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もうすぐ北風が強くなる

佐藤栄佐久・前福島県知事は告発する

 佐藤栄佐久

 情報の隠蔽と捏造を、繰り返し続ける東京電力と経済産業省。
 彼らと真っ向から闘い抜いた前福島県知事の佐藤栄佐久氏に対し、東京地検は収賄罪をでっち上げて、政治生命を抹殺した。
 佐藤氏はその後の控訴審で「収賄額ゼロ」、という不思議な「判決」を受けている。
 
 現在も冤罪を晴らすために闘っている。  
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佐藤栄佐久・前福島県知事が告発 「国民を欺いた国の責任をただせ」
週刊朝日 3月30日(水)17時56分配信

福島第一原子力発電所の事故は周辺の土壌や海水からも大量の放射能が検出され、世界を震撼させる事態となっている。原発の安全性に疑問を持ち、一時は東京電力の原子炉17基をすべて運転停止に追い込んだこともある佐藤栄佐久・前福島県知事(71)はこう憤る。「諸悪の根源」は経済産業省であり国だ──。

 今回の事故の報道を見るたびに、怒りがこみ上げてきます。一部の識者は「想定外の事態だ。これは天災だ」というような発言をしていましたが、だまされてはいけません。これは、起こるべくして起こった事故、すなわち“人災”なのです。

 私は福島県知事時代、再三にわたって情報を改ざん・隠蔽する東電と、本来はそれを監視・指導しなければならない立場にありながら一体となっていた経済産業省に対し、「事故情報を含む透明性の確保」と「原発立地県の権限確保」を求めて闘ってきました。しかし、報道を見る限り、その体質は今もまったく変わっていないように思います。

 端然とした表情で語る佐藤氏の自宅は福島県郡山市内にある。地震から2週間以上経過した今も石塀は倒れたままになっているなど、爪痕が生々しく残る。もともとは原発推進論者だったという佐藤氏が日本の原子力政策に疑問を抱き始めたのは、知事に就任した翌年の1989年のことだった。

 この年の1月6日、福島第二原発の3号機で原子炉の再循環ポンプ内に部品が脱落するという事故が起きていたことが発覚しました。しかし、東電は前年暮れから、異常発生を知らせる警報が鳴っていたにもかかわらず運転を続けていたうえに、その事実を隠していました。県や地元市町村に情報が入ったのはいちばん最後だったのです。

 いち早く情報が必要なのは地元のはずなのに、なぜこのようなことがまかり通るのか。私は副知事を通じ、経産省(当時は通商産業省)に猛抗議をしましたが、まったく反応しませんでした。

 日本の原子力政策は、大多数の国会議員には触れることのできない内閣の専権事項となっています。担当大臣すら実質的には役所にコントロールされている。つまり、経産省や内閣府の原子力委員会など“原子力村の人々”が政策の方向性を事実上すべて決め、政治家だけではなく原発を抱える地方自治体には何の権限も与えられていないのです。

 国や電力会社は原発に関して、地元自治体を「蚊帳の外」にしただけではないという。佐藤氏が「8・29」と呼ぶ事件がある。2002年8月29日、原子力安全・保安院から福島県庁に「福島第一原発と第二原発で、原子炉の故障やひび割れを隠すため、東電が点検記録を長年にわたってごまかしていた」という恐るべき内容が書かれた内部告発のファクスが届いたのだ。

 私はすぐに、部下に調査を命じました。だが、後になって、保安院がこの告発を2年も前に受けていながら何の調査もしなかったうえに、告発の内容を当事者である東電に横流ししていたことがわかったのです。

 私の怒りは頂点に達しました。これでは警察と泥棒が一緒にいるようなものではないか。それまで、東電と国は「同じ穴のムジナ」だと思っていましたが、本当の「ムジナ」は電力会社の奥に隠れて、決して表に出てこない経産省であり、国だったのです。

 この事件で、東電は当時の社長以下、幹部5人が責任をとって辞任し、03年4月には、東電が持つすべての原子炉(福島県内10基、新潟県内7基)で運転の停止を余儀なくされました。

 しかし、保安院、経産省ともに何の処分も受けず、責任をとることもありませんでした。

 それどころか、福島第一原発の所在地である双葉郡に経産省の課長がやってきて、「原発は絶対安全です」というパンフレットを全戸に配り、原発の安全性を訴えたのです。なんという厚顔さでしょうか。

 今回の事故でも、記者会見に出て頭を下げるのは東電や、事情がよくわかっていないように見える保安院の審議官だけ。あれほど、「安全だ」と原発を推進してきた“本丸”は、またも顔を出さずに逃げ回っています。

 さらに、佐藤氏は3月14日に水素爆発を起こした福島第一原発3号機で、「プルサーマル」が行われていたことに対し、大きな危機感を持っているという。

 なぜメディアはこの問題を大きく報じないのでしょうか。「プルサーマル」とは、使用済み燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を使う原子力発電の方法で、ウラン資源を輸入に頼る日本にとって、核燃料サイクル計画の柱となっています。

 これに対して私は98年、MOX燃料の品質管理の徹底をはじめ四つの条件をつけて一度は了解しました。

 しかし、判断を変え、3年後に受け入れ拒否を表明することになりました。

 福島第一とともにプルサーマルの導入が決まっていた福井県の高浜原発で、使用予定のMOX燃料にデータ改ざんがあったと明らかになったからです。

 そして、核燃料サイクル計画には大きな欠陥があります。青森県六ケ所村にある使用済み燃料の再処理工場は、これまでに故障と完成延期を繰り返しており、本格運転のメドがたっていません。この工場が操業しない限り、福島は行き場のない使用済み燃料を原子炉内のプールに抱えたままになってしまう。今回の事故でも、3号機でプールが損傷した疑いがあります。これからも、この危険が残り続けるのです。

 昨年8月、佐藤雄平・現福島県知事はプルサーマルの受け入れを表明し、30日には県議会もこの判断を尊重するとの見解をまとめました。このニュースは県内でも大きく報じられましたが、その直後、まるで見計らったかのように、六ケ所村の再処理工場が2年間という長期にわたる18回目の完成延期を表明したことは、どれだけ知られているでしょうか。

 福島第一原発の事故で、首都圏は計画停電を強いられる事態となっています。石原慎太郎・東京都知事は00年4月、日本原子力産業会議の年次大会で、「東京湾に原発をつくってもらっても構わない」と発言しましたが、この事態を見ても、同じことを言うのでしょうか。

 私は06年に県発注のダム工事をめぐり、収賄の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。控訴審では「収賄額はゼロ」という不思議な判決が出され、現在も冤罪を訴えて闘っている最中です。その経験から言うと、特捜部と原子力村の人々は非常に似ています。特捜部は、自らのつくった事件の構図をメディアにリークすることで、私が犯罪者であるという印象を世の中に与え続けました。

 今回の事故も重要な情報を隠蔽、管理することで国民を欺いてきたと言えるでしょう。今こそ国の責任をただすべきときです。 (構成 本誌・大貫聡子)

さとう・えいさく 1939年、福島県郡山市生まれ。東京大学法学部卒業後、88年に福島県知事に初当選。06年、収賄容疑で東京地検特捜部に逮捕された。09年、一審に続き、控訴審でも懲役2年(執行猶予4年)の有罪判決が出されたが、「収賄額はゼロ」と認定され、実質上の無罪判決となった。現在、上告中。著書に『知事抹殺』(平凡社)がある
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武田:なぜ1ミリシーベルトが妥当か?

 事故とか非常時に人の本性が現れるのは皆同じですね。
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原発 緊急情報(48) なぜ、1ミリシーベルトが妥当か? 武田邦彦 中部大学

1986年4月、当時のソ連のチェルノブイリ原子力発電所4号機が爆発しました。
その時に、多くの放射性物質がロシアやベルラーシの人たちや大地を汚染しましたが、これに対して、当時の IAEA (国際原子力機関)は精密な調査を行い、報告書を提出しています。

それによると、チェルノブイリ原発の事故では、
1) 放射性物質の被曝による障害者は、存在せず、
2) 将来にわたってはっきりと原発の事故の障害者であるということがわかる人はでない、
と報告しました。

ところが、事故から5年ぐらい経つと、普段ですと1万人に1人も出ないという小児甲状腺ガンが多く見られるようになりました。そのグラフを下に示します。
bdcam.jpg

パソコンでグラフを見ることができない人がおられますので、文章でも説明しますと、1986年に事故が起こり、それから4年間はほとんど患者さんは発生していませんが、1990年つまり事故から4年たってこども100万人あたり20人もでました。

さらに、その92年には40人、94年には60人と増大しました。今では、チェルノブイリ原発から出たヨウ素131が子供の甲状腺にたまり、甲状腺がんを引き起こしたということははっきりとわかっています。
さらにチェルノブイリ原発事故から10年経った頃、今度は妊婦の体に異常が出てきました。

すでに事故から10年たっていますので、その頃、妊娠する女性というのは、事故当時少女だった人が多いのです。例えば12才の頃に被爆し、22才で妊娠して異常が見付かるということが明らかになってきました。

つまり「妊婦に障害がでる」というのはわかりやすいのですが、まさか、10才の女性が被曝して、その少女が15年後に妊娠したときに障害がでるなど、まったく予想ができないからです
.
チェルノブイリの事故からすでに25年を経ますが、まだこの先どのような健康障害が出るかというのははっきりわかりません。
・・・・・・・・・
わたくしが言いたいのは、放射線で被曝すると甲状腺ガン等になるということを強調したいのではありません。ここでは、「100ミリシーベルトまで安全」と行っておられる先生の「学問」というのはどういうものかをハッキリさせたいのです。

なぜ、そんなことが緊急かと言うと、福島原発の事故が起こって以来、東大教授やお医者さんが多く登場し、「心配ない、心配ない」といっておられます
.
生意気なことをいうようですが、わたくしから見れば、その東大教授やお医者さんは「学問」の本質を理解されていないように思うのです。

普段なら、このような失礼なことや傲慢なことは言わないのですが、現在はそれが「市民の方の健康に直接関係がある」ので、あえてここでお話をしたいと思った次第です。
・・・・・・・・・
チェルノブイリの時には、すでに、広島・長崎の被曝例や、研究途中での被曝事故等についての健康障害はかなり詳細にわかっていました。データはかなり合ったのです
.
また、チェルノブイリ事故で健康障害が出ないという報告書を書いた IAEA には、世界の最もすぐれた原子力及び放射線と健康に関する学者が集まっていました。
「多くのデータ」と「優れた人」が集まって「間違った結論」を出したのです
.
それではなぜ、「チェルノブイリ事故では障害者が出ない」と大きく間違ったのでしょうか。それは学問というものの性質に根差しています。

学問というのは「現在までの知識を精密にくみ立てて、一つの結論を得る」ということを行います。従って、「厳密に正しい」ともいえるのです。だから学者が言ったというとみんなが信用するというのがこれです。
ところが、「現在までの知識を精密に組み立てて一つの結論を得る」という文章をよくよく見ると、「学問は真実はわからない」ということがわかります。

つまり、あくまでも学問は「現在までの知識」に基づいているのであり、「将来獲得するであろう知識」は全く入っていないのです。将来、獲得するであろう知識というのは予想ですから、もしそれを使えば厳密な論理は展開できません。従って学問はその性質上、現在までの知識しか使えないのです。

これがチェルノブイリの時の IAEA の間違いの元になりました。つまり、それまでの知識によると、チェルノブイリ原発の事故によって、小さい子供が甲状腺ガンになり、将来の妊婦に異常が起こるということはわからなかったのです。
・・・・・・・・・
本当の学者というのは、「学問は真実がわかっていない」ということをわかっているということです。
これを今回の福島原発に当てはめますと、たとえば、「これまでの研究によれば、100ミリシーベルとの被曝を受けても大丈夫だ」とある学者の研究で明らかになっていても、それは現在の知識に基づく仮の学問の結論であって、おそらくは正しくないということなのです。

また、「100ミリシーベルとの被爆を受けると、1000人のうち、5人から10人が放射線によるガンになる」という事実も、また同時に学問的データなのです。
このようなときに、「学問」の本質が判っている学者はどういうふうに発言するでしょうか。

「学問的に、わたくしの研究では100ミリシーベルトぐらいまでは大丈夫だと思います。しかし一部に、100ミリシーベルトを浴びると1000人の内に5人から10人の人がガン(過剰発がん)になるという結果もあります。
もともと学問は、真実が判っているわけではないので、皆さんはできるだけ放射線に被曝しないように気をつけてください。

学者は新しい知見があれば論文を出すことができますが、皆さんの健康は損なわれると元に戻ることはできません。従って、国際放射線防護委員会で決められたように安全という意味では、「1年間に1ミリシーベルト」を目安に生活設計をされた方がよいと思います。

お役所も市民を守るのが役目ですから、法律に基づいた値で市民の健康を守ってください。」
今、福島市で行われていること、学問的に言えば「人体実験」ということができます。つまり学問は「100ミリシーベルトだから大丈夫だ」ということを断定的にいう事ができないのですから、学者が自分の判断で勝手に被曝量を決めるということは、学問の本質に反することなのです。

福島市から被曝による過剰発癌がでなければ良いことなのですが、もし過剰発癌が発生したら、それはちょうどチェルノブイリのときのように、「学者が新しい論文を書くことができる」という結果になり、市民は過剰発癌で苦しむことになるからです。

学者は常に「自分たちにはわからないことがある。だから研究をしている。自分たちが今、正しいと思っていることは、将来の研究によって覆される」と思っているはずなのです。
私たちは自衛しなければならないのです。
(平成23年4月4日 執筆)


原発 小さな疑問 その1 自然放射線

原発の問題を考えるときに、小さな疑問が残っていて、それが気になって理解を妨げているものがある。そのようなものを簡単に取上げてみたい。

今回は「自然放射線」である。
自然放射線についての多くの人の疑問は、
1) 自然放射線は1年間に2.4ミリシーベルトと官房長官が言ったのに、なぜ1年間に1ミリシーベルトが問題になるのか、
2) 東京等の測定値を見ると比較的低いのに、自然放射線だけで1時間あたりで0.3ミリシーベルトもあるので、福島原発からあまり放射線が来ていないのではないか?
という疑問である。
・・・・・・・・・
政府(官房長官)は4つ、普通の人なら錯覚するような表現をした。だから真面目な人は計算が合わないし、わかりにくい。
1) 2.4ミリシーベルトというのは、世界の平均で、日本は1.4ミリシーベルトである。 日本の他の放射線量と比較する時には、1.4ミリシーベルトを使わなければならない、
2) おまけに、1.4ミリシーベルトの3分の2は「内部被曝」である、
3) それなのに、普通に発表されている数値は「外部被曝」(推定)である。
4) 関東は関東ローム層があって外部放射線が低く、関西は花崗岩が多いので、若干高めである。
4重に微妙に表現が適切ではないので、真面目な人が計算するとどうも合わないということになる。また発表される数値が外部なのか、外部と内部を足したものかも明言しない。私が公表されている測定方法を見るとどうやら外部だけらしい。

つまり、日本人があびる自然放射線の内、外部からは関東で0.02程度で、後は食材や水、ラドンという元素からの内部被曝である.
だから、比較するときには、自然放射線(1時間あたりでは0.02マイクロシーベルト)と、発表される数値(東京の0.092マイクロシーベルト)が同質の数字である.

そうすると、引き算して0.072マイクロシーベルトが福島原発から東京まで来た放射線ということになる。
ところが、今回の場合、内部被曝(たとえば、マスクをつけてなかったので、空気中の放射性物質を吸い込んだ)がハッキリしていない。普通の自然放射線と同じように、外部が3分の1、内部が3分の2とすると、およそ3倍の1時間で0.2マイクルシーベルトぐらいになる。 

それに水と食材を加えると、さらに0.14ぐらいを足すから、余計にあびている放射線は1時間に0.34となり、1年間では約3ミリシーベルトになる。
・・・・・・・・・
一応、自然放射線の内容を示したが、現在ではあまりにデータが少なく、このように正確に計算しようとするとむしろ混乱する.
そこで、このブログでは「発表値×4」で自分が被曝する量を計算しておくのが良いのではないかと考えている(私の4には、水の放射線が少なくなれば、その代わりに魚が入ってきたりするので、当面は4が良いと判断している).
(平成23年4月4日 午後9時 執筆)
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放水を続ける以上、海の汚染は避けられない

 やはり、低濃度汚染水は海に放出せざるを得なかった。
 所詮これだけ注水していれば、爆発による大気汚染を抑える代わりに、汚染が排水、地下水、流末から海に向かうのは避けられない。
 大気汚染は被曝を制御できないので、背に腹は変えられない。
 
 気なるのは、この海中放出も昨夕唐突に決まり、即時に実施している。この唐突さは海水から真水への切り替えと同様に、また米軍の命令かと思われる。

 昨日アップした原発の鮮明写真をご覧のとおりで、3/14の大爆発によって使用済み核燃料プールは吹き飛んでいる。
 かなりの量の部材部品も吹き飛んで散乱しているところから、3/14から下旬くらいが被曝の大きな山だったと考えられる。
 何処から漏水しても不思議はない状態である。

 大気中への爆発の防止は最優先であり、放水を続けなければならない以上、海の汚染は避けられない。
 もう、誰も政府の言うことは信用しないだろうが、今までもずうっと漏れて続けていたはずだ。
 海産物には今後はさらにしっかりと注意することだ。
 
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汚染水1万1500トン、結局海に放出…福島第1原発事故(スポーツ報知)

 東日本大震災による東京電力福島第1原発の事故で、東電は4日、低レベルの放射性物質を含む汚染水計1万1500トンを海に放出することを発表、この日夜に排出を始めた。2号機タービン建屋にたまる高レベル汚染水の保管スペースを確保するための非常手段。放出後、付近の海産物を食べ続けても、自然から受ける放射線量の4分の1の影響だとしている。また、施設から高濃度汚染水が海に直接流れ込んでいることが確認された問題では、海への拡散防止のフェンス設置を検討している。

 東電が海に放出を決めたのは、まず現在、集中廃棄物処理施設にある約1万トンの低レベル汚染水だ。2号機のタービン建屋の地下などに、極めて高い放射性物質を含む水がたまり、復旧作業の障害となっている。この高レベルの汚染水の方を処理施設に移送し保管するために、低レベル汚染水の投棄を決めた。

 また、原子炉が冷温停止している5、6号機の建屋にも、低濃度の地下水がしみ出ていることが判明。安全確保に必要な施設が冠水する恐れがあるため、地下水1500トンも海に流す。合計1万1500トン。この日、午後7時すぎ、放水口から放出を始めた。5日間かけて放出する予定だ。

 高濃度汚染水の移送先としては仮設タンク設置案もあったが、間に合わなかった。また、炉心に燃料がない4号機タービン建屋を“犠牲”にし、タンク代わりに使う策も準備したが、別の号機とつながっていたため断念。人工浮島「メガフロート」に移送する案もあるが、容量に限界があるとして、海への投棄に踏み切った。

 東電によると、「量が非常に多いことと、(取り扱いが難しい)海水が混じっているため」フィルターを通すなどの処理をせずに流すことになった。今回の低レベルの汚染水の放射性ヨウ素の濃度は1立方センチ当たり1・6~20ベクレル。放水口付近の海では既に同180ベクレルが検出されており、今回はその9分の1以下と低い。ただ、法定基準値の同0・04ベクレルと比べると、最大500倍となる。

 放出の影響について東電は「近隣の魚類や海藻などを毎日食べ続けるとした場合、成人が受ける放射線量は年間約0・6ミリシーベルト」と説明した。一般の人が自然界から1年間に受ける放射線量の世界平均は2・4ミリシーベルトで、その4分の1だという。

 海への放出を発表した会見で、東電の担当者は「高レベルの放射性物質を処理するためとはいえ、環境に放出するので、地域の皆さま、関係者に誠に申し訳ない」と謝罪した。低レベルとはいえ、放射性物質の海への投棄を事業者自らが選択せざるを得ないほど事態は切迫している。

 ◆1万1500トンって!? 標準的サイズの25メートルプール(幅12・5メートル、深さ1・5メートル)だと約470トンの水が必要。その約25倍に相当。1回約200リットルを使用する一般家庭用浴槽に換算すると、約5万7500個分。
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