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もうすぐ北風が強くなる

小沢一郎氏12/13渡辺乾介(後編)

 前編である「小沢一郎氏12/13渡辺乾介」の後編です。

『週刊ポスト』 2011年1月21日号(1月4日発売)
以下転載「」、特に注目≪≫


独占激白120分 「対米自立」「景気対策」「地方主権」「司法と政治」 そして「政治生命」 すべてを語った――

年が改まっても何しても、総理大臣・菅 直人から<脱・小沢>の憑き物がとれない。もはや憎しみだけなのか。それをいいことに自民党も「小沢」を政権奪取の起爆剤にしようとするが、肝心の国づくりの知恵はない。政治の異常を正常に戻すのは畢竟(ひっきょう、最終的には、結局、の意)、国民自身なのだ、心ある人々は「小沢潰しにこれ以上無駄金を使わず、彼を生かして使ったほうが国の為になって、第一、安くつく」と考える。小沢の意気込みは如何に。独占インタビュー後編――。

レポート/渡辺乾介 『小沢一郎 嫌われる伝説』著者


【攻守を変えた年末トップ会談】

菅 直人首相は逆上した。

12月20日、菅氏は小沢一郎氏と会談した。政治倫理審査会に出席させようとした目論見は、初っ端から小沢氏に拒否されて崩れた。政倫審出席を拒否したら証人喚問に引きずり出すとあらかじめ決めていたとすれば、小沢氏の拒否表明が会談の最初であろうと終わりであろうと、結論と結果は同じことだった。

しかし、会談は延々1時間半に及んだ。その間、出ろ、出ない、を繰り返し、およそ総理大臣と党内最大実力者の会談とは思えぬ低レベルのものとなった。

菅氏に余裕はなかった。「政倫審に出ろ」の一点張りの話に、小沢氏は、自身の政倫審出席、仙谷由人・官房長官に対する問責決議などへの対応と国会対策の展望はどうなのかと畳み掛けた。逆襲したのである。政倫審出席問題が、一にかかってねじれ国会乗り切りの野党対策、つまり国会対策の必要から生じた、やむにやまれぬ「小沢カード」であることは周知の事実だ。

小沢氏はそこを衝いた。菅氏の一番痛いところだ。小沢氏が政倫審に出席したからといって、それによって国会審議が軌道に乗る見通しはなく、国会対策と言いながら、肝心要の絵図面が全く描けていないことは菅氏が一番よく知っている。答えられない首相。

すかさず小沢氏が「私が出席することで国会が円滑に動き、法案処理が進むならともかく、その保証がなく、見通しもないのでは、では何の為に出席するのか。全く意味をなさない」と踏み込んだ。

菅氏が逆上した。「出席することはあなたの為にも党の為にもなる」。「私は強制起訴されるのだ。潔白は法廷で晴らすと言っている」――応酬となった。

国会対策を巡るやりとりは、この会談の隠れた意味を浮び上がらせた。実は、会談は菅氏が政倫審出席の一点で攻勢を掛けた形だったものの、実態は国会対策、換言すれば、政権運営に主導権を失っていることを逆にはっきりさせることになった。その意味で、攻守ところを変える結末だったのである。

逆説的に言えば、五里霧中の菅氏が“何とか助けてほしい”と懇願したともいえる会談だった。政権派が政倫審、証人喚問と次々に仕掛ける攻め手にも、小沢氏に動じない自信が窺(うかが)える。≪≪強気は弱気の裏返しでもある。菅氏が小沢氏に感情を剥き出しにした。それは政権公約を変質させた方便としての<脱小沢>が行き詰っているからに他ならない。奇妙な逆転が起きているのだ。≫≫

小沢氏はそこを見据えているから揺るがない。小沢排除の動きにも風馬牛(互いに無関係なこと、の意)。そして、自前の政策論を縦横闊達(かったつ、度量が大きく、小事にこだわらない様)に語った――。


【「アメリカ言いなりは楽」の俗論】 ※ここからインタビューが始まります。

――小沢排除派の官僚、政治家、大メディアなどの共通性を辿っていくと、“アメリカの子供”として日本が安住していきたいという人たちが多い。

小沢 あー(と言って小さく頷く)。

――結局、アメリカのいうことを聞いているほうが政治の舵取りが楽だからか。

小沢 自分で考えなくていいから、気楽なんでしょう。≪≪ただ、アメリカだって自国の利益を犠牲にしてまで日本の為にやるわけではないよ。特に今は、イラク、アフガニスタンで事実上、戦争をしているわけでしょう。ところが日本人は、何か自分に都合のいい時だけ、アメリカ人は血を流して(日本を)守ってくれという。しかも、自分は危険なことはやりませんという話ですからね。

アメリカは、本当に自分の利益に合致しなかったら、血を流してまで日本を守る気はないです。≫≫だからその意味で、僕はもっときちんと自立した日本人と日本にならなくてはいけないと主張している。アメリカは最大の同盟国であって、日本にとって最も大事な国であることは間違いない。ただ、だからといってアメリカに尾っぽを振っているだけでよいわけではない。

――菅内閣は武器輸出三原則の見直しを検討している。見直してくれなどと、アメリカが言うと思うか。

小沢 いや、アメリカじゃないと思います、あれはね。

――アメリカが言わなくても、「アメリカが見直してほしいんじゃないか」と勝手に忖度(そんたく、他人の心を推し量ること)して政策を考えるという、“忖度派”がいる。

小沢 ≪≪アメリカはむしろ、自国の兵器を買ってもらいたいんですよ。日本が兵器を生産して売ることには賛成じゃないでしょう。≫≫

――あなたはかつて、アメリカが孤立主義、保護主義的な政策をとるようなことになるとしたら、それは日本外交の失敗、日本の責任だと言った。この考え方は今も変わらない?

小沢 変わりません。≪≪アメリカは自国だけで食べていけるから、従来から孤立主義の考え方がどうしても根強いんですね。≫≫だけれどもやっぱり、あれだけ腕っ節の強い国だから、アメリカを除外しては世界の平和、秩序が成り立たない。国際舞台にアメリカを引っ張り出しておかないと駄目なんです。その為には、日本はただの飼い犬ではなくて、本当に頼りになる友人、パートナーにならなくてはいけない、というのが僕の持論なんですよ。
今の俗論は、アメリカの言うことを何でも聞いていればいい、そのほうが安心で楽でいいじゃないか、ということでしょう。しかし、それはいずれ破綻しますよ。

――同じ意味で中国に対しても、どうも今の政権中枢はおどおどしている感じがする。

小沢 うん、そうですね。

――かつてあなたは、国家主席時代の江沢民氏に面と向かって、「台湾は歴史的にいつから中国固有の領土になったのか」と言って、絶句させたという話がある。尖閣諸島の問題でも、これは日本固有の領土であると、はっきり言ってきた。

小沢 それはそうです。

――そこを言い切らないで、おどおどする。一方でアメリカにべったり、一方で中国にはそういう態度。

小沢 ≪≪どこにもベタベタしている(笑い)。本当に困ったものです。何も現在の内閣だけじゃないですよ。自民党政権以来、ずっとそうです。ただ、民主党は自民党とは違うんだと、「自立と共生」の旗を掲げて政権交代したんだから、もう少しピリッとしないといけない、と僕は言っているんです。≫≫


【官僚は国家レベルのことをやれ】

――あなたが政権交代の主軸とした地方主権。これで国の根幹を変え、経済、社会の仕組みも変えようとした。
今はそうではなく、官僚依存で政権維持を図っている。結果、逆に地方の離反が激しくなっている。(昨年)12月12日に投開票された茨城県議選での民主党の大惨敗も、恐らくそういうことが背景にあったのではないか。

今回のインタビューに当たって、各界の論客から「小沢一郎氏に聞きたいこと」を聞き取りした。

河村たかし・名古屋市長はこう言っている。

「私がやってきた『1割減税』や『職員の人件費1割カット』とは、税金の使い方は納税者が決めるという視点から進めてきた改革だ。小沢さんは、党代表選で地方への一括交付金を掲げた。だが、私に言わせると、それでも足りない。地方の起債権及び徴税権も自由化してもらいたい。それで『税金の安い自治体』をつくって成功すれば、名古屋は東京と競争出来るようになるし、失敗すれば首長は責任を問われる。それこそが地方主権だ。当然、既存利権派からは大きな反撃があり、抵抗がある。しかし、身を捨ててでもやる勇気が必要だ」


小沢 ≪≪一括交付金は絶対やらないと駄目ですね。それは地域の活性化、地方の自立、そして行政コストの削減、あらゆる面から絶対にやらなければならないことだと思います。≫≫

公共事業であれ、社会保障であれ、お金は結構あるんです。問題はどこでどう使うかです。地方で使えばいいんです。そこを僕は言うんですよ。僕は何も、官僚を排除しているわけじゃない。官僚でも優秀な人ほど、そのことはよくわかっていますよ。国の官僚は国のことに専念すればいいんです。何で、田舎の道路をどうやって通すとか、こうするとかやってるの?そんなのは全部、地方に任せろと。官僚は国家レベルのことをやればいい。

≪≪例えば、社会保障にしても、もう事実上、全部地方がやっているんです。それなら、みんな地方にお金も渡して任せればいい。そうすると、地方ではお金をもっともっと有効に幾らでも使える。全体では今ほどお金をかけなくてもよくなる。地方で自由にお金を使えるんならね。そういう形で地域の活性化と自立を進めていくことが、雇用の拡大にも繋がるし、一番いいと思います。≫≫

≪≪だけど、徴税権や起債権となると、ちょっと違う。今直ぐ税源まで全部地方にやっちゃうと、大都会は金がどんどん入ってくるから喜ぶけれど、田舎はもう全部アウトになりますよ。だから、裕福なところが地方税を別に取るというのは一向に構わないと思うけれど、所得税と法人税、消費税、そういう基本の税は国にいったん集めるシステムを当分続けないといけないと思います。その税金を地方に交付してやらないと、東京などの大都会だけがどんどん裕福になってしまう。

最終的に、欧米みたいに大きな企業も地方に本社を持っていって何の不便もないという社会になれば、その時には税源移譲の話になるでしょう。でも、今直ぐ「お前たち、勝手に税金を取って、勝手にやれ」なんて言われたって、例えば私の岩手県などはどうしようもない。税金を払う人が少ないわけですからね。

だからそれまでは、徴税は先ず国がやって、それを豊かでない地方に配分する。しばらくはまだ、そういうことをやらなきゃいけないでしょうね。≫≫


【小泉政策が生んだ将来不安】

――経済アナリストの森永卓郎さんは、こう質問を寄せました。

「日銀は10年10月に包括的金融政策を発表して5兆円の基金を創設したが、それでは規模が小さ過ぎる。デフレ脱却の効果を出そうと考えるのなら、50兆円規模の基金を作る必要がある。それでも効果が現われないのであれば、100兆円でも市場に投入すればいい。小沢さんは民主党代表選の時に、『日銀法改正とインフレターゲットの導入を検討する』と語っていた。改めて、デフレ脱却の為に何をすべきと考えているか聞きたい」


小沢 金利を含めて、金融政策でいろいろやれる範囲は、だんだん狭まってきています、その効果がね。

≪≪そもそも、何故デフレで、何故景気が悪いかと言うと、要するに一般の人たちの所得が減っているからです。それでいて、一方では大企業なんかはいっぱい持っている。何年か前に、「いざなぎ景気以来の好景気だ」なんて言っていた時でも、株主配当と取締役の収入はうんと増えたけれど、一般の勤労者の所得は7~8%減った。それでは消費が盛り上がるわけがない。だから、経済を立て直す為には先ず、もっと個人に配分を手厚くすることが必要なんです。≫≫

≪≪もう1つの原因は将来不安です。これは社会保障、年金や医療だけではなくて、雇用でもそうです。小泉政策の結果、旧来の雇用形態が否定されて、それこそ非正規やら請負やら不安定な形態が増えた。いつクビになるかわからないというのでは、とてもじゃないけれども、消費なんかにお金を回していられないでしょう。(デフレを脱却する為には)そういう将来の不安を取り除いて、将来に向かって安定したシステム、セーフティネットをつくること。同時に、所得の分配をもっと一般の人たちに回すことですね。≫≫

――それで国は発展しますか?国全体は。

小沢 ≪≪そうすれば、個人消費が伸びますから、景気は回復します。日本は個人消費がGDP(国内総生産)の6割ですからね。逆に言えば、個人の消費が伸びなければ、経済の建て直しなんか出来ません。「海外だ、海外だ」と大企業の人たちは言うけれども、完全に外国に行っちゃうならともかく、そんなことをしていると天に唾することになる。いずれ、一般の人たちが買い物も出来なくなったら、いくら海外に進出しても日本の企業として駄目になると思います。だからやっぱり、国民の将来不安をなくすこと、その一環としてセーフティネットをつくること、そして一般の人たちへの所得の分配率を上げること、その3つが必要ですね。≫≫

消費税の問題にしろ、税制改正にしろ、一般の国民にすれば、所得が減っているのに税金ばかり高くされるのでは冗談じゃない、という話になるわけですよ。


【政治活動は主権者のみが判断】

――森永さんからはもう一つ質問がある。

「菅内閣はドル安政策を取るアメリカを恐れて金融緩和に踏み出せない。菅内閣の為替政策は、日本経済ではなくて、アメリカ経済の為にやっている。普天間飛行場の移設問題と同じ構図です。急激な円高、円安を止める手段を取ることも、一定部分はアメリカに認めさせる外交をする力を持たなければいけないのに、政治家は逃げている」


小沢 それは一面、その通りなんです。

≪≪ただ、円高と言っても、大企業は何も困っていませんよ。何だかんだ言うけれど、ちゃんとリスクヘッジ(リスク回避)しているからです。日本は1ドル=80円になろうが70円になろうが、そんなに大したことはないですよ。

困るのは、円高を理由にして、雇用を、給料を減らされる人たちと、買い叩かれている下請けの中小・零細(従業員10名以下の企業)企業なんです。そこを守ってやらないと、日本経済を本当に再生させることは出来ませんね。

僕は別に大企業が悪だと言っているわけではありませんよ。
ただ、企業経営者の倫理観というものが、近年、急速に薄れてきた。どこの世界も、どこの分野も同じだけれど、昔は自分が苦労しても、社員はクビにしないようにという責任感があった。
今はむしろ中小・零細企業のほうが一生懸命になって雇用を守っているでしょう。大企業ほどスパスパとクビを切っている。そういう企業の倫理観、日本的な社会の良さが全くなくなってしまった。そういう風潮も小泉政策が助長しましたね(Roentgenium:小泉の改革・規制緩和は米国からの対日年次改革要望書に基づくもの)。
だから、根本的なところから直さないと駄目だと思います。≫≫

――検察の裏金問題を告発した三井 環さん(みつい たまき、元大阪高検公安部長)は、検察及び司法改革について
、取調べ可視化とは別に、4点の課題を挙げた。

①検察が押収した証拠品目録と、証拠提出しなかった残記録の全面開示。冤罪を証明出来たケースでは、偶然出てきた残記録のおかげであったということが非常に多い。

②最高検や高検検事長地検検事長を選挙で民間人から選び、更に選挙で選ぶ新しい検察審査会をつくる。

③裁判官と検事の人事交流の禁止。

④検察の裏金問題の解明。


小沢 そういった専門的な立場からのお考えは、それはそれでいいと思うけれども、僕自身は政治家として、政治活動に公権力が干渉することはよろしくない、というのが基本の考え方です。

≪≪今ある制度は制度として守らなければいけないからしようがないですけれども、例えば欧米では、政治活動を指導、監督するのは、選挙委員会とか、独立した委員会であって、官憲が直接政治に入ってこない仕組みになっている。政治活動は民主主義の根本だから、公権力が干渉しないようになっているわけです。確かに、その仕組みは民主主義の原理に適っている。だから、基本的に日本もそういう仕組みにしたほうがいいんじゃないかと思います。≫≫

≪≪もちろん、一般の事件や検察、裁判所のあり方がどうかという問題は、今お伺いしたお話の延長線上にあるんだろうと思います。ただ、僕は政治家だから、政治のことを言えば、政治は主権者たる国民の最大の権利、拠り所である以上、やはり全てについて、あくまでも主権者のみが判断し得るということを基本に制度をつくるべきだと思っています。そうしないと、日本に真の民主主義、議会制民主主義は定着しないのではないでしょうか。≫≫


    *


インタビュー中、小沢氏は自分の政治的役割のよって来たるところを「天命に従う」と言った。これまでしばしば苦境に陥った。新進党解党然り、自自連立離脱然りで、その都度、選挙で国民に助けられてきた。

≪≪が、09年から2年にわたる検察との緊張関係は、かつて経験した政治的対立、確執とは当然異質に違いない。しかも「政治とカネ」問題は、政権党の権力闘争に変質したという点が2つ目の異質と言える。新たに始まる公判廷は小沢自分史でも異質だろう。3つ目。権力闘争と法廷闘争で戦う相手が、いつか、或いは既に、複合的に一体化する危険との絶えざる神経戦から気を抜けないはずだ。これは4つ目か。そうした異質もまた「天命」ということかも知れないが、そこはよくわからない。

但し、小沢氏を高揚させた「小沢支持デモ」は正真正銘、国民の姿だ。小沢氏は実は、「天命」とは「国民」と同義語で言っている。≫≫

    ◇


インタビューは12月13日、都内で行なわれた。
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