世界通貨戦争(22)途上国を襲うインフレと食糧危機
2011-02-05

NHKから
世界の食料価格が過去最高に
2月4日 8時31分
FAO=国連食糧農業機関は、先月の世界の食料価格指数が過去最高となり、今後も高値の傾向が続く見通しであることを明らかにし、食料価格の上昇で発展途上国などの貧困層に深刻な影響を及ぼすことも懸念されます。
FAOの食料価格指数は、穀物や食肉、砂糖など主な食料の国際価格から算出しているもので、FAOは3日、2002年からの3年間を100とした指数が、先月は前の月より3.4パーセント上がって231になったと発表しました。これは、統計を始めた1990年以降、最も高い値となっています。内訳で見ますと、価格が横ばいだった食肉を除き、乳製品、砂糖など主な食料品がすべて値上がりしています。その理由については、
▽オーストラリアで続く豪雨の被害など、各地の天候不順が農作物の収穫に影響を与えたほか、
▽中国やインドなど経済成長を続ける新興国で食料の需要が高まっているためとみられます。
世界的な食料価格の上昇は、中東地域のチュニジアの政変の発端となったうえ、エジプトでの大規模な抗議デモの一因ともなっています。
FAOによりますと、食料価格の高値傾向はさらに数か月続く見通しで、発展途上国などの貧困層に深刻な影響を及ぼすことが懸念されるほか、国によっては今後も反政府デモなどの要因となる事態も予想されます。
(引用終わり)
NHKの「報道」へのコメント。
食品価格への影響としては、新興国の食品需要増加は長期的なものであり、異常気象(NHKは天候不順だそうだ)は中期的なものである。
ならば、何故高騰が数か月で終わるのか???。
新興国の需要増やら、異常気象の不作の影響やらが数月で終わる訳がない。
今現在の高騰の原因は「商品市場」である。
アメリカの6000億ドル増刷による流動性供給が、結果的に国際投機市場に廻っているためである。
長期的な新興国需要の増加はともかく、異常気象も反政府デモも投機資本には儲けを生む「上げ材料」である。
上げ材料で大衆投資家を参加させて、彼らの儲けにする、いつものパターンである。
商品市場のチャートを見たら誰でも解ることだ。
一番の原因をことさら「隠して」、記事にするから内容不明となる。
こんな記事がそのまま理解できるなら、異様である。
マスコミが国民大衆を馬鹿にし、かつずっと馬鹿にしておきたいという典型事例である。
まあ、マスコミの偽報道を指摘するために引用したわけではない。
世界の食料品価格が1990年以降の最高値になっている。
世界恐慌から逃れようと先進国、新興国は通貨戦争の形で自国産業の防衛を図ろうとしており、同時に金融緩和と言う名で莫大な流動性供給を行っている。
その被害は新興国もさりながら、最も弱い途上国に集中する。
自主独立経済が弱いため、事実上植民地であり、格差は極度に拡大しており、大衆は極度の貧困と失業状態にある。
そこに自国通貨下落のインフレが襲っているのだが、国際投機資本のお陰で、さらに食料品と石油の高騰が襲いかかっているわけだ。
2007年サブプライム・ショック以降、株と不動産から逃げた資金は商品市場に集中し、石油と食品は上昇を続けた。
2008年リーマン・ショックで信用崩壊し、やっと見切り確定して撤退した。
そして、今再び懲りないウォール街は商品投機に没入している。
食品が最高値と言うことは、国際取引価格は既に2008年夏のピークを超えたと言うことだ。
日本の場合は、円高が少しは緩和しているのだろう。
通貨安の国の産業は防衛されるかも知れないが、勤労大衆は貧困・失業・インフレに加えて食料の高騰が襲いかかっている。
自国通貨の信用もなく、特権階級がドルで資産を持つような、途上国の勤労大衆は..........。
まさしく既に、大半の人々が危機的な生活状況に直面しているのである。
日本についても派遣切りなどを思い出して欲しい。
他人事ではないのだ。
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