fc2ブログ

もうすぐ北風が強くなる

ブレーキを踏むと異音が発生する

 3年前に車を買った。
 1500CCの安い車ではあるが、新車はいいものですね。
 新車のにおいがします。

 毎日、気持よく走っていました。
 あれは、たしか3か月点検でしたか。
 もちろんOKで、異常なし。

 そのあとで、走っていてブレーキを踏むと、なにやら「カチン」と音がします。
 何か、外の音かな。と思っていたら、2、3日あとで、ブレーキを踏むと「カチン」。
 そのあと何日か経って、またブレーキを踏むと「カチン」。

 「ふうむ......」
 と言うのは駄洒落です。すみません。
 いずれにしても、ブレーキを踏むと「カチン」ですから、ブレーキ系統に異音発生=制動に異常だ。

 すぐにディーラーに行きました。
 サービスマンに状態を話して車を預け、サービスのコーヒーを飲んでいました。
 5分ほどでかのサービスマンが戻ってきました。

 手にカルピスウォーターの缶を持っています。
 「これが、運転席の下にありました。たぶん原因だと思いますが............」

 いやはや、どっこい.............(衝撃)
 これはもう、馬鹿な私で。
 サービスマンに「すみませんっ」でした(笑)。

 ちなみに開けていないカルピスウォーターでしたので、もちろん飲んじゃいました。
 
 カルピス

関連記事

民主的で道徳的な、公正な経済体制が国民の団結を支える

 スティグリッツ2

 経済は成長さえすれば良いのではない。
 民主的で道徳的な経済体制が、強い政治によって保証されることが肝心なことだ。
 経済成長至上主義では新自由主義と同じことだ。
 格差、不公平、汚職、不正義をただして、公正な富の再分配と民主的な社会保障への強い政治動機が必要だ。

 スティグリッツ教授から
民主化要求の流れをつくったチュニジア革命

ジョセフ・E・スティグリッツ

 全世界がチュニジアの民主革命を祝福している。この革命は中東の他の国々で(エジプトでは特に激しく)連鎖反応を引き起こしており、今後の展開が注目される。チュニジアの先頃の経験が示唆する教訓を学ぶとともに、腐敗した独裁者を倒した若者たちが安定した機能する民主主義を築けるかどうか見守るために、今、世界中の目が人口1000万人のこの小さな国に注がれている。

 まず、教訓から。第1に、政府がまずまずの経済成長を実現するだけでは十分ではない。なにしろチュニジアのGDPは過去20年にわたって年率5%前後の成長を続け、同国はとりわけこの地域では比較的高い経済成長を遂げている国の一つとしてたびたび引き合いに出されていたのである。

 国際金融市場の命ずるところに従うことも、やはり十分ではない。それは国債の格上げをもたらし、国際投資家を喜ばせるかもしれないが、それによって雇用が創出されるわけでも大多数の市民の生活水準が向上するわけでもない。第一、債券市場や格付け機関は誤りを犯しやすいということが、2008年の危機に至る過程で明白になった。これらの機関が独裁から民主主義へというチュニジアの動きを今冷ややかな目で眺めていることは、これらの機関の名誉を高めることではない。そして、われわれが決して忘れてはならないことだ。

 まともな教育を提供することさえ十分ではないのかもしれない。世界中の国が、労働市場の新規参入者に行き渡るだけの雇用を生み出すのに手こずっている。だが、高い失業率と腐敗の蔓延がセットになったら火がつきやすい。重要なのは公平感とフェアプレーだ。

 雇用が不十分な世界で政治的コネのある者がそれを手にするとしたら、また、富が限られている世界で政府高官たちが多額のカネを貯め込んでいるとしたら、そのような不公平に対しては――またこれらの「犯罪」を犯した者たちに対しては――当然、怒りがわき起こるだろう。欧米でわき起こった銀行に対する怒りは、われわれがまずチュニジアで、そして今では中東全域で目にしている、経済的公正を求める基本的要求のマイルドなかたちである。

○ 独裁者を倒した国民の団結意識で国家建設を進めよ

 民主主義は道徳にかなったものではあるが――そしてチュニジアが示しているように、独裁よりはるかに望ましいものではあるが――われわれは民主主義の看板を掲げている人びとの失敗を忘れてはならない。また、真の民主主義は定期的な選挙だけで――たとえ選挙が公正に行われたとしても――実現できるものではないということも忘れてはならない。たとえばアメリカの民主主義では、格差がますます拡大しており、今では最上層の1%が国民所得のおよそ4分の1を手にするまでになっている。富の分配となるとさらに不公平だ。

 実際、今日ではほとんどのアメリカ人が10年前より暮らし向きが悪くなっており、経済成長のほぼすべての利得が所得や富の分布の最上層の人びとのものになっている。また、アメリカ流の腐敗は、製薬会社に対する1兆ドルのプレゼント、巨額の政治献金による選挙の買収、貧しい人びとのための医療費を削減しながら実施される富裕層のための減税といった結果をもたらすことがある。

 そのうえ、民主主義には多くの国で内乱や派閥争いや政府の機能不全が伴ってきた。この点では、チュニジアは建設的な基調でスタートしている。広く嫌悪されていた独裁者を倒したことによって生み出された国民の団結意識という基調である。チュニジアはその団結意識を維持するよう努めなければならない。そのためには――政治的にも経済的にも――透明性、寛容、包含性に対するコミットメントが必要だ。

 フェアプレーの意識を確立するためには意見を表明する手段が必要であり、それは市民の対話によってのみ実現することができる。誰もが法の支配を強く主張するが、どのような法の支配が樹立されるかがきわめて重要だ。法律は機会の平等や寛容を確保するために使うこともできれば、格差とエリートの力を維持するために使うこともできるからだ。

 チュニジアは利益集団が政権を握るのを防ぐことはできないかもしれない。だが、選挙活動の費用を公的に負担する制度や、公的部門と民間部門を行き来するいわゆる回転ドアやロビー活動を規制する法律が存在しないままであるなら、利益集団による政権掌握は可能なだけでなく確実だろう。透明性の高い民営化オークションや政府調達の競争入札を確実に実施することが、レントシーキング(企業が特権的利益を獲得・維持するために行う活動)の余地を減らすはずである。

○ 自由や権利を確実に保障する憲法の制定を

 うまくバランスを取らねばならない難しい問題がたくさんある。強力過ぎる政府は市民の権利を侵害する恐れがあるが、弱過ぎる政府は繁栄する包含的な社会を築くために――すなわち、民間の強力な主体が弱く無防備な人びとを食い物にするのを防ぐために――必要な集合行為を実行できないだろう。中南米諸国は公職者の任期制限には問題があることを実証してきたが、任期制限がないのはもっと問題だ。

 だから、憲法は柔軟でなければならない。中央銀行の使命をインフレ抑制に限定しているEUのように、経済政策の一時的な流行を憲法に盛り込むのは誤りだ。だが、一定の政治的権利(思想・言論・出版の自由)や経済的権利は確実に保障する必要がある。チュニジアの人びとの議論の出発点として望ましいのは、自国の新しい憲法を作成するに当たって、世界人権宣言にうたわれている権利に加えてどこまでの権利を盛り込むかを決めることだ。

 チュニジアはすばらしいスタートを切っている。チュニジアの人びとは暫定政権を樹立するに当たり目的意識を持って思慮深く行動した。能力と実績のあるチュニジア人たちが、この重大な局面で自国のために尽くすことをただちに志願したのである。21世紀の民主主義の先導役になるかもしれない新しい制度を生み出すのは、チュニジア人自身である。

 安定のためと称して(もしくは「敵の敵は味方」という論理で)往々にして独裁体制を支えてきた国際社会には、チュニジアがこの先必要とするいかなる支援をも提供する責任があるのは明らかだ。
関連記事

世界通貨戦争(28)犠牲となる新興国、途上国

 ドルはアメリカの通貨だが、基軸通貨であるために、ドルと米国債の下落による被害は弱い通貨が受けてしまう。
 そのドルを大増刷しているために起こっている現象は、ドルの下落と資源・食糧の高騰、新興国の自国通貨インフレである。

 新興国よりも弱体の途上国は、基軸通貨に対しては、手も足も出ない。貧困と飢餓が迫っている。
 新興国はドルペッグを維持しようとドル買いせざるを得なく、自国通貨インフレが進んでいる。
 新興国はみな輸出依存国であるが、国民経済を犠牲にして基軸通貨と闘うのはとても無理がある。

 これが、通貨戦争の現状だ。 

 三橋貴明氏から
通貨安に基づくグローバル戦略の限界
2011/03/08 (火) 13:38

 アメリカが量的緩和第二弾(QE2)を継続している以上、予想されていたことだが、やはりWTI(ウエスト・テキスト・インターミディエート)が100ドルを上回ってきた。今回の原油価格上昇は、リビア情勢の混迷の影響が大きいわけだが、そもそも中東混乱の原因の一端は、アメリカのQE2にあるわけである。

 アメリカはオバマ大統領の「輸出倍増計画」の下、ドル安を志向している。無論、米国政府の要人は、口先では、
「強いドルがアメリカの国益である」
 などと発言するわけだが、そもそも今年の6月まで6000億ドルもの国債をFRBが買い上げることを計画しておきながら、強いドルも何もあったものではない。

 ドルは世界の基軸通貨である。そのドルがFRBから何千億ドルも新たに供給される以上、資源や食糧などのコモディティ価格が上昇して当たり前だ。特に、ドルペッグ(ドル固定相場制)を採用している国や、あるいは自国の通貨安を望む国々(中国、韓国など)は、コモディティ価格高騰の影響をまともに食らう羽目になった。


『2011年3月7日 日本経済新聞「NY原油、時間外で105.72ドル 2年5カ月ぶり高値」
 ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の原油先物相場は時間外取引で上昇基調を強めている。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油の取引の中心である期近4月物は日本時間7日10時30分過ぎに、一時1バレル105.72ドル程度まで一段高となり、日本時間9時過ぎに付けた高値105.44ドルを上回った。2008年9月29日以来、約2年5カ月ぶりの高値水準となっている。(後略)』

 図92-1の通り、WTI先物指数は2008年7月にピークを打ち、その後は半年間で100ドルも下落するという、大暴落になった。まさに、資源バブルの崩壊であるが、アメリカの量的緩和拡大の影響で、09年後半からまたもやジリジリと数値を上げ始め、11年3月についに再び100ドルの大台を突破したわけだ。

【図92-1 WTI原油価格先物指数価格の推移(06年-11年)】
92_01.png
出典:U.S. Energy Information Administration


 アメリカの量的緩和から産まれた流動性は、原油先物はもちろん、食糧にも雪崩れ込んでいる。そもそも、現在は新興経済諸国で中産階級が増えた結果、食糧の需要が世界的に増大している。さらに、ロシアなどで天候不順や天災により穀物供給能力が低下した結果、世界的に食糧価格が上昇しているわけだ。

 ちなみに、エジプト・ポンドは2010年1月をピークに、対ドルで価値を下げ続けていた。すなわち、エジプト・ポンド安だ。ドルの供給増により穀物の輸入価格が上昇した上に、通貨安が追い討ちを掛けた結果、エジプト国内では食糧価格が高騰した。

 しかも、エジプトはロシア産小麦の最大の輸入国であった。同国が穀物供給を頼るロシア(及びウクライナ)が、天候不順により輸出を停止したため、エジプトの人々が日常的に口にする食糧価格は、100%を超える上昇率になってしまったのである。

 結果、民衆の不満が高まり、ムバラク政権崩壊という「革命」に向けたデモ行進が始まったわけだ。チュニジアのジャスミン革命も、同様である。

 無論、中東諸国でインターネットが普及した結果、一般市民の情報交換能力が格段に上昇したというのも、中東の「革命」の一因ではある。それにしても、食糧価格高騰で市民生活が危機に瀕していなければ、さすがにここまで一気に革命が伝播することはなかっただろう。

 2011年3月3日。国連食糧農業機関が「世界食糧価格指数」を発表した。今年2月の世界食糧価格指数は、対前月比で2.2%も上昇し、統計開始(1990年)以降の最高値を更新した(これまでの最高値は2011年1月)。

 2011年1月以前の世界食糧価格指数のピークは、08年6月である。原油先物価格指数であるWTIがつけた前回のピークは、08年7月だ。WTIと世界食糧価格指数は、過去においてほぼ同じ動きでバブル化し、崩壊したわけだ。

 アメリカの量的緩和が継続する以上、少なくとも今後数ヶ月間は、WTIも世界食糧価格指数も上昇を続けることになる。特に、ドルペッグ諸国及び自国の通貨を対ドルで安く維持している国々は、国民生活に支障が出ること間違いない。

 実際に出始めている国の代表として、今回は韓国を取り上げよう。

 TPPに関連して、「第86回 TPPと「平成の開国」 前編(2/3)」において08年以降の韓国のウォン安戦略について取り上げた。08年、ウォン暴落という事態に直面した韓国の李明博政権は、日米中三国との通貨スワップで通貨危機に対する手当てをした。同時に、ウォン安で輸出競争力が向上した大手輸出産業に、経済を牽引してもらう成長戦略を描いたのである。

 その後の李政権は、サムスン電子などの大手輸出企業に対し、まさに至れり尽くせりの支援策を講じた。例えば、法人税の優遇措置である。

 日本の経済産業省が2010年5月に公表した「産業構造ビジョン」の骨子案によると、08年における韓国のサムスン電子と日本のシャープの法人税負担には、何と30%近い差が生じているとのことである。具体的には、サムスン電子が政府に支払った法人税が10.5%であるのに対し、シャープが日本政府に支払った法人税率は36.4%だったのだ。

 韓国の一般的な法人税は24.2%である。元々、韓国は法人税率が日本の40.7%と比べると低いわけだ。ここに各種の優遇措置を加えると、シャープの法人税の割合が、サムスン電子の三倍を超えてしまったわけである。

 法人税引き下げといえば聞こえはいいが、政府が大手輸出企業の法人税を引き下げると、企業はその分だけ税金を支払わなくていいという話になる(当たり前だ)。すなわち、その国の政府、ひいては国民が「損」をすることになるわけだ。

 韓国政府は、自ら(及び国民)が損をしても、大手輸出企業の純利益を拡大させた。体力をつけた企業が、投資拡大により国民経済を牽引してくれることを期待したわけである。

 とはいえ、実際には韓国の大手輸出企業は、法人税を引き下げてもらった割に、韓国国内で投資は増やしていない。韓国のGDPにおける民間企業設備の総額は、08年、09年と二年連続で減少した。

 国内の投資が減っている代わりに、韓国の大手輸出企業は海外直接投資を増やしている。こちらは07年以降、まさに激増という表現が相応しいほどに増えている。

 国内の設備投資を減少させつつ、対外直接投資を増やす。無論、企業単体にとっては、これはまことに合理的な判断なのかも知れない。しかし、国内の設備投資減は、韓国のGDP上の「民間企業設備」という需要項目の減少である。また、韓国の大手輸出企業がどれだけ対外直接投資を増やしたところで、同国の雇用改善には全く役立たない。

 一企業単体の合理的判断がマクロに集約されると、韓国国民にとって必ずしもポジティブな結果をもたらさない。韓国の大手輸出企業が対外直接投資を増やしたところで、韓国国民経済にとってはそれほどプラスにならないのである。まさしく、合成の誤謬だ。

【図92-2 韓国の対外直接投資・対内直接投資の推移(単位:百万ドル)】
92_02.png
出典:KOSIS

 英国の政治思想史学者のジョン・グレイ氏は、「新しいグレシャムの法則」を提唱し、いわゆるグローバリズムの進展について警鐘を鳴らしている。本来のグレシャムの法則とは、
「貨幣の額面価値と実質価値に乖離が生じた場合、より実質価値の高い貨幣が流通過程から駆逐され、より実質価値の低い貨幣が流通する」
 というものである。

 それでは、ジョン・グレイ氏が言う「新しいグレシャムの法則」とは何を意味しているのだろうか。

 グレイ氏は指摘する。
「自由貿易に対する規制の経済的不効率性はほとんど自明なことなので、規制なきグローバル自由貿易を批判する者はだれでも、すぐに経済的無知という罪を着せられてしまう。しかし、規制なきグローバル自由貿易への経済的観点からの賛成論は社会の現実から大きくかけ離れた抽象論になる。グローバル自由貿易の制約が生産性を向上させないことは真実である。しかし、社会的混乱と人間的悲惨というコストを払って達成される生産性の極大化とは、常軌を逸した危険な社会理念である」

 企業というミクロベースで見た「生産性の極大化」とは、各企業がグローバル競争に勝つべく、「ムダを徹底的に省く」「非効率な雇用を切り捨てる」「労賃を減らす」「生産工場を海外に移転する」「国内を徹底的に寡占市場化し、キャッシュマシーンとする」など、国民経済にダメージを与える形でしか達成されないのである。各企業が合理的判断に基づき「生産性の極大化」に邁進した結果、国民経済は大ダメージを蒙る。

 各企業の生産性が向上する中、国内の消費は縮小傾向に入り、失業や格差、それに貧困が社会問題化することになる。この状況において、企業は果たして「国民経済の目的」を達成しているといえるのか? という疑問をグレイ氏は提唱しているわけだ。

 そして、08年の危機以降の韓国こそが、まさしく大手輸出企業が「生産性の極大化」に突き進んでいる国の代表国なのだ。

 サムスン電子や現代自動車などによる国内の寡占市場化が推進されると、消費者たる韓国国民が損をする。大手輸出企業が「巨大需要家」としての地位を活用し、売上原価を削減すれば、下請の韓国企業が損をする。韓国は現在、実質賃金がOECDで二番目に減少している(一番は08年に破綻したアイスランド)が、これは従業員に損をさせているということだ。さらに、国内の投資を削減し、対外直接投資を拡大すると、国内の設備投資関連の企業が損をする。そして、法人税を引き下げる、あるいは大手輸出企業について優遇すると、政府が損をする。

 消費者、下請け企業、従業員、政府など、大手輸出企業以外の韓国国民が損をし、純利益が最大化したとして、それが果たして韓国の国民経済にとって有意義なことなのだろうか。しかも、韓国の場合は大手輸出企業の株式の四割強を、外国人により保有されている。2010年12月決算の韓国の上場企業(359社)が稼ぎ出した純利益から、莫大な配当金が外国人株主に支払われることになる。その額たるや、約4兆ウォン。韓国では外国人に支払われる配当金が、配当金全体の44%を占めるのである。

 国民や国内企業、政府に損をさせ、純利益を最大化し、配当金の四割以上を外国人に支払うわけだ。これこそが、いわゆる「グローバリズム」なのだろうか。もしそうであるとしたら、筆者はグローバリズムなど真っ平ごめんである。

 また、サムスンなどの大手輸出企業がグローバル市場における勝者を目指す場合、韓国の実質賃金は減少せざるを得ない。何しろ、韓国の輸出企業は中国やインドなど、国民所得が極端に低い国々の企業と競合しなければならないのだ。

 グローバル化が進んだ世界においては、労働賃金も「より実質価値が低い方」に収斂していくことになる。これがグレイ氏の言う「新しいグレシャムの法則」というわけだ。

 加えて、韓国政府は為替介入により「通貨安」を維持することで、大手輸出企業をサポートしている。韓国のウォン安は、確かに大手輸出企業にとっては好ましい状況だろう。しかし、韓国国民にとっては必ずしもそうではないのだ。

 現在、世界的な原油価格の高騰を受け、韓国では資源価格が高騰している(価格が高騰しているのは資源だけではないが)。同国の直近のガソリン価格は、すでに1リットル160円を超えるスタンドが出始めている。国民所得は日本の半分以下にも関わらず、韓国のガソリン価格は日本を上回ってしまっているのだ。日本の感覚で捉えると、ガソリン価格が1リットル300円を上回っている状況である。

 また、日本では全く知られていないが、現在の韓国は、何と深夜にネオンサインなどの消灯措置が導入されている有様なのである。無論、原油価格の高騰により導入された省エネ措置だ。

 韓国で価格が高騰しているのは、原油等の資源エネルギーだけではない。食糧価格も、当然ながら、価格が上昇を始めている。

 2011年1月には、李明博大統領が「物価との戦い」を政府の優先順位トップに上げる事態に至っているのだ。

 韓国が国内の物価高騰を抑制するには、ウォン安政策を改め、通貨高に持っていくのが最も適切である。しかし、ウォン安政策を翻すと、国内経済を牽引している大手輸出企業がダメージを受けてしまう。

 韓国の事例は、アメリカが雇用創出を重要視し、量的緩和を拡大している環境下においては、通貨安に基づくグローバル戦略に限界が生じていることを、明確に教えてくれる。


関連記事

 | HOME | 

 

プロフィール

もうすぐ北風

Author:もうすぐ北風
こんにちは。
いろんな旅を続けています。
ゆきさきを決めてないなら、しばらく一緒に歩きましょうか。

最新記事(引用転載フリー)

カテゴリ

経済一般 (118)
経済一般~2012冬まで (161)
日本の経済 (224)
通貨戦争 (70)
ショック・ドクトリン (12)
震災関係 (23)
原発事故発生 (112)
事故と放射能2011 (165)
放射能汚染2012 (192)
汚染列島2013-14 (146)
汚染列島2015-16 (13)
福島の声 (127)
チェリノブイリからの声 (27)
政治 (413)
沖縄 (93)
社会 (316)
小沢一郎と「生活の党」 (232)
健康と食 (88)
環境と地球の歴史 (28)
未分類 (175)
脳卒中と入院 (7)

カウンター

最新コメント

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

リンク

このブログをリンクに追加する

カレンダー

02 | 2011/03 | 04
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

最新トラックバック

月別アーカイブ

RSSリンクの表示

Template by たけやん