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もうすぐ北風が強くなる

始まる価格高騰はコスト転嫁できず倒産と需要減少

 トヨタ工場
 今日も出勤する俺たち 

 日本はマスコミの誘導と政府・日銀の無策によって、デフレ脱却しないままで、世界通貨戦争=ドルの過剰な流動性供給による商品価格高騰を受けることになってしまった。
 「デフレ脱却しないままに食糧・石油が高騰してくる」の続きです。

 政治がどう激変しても、仮に強力な政治主導政権が現れても、一年やそこらでデフレ脱却はできない。
 つまり、この16年間、消費と投資の国内有効需要が緩やかに減少を続けている状態で、国家、企業、家計がコストの高騰に見舞われることになる。

 金、銀、プラチナなどの貴金属は、あまり国民経済に影響は無い。
 問題は石油などの鉱産資源と食糧品の価格高騰が急速に進むことだ。
 見える範囲にしかならないが、その影響を考えてみよう。

 先ず、鉱産資源の高騰は、工業と非工業を問わずに、生産の原材料費と輸送費を押し上げる。
 次に、食糧の高騰は食品工業のみならず、生産とサービスに関わる労働力全体の再生産費用を押し上げる。
 従って、起こる事態は経済活動全体のコスト上昇とみる必要がある。

 通常はGDPの十数%にすぎない輸出黒字は過去の円高時期もクリアし、消費税の割戻しで莫大な内部留保を抱えているのでこの問題から除外する。

 問題は経済活動全般にわたるコスト上昇をどの段階が吸収させられるかである。
 デフレでなく、通常の緩やかなディスインフレ経済ならば、このコストは最終消費に吸収され、例えば8%の物価上昇を生む。
 そして、8%前後の賃金総額の上昇によって賄われて、拡大再生産の循環に載せることが可能である。もちろんインフレ期待値も8%程度となり、その程度+aが貸出金利となる。

 だが、日本の現状はデフレで、こうした循環機能を失っている。
 失っているから縮小循環のデフレが続いているのであるから。

 従って、全般的コスト上昇分は、どこかに無理やり吸収させられることにならざるを得ない。
 以下に我々の見える範囲で列挙してみる。

 生鮮食料品
 この十数年で食品小売は寡占が進んでいる。全体売上額は減少を続けているので、小売価格はコスト吸収できない。
 生鮮食料生産は自営・零細のままであるから、コストは生産者が吸収させられる。もっともひどいことになるだろう。
 放置すれば社会問題化するので、政策配慮が必須である。

 加工食糧品
 やはり、小売側が強力だ。小売価格への転嫁は不可能に近いだろう。2008年の高騰の際は、量目を減らす試みが為されたが、これ以上は量目減らしは無理。また、量目減らしは生産コストと輸送費削減に寄与しない。
 ただし、工業的生産なので設備投資が進んでいて、生産スケールでコスト吸収できる生産企業もあるだろう。
 それ以外では、やはり厳しい淘汰となる。一般的には大きい者が勝つ。零細・中小はひどいことになるだろう。 
 
 衣料品
 綿花価格も実は上がっている。だが、なんと言っても食糧のようにほぼ毎日回転するものではない。
 ユニクロのような日常必需品衣料は、中小が淘汰されよう。
 それと、利幅の大きい差別化高級品はあまり影響を受けないと考える。

 自動車燃料と灯油
 国内は元売が「あうん」の呼吸で実質価格調整されている。コストは消費価格にならざるを得ない。売上減少を招くだろうが、元売は小売に付けるしか無いし、小売は価格に付けるしか無いのがこの商品の構造だ。

 石油以外の一般鉱産資源
 石油以上に統制されている。価格は完全に上乗せされるので、中小零細ユーザーは倒産するだろう。
 電力は公共性で統制されているので、コストは大きな批判を浴びない程度に値上げで吸収する。その他公共料金は概ね同様である。

 生活必需品全般
 石油製品は高騰する。公共料金も上昇する。
 食糧衣料等はおそらく数%にとどまるのではないか。
 しかし、その分だけ生産とサービスは、ひどいことになる。
 淘汰・整理が激しくならざるを得ない。

 労働力全般
 上記の総括。失業率は上昇する。雇用の質はさらに悪化する。賃金総額の下降が加速する可能性がある。

 結論
 国内の消費需要と設備投資は底が抜ける、つまりデフレ恐慌の危険だが、可能性として考慮しておく必要がある。
 すくなくとも、デフレ=生産と消費の縮小循環は、加速すると考える。

 なお、この場合は、消費者物価は上昇するだろうが(この物価上昇でデフレが解消に向かうと考えるものはいないと思うが、仮にいたら、完全な妄想だ)、通貨価値の下落でも無ければ、経済成長でも無い。期待インフレでもないので、金利は上がらない。


  

  

 
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