半年後、一年後に経済生活はどうなるのか
2011-04-11
日本はマスコミの誘導と政府・日銀の無策によって、デフレ脱却しないままで、世界通貨戦争=ドルの過剰な流動性供給による商品価格高騰を受けることになってしまった。
そして、そこに今回の震災と大津波、原発事故による深刻な放射能汚染を迎えてしまった。
震災前の3/7に「始まる価格高騰はコスト転嫁できず倒産と需要減少」を書きました。
デフレがさらに悪化の兆しを見せる中で、米国の過剰流動性を受け、国債価格高騰のダブルパンチで、この国の生産と生活はどうなるのかと言う内容だったのですが、今回の事件によって、さらにトリプルパンチどころではない。
私たちの生活と経済はとてつもなく落下しそうだ
前回3/7の自分の記事を、補足する形で書いてみることにした。
<>
日本はマスコミの誘導と政府・日銀の無策によって、デフレ脱却しないままで、世界通貨戦争=ドルの過剰な流動性供給による商品価格高騰を受けることになってしまった。
「デフレ脱却しないままに食糧・石油が高騰してくる」の続きです。
政治がどう激変しても、仮に強力な政治主導政権が現れても、一年やそこらでデフレ脱却はできない。
つまり、この16年間、消費と投資の国内有効需要が緩やかに減少を続けている状態で、国家、企業、家計がコストの高騰に見舞われることになる。
(補足)
震災と原発が政府の弱さ、無能さをさらに赤裸々に暴いた。つまり大胆な政治指導は全く期待できないと言うことだ。
鶏と卵は鶏が先だが、これにあたる総賃金が16年間下落を続け、さらに下落が加速し始めていたのである。
2009年の民間給与は前年の5.5%減少。2010年は出ていないが不況が進行しているので、さらに減少率がアップしているは疑いない。
当初、震災と津波の被害により、国民総生産のは6%減少とみられていた。
しかし、物事は起きてからしばらくすると、その後の影響がチラチラと見えてくるものだ。
ひと月たっても、まだ仙台市すら燃料が行き渡っていない。物流も製造も運転できない。水産は船が喪失損傷し、港湾も損傷。
農業は生産性の高い低地が壊滅した。各種工業製品とその部品部材は工場設備の精密工程が震災しており、容易に再調整できるものではない。
端的には最優先の仮設住宅の部品資材が欠乏してしまったのである。
被害は全国の製造と物流に波及しているのである。
精密な分析は政府が来年くらいに出すだろう。今必要な大雑把な推測は、国民総生産の十数%が損傷していると言うことだ。
総賃金が20%近くダウンするかも知れない。つまり、十数%の生産減少は、相応する失業に結果するからである。
もう一つある。
原発の被害、放射能である。
すでに、海外では日本の食品はもとより、工業製品のボイコットが始まっている。出来上がった製品の中のビスひとつでも微量な放射線が測定されたら、いくら微量でも人は買わない、いちいち測定はコスト倒れだから輸入しないし、生産しない。
加工食品、農産品、水産品は言わずもがなである。
従って、日本は物流する「物」すべてにおいて生産がダウンせざるを得ないだろう。
観光は外からは来る者なく、出るものは相手国の入国審査で放射線検査になっている。
だから、十数%は甘い、想像もできないが放置するなら二十数%の生産減少を招くと考える。
(再び3/7の本論)
金、銀、プラチナなどの貴金属は、あまり国民経済に影響は無い。
問題は石油などの鉱産資源と食糧品の価格高騰が急速に進むことだ。
見える範囲にしかならないが、その影響を考えてみよう。
先ず、鉱産資源の高騰は、工業と非工業を問わずに、生産の原材料費と輸送費を押し上げる。
次に、食糧の高騰は食品工業のみならず、生産とサービスに関わる労働力全体の再生産費用を押し上げる。
従って、起こる事態は経済活動全体のコスト上昇とみる必要がある。
通常はGDPの十数%にすぎない輸出黒字は過去の円高時期もクリアし、消費税の割戻しで莫大な内部留保を抱えているのでこの問題から除外する。
(補足のとおりで輸出はさらに非常に暗くなった)
(本論)
問題は経済活動全般にわたるコスト上昇をどの段階が吸収させられるかである。
デフレでなく、通常の緩やかなディスインフレ経済ならば、このコストは最終消費に吸収され、例えば8%の物価上昇を生む。
そして、8%前後の賃金総額の上昇によって賄われて、拡大再生産の循環に載せることが可能である。もちろんインフレ期待値も8%程度となり、その程度+aが貸出金利となる。
だが、日本の現状はデフレで、こうした循環機能を失っている。
失っているから縮小循環のデフレが続いているのであるから。
従って、全般的コスト上昇分は、どこかに無理やり吸収させられることにならざるを得ない。
以下に我々の見える範囲で列挙してみる。
(補足)
デフレ下の価格高騰のコストをどこで吸収できるかと言うことだったが、すでにご覧のとおり、すっかりできなくなった。
(本論)
生鮮食料品
この十数年で食品小売は寡占が進んでいる。全体売上額は減少を続けているので、小売価格はコスト吸収できない。
生鮮食料生産は自営・零細のままであるから、コストは生産者が吸収させられる。もっともひどいことになるだろう。
放置すれば社会問題化するので、政策配慮が必須である。
加工食糧品
やはり、小売側が強力だ。小売価格への転嫁は不可能に近いだろう。2008年の高騰の際は、量目を減らす試みが為されたが、これ以上は量目減らしは無理。また、量目減らしは生産コストと輸送費削減に寄与しない。
ただし、工業的生産なので設備投資が進んでいて、生産スケールでコスト吸収できる生産企業もあるだろう。
それ以外では、やはり厳しい淘汰となる。一般的には大きい者が勝つ。零細・中小はひどいことになるだろう。
衣料品
綿花価格も実は上がっている。だが、なんと言っても食糧のようにほぼ毎日回転するものではない。
ユニクロのような日常必需品衣料は、中小が淘汰されよう。
それと、利幅の大きい差別化高級品はあまり影響を受けないと考える。
(補足)
上記の3項目共、高騰コストの価格転嫁は完全に不可能となった。ので、倒産と失業が苛烈なものになるだろう。
こんなことを言いたくは無いが、特に生鮮食料品は原発の風評被害が出る地域は不可能にならざるを得ない。
(本論)
自動車燃料と灯油
国内は元売が「あうん」の呼吸で実質価格調整されている。コストは消費価格にならざるを得ない。売上減少を招くだろうが、元売は小売に付けるしか無いし、小売は価格に付けるしか無いのがこの商品の構造だ。
石油以外の一般鉱産資源
石油以上に統制されている。価格は完全に上乗せされるので、中小零細ユーザーは倒産するだろう。
電力は公共性で統制されているので、コストは大きな批判を浴びない程度に値上げで吸収する。その他公共料金は概ね同様である。
(補足)
上記2項目はこうなると需要自体が減少すると見なければならないだろう。
売れないものは生産も減少するが、限界があるので、これらも倒産と失業につながる。
(本論)
生活必需品全般
石油製品は高騰する。公共料金も上昇する。
食糧衣料等はおそらく数%にとどまるのではないか。
しかし、その分だけ生産とサービスは、ひどいことになる。
淘汰・整理が激しくならざるを得ない。
労働力全般
上記の総括。失業率は上昇する。雇用の質はさらに悪化する。賃金総額の下降が加速する可能性がある。
結論
国内の消費需要と設備投資は底が抜ける、つまりデフレ恐慌の危険だが、可能性として考慮しておく必要がある。
すくなくとも、デフレ=生産と消費の縮小循環は、加速すると考える。
(補足)
放置するなら完全に底が抜ける。デフレ恐慌と軽い物価上昇の同時進行。
大失業人口と消費需要撃滅によるGDPの二十数%減少。
この政府はたぶん放置する可能性が高い。
マスコミと無能政府の強力で税金だけ上げる可能性がありそうだ。
(本論)
なお、この場合は、消費者物価はある程度軽く上昇するだろうが(この物価上昇でデフレが解消に向かうと考えるものはいないと思うが、仮にいたら、完全な妄想だ)、通貨価値の下落でも無ければ、経済成長でも無い。期待インフレでもないので、金利は上がらない。
(補足)
本当は、無能でない政府ならやれること。
100兆円の復興資金を日銀調達し、復興事業と社会救済にあて、デフレ恐慌をゆっくりでも成長経済に戻すこと。
それによって国内需要を確保し、損しかしない円安から、海外調達の有利な円高にすることだ。
そして、そこに今回の震災と大津波、原発事故による深刻な放射能汚染を迎えてしまった。
震災前の3/7に「始まる価格高騰はコスト転嫁できず倒産と需要減少」を書きました。
デフレがさらに悪化の兆しを見せる中で、米国の過剰流動性を受け、国債価格高騰のダブルパンチで、この国の生産と生活はどうなるのかと言う内容だったのですが、今回の事件によって、さらにトリプルパンチどころではない。
私たちの生活と経済はとてつもなく落下しそうだ
前回3/7の自分の記事を、補足する形で書いてみることにした。
<>
日本はマスコミの誘導と政府・日銀の無策によって、デフレ脱却しないままで、世界通貨戦争=ドルの過剰な流動性供給による商品価格高騰を受けることになってしまった。
「デフレ脱却しないままに食糧・石油が高騰してくる」の続きです。
政治がどう激変しても、仮に強力な政治主導政権が現れても、一年やそこらでデフレ脱却はできない。
つまり、この16年間、消費と投資の国内有効需要が緩やかに減少を続けている状態で、国家、企業、家計がコストの高騰に見舞われることになる。
(補足)
震災と原発が政府の弱さ、無能さをさらに赤裸々に暴いた。つまり大胆な政治指導は全く期待できないと言うことだ。
鶏と卵は鶏が先だが、これにあたる総賃金が16年間下落を続け、さらに下落が加速し始めていたのである。
2009年の民間給与は前年の5.5%減少。2010年は出ていないが不況が進行しているので、さらに減少率がアップしているは疑いない。
当初、震災と津波の被害により、国民総生産のは6%減少とみられていた。
しかし、物事は起きてからしばらくすると、その後の影響がチラチラと見えてくるものだ。
ひと月たっても、まだ仙台市すら燃料が行き渡っていない。物流も製造も運転できない。水産は船が喪失損傷し、港湾も損傷。
農業は生産性の高い低地が壊滅した。各種工業製品とその部品部材は工場設備の精密工程が震災しており、容易に再調整できるものではない。
端的には最優先の仮設住宅の部品資材が欠乏してしまったのである。
被害は全国の製造と物流に波及しているのである。
精密な分析は政府が来年くらいに出すだろう。今必要な大雑把な推測は、国民総生産の十数%が損傷していると言うことだ。
総賃金が20%近くダウンするかも知れない。つまり、十数%の生産減少は、相応する失業に結果するからである。
もう一つある。
原発の被害、放射能である。
すでに、海外では日本の食品はもとより、工業製品のボイコットが始まっている。出来上がった製品の中のビスひとつでも微量な放射線が測定されたら、いくら微量でも人は買わない、いちいち測定はコスト倒れだから輸入しないし、生産しない。
加工食品、農産品、水産品は言わずもがなである。
従って、日本は物流する「物」すべてにおいて生産がダウンせざるを得ないだろう。
観光は外からは来る者なく、出るものは相手国の入国審査で放射線検査になっている。
だから、十数%は甘い、想像もできないが放置するなら二十数%の生産減少を招くと考える。
(再び3/7の本論)
金、銀、プラチナなどの貴金属は、あまり国民経済に影響は無い。
問題は石油などの鉱産資源と食糧品の価格高騰が急速に進むことだ。
見える範囲にしかならないが、その影響を考えてみよう。
先ず、鉱産資源の高騰は、工業と非工業を問わずに、生産の原材料費と輸送費を押し上げる。
次に、食糧の高騰は食品工業のみならず、生産とサービスに関わる労働力全体の再生産費用を押し上げる。
従って、起こる事態は経済活動全体のコスト上昇とみる必要がある。
通常はGDPの十数%にすぎない輸出黒字は過去の円高時期もクリアし、消費税の割戻しで莫大な内部留保を抱えているのでこの問題から除外する。
(補足のとおりで輸出はさらに非常に暗くなった)
(本論)
問題は経済活動全般にわたるコスト上昇をどの段階が吸収させられるかである。
デフレでなく、通常の緩やかなディスインフレ経済ならば、このコストは最終消費に吸収され、例えば8%の物価上昇を生む。
そして、8%前後の賃金総額の上昇によって賄われて、拡大再生産の循環に載せることが可能である。もちろんインフレ期待値も8%程度となり、その程度+aが貸出金利となる。
だが、日本の現状はデフレで、こうした循環機能を失っている。
失っているから縮小循環のデフレが続いているのであるから。
従って、全般的コスト上昇分は、どこかに無理やり吸収させられることにならざるを得ない。
以下に我々の見える範囲で列挙してみる。
(補足)
デフレ下の価格高騰のコストをどこで吸収できるかと言うことだったが、すでにご覧のとおり、すっかりできなくなった。
(本論)
生鮮食料品
この十数年で食品小売は寡占が進んでいる。全体売上額は減少を続けているので、小売価格はコスト吸収できない。
生鮮食料生産は自営・零細のままであるから、コストは生産者が吸収させられる。もっともひどいことになるだろう。
放置すれば社会問題化するので、政策配慮が必須である。
加工食糧品
やはり、小売側が強力だ。小売価格への転嫁は不可能に近いだろう。2008年の高騰の際は、量目を減らす試みが為されたが、これ以上は量目減らしは無理。また、量目減らしは生産コストと輸送費削減に寄与しない。
ただし、工業的生産なので設備投資が進んでいて、生産スケールでコスト吸収できる生産企業もあるだろう。
それ以外では、やはり厳しい淘汰となる。一般的には大きい者が勝つ。零細・中小はひどいことになるだろう。
衣料品
綿花価格も実は上がっている。だが、なんと言っても食糧のようにほぼ毎日回転するものではない。
ユニクロのような日常必需品衣料は、中小が淘汰されよう。
それと、利幅の大きい差別化高級品はあまり影響を受けないと考える。
(補足)
上記の3項目共、高騰コストの価格転嫁は完全に不可能となった。ので、倒産と失業が苛烈なものになるだろう。
こんなことを言いたくは無いが、特に生鮮食料品は原発の風評被害が出る地域は不可能にならざるを得ない。
(本論)
自動車燃料と灯油
国内は元売が「あうん」の呼吸で実質価格調整されている。コストは消費価格にならざるを得ない。売上減少を招くだろうが、元売は小売に付けるしか無いし、小売は価格に付けるしか無いのがこの商品の構造だ。
石油以外の一般鉱産資源
石油以上に統制されている。価格は完全に上乗せされるので、中小零細ユーザーは倒産するだろう。
電力は公共性で統制されているので、コストは大きな批判を浴びない程度に値上げで吸収する。その他公共料金は概ね同様である。
(補足)
上記2項目はこうなると需要自体が減少すると見なければならないだろう。
売れないものは生産も減少するが、限界があるので、これらも倒産と失業につながる。
(本論)
生活必需品全般
石油製品は高騰する。公共料金も上昇する。
食糧衣料等はおそらく数%にとどまるのではないか。
しかし、その分だけ生産とサービスは、ひどいことになる。
淘汰・整理が激しくならざるを得ない。
労働力全般
上記の総括。失業率は上昇する。雇用の質はさらに悪化する。賃金総額の下降が加速する可能性がある。
結論
国内の消費需要と設備投資は底が抜ける、つまりデフレ恐慌の危険だが、可能性として考慮しておく必要がある。
すくなくとも、デフレ=生産と消費の縮小循環は、加速すると考える。
(補足)
放置するなら完全に底が抜ける。デフレ恐慌と軽い物価上昇の同時進行。
大失業人口と消費需要撃滅によるGDPの二十数%減少。
この政府はたぶん放置する可能性が高い。
マスコミと無能政府の強力で税金だけ上げる可能性がありそうだ。
(本論)
なお、この場合は、消費者物価はある程度軽く上昇するだろうが(この物価上昇でデフレが解消に向かうと考えるものはいないと思うが、仮にいたら、完全な妄想だ)、通貨価値の下落でも無ければ、経済成長でも無い。期待インフレでもないので、金利は上がらない。
(補足)
本当は、無能でない政府ならやれること。
100兆円の復興資金を日銀調達し、復興事業と社会救済にあて、デフレ恐慌をゆっくりでも成長経済に戻すこと。
それによって国内需要を確保し、損しかしない円安から、海外調達の有利な円高にすることだ。
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武田:原発は今後、爆発の可能性は低い
2011-04-11
私自身、武田氏と似たような材料によって、原発が今後に爆発を起こす可能性は極めて低いと考えています。
しかし、私が言うのと、武田氏が言うのはかなり信頼性が違うので、やはり武田氏から引用します。
課題は放射能汚染と迅速な実行、そしてエラーの無いことです。
今の体制をさらに拡充して、数月か半年間、冷却を続けることになると思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
原発 緊急情報(51) 福島原発は爆発するか?
福島第一原発1号機と3号機はすでに水素爆発した。2号機は格納容器が破壊したので、爆発は免れたが大量の放射性物質が拡散した。4号機も建物は破壊されている.
それから半月、外部からの放水は続いているが、1号機を中心に不安定な時期を過ごしている.
「福島原発はふたたび爆発するか?」について現時点の結論の述べたい。数日前、1号機の放射線量が急に上がったので、その部分だけの判断を書いたが、少し雑だったので、ブログから取り下げ、少し調査や検討をした。
(なお、原発の処理は長引く。なにしろ高い放射線だから作業がなかなか進まない。これについては連休前に判断したいと思っています.)
・・・・・・・・・今の結論・・・・・・・
1. 不明な点は多いが、ほぼ爆発しない.
2. 万が一、爆発したときには最大で現在の10倍から100倍に及ぶ、でも可能性が低いので、あまり心配は要らない。
3. 近県の人は具体的な準備をしておき、東京および近郊の人は爆発してからでも脱出する余裕がある。(2,3日の間、あびても体へのダメージが起こるほどの量にはならないから.仙台や山形は普段から風の向きに注意。秋田、盛岡、群馬、新潟、長野、甲府、静岡はさらに余裕がある。)
・・・・・・・・・根拠・・・・・・・・・
判断の根拠はやや怪しい.それはデータが一部しかないからだが、これが東電が隠しているのか、あるいはもともと判らないのかも不明である.
しかし、何とか推察してみた。
1号機は外部からの水が圧力容器(原子炉本体)に達していない(と思われる・・次からも同じ)。従って、水は圧力容器と格納容器の間に入り、亀裂から圧力容器に入っている.
時々、空だきになったり、余震で打撃を受けたりしている。燃料の大半は破壊され、そこから核反応物質(セシウム、ストロンチウム、プルトニウムなど)が水に漏れている。
空だきが進むと燃料の温度は最高で2500℃まで上がり、圧力容器を突き破り、下のコンクリート床に落ちるだろう.すでにかなり損傷している可能性もある。でも、損傷が進んでいるから逆に急激なことが起こりにくい.
だからデータは不安定だが、爆発はしないだろう。
2号機、3号機は外部からの水が圧力容器に入っている。だから、冷却は順調で、水が亀裂から、崩壊熱分に相当する水蒸気が漏れ、大気に放射性物質を飛散させている.
燃料の損傷も小さく、冷却も徐々に進むと考えられる。
4号機は圧力容器内に燃料はなく、燃料貯蔵槽は大破している。アメリカは厳しい見方をしているが、爆発には到らない。
5号機6号機も損傷しているが、爆発しない。
・・・・・・・・・
このように、福島原発が再び爆発する可能性は低いが、原理的には起こりうる核爆発、水蒸気爆発、水素爆発の内、1号機の水蒸気爆発が考えられるが、すでに大きな力を持たない。
また、私の判断の一つに、「全体を離れて見る」というのがある。冷却水が止まってから水素爆発が起こるのに数日だった。
物理的な事態が進む時間は大きさのルート(0.5乗)に比例する.あのぐらい(福島原発ぐらい)の大きさの場合、2,3日だろう。従って、冷却系が切れてから数日かかって爆発した.
それからすでに20日以上が経っている.もし同様の事が起こるなら時期が遅すぎる.また核反応も圧力容器内が大きく変化が必要だが、今の時点で起こるのは時間的な整合性がない。
また、今では炉の放射線量、温度、圧力などが一応、報告されているので、急変してからの準備で間に合う.
【参考】
液体窒素(約マイナス200℃)やドライアイス(約マイナス80℃)を投入すれば「水」が溢れることはないという話もあり、少しは有効という話がある。
液体窒素は蒸発潜熱が200kJ/kgとやや高い.比熱も1だからこれに200を足すことができる。これに対して、ドライアイスは蒸発潜熱が370kJ/kg、水の蒸発潜熱が2300kJ/kgで、熱容量の20℃から100℃の分を加えると2400kJ/kgになり、液体窒素の6倍、ドライアイスの6倍ていどになる。
水は熱容量が大きく蒸発潜熱も高いので、水が有効と思う.
これも私の技術観がある。福島原発は戦艦大和のようなもので、このようなものを相手にするときには、あまり小さな細工は有効でない場合の方が多い.
(平成23年4月11日 午前10時 執筆)
しかし、私が言うのと、武田氏が言うのはかなり信頼性が違うので、やはり武田氏から引用します。
課題は放射能汚染と迅速な実行、そしてエラーの無いことです。
今の体制をさらに拡充して、数月か半年間、冷却を続けることになると思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
原発 緊急情報(51) 福島原発は爆発するか?
福島第一原発1号機と3号機はすでに水素爆発した。2号機は格納容器が破壊したので、爆発は免れたが大量の放射性物質が拡散した。4号機も建物は破壊されている.
それから半月、外部からの放水は続いているが、1号機を中心に不安定な時期を過ごしている.
「福島原発はふたたび爆発するか?」について現時点の結論の述べたい。数日前、1号機の放射線量が急に上がったので、その部分だけの判断を書いたが、少し雑だったので、ブログから取り下げ、少し調査や検討をした。
(なお、原発の処理は長引く。なにしろ高い放射線だから作業がなかなか進まない。これについては連休前に判断したいと思っています.)
・・・・・・・・・今の結論・・・・・・・
1. 不明な点は多いが、ほぼ爆発しない.
2. 万が一、爆発したときには最大で現在の10倍から100倍に及ぶ、でも可能性が低いので、あまり心配は要らない。
3. 近県の人は具体的な準備をしておき、東京および近郊の人は爆発してからでも脱出する余裕がある。(2,3日の間、あびても体へのダメージが起こるほどの量にはならないから.仙台や山形は普段から風の向きに注意。秋田、盛岡、群馬、新潟、長野、甲府、静岡はさらに余裕がある。)
・・・・・・・・・根拠・・・・・・・・・
判断の根拠はやや怪しい.それはデータが一部しかないからだが、これが東電が隠しているのか、あるいはもともと判らないのかも不明である.
しかし、何とか推察してみた。
1号機は外部からの水が圧力容器(原子炉本体)に達していない(と思われる・・次からも同じ)。従って、水は圧力容器と格納容器の間に入り、亀裂から圧力容器に入っている.
時々、空だきになったり、余震で打撃を受けたりしている。燃料の大半は破壊され、そこから核反応物質(セシウム、ストロンチウム、プルトニウムなど)が水に漏れている。
空だきが進むと燃料の温度は最高で2500℃まで上がり、圧力容器を突き破り、下のコンクリート床に落ちるだろう.すでにかなり損傷している可能性もある。でも、損傷が進んでいるから逆に急激なことが起こりにくい.
だからデータは不安定だが、爆発はしないだろう。
2号機、3号機は外部からの水が圧力容器に入っている。だから、冷却は順調で、水が亀裂から、崩壊熱分に相当する水蒸気が漏れ、大気に放射性物質を飛散させている.
燃料の損傷も小さく、冷却も徐々に進むと考えられる。
4号機は圧力容器内に燃料はなく、燃料貯蔵槽は大破している。アメリカは厳しい見方をしているが、爆発には到らない。
5号機6号機も損傷しているが、爆発しない。
・・・・・・・・・
このように、福島原発が再び爆発する可能性は低いが、原理的には起こりうる核爆発、水蒸気爆発、水素爆発の内、1号機の水蒸気爆発が考えられるが、すでに大きな力を持たない。
また、私の判断の一つに、「全体を離れて見る」というのがある。冷却水が止まってから水素爆発が起こるのに数日だった。
物理的な事態が進む時間は大きさのルート(0.5乗)に比例する.あのぐらい(福島原発ぐらい)の大きさの場合、2,3日だろう。従って、冷却系が切れてから数日かかって爆発した.
それからすでに20日以上が経っている.もし同様の事が起こるなら時期が遅すぎる.また核反応も圧力容器内が大きく変化が必要だが、今の時点で起こるのは時間的な整合性がない。
また、今では炉の放射線量、温度、圧力などが一応、報告されているので、急変してからの準備で間に合う.
【参考】
液体窒素(約マイナス200℃)やドライアイス(約マイナス80℃)を投入すれば「水」が溢れることはないという話もあり、少しは有効という話がある。
液体窒素は蒸発潜熱が200kJ/kgとやや高い.比熱も1だからこれに200を足すことができる。これに対して、ドライアイスは蒸発潜熱が370kJ/kg、水の蒸発潜熱が2300kJ/kgで、熱容量の20℃から100℃の分を加えると2400kJ/kgになり、液体窒素の6倍、ドライアイスの6倍ていどになる。
水は熱容量が大きく蒸発潜熱も高いので、水が有効と思う.
これも私の技術観がある。福島原発は戦艦大和のようなもので、このようなものを相手にするときには、あまり小さな細工は有効でない場合の方が多い.
(平成23年4月11日 午前10時 執筆)
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法の基準を守れ、100mSvで安全等と言う狂気
2011-04-11
まともな研究者なら仰天するような発言、がテレビの御用学者から度々流されている。
法定は一般人1mSV/年間である。
狂った原発推進村の住人たち。この違法な発言を推奨している政府。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
近藤誠・慶大医学部講師が緊急寄稿「100ミリシーベルト以下の被曝量なら安心」はウソっぱち!
2011年4月7日 掲載 (日刊ゲンダイ)
専門家なら「低線量被曝でも発がんの可能性あり」と明言すべき
福島第1原発事故に関し、マスコミに登場する放射線専門家は安全を強調するが、本当なのか?日刊ゲンダイ本紙で「やっぱり、がんと闘うな!」を連載中の慶応大学医学部講師(放射線治療科)の近藤誠氏は、「ウソやごまかしが多すぎる」と断じる。
● 数百万人が低線量被曝すれば、数万人ががん死するかもしれない
私はどんな患者さんにも、がん告知をします。患者さんは事実を知ったうえで、その後の行動を選択する自由があるからです。
人心を安定させるため、政治家は時に事実を隠すことがあるのでしょうが、それは医師や科学者の“仕事”ではありません。
そんな私が“これはひどい”と思うのは「1年間の被曝(ひばく)量100ミリシーベルト(mSv)以下なら安全」という放射線専門家たちの発言です。
これはまったくのウソっぱちです。
たとえ原子力推進派であっても専門家ならせめて「100mSv以上の被曝と発がんは明確な相関関係にあるが、100mSv以下の低線量被曝のデータは少なく、いまのところ発がんリスクはゼロでなく、正確に分からない」と言うべきです。
放射線による健康被害は、被曝後数週間以内に症状が表れる「急性障害」と、数カ月あるいは数十年先に表れる「晩発性障害」があります。
低線量被曝による健康被害は、「晩発性障害」を引き起こしやすく、短期の追跡調査では表れにくい。しかも、線量計で被曝線量を測定する人はまずいないので、データはほとんどありません。
だからといって安全というのはウソです。
そもそも100mSv以下の低線量被曝による発がんリスクには、2つの有力な仮説があります。
すなわち、(1)被曝線量が100mSv以下だと発がんリスクはほとんどないが、それを超えると急上昇する「しきい値仮説」、(2)100mSv以下でも被曝線量と発がんリスクが増大する「直線仮説」です。
(1)は放射線の毒性を軽く見せたい原発やがんCT検診の推進派が、(2)はその反対派や中間派がそれぞれ支持してきました。
ところが、いまは国際的に権威のある、米国科学アカデミーの委員会(BEIR)や国際放射線防護委員会(ICRP)らが支持するなど、「直線仮説」が有力です。
米国は1950年から広島や長崎の被爆者9万人(近距離被爆者5万人、遠距離被爆者4万人)と非被爆者3万人を対象に寿命調査をしていますが、1980年代に入り、低線量被曝であってもがんになる確率が高くなることが分かったからです。
しかも05年に英国の有力医学雑誌に掲載された15カ国の原発労働者40万人を追跡調査したリポートでは、50mSv以下の被曝線量であっても発がんリスクが高まると報告されたのです。
それでも「しきい値仮説」を支持する人は、「人間には放射線被曝による傷を治す能力がある」「低被曝は細胞を刺激し、かえって健康になる」などと主張しますが、それを信じる専門家は少数です。
放射線の専門家は当然、こうした事実を知っています。「低線量被曝でも発がんの危険性はある」と明言すべきなのです。
なかには低線量被曝の危険を認めながらも、「100人の死者のうち被曝によるがん死が1人増える程度」と、被害を軽く見せようと発言する放射線の専門家がいます。しかし、低線量の被曝者が数百万人に上ると、数万人ががん死するかもしれないのです。
いまこそ、放射線の専門家は低線量被曝のリスクを明らかにし、しっかりした対策を講じるべきではないでしょうか?
法定は一般人1mSV/年間である。
狂った原発推進村の住人たち。この違法な発言を推奨している政府。
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近藤誠・慶大医学部講師が緊急寄稿「100ミリシーベルト以下の被曝量なら安心」はウソっぱち!
2011年4月7日 掲載 (日刊ゲンダイ)
専門家なら「低線量被曝でも発がんの可能性あり」と明言すべき
福島第1原発事故に関し、マスコミに登場する放射線専門家は安全を強調するが、本当なのか?日刊ゲンダイ本紙で「やっぱり、がんと闘うな!」を連載中の慶応大学医学部講師(放射線治療科)の近藤誠氏は、「ウソやごまかしが多すぎる」と断じる。
● 数百万人が低線量被曝すれば、数万人ががん死するかもしれない
私はどんな患者さんにも、がん告知をします。患者さんは事実を知ったうえで、その後の行動を選択する自由があるからです。
人心を安定させるため、政治家は時に事実を隠すことがあるのでしょうが、それは医師や科学者の“仕事”ではありません。
そんな私が“これはひどい”と思うのは「1年間の被曝(ひばく)量100ミリシーベルト(mSv)以下なら安全」という放射線専門家たちの発言です。
これはまったくのウソっぱちです。
たとえ原子力推進派であっても専門家ならせめて「100mSv以上の被曝と発がんは明確な相関関係にあるが、100mSv以下の低線量被曝のデータは少なく、いまのところ発がんリスクはゼロでなく、正確に分からない」と言うべきです。
放射線による健康被害は、被曝後数週間以内に症状が表れる「急性障害」と、数カ月あるいは数十年先に表れる「晩発性障害」があります。
低線量被曝による健康被害は、「晩発性障害」を引き起こしやすく、短期の追跡調査では表れにくい。しかも、線量計で被曝線量を測定する人はまずいないので、データはほとんどありません。
だからといって安全というのはウソです。
そもそも100mSv以下の低線量被曝による発がんリスクには、2つの有力な仮説があります。
すなわち、(1)被曝線量が100mSv以下だと発がんリスクはほとんどないが、それを超えると急上昇する「しきい値仮説」、(2)100mSv以下でも被曝線量と発がんリスクが増大する「直線仮説」です。
(1)は放射線の毒性を軽く見せたい原発やがんCT検診の推進派が、(2)はその反対派や中間派がそれぞれ支持してきました。
ところが、いまは国際的に権威のある、米国科学アカデミーの委員会(BEIR)や国際放射線防護委員会(ICRP)らが支持するなど、「直線仮説」が有力です。
米国は1950年から広島や長崎の被爆者9万人(近距離被爆者5万人、遠距離被爆者4万人)と非被爆者3万人を対象に寿命調査をしていますが、1980年代に入り、低線量被曝であってもがんになる確率が高くなることが分かったからです。
しかも05年に英国の有力医学雑誌に掲載された15カ国の原発労働者40万人を追跡調査したリポートでは、50mSv以下の被曝線量であっても発がんリスクが高まると報告されたのです。
それでも「しきい値仮説」を支持する人は、「人間には放射線被曝による傷を治す能力がある」「低被曝は細胞を刺激し、かえって健康になる」などと主張しますが、それを信じる専門家は少数です。
放射線の専門家は当然、こうした事実を知っています。「低線量被曝でも発がんの危険性はある」と明言すべきなのです。
なかには低線量被曝の危険を認めながらも、「100人の死者のうち被曝によるがん死が1人増える程度」と、被害を軽く見せようと発言する放射線の専門家がいます。しかし、低線量の被曝者が数百万人に上ると、数万人ががん死するかもしれないのです。
いまこそ、放射線の専門家は低線量被曝のリスクを明らかにし、しっかりした対策を講じるべきではないでしょうか?
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