000トンのセメント、砂、およびホウ酸でチェルノブイリ原子炉を埋めました。 それはもちろん決死の努力でした。
しかし、私は、日本の自衛隊が呼び出されるべきであると思います。
エイミー・グッドマン: 何のために...?
加來道雄博士: 放射線レベルがとても高いため、作業員たちは多分、1度に10分か15分作業しただけで、1年間の放射線量に達してしまう。
もし、そこに1時間もいたら、放射線病にかかってしまうでしょう。吐き気をもよおし、白血球が減少し、髪の毛は抜け落ちる。そこに1日いたら、致死量の放射線をあびるでしょう。
チェルノブイリでは、60万人が動員されました。それぞれが約数分だけ砂やコンクリートやホウ酸を原子炉の現場に運ぶ作業をしました。作業をした一人ひとりがメダルをもらいました。
こうしてやっと、一つの大きな原子力事故が収まったのです。それに比べ、日本側は、単に圧倒されてしまっています。
エイミー・グッドマン: でも、作業員たちは、これからもずっと長い間作業し続けなければならないのでしょう。
加來道雄博士: その通りです。それに、現場にモニターがないため、作業員たちがどのくらいの放射線をあびているのかさえわからないのです。
だから、自衛隊へのアクセスがあれば、原子炉を砂袋で埋めるか、コンクリートで封じるか、少なくとも、自衛隊を短期間だけでも現場に送るという選択がもて、この怪物のように危険な原子炉を制御することができるのです。
エイミー・グッドマン:避難範囲についてはどうですか。それは、十分でしょうか。
加來道雄博士: 哀れなものです。
米国政府は、米国人の原発からの避難地域を80キロに定めました。フランス政府は、フランス人に日本から脱出することを勧めました。
ところが、日本政府は、避難区域は10キロとか15キロとか20キロなどと言っています。 だから、日本人たちは、「政府は大丈夫か。なぜ、真実を伝えないのか?」と疑問を抱いています。
放射能濃度は今、日本政府が指定した避難区域をとっくに超えて原発から40キロの区域まで上昇しています。 そして、覚えておいてください。
いまに、白血病や甲状腺癌の増加が見えてくるでしょう。それは多量のヨウ素を環境に放出した結果です。
エイミー・グッドマン: 福島原発は最終的にどのような結末を迎えますか。
加來道雄博士: さて、これが東京電力自体によって考案されたシナリオの中でベストのケースでは、今年中に原子炉を制御可能とすることです。 年末までには、ポンプを復旧させ、最終的に原子炉を安定させることを望んでいます。
エイミー・グッドマン:なんだか、メキシコ湾に原油を流出させてしまったBP(British Petroleum)が原油流出の穴を塞ごうとしていた時に言っていたようなことに似てきましたね。
加來道雄博士: 確かに。
エイミー・グッドマン:そうなるでしょうか。そうなるでしょう。
加來道雄博士:事態が進行するにつれて、文字通り、新しい章を作っています。
私たちは完全に地図に載っていない領域にいます。例えば、原子力工学の本を手に入れるとします。最後の章を見てください。
すると、このシナリオは地球のどんな原子力工学の教科書の最後の章にも載っていません。つまり、事態が進行するにつれて、新しい章を作っているのです。
そして、私たちは、今行われているこの科学実験のためのモルモットです。
そして、最終的に原子炉を解体するには最大10年かかるでしょう。最終段階は石棺です。
現在これは東芝によって公式に推薦された方法であり、何十年もの期間にわたって原子炉を石棺するという、チェルノブイリで起こった方法と同様のものです。
エイミー・グッドマン: どうやって石棺するのですか...?
加來道雄博士: 巨大なコンクリートの建造物でです。炉心が地面に溶け出さないように原子炉の地下を掘らなければなりません。そして、5000トンのコンクリートと砂を燃える原子炉の上から被せるのです。
エイミー・グッドマン: 私たちは「日本から」の食物に関して心配するべきですか。
加來道雄博士: その必要はないと思います。でも、その地域の海から規制値を何百万倍も超えるレベルの放射性物質が検出されたことを覚えておいてください。しかし、最初にエイミーさんが話されたとおり、放射線量は、かなり下がっています。
エイミー・グッドマン: 米国の政策について話したかったのですが、つまり、日本のこの恐ろしい事故が起きているのを目のあたりにしているわけです。日本は原子力時代の夜明けを目標としていました。
加來道雄博士: ええ。
エイミー・グッドマン:米国は、広島と長崎に原子爆弾を落としました。加來教授のご家族は、原子力時代の歴史を体験していらっしゃいます。現在の米国の政策を話す前に、少しそのお話をしてくださいませんか。
加來道雄博士: はい。まず、わたしの親戚は東京に住んでいます。彼らは避難するべきかどうか迷っています。実は、親戚の何人かはすでに東京から避難しました。彼らには小さな子供たちがいるのです。そして、放射線物質はすでに東京の飲料水からも見つかっています。だから、人々は、特に小さな子供がいる人たちや妊婦の方たちは、避難するべきかどうか迷っています。多くの人々は積極的に東京から避難しています。なぜなら、放射線が与える全ての影響を低く見積もる東京電力の発表を単に信じていないからです。
エイミー・グッドマン:そして、加來教授のご家族の歴史についてですが、ご両親は、過去に日系アメリカ人の捕虜収容所に抑留されていましたか。
加來道雄博士: その通りです。カリフォルニアで、米軍の監視の下、1942年から1946年の4年間、私の両親は実際、有刺鉄線と機関銃の後ろに置かれた強制収容所で抑留されました。
エイミー・グッドマン: しかも、加來教授は、原子力物理学者になられ、興味深いことに、日本に原子爆弾を落とした人々と一緒に働いていました。
加來道雄博士: ええ、実は、私の高校のアドバイザーが、水素爆弾の父と言われたエドワード・テラー氏だったのです。
そして、彼は実際、私が奨学金をもらうようにハーバードに手配してくれました。そして、そこから私の原子物理学者としての経歴が始まりました。
そして、エドワード・テラー氏は、もちろん私にスターウォーズ計画で働いて欲しかったのです。 彼は、多くの圧力をかけて、「ほら、特別研究員の地位や奨学金をあげるから、ロスアラモス国立研究所、リバーモア国立研究所に行きなさい。水素爆弾を設計してください。」と言いました。
しかし、私は断りました。「私の専門的技術を戦争を促進するために使用されたくありません。」と、私は言ったのです。
エイミー・グッドマン:そして、米国での原子力の話になると、とてもはっきりとモノをおっしゃられますね。今回の福島原発事故は、もちろん世界中の原子力発電所に大変な問題提起をしました。
多くの国が、これ以上原発をつくるのに反対しました。ところが、オバマ大統領は反対の立場を取っています。 彼は実にヌークリア・ルネッサンス男です。
彼は、ガソリンの値段を上げたり、温室効果ガスの排出規制についての会議を開いたりして、原子力産業を再び促進させるヌークリア・ルネッサンスについて語っており、今回の事故が起こっても引き返すこともなく、それどころか、10年以内に最初の原子力発電所を建設すると実際に繰り返しました。
加來道雄博士: さて、ファウスト的契約と呼ばれることがあります。
ファウストは、無制限なパワーを手に入れるために悪魔に魂を売り渡した神話上の人物でした。
今、日本の政府はファウスト的契約でさいころを振りました。 日本には非常に少ない化石燃料の蓄えしかなく、水力発電も話すに及ばないほど少ないので、原子力発電を取り入れました。
しかしながら、米国では、歴史のこの重要な節目に立って、政府が次世代の原子炉に行くかどうか決定するのを見守っています。次世代の原子炉は、ガスで冷却される礫岩盤原子炉と呼ばれ、現在の原子炉より安全性は高いですが、それでも、メルトダウンするのです。この新しいルネッサンスの提案者は、原子炉がメルトダウンしている最中でも、外へ食事に出かけて悠長な会話ができるとしています。
しかし、それでも、メルトダウンは避けられないのです。それが結論です。
エイミー・グッドマン:それでは、何が起こるべきだと思いますか。 米国で新しい原子力発電所が建設されるべきだと思いますか。
加來道雄博士: 私は、国民的な議論、つまり、潜在的モラトリアムに関しての国民的な議論が交わされるべきだと思います。 アメリカ国民に真実の全貌は与えられていません。例えば、まさしくニューヨーク市の北、ちょうど私たちが今いるところから約50キロ北に行ったところに、インディアン・ポイント原子力発電所がありますが、原子力規制委員会は、その原発の全ての原子炉が地震に遭いやすいことを認めました。まさにニューヨーク市のすぐ隣りの原発が、地震が起こりやすい原発のリストの一番最初に載っているのです。そして、政府が、1980年に見積もったインディアン・ポイント原子力発電所で事故が起きた場合の物的損害額は、約2000億ドル(16.6兆円)でした。
エイミー・グッドマン: 民間企業では原子力発電所を建設するのは無理ですね。納税者に勘定を払わせなければなりませんね。
加來道雄博士: 米国政府に保険を保証させる、いわゆる「プライスアンダーソン法」が必要となります。だれも保険証を原子力発電所に保証したり、販売したりしないでしょう。
いったい、だれが2000億ドルの事故のために支払う余裕があるというのですか。それが、米国政府があらゆる原子力発電所に保険を契約した理由です。
それで、プライスアンダーソン法は米国政府や納税者が保険に契約するのを強制する議会の行為です、なぜなら、原子力発電所は、保険が保障されないからです。
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日本の状況を議論するために、日系アメリカ人の物理学者であり、ベストセラーの作家でもあり、ニューヨーク市立大学シティカレッジの理論物理学部教授である加來道雄氏をお招きしました。彼の新書は、『物理学の未来:2100年までに科学はどのように毎日の生活を変えるのか』です。
ようこそ、「Democracy Now!」へ。また、お会いできて光栄です。
加來道雄博士: エイミー、ショーにお招きいただきましてありがとうございます。
エイミー・グッドマン:まず、福島第一原発がチェルノブイリと同じカテゴリーの「レベル7」になったことについてお話しいただけますでしょうか。
加來道雄博士: さて、この原子力事故の大きな衝撃を控え目に扱おうとして、東京電力は最初は「レベル7」になったことを否定していました。
しかしながら、この事故がどんなレベルであるかを決定づける公式、数式があります。 この事故は、すでに5京ベクレルの放射能を放出しました。計算してみて下さい。原子事故評価のレベル7に当たります。まだ、チェルノブイリ以下です。
しかしながら、放射能は、原子炉から漏れ続けています。状況は全く安定していません。 つまり、福島第一原発は、カチカチと音を立てる時限爆弾を抱えているようなものです。
それは安定しているように見えますが、本の小さな引き金(たとえば、二次地震、パイプ破損事故、福島の作業員の避難など)で、3基の原子炉で完全な炉心溶解を起こして、チェルノブイリを超える規模になる可能性もあるのです。
エイミー・グッドマン:物理学者として、実際に日本のこれらの原子力発電所で何が起きているのかみんながわかるように説明して下さいませんか。
加來道雄博士: 自動車の運転を思い浮かべてください。もし、車が突然暴走しだしたら、まずは、ブレーキを踏みますね。でも、ブレーキは利きません。地震と津波で、安全制御装置が破壊されてしまったからです。
そのとき、ラジエータが加熱されて爆発します。それが、水素ガス爆発です。それから、もっと最悪なことに、ガソリンタンクが熱くなって、突然車全体が炎に包まれます。それが、完全なメルトダウンです。
そうしたら、何をしますか。車を川まで運転します。これが、炉心より上に水を保つために太平洋の海水を注入するといった、施設で行われた破れかぶれの方法です。
しかし、海水には塩が含まれているため、車のラジエーターをだめにします。そうなったら、何をしますか。地元の消防士を呼びます。そして、
日本人のサムライ戦士たちが来ました。彼らは、これが決死隊の任務であることをうすうす気づいています。溶融した炉心の上からホースで水を注水し続けます。
ですから、当局が全て安定していると言うときは、崖っぷちに爪だけでぶら下がっている状態が安定しているという意味で、時間がたつにつれて、爪が一枚一枚剥がれていくのです。現在は、そんな状況です。
エイミー・グッドマン: 食物の汚染レベルについてはどうですか。これから、徐々に輸出が禁止されていくのでしょうか。
加來道雄博士: 悲劇はこの事故が、チェルノブイリの約10%にあたる多量の放射性物質であるヨウ素-131を放出したということです。ヨウ素は水溶性です。 雨が降ると、土に吸収されます。 牛は植物を食べて、ミルクを作ります。
そして、次に、ミルクの中で濃縮されます。 ミルクに含まれる放射性物質濃度が高過ぎるので、農家では、今、その場でミルクを全て捨てています。食物はその地域で囲い込まれなければなりません。
そして、率直に言って、「チェルノブイリ製」と表示された食物を買いますか。そして、日本人もまた、「福島産と表示された食物を買うべきですか?」と、言っています。
私たちは地域経済の崩壊に関して話しています。 ただ、政府がすべての数を故意に低く見積もろうとし、事故の厳しい状態を控えめに扱っているため、事態をさらに悪化させています。
エイミー・グッドマン:それでは、今、何をするべきですか。つまり、大きな問題の一つは、福島原発を経営する東京電力と事故当初から常に事故の重大さを控えめに報告してきた政府の隠蔽体質です。しかし、補償を要求しながら批難している多くの人々がいます。仕事もなく、お金もない福島の避難民たちが、「私たちは補償を要求します。」と言って、東京電力に強く抗議したところでした。
加來道雄博士: さて、TEPCOは*小さなオランダ人の少年に似ています。 突然、堤防にひびが入りました。一人がこの穴を指でふさぎ、もう1人は、あそこを指でふさぎます。すると、突然新しい漏出が始りまって、そして、みんなくたくたになります。
東京電力や政府は、リーダーシップから完全に外されて、監査役の地位に置かれるべきです。
世界でトップの物理学者や技術者からなるチームに日本の自衛隊を利用する権限を与え、彼らの後を引き継がせるべきです。日本の自衛隊こそが、この大掛かりな事故を抑制できる唯一の組織であると考えています。
そして、それは、1986年にゴルバチョフがやったことです。彼はチェルノブイリでこの燃える原子力発電所を見たとき、レッド・エア・フォースと呼ばれる空軍を呼び出しました。
同時にゴルバチョフは、ヘリコプター、タンク、装甲兵員輸送車を呼び出して、5,000トンのセメント、砂、およびホウ酸でチェルノブイリ原子炉を埋めました。 それはもちろん決死の努力でした。
しかし、私は、日本の自衛隊が呼び出されるべきであると思います。
エイミー・グッドマン: 何のために...?
加來道雄博士: 放射線レベルがとても高いため、作業員たちは多分、1度に10分か15分作業しただけで、1年間の放射線量に達してしまう。
もし、そこに1時間もいたら、放射線病にかかってしまうでしょう。吐き気をもよおし、白血球が減少し、髪の毛は抜け落ちる。そこに1日いたら、致死量の放射線をあびるでしょう。
チェルノブイリでは、60万人が動員されました。それぞれが約数分だけ砂やコンクリートやホウ酸を原子炉の現場に運ぶ作業をしました。作業をした一人ひとりがメダルをもらいました。
こうしてやっと、一つの大きな原子力事故が収まったのです。それに比べ、日本側は、単に圧倒されてしまっています。
エイミー・グッドマン: でも、作業員たちは、これからもずっと長い間作業し続けなければならないのでしょう。
加來道雄博士: その通りです。それに、現場にモニターがないため、作業員たちがどのくらいの放射線をあびているのかさえわからないのです。
だから、自衛隊へのアクセスがあれば、原子炉を砂袋で埋めるか、コンクリートで封じるか、少なくとも、自衛隊を短期間だけでも現場に送るという選択がもて、この怪物のように危険な原子炉を制御することができるのです。
エイミー・グッドマン:避難範囲についてはどうですか。それは、十分でしょうか。
加來道雄博士: 哀れなものです。
米国政府は、米国人の原発からの避難地域を80キロに定めました。フランス政府は、フランス人に日本から脱出することを勧めました。
ところが、日本政府は、避難区域は10キロとか15キロとか20キロなどと言っています。 だから、日本人たちは、「政府は大丈夫か。なぜ、真実を伝えないのか?」と疑問を抱いています。
放射能濃度は今、日本政府が指定した避難区域をとっくに超えて原発から40キロの区域まで上昇しています。 そして、覚えておいてください。
いまに、白血病や甲状腺癌の増加が見えてくるでしょう。それは多量のヨウ素を環境に放出した結果です。
エイミー・グッドマン: 福島原発は最終的にどのような結末を迎えますか。
加來道雄博士: さて、これが東京電力自体によって考案されたシナリオの中でベストのケースでは、今年中に原子炉を制御可能とすることです。 年末までには、ポンプを復旧させ、最終的に原子炉を安定させることを望んでいます。
エイミー・グッドマン:なんだか、メキシコ湾に原油を流出させてしまったBP(British Petroleum)が原油流出の穴を塞ごうとしていた時に言っていたようなことに似てきましたね。
加來道雄博士: 確かに。
エイミー・グッドマン:そうなるでしょうか。そうなるでしょう。
加來道雄博士:事態が進行するにつれて、文字通り、新しい章を作っています。
私たちは完全に地図に載っていない領域にいます。例えば、原子力工学の本を手に入れるとします。最後の章を見てください。
すると、このシナリオは地球のどんな原子力工学の教科書の最後の章にも載っていません。つまり、事態が進行するにつれて、新しい章を作っているのです。
そして、私たちは、今行われているこの科学実験のためのモルモットです。
そして、最終的に原子炉を解体するには最大10年かかるでしょう。最終段階は石棺です。
現在これは東芝によって公式に推薦された方法であり、何十年もの期間にわたって原子炉を石棺するという、チェルノブイリで起こった方法と同様のものです。
エイミー・グッドマン: どうやって石棺するのですか...?
加來道雄博士: 巨大なコンクリートの建造物でです。炉心が地面に溶け出さないように原子炉の地下を掘らなければなりません。そして、5000トンのコンクリートと砂を燃える原子炉の上から被せるのです。
エイミー・グッドマン: 私たちは「日本から」の食物に関して心配するべきですか。
加來道雄博士: その必要はないと思います。でも、その地域の海から規制値を何百万倍も超えるレベルの放射性物質が検出されたことを覚えておいてください。しかし、最初にエイミーさんが話されたとおり、放射線量は、かなり下がっています。
エイミー・グッドマン: 米国の政策について話したかったのですが、つまり、日本のこの恐ろしい事故が起きているのを目のあたりにしているわけです。日本は原子力時代の夜明けを目標としていました。
加來道雄博士: ええ。
エイミー・グッドマン:米国は、広島と長崎に原子爆弾を落としました。加來教授のご家族は、原子力時代の歴史を体験していらっしゃいます。現在の米国の政策を話す前に、少しそのお話をしてくださいませんか。
加來道雄博士: はい。まず、わたしの親戚は東京に住んでいます。彼らは避難するべきかどうか迷っています。実は、親戚の何人かはすでに東京から避難しました。彼らには小さな子供たちがいるのです。そして、放射線物質はすでに東京の飲料水からも見つかっています。だから、人々は、特に小さな子供がいる人たちや妊婦の方たちは、避難するべきかどうか迷っています。多くの人々は積極的に東京から避難しています。なぜなら、放射線が与える全ての影響を低く見積もる東京電力の発表を単に信じていないからです。
エイミー・グッドマン:そして、加來教授のご家族の歴史についてですが、ご両親は、過去に日系アメリカ人の捕虜収容所に抑留されていましたか。
加來道雄博士: その通りです。カリフォルニアで、米軍の監視の下、1942年から1946年の4年間、私の両親は実際、有刺鉄線と機関銃の後ろに置かれた強制収容所で抑留されました。
エイミー・グッドマン: しかも、加來教授は、原子力物理学者になられ、興味深いことに、日本に原子爆弾を落とした人々と一緒に働いていました。
加來道雄博士: ええ、実は、私の高校のアドバイザーが、水素爆弾の父と言われたエドワード・テラー氏だったのです。
そして、彼は実際、私が奨学金をもらうようにハーバードに手配してくれました。そして、そこから私の原子物理学者としての経歴が始まりました。
そして、エドワード・テラー氏は、もちろん私にスターウォーズ計画で働いて欲しかったのです。 彼は、多くの圧力をかけて、「ほら、特別研究員の地位や奨学金をあげるから、ロスアラモス国立研究所、リバーモア国立研究所に行きなさい。水素爆弾を設計してください。」と言いました。
しかし、私は断りました。「私の専門的技術を戦争を促進するために使用されたくありません。」と、私は言ったのです。
エイミー・グッドマン:そして、米国での原子力の話になると、とてもはっきりとモノをおっしゃられますね。今回の福島原発事故は、もちろん世界中の原子力発電所に大変な問題提起をしました。
多くの国が、これ以上原発をつくるのに反対しました。ところが、オバマ大統領は反対の立場を取っています。 彼は実にヌークリア・ルネッサンス男です。
彼は、ガソリンの値段を上げたり、温室効果ガスの排出規制についての会議を開いたりして、原子力産業を再び促進させるヌークリア・ルネッサンスについて語っており、今回の事故が起こっても引き返すこともなく、それどころか、10年以内に最初の原子力発電所を建設すると実際に繰り返しました。
加來道雄博士: さて、ファウスト的契約と呼ばれることがあります。
ファウストは、無制限なパワーを手に入れるために悪魔に魂を売り渡した神話上の人物でした。
今、日本の政府はファウスト的契約でさいころを振りました。 日本には非常に少ない化石燃料の蓄えしかなく、水力発電も話すに及ばないほど少ないので、原子力発電を取り入れました。
しかしながら、米国では、歴史のこの重要な節目に立って、政府が次世代の原子炉に行くかどうか決定するのを見守っています。次世代の原子炉は、ガスで冷却される礫岩盤原子炉と呼ばれ、現在の原子炉より安全性は高いですが、それでも、メルトダウンするのです。この新しいルネッサンスの提案者は、原子炉がメルトダウンしている最中でも、外へ食事に出かけて悠長な会話ができるとしています。
しかし、それでも、メルトダウンは避けられないのです。それが結論です。
エイミー・グッドマン:それでは、何が起こるべきだと思いますか。 米国で新しい原子力発電所が建設されるべきだと思いますか。
加來道雄博士: 私は、国民的な議論、つまり、潜在的モラトリアムに関しての国民的な議論が交わされるべきだと思います。 アメリカ国民に真実の全貌は与えられていません。例えば、まさしくニューヨーク市の北、ちょうど私たちが今いるところから約50キロ北に行ったところに、インディアン・ポイント原子力発電所がありますが、原子力規制委員会は、その原発の全ての原子炉が地震に遭いやすいことを認めました。まさにニューヨーク市のすぐ隣りの原発が、地震が起こりやすい原発のリストの一番最初に載っているのです。そして、政府が、1980年に見積もったインディアン・ポイント原子力発電所で事故が起きた場合の物的損害額は、約2000億ドル(16.6兆円)でした。
エイミー・グッドマン: 民間企業では原子力発電所を建設するのは無理ですね。納税者に勘定を払わせなければなりませんね。
加來道雄博士: 米国政府に保険を保証させる、いわゆる「プライスアンダーソン法」が必要となります。だれも保険証を原子力発電所に保証したり、販売したりしないでしょう。
いったい、だれが2000億ドルの事故のために支払う余裕があるというのですか。それが、米国政府があらゆる原子力発電所に保険を契約した理由です。
それで、プライスアンダーソン法は米国政府や納税者が保険に契約するのを強制する議会の行為です、なぜなら、原子力発電所は、保険が保障されないからです。
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第一原発、絶えず新たな危機、現場は限界に
2011-04-21
綱渡りながらも原子炉のが一応冷却されている状態が続いている。
一応の方向が段々定まってきつつあるようだ。
放射能汚染の把握とその対策が重要になってきている。
確かに3月末ころに比べると、そのように感じるのだが、最初から半年間位を予想想定すると、まだまだかなり危険な綱渡りなのが事実だ。
実際の爆発破壊の写真を図面と比較すると、具合が悪くなるほどに悲惨である。
参照:「3、4号機の詳細な図面、写真、熱分布とその分析」、「爆発した3、4号機の鮮明な写真」
何より、現在のポンプ注水では、本当に必要な水量の数十分の一の量であり、なかなか温度が下がらず、その間に新たな危険条件が発生する。
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福島第一原発の現場はもはや限界に近い再び迫る危機 4/20週刊現代
o 同位体塩素38が意味すること
運転中だった3つの原子炉に加え、4つの使用済み燃料プール―合計7つの核燃料が、コントロール不能の化け物のように暴走し、いまだ冷温停止へのメドさえ立たない。
1ヵ所を抑えてもほかが危機を迎え、そちらに傾注するとまた別のところから緊急事態が発生する。チェルノブイリ事故ともスリーマイル事故とも違う「フクシマ」の大問題とは、この「7頭の化け物」なのである。
大規模な爆発を起こした3号機に集中的に放水した結果、炉心を低温・低圧力に保つことに成功したが、今度は1号機内の炉心温度が上がり始めた。さらに、定期点検中で休止していた4号機の使用済み燃料プールからも、大量の放射線が漏れている可能性がある。
東京電力幹部はこう話す。
「社内では、楽観視する雰囲気はまるでない。放射性物質の封じ込めには、『最低でも数ヵ月はかかるな』という会話が交わされています。正直言って、いつ頃ヤマを越えるのかも見当がつかない。官邸サイドからは、『福島第一を何が何でも止めろ』と言われているが、(放射)線量が高く、復旧作業には通常の何倍も時間がかかる」
そして、この幹部はこう続けた。
「タービン建屋内の排水が終わったら、電源復旧の〝決死隊〟が行くしかない。線量が高いのは承知のうえだから、人海戦術になる。ほかに方法がない。あったら教えてほしいくらいだ」
別の幹部からも、こう苦しい声が漏れる。
「(原子炉を)冷やすためには水を入れ続けなければいけないが、そうすると汚い水(汚染水)が出てきてしまう。難しい。いつ終わるか、全然分からない。現場の作業員、幹部も、肉体的な疲労以上に精神的に限界に達しつつある。悪夢を見ているようで、満足に仮眠もとれないようだ」
福島第一原発の現状について新聞、テレビなどの報道量は一時に比べかなり減ったが、状況が改善しているわけではない。元東芝の原子炉技術者・後藤政志氏はこう危惧している。
「いまは小康状態を保っているように見えますが、この状態を本当に維持できるのかどうか、心配する声が専門家の間で出ています。いまのように外から水を入れるだけで、圧力容器、格納容器の温度を維持できるのか。水素爆発の可能性も、まだあります。燃料の露出があれば、水素は出てきますし、それが酸素と反応すれば爆発する。すべての水素が出きったとは考えていません」
後藤氏の発言を裏付けるように、東京電力は4月6日深夜から、1号機に窒素ガスの注入を開始した。格納容器中の酸素の割合を相対的に減らすことによって、水素爆発を回避しようという狙いである。
アメリカの原発関連会社副社長を務めたアーノルド・ガンダーセン氏は公表された資料・写真から1号機、4号機について重要な指摘をしている。
「東京電力が発表したデータによると、1号機からはヨウ素131と、テルル129が検出されています。これは、1号機の炉内で核分裂の連鎖反応が起きている明白な証拠です。
その理由として考えられるのは、当初、炉を冷やすために入れた海水中に含まれた成分が、壊れた核燃料と反応し、小さな連鎖反応を起こしているということです。原発は地震の直後、制御棒が入って自動停止したのに、またひとりでに反応が起きているんです。
半減期が8日間と短いヨウ素が、1号機だけほかの10倍も検出されているのは1号機内で反応が起きているためでしょう。また、テルル129は連鎖反応が起きているときにしか、検出されない物質です」
ガンダーセン氏はもう一点、「同位体塩素38」が検出されていることにも注目する。これは自然界に存在しないが、海水に含まれる通常の塩素37が中性子を吸収することによって発生するという。つまり、はじめに原子炉内に注入した海水が核燃料と反応し、塩素38を発生させた可能性が極めて高い。
o 4号機の燃料も露出
これまでもっとも恐れられていたのは、連鎖的な核分裂反応が始まり、制御できなくなる「再臨界」状態に突入することだった。外部から水を入れ、冷却することで再臨界は避けられたと思われていたが、ガンダーセン氏によると、微弱な連鎖反応は1号機内ですでに起きている。
その結果、放射性ヨウ素が次々に生成され、外部に放出されている状態だという。
「牛乳も、海水も、ヨウ素が放出される限り長期間にわたって汚染され続ける。
それだけではありません。原子炉がひとりでに連鎖反応を起こし、熱を生み出すと、今後また爆発することもありえます」(ガンダーセン氏)
後藤氏同様ガンダーセン氏も、1号機が再度、水素爆発を起こす可能性に言及した。
ガンダーセン氏がいま、もうひとつ心配しているのは4号機である。
「東京電力が発表したデータを見ても、4号機に関する数字がありません。そのこと自体、とても怖い事実です。私が注目しているのは、東京電力が3月24日に撮影し、31日に公表した写真です。上から見ると、4号機の燃料プールがあるはずの部分には、使用済み燃料を納めたラックの上部が見える。つまり、4号機の使用済み燃料は一部、水中から出て露出しているんです。
さらに気になるのは、4号機は水素爆発で建物が大きく損壊し、建屋の上部だけでなく壁も破壊されていることです。おそらく、燃料プールの壁の一部が壊れ、上からいくら水を入れても溜まらずにこぼれてしまう状態になっているのだと思います。最悪の場合、4号機のプールから出火し、大量の放射線を撒き散らす可能性がある。アメリカのブルックヘブン国立研究所の警告のように、13万8000人ががんで亡くなる可能性があるという事態が、本当に起こるかもしれない。また、中性子は非常に計測が難しいので、作業に当たる職員が知らぬ間に被曝してしまっている可能性がある」
いま東京電力の現場部隊は、主に2号機の破損した格納容器から漏れ出した大量の汚染水の処理に躍起になっている。しかしその間も、1号機、4号機の恐怖はじわりじわりと進行中なのである。
o 格納容器の損傷
今後、事態を好転させるために、切り札となるような手立てはないのか。前出の東京電力幹部が、
「あればこちらが教えてほしい」
と自嘲するように、いま検討されている案はどれも一長一短である。
(1) ロボットを遠隔操作して放射線濃度の高いエリアで働かせる
(2) 原発を薄い膜のような構造物で覆い、放射線の漏出・飛散を防ぐ
(3) 原発の外部に新たに冷却装置を取り付ける
(4) 以前日本が開発し、ロシアに供与した放射能汚染処理が可能な浮体構造物「すずらん」を汚染水の貯蔵に使う
このうち、(1)のロボットは4月6日に試運転が行われ、近日中に実際に使用する予定だという。ちなみに使用されるロボットのうちのひとつはアメリカのベンチャー企業「アイロボット」社製。同社は人気のお掃除ロボット「ルンバ」の開発元でもある。
「ロボットが使えるのは、瓦礫の除去や、消火・計測などの単純作業が中心で、電気配線の復旧などの複雑な細かい作業は熟練の作業員がやるしかない。そこはやっぱり〝決死隊〟になるんです」(東京電力社員)
(2)の原発を覆うテントのような構造物については、前出の後藤氏がこう評する。
「基本的にはできることはやったほうがいいと思いますが、(テントの)下のほう、地面と接する部分をどうやって閉じ込めるかなど、いろいろ難しいと思う」
ほかの専門家も、今後も水素の漏出が止まらなければ、テント内に水素が溜まり、爆発しやすくなると指摘している。
第一、テントの敷設工事をするにも十分に周辺の放射線濃度が下がっていなければ、その作業自体が「決死隊」になってしまう。
(3)の外部冷却装置案も同様で、新しい冷却装置を首尾よく短期間で準備できたとしても、それを炉心に取り付ける作業をするのはかなりの被曝を覚悟しなければできない。それでも東電内部には、
「津波で故障している可能性が高い内部冷却装置を修復するよりも、外部に新たに冷却装置を取り付けるほうが早いのではないか」
という声があるという。いずれにせよ、今後数ヵ月間冷却を続けて放射線の漏出量が十分に下がってからでないと、着手できる作業ではない。
(4)の「すずらん」は、ロシアから無償提供の申し出があるが、今後実際に福島での使用が決まっても、曳航するのにかなり時間がかかりそうだ。
いずれにせよ、長期戦は必至。このままの状態が続けば、今後どのような「不測の事態」が起こりうるのか。
大阪大学名誉教授・宮崎慶次氏は、圧力容器内にある制御棒管が損傷し、燃料が漏出することを危惧する。
「1号機は燃料の約7割が損傷していることが明らかになりました。炉内の上のほうにある燃料棒が溶けると、それがどさっと下に落ちて圧力容器の底に穴が開くんじゃないかと皆さん心配されていますが、構造上、そういうことにはならないと思います。
福島第一の場合、制御棒駆動機構と呼ばれる装置がある。落ちた燃料は、その装置に引っかかってしまうと思う。そうすると下側に水がある格好になるので、燃料が下部に溜まって圧力容器の下部が溶融して貫通するという『最悪の事態』には至らない。しかし、燃料棒を通す管がそれによって損傷を受けることはありうると思います」
後藤氏、ガンダーセン氏が指摘するように水素爆発が起きれば、今度は建屋ではなく、格納容器を大きく破損し、放射線の漏出が甚大なものになる可能性がある。
「東京電力が毎日、放射線の漏出量や、炉内の温度などのデータを公表していますが、それがどのような計器を使って、どのような手法でとられたものかわからないので、評価するのは難しい。計器が壊れている可能性もあるが、東京電力はなにも見解を言わないですから。
私が気にしているのは、圧力容器の外側にある格納容器の温度です。いまは圧力容器のほうばかり気にしているようですが、格納容器のほうも圧力、温度が上がって限界に達してしまう可能性があります。そこで水素爆発が起こると、格納容器が損傷し、非常に高濃度の放射能が漏れる。それがもっとも憂慮すべき事態だと思います」(前出・後藤氏)
o 現場ももう限界
解決への道筋やタイムスケジュールはいまだに描けていない一方、一歩間違えば重大事態に至る。ギリギリの綱渡りをしながら、長期戦を戦い抜くしかない。しかもその間、放射線の漏出は止めどなくつづく。
現場で働く東電社員たちは、莫大な作業量の前に茫然としているのが実情のようだ。
「水素と酸素のバランスをとるための予防的な窒素注入を6日間かけてやるが、注入によってかえって爆発を招く可能性さえある。そうなったら、作業を中断しなければいけない。
建屋にたまった汚染水を移し替えるタンクの設置もこれから。完全に除去するまでには、かなりの時間がかかる。いまはまだ時期を見通せない。現場で陣頭指揮に当たる吉田昌郎所長は、
『自衛隊や消防、協力会社さんとのコミュニケーションをとって、(放水など)一つ一つの仕事をしっかりとやってほしい』
と言っていますが、最近はさすがに疲労困憊しています。福島第一には500名前後がいて、人数的には以前より改善され、睡眠も取れるようになっているが、それぞれの被曝線量が基準をオーバーしないように管理する必要があり、放射線管理員が計測にてんてこまいになっている」(前出・東京電力社員)
当初最前線で作業にあたっていた人員は被曝線量が基準値をオーバーすると東京の本店などに戻されているが、いつまた声がかかるかわからない。
一方、その本店では清水正孝社長が入院して一時第一線を離れてしまった。4月7日に復帰したが、当面は被災者対策にあたる。原発対策は、勝俣恒久会長を中心に武藤栄・副社長とフェローの武黒一郎氏(前副社長)の二人が支えるという。
「一度役員を退任した武黒まで復帰して事態の処理に当たらなければいけないのが、人材難を象徴しています。しかし、武黒は'07年の中越沖地震で柏崎刈羽原発で火災が起きたとき、現地で指揮をとっている。技術系社員からの信望が非常に厚いんです」(別の東京電力社員)
一度は退任した幹部までつぎ込むほど、東京電力の「問題解決力」は限界に近づいている。原子力村の学者たちはじめ、いままで専門家と称していた原子力ムラの住人たちは、持てる能力のすべてを問題解決のために提供すべきだろう。
一応の方向が段々定まってきつつあるようだ。
放射能汚染の把握とその対策が重要になってきている。
確かに3月末ころに比べると、そのように感じるのだが、最初から半年間位を予想想定すると、まだまだかなり危険な綱渡りなのが事実だ。
実際の爆発破壊の写真を図面と比較すると、具合が悪くなるほどに悲惨である。
参照:「3、4号機の詳細な図面、写真、熱分布とその分析」、「爆発した3、4号機の鮮明な写真」
何より、現在のポンプ注水では、本当に必要な水量の数十分の一の量であり、なかなか温度が下がらず、その間に新たな危険条件が発生する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
福島第一原発の現場はもはや限界に近い再び迫る危機 4/20週刊現代
o 同位体塩素38が意味すること
運転中だった3つの原子炉に加え、4つの使用済み燃料プール―合計7つの核燃料が、コントロール不能の化け物のように暴走し、いまだ冷温停止へのメドさえ立たない。
1ヵ所を抑えてもほかが危機を迎え、そちらに傾注するとまた別のところから緊急事態が発生する。チェルノブイリ事故ともスリーマイル事故とも違う「フクシマ」の大問題とは、この「7頭の化け物」なのである。
大規模な爆発を起こした3号機に集中的に放水した結果、炉心を低温・低圧力に保つことに成功したが、今度は1号機内の炉心温度が上がり始めた。さらに、定期点検中で休止していた4号機の使用済み燃料プールからも、大量の放射線が漏れている可能性がある。
東京電力幹部はこう話す。
「社内では、楽観視する雰囲気はまるでない。放射性物質の封じ込めには、『最低でも数ヵ月はかかるな』という会話が交わされています。正直言って、いつ頃ヤマを越えるのかも見当がつかない。官邸サイドからは、『福島第一を何が何でも止めろ』と言われているが、(放射)線量が高く、復旧作業には通常の何倍も時間がかかる」
そして、この幹部はこう続けた。
「タービン建屋内の排水が終わったら、電源復旧の〝決死隊〟が行くしかない。線量が高いのは承知のうえだから、人海戦術になる。ほかに方法がない。あったら教えてほしいくらいだ」
別の幹部からも、こう苦しい声が漏れる。
「(原子炉を)冷やすためには水を入れ続けなければいけないが、そうすると汚い水(汚染水)が出てきてしまう。難しい。いつ終わるか、全然分からない。現場の作業員、幹部も、肉体的な疲労以上に精神的に限界に達しつつある。悪夢を見ているようで、満足に仮眠もとれないようだ」
福島第一原発の現状について新聞、テレビなどの報道量は一時に比べかなり減ったが、状況が改善しているわけではない。元東芝の原子炉技術者・後藤政志氏はこう危惧している。
「いまは小康状態を保っているように見えますが、この状態を本当に維持できるのかどうか、心配する声が専門家の間で出ています。いまのように外から水を入れるだけで、圧力容器、格納容器の温度を維持できるのか。水素爆発の可能性も、まだあります。燃料の露出があれば、水素は出てきますし、それが酸素と反応すれば爆発する。すべての水素が出きったとは考えていません」
後藤氏の発言を裏付けるように、東京電力は4月6日深夜から、1号機に窒素ガスの注入を開始した。格納容器中の酸素の割合を相対的に減らすことによって、水素爆発を回避しようという狙いである。
アメリカの原発関連会社副社長を務めたアーノルド・ガンダーセン氏は公表された資料・写真から1号機、4号機について重要な指摘をしている。
「東京電力が発表したデータによると、1号機からはヨウ素131と、テルル129が検出されています。これは、1号機の炉内で核分裂の連鎖反応が起きている明白な証拠です。
その理由として考えられるのは、当初、炉を冷やすために入れた海水中に含まれた成分が、壊れた核燃料と反応し、小さな連鎖反応を起こしているということです。原発は地震の直後、制御棒が入って自動停止したのに、またひとりでに反応が起きているんです。
半減期が8日間と短いヨウ素が、1号機だけほかの10倍も検出されているのは1号機内で反応が起きているためでしょう。また、テルル129は連鎖反応が起きているときにしか、検出されない物質です」
ガンダーセン氏はもう一点、「同位体塩素38」が検出されていることにも注目する。これは自然界に存在しないが、海水に含まれる通常の塩素37が中性子を吸収することによって発生するという。つまり、はじめに原子炉内に注入した海水が核燃料と反応し、塩素38を発生させた可能性が極めて高い。
o 4号機の燃料も露出
これまでもっとも恐れられていたのは、連鎖的な核分裂反応が始まり、制御できなくなる「再臨界」状態に突入することだった。外部から水を入れ、冷却することで再臨界は避けられたと思われていたが、ガンダーセン氏によると、微弱な連鎖反応は1号機内ですでに起きている。
その結果、放射性ヨウ素が次々に生成され、外部に放出されている状態だという。
「牛乳も、海水も、ヨウ素が放出される限り長期間にわたって汚染され続ける。
それだけではありません。原子炉がひとりでに連鎖反応を起こし、熱を生み出すと、今後また爆発することもありえます」(ガンダーセン氏)
後藤氏同様ガンダーセン氏も、1号機が再度、水素爆発を起こす可能性に言及した。
ガンダーセン氏がいま、もうひとつ心配しているのは4号機である。
「東京電力が発表したデータを見ても、4号機に関する数字がありません。そのこと自体、とても怖い事実です。私が注目しているのは、東京電力が3月24日に撮影し、31日に公表した写真です。上から見ると、4号機の燃料プールがあるはずの部分には、使用済み燃料を納めたラックの上部が見える。つまり、4号機の使用済み燃料は一部、水中から出て露出しているんです。
さらに気になるのは、4号機は水素爆発で建物が大きく損壊し、建屋の上部だけでなく壁も破壊されていることです。おそらく、燃料プールの壁の一部が壊れ、上からいくら水を入れても溜まらずにこぼれてしまう状態になっているのだと思います。最悪の場合、4号機のプールから出火し、大量の放射線を撒き散らす可能性がある。アメリカのブルックヘブン国立研究所の警告のように、13万8000人ががんで亡くなる可能性があるという事態が、本当に起こるかもしれない。また、中性子は非常に計測が難しいので、作業に当たる職員が知らぬ間に被曝してしまっている可能性がある」
いま東京電力の現場部隊は、主に2号機の破損した格納容器から漏れ出した大量の汚染水の処理に躍起になっている。しかしその間も、1号機、4号機の恐怖はじわりじわりと進行中なのである。
o 格納容器の損傷
今後、事態を好転させるために、切り札となるような手立てはないのか。前出の東京電力幹部が、
「あればこちらが教えてほしい」
と自嘲するように、いま検討されている案はどれも一長一短である。
(1) ロボットを遠隔操作して放射線濃度の高いエリアで働かせる
(2) 原発を薄い膜のような構造物で覆い、放射線の漏出・飛散を防ぐ
(3) 原発の外部に新たに冷却装置を取り付ける
(4) 以前日本が開発し、ロシアに供与した放射能汚染処理が可能な浮体構造物「すずらん」を汚染水の貯蔵に使う
このうち、(1)のロボットは4月6日に試運転が行われ、近日中に実際に使用する予定だという。ちなみに使用されるロボットのうちのひとつはアメリカのベンチャー企業「アイロボット」社製。同社は人気のお掃除ロボット「ルンバ」の開発元でもある。
「ロボットが使えるのは、瓦礫の除去や、消火・計測などの単純作業が中心で、電気配線の復旧などの複雑な細かい作業は熟練の作業員がやるしかない。そこはやっぱり〝決死隊〟になるんです」(東京電力社員)
(2)の原発を覆うテントのような構造物については、前出の後藤氏がこう評する。
「基本的にはできることはやったほうがいいと思いますが、(テントの)下のほう、地面と接する部分をどうやって閉じ込めるかなど、いろいろ難しいと思う」
ほかの専門家も、今後も水素の漏出が止まらなければ、テント内に水素が溜まり、爆発しやすくなると指摘している。
第一、テントの敷設工事をするにも十分に周辺の放射線濃度が下がっていなければ、その作業自体が「決死隊」になってしまう。
(3)の外部冷却装置案も同様で、新しい冷却装置を首尾よく短期間で準備できたとしても、それを炉心に取り付ける作業をするのはかなりの被曝を覚悟しなければできない。それでも東電内部には、
「津波で故障している可能性が高い内部冷却装置を修復するよりも、外部に新たに冷却装置を取り付けるほうが早いのではないか」
という声があるという。いずれにせよ、今後数ヵ月間冷却を続けて放射線の漏出量が十分に下がってからでないと、着手できる作業ではない。
(4)の「すずらん」は、ロシアから無償提供の申し出があるが、今後実際に福島での使用が決まっても、曳航するのにかなり時間がかかりそうだ。
いずれにせよ、長期戦は必至。このままの状態が続けば、今後どのような「不測の事態」が起こりうるのか。
大阪大学名誉教授・宮崎慶次氏は、圧力容器内にある制御棒管が損傷し、燃料が漏出することを危惧する。
「1号機は燃料の約7割が損傷していることが明らかになりました。炉内の上のほうにある燃料棒が溶けると、それがどさっと下に落ちて圧力容器の底に穴が開くんじゃないかと皆さん心配されていますが、構造上、そういうことにはならないと思います。
福島第一の場合、制御棒駆動機構と呼ばれる装置がある。落ちた燃料は、その装置に引っかかってしまうと思う。そうすると下側に水がある格好になるので、燃料が下部に溜まって圧力容器の下部が溶融して貫通するという『最悪の事態』には至らない。しかし、燃料棒を通す管がそれによって損傷を受けることはありうると思います」
後藤氏、ガンダーセン氏が指摘するように水素爆発が起きれば、今度は建屋ではなく、格納容器を大きく破損し、放射線の漏出が甚大なものになる可能性がある。
「東京電力が毎日、放射線の漏出量や、炉内の温度などのデータを公表していますが、それがどのような計器を使って、どのような手法でとられたものかわからないので、評価するのは難しい。計器が壊れている可能性もあるが、東京電力はなにも見解を言わないですから。
私が気にしているのは、圧力容器の外側にある格納容器の温度です。いまは圧力容器のほうばかり気にしているようですが、格納容器のほうも圧力、温度が上がって限界に達してしまう可能性があります。そこで水素爆発が起こると、格納容器が損傷し、非常に高濃度の放射能が漏れる。それがもっとも憂慮すべき事態だと思います」(前出・後藤氏)
o 現場ももう限界
解決への道筋やタイムスケジュールはいまだに描けていない一方、一歩間違えば重大事態に至る。ギリギリの綱渡りをしながら、長期戦を戦い抜くしかない。しかもその間、放射線の漏出は止めどなくつづく。
現場で働く東電社員たちは、莫大な作業量の前に茫然としているのが実情のようだ。
「水素と酸素のバランスをとるための予防的な窒素注入を6日間かけてやるが、注入によってかえって爆発を招く可能性さえある。そうなったら、作業を中断しなければいけない。
建屋にたまった汚染水を移し替えるタンクの設置もこれから。完全に除去するまでには、かなりの時間がかかる。いまはまだ時期を見通せない。現場で陣頭指揮に当たる吉田昌郎所長は、
『自衛隊や消防、協力会社さんとのコミュニケーションをとって、(放水など)一つ一つの仕事をしっかりとやってほしい』
と言っていますが、最近はさすがに疲労困憊しています。福島第一には500名前後がいて、人数的には以前より改善され、睡眠も取れるようになっているが、それぞれの被曝線量が基準をオーバーしないように管理する必要があり、放射線管理員が計測にてんてこまいになっている」(前出・東京電力社員)
当初最前線で作業にあたっていた人員は被曝線量が基準値をオーバーすると東京の本店などに戻されているが、いつまた声がかかるかわからない。
一方、その本店では清水正孝社長が入院して一時第一線を離れてしまった。4月7日に復帰したが、当面は被災者対策にあたる。原発対策は、勝俣恒久会長を中心に武藤栄・副社長とフェローの武黒一郎氏(前副社長)の二人が支えるという。
「一度役員を退任した武黒まで復帰して事態の処理に当たらなければいけないのが、人材難を象徴しています。しかし、武黒は'07年の中越沖地震で柏崎刈羽原発で火災が起きたとき、現地で指揮をとっている。技術系社員からの信望が非常に厚いんです」(別の東京電力社員)
一度は退任した幹部までつぎ込むほど、東京電力の「問題解決力」は限界に近づいている。原子力村の学者たちはじめ、いままで専門家と称していた原子力ムラの住人たちは、持てる能力のすべてを問題解決のために提供すべきだろう。
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武田:こどもを被爆させたい政府
2011-04-21
大人は子供たちを被ばくさせたがっている・・・ 武田邦彦 中部大学
●「雄々しく放射線に立ち向かう」というのが立派なことだろうか?
なにか戦前を思わせる.放射線が人体に害があるというのは国民的コンセンサスなのに、なぜ急変して「我が身を放射線に曝すのが格好いい」となり、「ついでに子供も被ばくさせてしまえ」という自爆主義は許されるのだろうか?
●60の爺さんが「大丈夫」とパフォーマンスをして、その野菜を子供が食べるというのはどういう意味があるのだ
ろうか?
現在のように全体的に汚染されているときには、思い切って汚染地域の農作物は捨てるのが正しい。無理して放射性物質を含む野菜を食べなくても良いのに、なぜ出荷するのだろうか?
●なぜ、給食に地産地消を強調するのだろうか?
子供は給食を拒否できない.拒否できないものに放射性物質を使うのは許されない.食を供給する人は「上司」の命令を聞いてはいけない.単純に子供の健康だけを考えることができる。栄養士は「専門職」である。上司はいない。栄養士の人、立ち上がってください!
●福島が汚染されたのは福島の人の責任だろうか?
福島の人は「福島が汚染された」と言われるのをいやがる。でも、福島を汚したのは福島人ではないのに、なぜいやがるのだろうか?
福島市を汚したのは国と東電なのに.
●東電のミスを福島の子供に転嫁するのは正しいのだろうか?
福島県は福島の子供を避難させない。これは「東電のミスを福島の子供の被ばくで贖う」ということだ。福島の親がそれで良いというなら仕方が無いが、放射線は子供や若い女性に厳しい。私は可哀想に思う.
●被ばくしている児童生徒を疎開させるのは面倒なのだろうか?
文科省は子供に20ミリという高い放射線をあびさせている。疎開させれば無事なのに、なぜ子供達を被ばくさせたいのだろうか?まるで戦時中の竹槍精神を思い起こす.先生方、立ち上がってください!
●東電のミスで汚染された食材を消費者に転嫁するのが魂のある農業だろうか?
農家こそ、「消費者が安心して食べることができる食」を提供してきたのではないか。今後も農薬が付いていても「基準以下」なら出荷するのか? 無農薬とか言っていたあれは何だったのか?
農家の方、立ち上がってください!
●なぜ、福島の大人は子供を被ばくさせたいのか?
なぜ、福島の大人は子供を疎開させないで被ばくさせたいのだろうか? なぜ、安全委員会でも10ミリまでと言っているのを20ミリも被ばくさせるのだろうか? 保護者とはそんなに子供に権利があるのだろうか?
●放射線に高いところの人はなぜ、避難しないのだろうか?
放射線の障害は20年かかる遅発性が多い.一生に一度しかないのだから数ヶ月でも避難すれば良いのに。
● なぜ、突然、放射線が安全になったのだろうか?
今までの放射線の法規制、専門家の意見はいったい何だったのか? 「ちょっとでも危険な放射線」と言っていた専門家は、なにが変わって「いくらでも良い放射線」に豹変したのだろうか?
(平成23年4月20日 午後8時 執筆)
ーーーーーーーーーーーーーー
原発 毎日のこと 被ばくは取り返せる

返す返すも残念なのは、国か東電が「原発が爆発しそうだ! 逃げろ!」と言ってくれたら、初期被ばくはずいぶん、減ったでしょう.
なにしろこのグラフで判るように、最初の3日間でかなり被ばくするのですから、福島県東部、茨城県北部の人がたった3日、避難していれば!また気象庁が緊急風向き情報を出してくれれば!と思います。
過去のことですが、繰り返し言っておいて、次の爆発がもし万が一あるとしたら、是非、事前に警告を発してください。地震速報より大事かも知れません
・・・・・・・・・
さて、
1)
初期被ばくしてしまった、
2)
子供が雨に濡れた(最初)、
3)
子供が土の上で遊んでいた(最近)、
4)
汚染された野菜を食べてしまった、
5)
福島の中通りを車で通った、
などで「失敗した!」と辛い思いをしている方がおられます.でも、過去のことを悔やむより、前進しましょう!
まず、
1.
被ばくは「足し算」ですから、最初に被ばくした人はこれから他の人より注意すれば合計で取り返すことができます(ウサギとカメの話を思い出してください)。
2.
お子さんが雨に濡れたり、土で遊んだりすると、その時間だけは多い被ばくを受けますが、その後、注意をすれば「足し算」ですから、大丈夫です。
3.
食品も間違って2,3度食べても「足し算」ですから、大丈夫です。お母さんは頭の中に「少し被ばくさせてしまったから、これからこれに注意しよう」と思っていれば回復します.
4.
汚染されていることが判っている雑草、芝生は刈り取りましょう。土にしみないうちに直接、葉についたセシウムをとるためです.
5.
お子さんはできるだけ地表から高いところで生活、移動をするように心がけてください.
6.
余裕のある人(お子さんも含め)は機会を見て、遠くで体を休めてください。
人間には「放射線によって障害を受けても、自分で回復する力」があります。つまり、その人の回復力を20としますと、被ばくが30とすると、10だけ損傷します.
次の日に10で抑えれば理論的には回復力の範囲に収まります.
・・・・・・・・・
たとえば、胸のレントゲンを1回、受けると50マイクロシーベルトの被ばくをします。医療の被ばくは別計算ですが、体の方は、0.11マイクロシーベルト(1時間あたり)なら回復しますから、15日で胸のレントゲンは忘れてもよいという状態になります.
これと同じで、お子さんが雨に濡れて50マイクロシーベルトの被ばくをしても、15日間、注意をすれば回復することを示しています。
ただ、今は周囲に放射性物質が多いので、少し時間がかかります。
また、もしお金や時間に余裕があれば、しばらくの期間、放射線の低い地域へ旅行して休むと回復します.
また、水道が綺麗になってきました。また日本の水道局は比較的信頼できることもあります。
原因は、「土地の面積の割合に対して川の面積が小さい」ことによっています。これまでの被曝量が小さい人は連休明けぐらいから水道水を飲めると思います.
【ニュースのコメント】
福島の人の悩み、川崎市長のちょっかい
福島の大地には「均等」に放射性物質が降りました。もちろん風上の汚染が厳しいのですが、全体的に降りました。
放射性物質は落ちるところを選びません。川崎に運ばれる瓦礫の上にも、収穫間近のホウレンソウにも、また水道の水源となる川にも、平等に降り注ぎます.
だから川崎市長の言うように「福島の瓦礫で放射性物質がついていない瓦礫」などないのです。これが福島の人の悩みであり、農業の人が苦しんでいる理由です.
川崎市長の行為は福島の人をさらに傷つけるでしょう.
(平成23年4月20日 午後10時 執筆)
●「雄々しく放射線に立ち向かう」というのが立派なことだろうか?
なにか戦前を思わせる.放射線が人体に害があるというのは国民的コンセンサスなのに、なぜ急変して「我が身を放射線に曝すのが格好いい」となり、「ついでに子供も被ばくさせてしまえ」という自爆主義は許されるのだろうか?
●60の爺さんが「大丈夫」とパフォーマンスをして、その野菜を子供が食べるというのはどういう意味があるのだ
ろうか?
現在のように全体的に汚染されているときには、思い切って汚染地域の農作物は捨てるのが正しい。無理して放射性物質を含む野菜を食べなくても良いのに、なぜ出荷するのだろうか?
●なぜ、給食に地産地消を強調するのだろうか?
子供は給食を拒否できない.拒否できないものに放射性物質を使うのは許されない.食を供給する人は「上司」の命令を聞いてはいけない.単純に子供の健康だけを考えることができる。栄養士は「専門職」である。上司はいない。栄養士の人、立ち上がってください!
●福島が汚染されたのは福島の人の責任だろうか?
福島の人は「福島が汚染された」と言われるのをいやがる。でも、福島を汚したのは福島人ではないのに、なぜいやがるのだろうか?
福島市を汚したのは国と東電なのに.
●東電のミスを福島の子供に転嫁するのは正しいのだろうか?
福島県は福島の子供を避難させない。これは「東電のミスを福島の子供の被ばくで贖う」ということだ。福島の親がそれで良いというなら仕方が無いが、放射線は子供や若い女性に厳しい。私は可哀想に思う.
●被ばくしている児童生徒を疎開させるのは面倒なのだろうか?
文科省は子供に20ミリという高い放射線をあびさせている。疎開させれば無事なのに、なぜ子供達を被ばくさせたいのだろうか?まるで戦時中の竹槍精神を思い起こす.先生方、立ち上がってください!
●東電のミスで汚染された食材を消費者に転嫁するのが魂のある農業だろうか?
農家こそ、「消費者が安心して食べることができる食」を提供してきたのではないか。今後も農薬が付いていても「基準以下」なら出荷するのか? 無農薬とか言っていたあれは何だったのか?
農家の方、立ち上がってください!
●なぜ、福島の大人は子供を被ばくさせたいのか?
なぜ、福島の大人は子供を疎開させないで被ばくさせたいのだろうか? なぜ、安全委員会でも10ミリまでと言っているのを20ミリも被ばくさせるのだろうか? 保護者とはそんなに子供に権利があるのだろうか?
●放射線に高いところの人はなぜ、避難しないのだろうか?
放射線の障害は20年かかる遅発性が多い.一生に一度しかないのだから数ヶ月でも避難すれば良いのに。
● なぜ、突然、放射線が安全になったのだろうか?
今までの放射線の法規制、専門家の意見はいったい何だったのか? 「ちょっとでも危険な放射線」と言っていた専門家は、なにが変わって「いくらでも良い放射線」に豹変したのだろうか?
(平成23年4月20日 午後8時 執筆)
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原発 毎日のこと 被ばくは取り返せる

返す返すも残念なのは、国か東電が「原発が爆発しそうだ! 逃げろ!」と言ってくれたら、初期被ばくはずいぶん、減ったでしょう.
なにしろこのグラフで判るように、最初の3日間でかなり被ばくするのですから、福島県東部、茨城県北部の人がたった3日、避難していれば!また気象庁が緊急風向き情報を出してくれれば!と思います。
過去のことですが、繰り返し言っておいて、次の爆発がもし万が一あるとしたら、是非、事前に警告を発してください。地震速報より大事かも知れません
・・・・・・・・・
さて、
1)
初期被ばくしてしまった、
2)
子供が雨に濡れた(最初)、
3)
子供が土の上で遊んでいた(最近)、
4)
汚染された野菜を食べてしまった、
5)
福島の中通りを車で通った、
などで「失敗した!」と辛い思いをしている方がおられます.でも、過去のことを悔やむより、前進しましょう!
まず、
1.
被ばくは「足し算」ですから、最初に被ばくした人はこれから他の人より注意すれば合計で取り返すことができます(ウサギとカメの話を思い出してください)。
2.
お子さんが雨に濡れたり、土で遊んだりすると、その時間だけは多い被ばくを受けますが、その後、注意をすれば「足し算」ですから、大丈夫です。
3.
食品も間違って2,3度食べても「足し算」ですから、大丈夫です。お母さんは頭の中に「少し被ばくさせてしまったから、これからこれに注意しよう」と思っていれば回復します.
4.
汚染されていることが判っている雑草、芝生は刈り取りましょう。土にしみないうちに直接、葉についたセシウムをとるためです.
5.
お子さんはできるだけ地表から高いところで生活、移動をするように心がけてください.
6.
余裕のある人(お子さんも含め)は機会を見て、遠くで体を休めてください。
人間には「放射線によって障害を受けても、自分で回復する力」があります。つまり、その人の回復力を20としますと、被ばくが30とすると、10だけ損傷します.
次の日に10で抑えれば理論的には回復力の範囲に収まります.
・・・・・・・・・
たとえば、胸のレントゲンを1回、受けると50マイクロシーベルトの被ばくをします。医療の被ばくは別計算ですが、体の方は、0.11マイクロシーベルト(1時間あたり)なら回復しますから、15日で胸のレントゲンは忘れてもよいという状態になります.
これと同じで、お子さんが雨に濡れて50マイクロシーベルトの被ばくをしても、15日間、注意をすれば回復することを示しています。
ただ、今は周囲に放射性物質が多いので、少し時間がかかります。
また、もしお金や時間に余裕があれば、しばらくの期間、放射線の低い地域へ旅行して休むと回復します.
また、水道が綺麗になってきました。また日本の水道局は比較的信頼できることもあります。
原因は、「土地の面積の割合に対して川の面積が小さい」ことによっています。これまでの被曝量が小さい人は連休明けぐらいから水道水を飲めると思います.
【ニュースのコメント】
福島の人の悩み、川崎市長のちょっかい
福島の大地には「均等」に放射性物質が降りました。もちろん風上の汚染が厳しいのですが、全体的に降りました。
放射性物質は落ちるところを選びません。川崎に運ばれる瓦礫の上にも、収穫間近のホウレンソウにも、また水道の水源となる川にも、平等に降り注ぎます.
だから川崎市長の言うように「福島の瓦礫で放射性物質がついていない瓦礫」などないのです。これが福島の人の悩みであり、農業の人が苦しんでいる理由です.
川崎市長の行為は福島の人をさらに傷つけるでしょう.
(平成23年4月20日 午後10時 執筆)
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