小沢一郎氏の20年
2010-12-24

テレビと大新聞により、発言は編集歪曲され、捏造され、さらに検察には軽犯罪法にさえならない容疑をご丁寧に捏造されて叩き潰されたかの如き小沢一郎氏。
小沢氏は、依然として日本の政治家の中で政策力、実行力、統率力、影響力等全面的に群を抜いた圧倒的な力を保持している。
この比類のない能力は何なのだろう。
週刊ポスト2011年1月7日号にこの20年間の発言要約が掲載されたので、引用します。
以下転載「」、特に注目≪≫
【若き豪腕時代~自由党結党(90~98年)】
『週刊ポスト』が初めて小沢一郎氏にインタビューをしたのは1990年だった。自由党の若き豪腕幹事長として、湾岸危機のさなかに海部内閣で自衛隊海外派遣論議を仕切っていた。以来、小沢研究の第一人者、渡辺乾介氏による独占インタビューは22回にのぼる。その「語録」を振り返ると、小沢氏の一貫した改革論と「読みの鋭さ」に瞠目(どうもく)させられる。
記念すべき第1回では、日本の国際貢献に並々ならぬ意欲を語っていた。
「日本が国際責任を果たす方向付けだけは絶対にやりたい」(90年11月30日号)
その自衛隊派遣が党内外の横槍で失敗すると、「小沢降ろし」が起きる。「反小沢」政治の幕開けだった。
≪≪「僕は全ての問題について幹事長として最終責任を持つ決意でいる。ただ、問題なのは、僕がそう言ったからといって、“あいつ責任を取ると言ったぞ、シメシメ”とかね。国際環境の厳しい状況の時に、政争、政局の次元でしか見られないのというのも情けない」≫≫(91年3月29日号)
続く宮沢内閣では、小沢氏が代表代行を務めた竹下派による“数の論理”が批判された。小沢氏の反論。
「国民の支持を多く集めているところが、(中略)影響力を強く持つというのは民主主義の当然の帰結です。(中略)その基本の部分を遊んで茶化してしまうのは非常に危険な思想に陥る可能性がある」(91年11月22日号)
そして宮沢内閣に構造改革を強く迫った。
「戦後を支えた秩序が根底から変わっているのだから、何故今までと同じで上手くいくのか、おかしな話でしょ。新しい秩序の中で新しい時代が進んでいることを認識してやってほしい」
[Roentgenium:日本の〔支配層ではなく一般庶民、中流家庭の〕為の構造改革と、米国の為の日本の構造改革〔支配層はこちらに組みする?〕では、言葉は同じでも中身がまるで違う。政治改革も然り]
しかし、小沢氏の急進的改革論は党内で危険視される。自民党離党直前の弁はこうだった。
≪≪「総理になることが自分の最大の目的なら、昨年は確実になれただろう。しかし、それでは寂し過ぎます。総理として何をなすべきか、時代の要請を受けて何が出来るか、そういうことがやれる条件を整えなければ(総理になる)意味がない。(中略)改革派とは常に少数だが、例え少数でも、先見性を持って未来の為に行動しなければならない」≫≫(92年11月20日号)
離党して新生党を結成した直後にはこう述べた。
≪≪「もはや自民党は駄目だ、全く活力を失ったと判断した。自己改革をしていくのが保守です。(中略)選挙制度を改革することによって、政界再編をスムーズにし、2大政党制、政権交代の議会政治の機能を果たすようにするというのが最善の策」≫≫(93年7月23日号)
その直後に細川連立政権で自民党を下野に追い込むが、その抵抗は凄まじく半年で政権は窮地に陥る。小沢氏は、自民党の「政治改革より経済対策が先だ」という声に反論した。
≪≪「当たり前のやり方で不況を脱したり、経済構造が変わるんだったら、とうに直ってます。(中略)政治がリーダーシップを持たなければいけないのであって、だからこそ、政治改革を先行して早くやらないと、(中略)政府が少なくとも21世紀初頭ぐらいまでを展望することによって、個人消費も、設備投資も、技術開発も行なわれてくるはずです」≫≫(93年12月24日号)
連立は崩壊し、時代は自社さ政権へ。野党となった小沢氏は、村山内閣の“えせ改革”に噛み付いた。
≪≪「行政改革はこの内閣の最大の問題になると思うと、どなたか仰っているわけだね。それではとばかり、行政改革や規制緩和の項目がいっぱい出ました。ところが、各大臣がこぞって反対している。どういうことですか。口では改革と言っても、国民の目には明らかに違うと映りますよね」≫≫(94年11月25日号)
[Roentgenium:細川連立政権が余りにも短命だった為、自民党は浄化されるどころかますます悪くなり、手段を選ばなくなったようにも思える。霞が関に見られる風潮として、独立国家としての国家ビジョンが遠のくことになっても、既得権益に執着することのほうを最優先させる、そんなタレントのように軽薄な輩ばかりになった気がする。さきがけの武村正義、社会党、松下政経塾、それらの野心が大きな要因で、細川連立政権が短命に終り、自民党が駄目になったことと相まって小泉“売国”政治を許すこととなり、さらに今の菅政権に結びついているのではないか?菅政権は鳩山政権よりも、自民党政治よりも小泉“売国”政治の流れを汲んでいると言える。野党第一党でありながら、小泉劇場をともに演出してきたのが面々がいまの菅内閣を形成している。その先にあるものは悪夢の“小泉劇場第二幕”だろう。その下地作りという茶番がいま行なわれており、菅政権のアジェンダ=消費税増税や自由・人権の剥奪への布石を経て、今度は対日改革要望書ではなく、TPP無条件参加を実現させるだろう]
現在の民主党にも通じる問題である。通じると言えば、新進党が結成され、その幹事長に就いた直後の言葉も興味深い。
≪≪「自社の人たちは、(中略)みんな僕の悪口ばかり言っているわけ。その度に僕は男が上がるんですよ(笑い)。(中略)人の悪口や誹謗中傷で、天下の正道を動かすとか、或いは国民の信頼を得るということは、それは出来ません」
「民主主義社会の中でリーダーシップを発揮する為には、みんなが同じレベルで共通の認識があって、初めてリーダーに対して信頼関係が生まれてくるわけでしょう。そういう意味では選挙一つにしても、党運営も、全てにおいてみんなをそういうレベルに持ち上げないと、リーダーシップと言ったって、それは無理なことです」≫≫(いずれも95年8月11日号)
その年末に新進党党首に立つと、自民党が新進党攻撃で「池田大作喚問」をチラつかせた。それに反駁(はんばく)した言葉は現在に通じるか。
「多数党が、気に入らん奴を国会に招致だ、参考人だと呼んでやるというやり方を許したら、次に新進党が政権を取った時、自民党を応援した者をみんな呼んで文句をつけることになるのか。(中略)絶対やっちゃいけないことなんです」(96年1月19日号)
新進党は解党し、小沢氏は自由党党首となった。この時期、小沢氏は改革論を一気に純化させていった。
「僕は所得税・住民税を半分にし、法人税を現行の50%から40%に下げよと言っています。(中略)単純に景気対策で言っているんじゃなく、(中略)個人の選択肢を広げることと、官僚の裁量の余地を無くすことになるからです。(中略)これが規制を撤廃することですよ」(98年1月9日号)
→法人税率の推移、欠損金の繰越制度など - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E4%BA%BA%E7%A8%8E
→企業の法人所得税と社会保険料の事業主負担分を合算した数値を名目GDPで割った比率の国際比較 http://aldente512.blog63.fc2.com/blog-entry-135.html
→〔超二極化・超管理社会を加速させるであろう法人税減税〕何故、法人税率の引き下げが必要か - 池田信夫 2010年6月6日 http://agora-web.jp/archives/1028326.html
→R.ライシュ教授変説か?『法人税引下げはばかげている』 - 富士通総研http://jp.fujitsu.com/group/fri/column/opinion/201003/2010-3-3.html
このインタビューでは、改革を嫌がる守旧派を「幕藩体制」と表現し、マスコミから叩かれることを、こんなふうに言っていた。
「幕藩体制で禄高(ろくだか)を貰っている人、その典型はだから僕はマスコミだと言っているんですよ。それは、反対するに決まっている」
そして、もし“マスコミの嫌われ者”が総理大臣になったらどうするか、という問いにこう答えた。
「先ず第一に選挙をやって、国民に“ほんとにオレでいいのか”と聞く」
[Roentgenium:幕藩体制というよりも、CIAが金を出して作らせた日本テレビや読売新聞が記者クラブの中心であることから見ても、本質的には米国隷属の機関であると見るべきだろう。ただ旧来の既得権という部分では幕藩体制というのも半分はあるかも知れない。あと半分は外資だが。クライアントである日本の経団連企業も然り。皮肉なことに、(在日)朝鮮学校の反日教育と大差ないんじゃないか?〔差別とか偏見の意はない〕現在の日本財界に蔓延る孫正義(代理人の1人?)のような新自由主義的思考〔後日、『週刊ポスト』12月10日号に掲載されたインタビューを転載予定〕には全く賛同しない。菅政権に対する、小泉政権にも共通する異様な“メディアからの優遇”には、官房機密費の影響や電波利用料をめぐる取引、司法とメディアの癒着構造、そして現政権が米国に従順であることなどが幾重にも関係しているのだろう]
【自自連立~民主党代表(99~07年)】
00年に自自連立が崩れてから今日までは、政権に執着する自民党と、政権党に脱皮出来ない野党のもどかしい争いが続いた。自自連立初期の小沢語録から振り返る。
「私は以前から、日本再建の為に自由党の政策が実行出来るなら、誰とでも、どの政党とも組むということを言ってきました。(中略)大変な時だから協力してほしいと言われた。100%とは言わんけれども、自由党の改革の基本の考え方を採用してくれるならいいよという一幕がありました。(中略)僕の提起した政策論は、日本社会をどこへ持っていくかという岐路になる」(99年1月22日号)
そして連立離脱した後。
≪≪「日本人自身の精神的不安定、荒廃かな、これを世論調査で国民が一番に挙げるようにならなければ救いようがないんだ、この国は。(中略)政治のサイドにそういう危機意識、時代認識が非常に希薄だよね。多少は感じていても、目先の利害が先に来ちゃっている」≫≫(01年1月1日号)
現在の民主党に繋がる野党共闘を主導した時期、小沢氏は「改革の意思を持て」と訴え続けた。
「だめだと思えば変えりゃあいいんだよ。変えるものはどんなもんかなんて、今から心配したってしょうがないじゃないか。先ず変えてみなきゃしょうがない。そして、それが駄目ならば次のものにする以外ない」(01年2月16日号)
しかし自民党は、小泉内閣成立で息を吹き返す。小沢氏はその人気はイカサマだと言い放った。
≪≪「小泉さんは、口では改革と言っているけれども、自民党全体から見ると、小泉さんが改革を標榜する月光仮面の役割をして、その為のセリフを発することは許されている。しかし、実態は権力維持の為の役割分担なんだね。当初からわかっていた構図なんだけれども、最初は、一般の人はわからなかった」≫≫
そして見事に予言した。
≪≪「辞めざるを得ないんじゃないですか。だけど、それがイコール、多分、自民党政権の終焉だと僕は思うけどね。まあ、一時的に、じゃあ代わりに誰がやれとか、何やれとかなるけど、経済のクラッシュが起きた時に、もはや自民党では絶対に対処出来ない」≫≫
民由合併を決めた直後、同志にも注文を付けた。
≪≪「僕は万年野党でいいという人とは組まないと言っているんです。(中略)責任ある者が責任者の立場で決断しないというのが日本的文化だとしたら、それは自民党と何も変わりない」≫≫(03年10月3日号)
次は郵政解散直後の弁。民主党の岡田執行部は、「自民党分裂だから楽勝」とタカを括っていたが、小沢氏の見方が冷静だった。
[Roentgenium:いまのイオン・グループがあるのは〔官僚当時の岡田にはインサイダーの疑いもあり〕対日年次改革要望書に忠実な小泉政治のおかげであるとも言えるし、郵政選挙に際しては自民党の広告代理店(BBDO)と民主党の広告代理店(フライシュマンヒラード)がともにデヴィッド・ロックフェラーのオムニコム・グループの参加企業だったという事実もあり、全くの茶番だったという見解もある。また、売国“談合”マスゴミのほうは官房機密費、郵貯・簡保の金が欲しい米金融界からの資金、そして小泉が餌にした地デジ利権に餌付けされ、米国シンクタンクが送り込んだ代理人・竹中平蔵らを重宝し、魂を売って“売国”小泉劇場を過剰演出した。前原誠司はその小泉と「郵政民営化研究会」に名を連ねていた張本人であり、“双頭政治”のキーマンの1人である]
「郵政解散というよりも、僕はやっぱり、自分が居座り続ける為の解散だと思うね。(中略)民主党は、それがいけないからこっちに政権を寄こせ、という側なわけだね。だから、我々はこう考えているんだということを、(中略)国民に届くように言わないといけない。国民にしたら、そうしないと、何だ、結局どっちも曖昧かとなる。それだったら、まあまあ小泉のほうに入れるかとなっちゃうわけです」(05年9月9日号)
皇太子の「雅子妃の人格否定」発言で皇室が揺れた際には、小沢氏はこれを会見で言わせてしまった内閣の責任を説いた。
「天皇陛下も皇太子も、或いは皇室として、何かあるなら内閣に言わなければならない。(中略)こうしてほしいということがあれば内閣に言うというのが、日本国憲法の示す立憲君主制のあるべき姿ではないかと思います」(05年1月1・7日号)
小沢氏の読み通り、小泉氏が辞任した後、自民党は迷走を続けた。安倍内閣発足直後の評価はこうだ。
「小泉氏が辞めたのも、彼はなかなか利口だから、この辺が限界だと思ってのことだろう。安倍さんは、そういうしたたかさ、無責任さというものが小泉氏ほどないから、この政権は大変なことになると思う」(06年10月27日号)
そして福田内閣で起きた「大連立問題」直後、連立協議は民主党の政策実現の為だったと述べたインタビューで、民主党の力不足も嘆いていた。

≪≪「民主党ではみんな権力の座にいたことがないから、権力というものがどういうものかよくわからないんだ。農業でも、年金でも、子育てでも、高速道路でも、財源はどうするんだと言われると、ちょっとうろたえちゃうんだね。僕は『心配ない、金なんぞ何ぼでもある』と言っている。金の遣い方は結局、選択の問題、政策の優先順位ですよ」≫≫(07年12月7日号)
菅内閣は、いまそこで立ち往生している。
[Roentgenium:〔一般庶民の為には使われない〕消費税増税というアジェンダから考えれば、立ち往生というよりむしろ“規定路線”であり、筋書き通りなのではないか?]

小沢一郎氏の「政治とカネ」問題の「事実」を改めて簡潔に纏めてみる。
●西松建設事件
同社社員らでつくる政治団体が小沢氏に献金していたことが「実体のないダミー献金」として摘発された。実際には、公判で検察側証人からも「活動実態のある団体だった」との証言が相次ぎ、困った検察は後述の「陸山会事件」を後から訴因に加えて公判を長引かせるという異常事態になっている。
大メディアは「西松の献金はダム建設談合の見返り。小沢が天の声を出した」と報じたが、検察が多くのゼネコンを強制捜査や取り調べ対象にしても、何の証拠も出なかった。
●陸山会事件
小沢氏の資金管理団体が土地を購入した。それが政治資金規正法に違反するとして摘発された。検察もマスコミも「不実記載」と騒ぎ立てたが、実際に立件出来たのは「04年に買ったのに05年に報告した」という「期ずれ」の問題のみ。しかも、小沢氏側は、農地法による地目変更手続きの為に本登記が遅れたものと説明している。
大メディアは「購入原資は闇献金だ」と報道したが、その根拠は、検察の依頼で偽証した前歴のある建設会社元社長(水谷 功・受刑者)の証言のみ。「ホテルで受け渡し」「秘書の手帳にメモ」などの報道もあったが、いずれも誤報と判明している。
●検察審査会問題
以上2つの“事件”で小沢氏の秘書3名が起訴されているが、民主党政権打倒を謳う市民団体の訴えで、検察審査会は小沢氏を共犯として強制起訴した。但し、この議決には数々の違法性が指摘されている他、検審メンバーは恣意(しい)的に選ばれた可能性が高い。

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頓珍漢な法人税引下げと泥縄対策
2010-12-24
米倉某の率いる経団連と空缶政権が、また馬鹿な政策を言い出している。
どちらも、一国の経済などまるで考えずに、頭の中には自分たちの個別利害のみしかないと言う異様さだ。
責任あるはずの者たちが、社会全体のことなど誰も考えないと言う、不思議の国だ。
デフレと経済政策については「民間給与5%減」、「世界で日本のみデフレ」、「公務員叩きとデフレ政策」を御覧ください。
「英国の歳出削減」に続き、 三橋貴明氏から引用します。
なお、三橋氏の文中で「法人税は7割が払っていない」とありますが、正しくは上場企業の7割です。
中小・零細企業には何のご利益もありません。恩恵を受けるのは莫大な内部留保を貯めこむ、ほんのひとつまみの巨大企業だけなのです。
法人税引き下げと泥縄式対策
2010/12/21 (火) 14:02
極東のある地域に、デフレ下にも関わらず、消費税などの増税を強行しようとする奇妙な国が実在している。しかも、97年に一度「デフレ下の消費税アップ」他、緊縮財政を実施し、その後のデフレ深刻化を決定的にしたにも関わらず、再び同じことをしようとしているのである。
賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶという。だが、歴史からも経験からも学べない愚者については、果たして何と評価するべきだろうか。
そもそも、消費税などを増税する目的が「財政健全化」なわけであるから、もはや笑い話にしかならない。なぜならば、全く同じ目的で97年に消費税をアップした結果、却って税収減を招いてしまったためである。確かに、消費税自体は増えたのだが(税率が3%から5%にアップされた以上、当たり前だ)、それ以上に所得税と法人税が減少し、全体の税収が減ってしまったのだ。
消費税は、当然のことながら国家経済のフロー(GDP)に悪影響を与える。具体的には、個人消費と民間住宅投資である。個人消費や民間住宅投資とは、企業にとって「内需」そのものである。内需が低迷した結果、企業の設備投資も縮小し、全体的な税収減を招いてしまったわけだ。
税収が減ると、当たり前の話として財政は却って悪化する。
およそこの世界が始まって以来、デフレ下の緊縮財政で「財政健全化」を成し遂げた国など存在しない。逆の言い方をすれば、財政健全化とは経済成長によってしか達成できないのである。
たとえば、一時は政府の負債がGNPの三倍近くにまで拡大した、かつてのイギリスは、淡々と経済成長することで「政府負債対GNP比率」を改善していった。しかも、数年で実現したわけではなく、五十年、六十年という期間を費やし、比率を少しずつ下げていったのだ。別に、国家には寿命があるわけでも何でもないので、それで構わないわけである。
また、これまたイギリスの例になるが、サッチャー政権時代の好景気の時期に、政府の税収に「余り」が生じたことがある(随分と羨ましい話だ)。すなわち、使いどころが見当たらない税収が、政府の手元に残ったわけだ。結果、サッチャー政権は余った税金を国債償還(=政府の負債返済)に充てた。念のため書いておくが、サッチャー政権期に税収に余剰が生じたのは、別にデフレ下で増税したためではない(増税は景気を冷やし、税収をむしろ減らす)。単純に、景気が良くなり、税収が増えただけの話である。
好景気で税収が余り、政府の負債を返済するというのであれば、まだしも話は分かる(というか、むしろ普通の政策だ)。ところが、極東のある島国では、「政府の負債を返済するために、増税する」と主張する人が絶えないのだ。この手の人々は、国債や国債償還に関する過去の事例について、少しでも調べたのだろうか。デフレ下で増税により財政健全化を達成した国など、未だかつて存在したことがない。なぜならば、デフレ下で増税をすると、単純に国家経済のフロー(GDP)に打撃を与え、税収をますます減らしてしまうためだ。
イギリスの例からも分かるように、経済が成長し、名目GDPが健全に拡大していってこそ、財政は健全化できる。というよりも、経済成長率が高まり、インフレが加速するような局面を迎えたならば、むしろ財政健全化を「インフレ対策」として率先して行うべきだ。財政健全化とは、要するに緊縮財政である。政府の支出を切り詰め、増税をする。国家経済のフローでいえば、個人消費や民間住宅を増税により抑えつけ、公共投資などの政府支出を削っていく。結果、国内の需要が縮小することで、インフレ率は改善(低下)していくことになる。
例えば、現在の日本でインフレが加速しているのであれば、筆者としても、「消費税を上げろ! 公共投資を削れ! 財政健全化だ!」 と、叫ぶことになるだろう。
しかし、現実の日本はデフレなのだ。
供給能力が需要に追い付かず、物価が上昇している局面であるならばともかく、現在の日本は真逆の環境下にある。すなわち、需要(=GDP)に対して供給能力が大きすぎ、物価が継続的に下落していってしまっているわけだ。そんな状況で、増税(=GDP上の民間の支出を削り取る)や公共投資削減(=GDP上の公的固定資本形成を削り取る)を強行して、一体何をしたいのだろうか。需要不足の環境において、需要を削り取ることを続けても、デフレは悪化する一方である。
また、我が国ではデフレ環境下にありながら、「規制緩和」などのインフレ対策を叫ぶ人が絶えないわけであるから、こちらも困った話だ。規制緩和にせよ、民営化にせよ、あるいは生産性の向上にせよ、全ては「供給能力を高める」ことを目的としたインフレ対策である。需要不足のデフレ環境下で供給能力を高めてしまうと、デフレはますます深刻化してしまう。
結局のところ、日本経済が抱える問題は、多くの経済学者や「識者」と自称する人々が、「デフレ環境下でインフレ対策を叫び続けている」ことに原因があるのだ。筆者は別に財政健全化や規制緩和に、絶対的に反対しているわけではない。単に、これらの対策は「インフレ対策」であって、デフレ下では逆効果になると言っているだけだ。
戦後の経済学は、基本的に「インフレ対策」が主流であった。インフレ環境が継続的に続く中、経済学は未曾有の発展を遂げたわけである。
それはそれとして、現在の日本はデフレだ。デフレ環境下にある以上、インフレ下で発展した経済学は、箪笥の中に仕舞っておかねばならないのである。日本がデフレを脱却し、インフレが加速し始めたら、それらを箪笥の中から取り出せばいいだけの話だ。
ところが、現実にはデフレ環境下でインフレ対策を叫ぶ人が後を絶たない。そろそろ「困ったものである」では済まない話になってきた。
さて、現在の日本の民主党政権をの中心に位置する人々は、基本的なマクロ経済について全く理解していない。何しろ、財務大臣時代に国会で「乗数効果」を知らないことを暴露された人物が、首相の座についているのである。
民主党政権は、マクロ経済を知らない割に、人気取りや「支持率アップ」のためならば、突発的におかしな対策を取ろうとする。その代表的なものが、突如、話が浮上した「法人税5パーセント引き下げ」である。
『2010年2月13日 NHK「首相 法人税5%引き下げ指示」
菅総理大臣は13日夜、記者団に対し、来年度の税制改正の焦点となっている法人税率について、地方分をあわせた実効税率を5%引き下げるよう、野田財務大臣らに指示したことを明らかにしました。
この中で菅総理大臣は「先ほど、玄葉国家戦略担当大臣と野田財務大臣が、法人税を3%引き下げるか、5%引き下げるか、最終的な判断を決めてくれと求めてきた。企業が海外に出て行き、雇用が失われることは、日本経済や雇用に決してプラスではない」と述べました。そのうえで菅総理大臣は「ここは思い切って法人税を5%下げ、経済界は国内に投資し、雇用を拡大し、さらには給料を増やす。それによって景気を引き上げ、成長を促し、デフレを脱却する。そういう方向に積極的に使えるように、法人税を5%引き下げる方向で調整するよう両大臣に指示した」と述べ、来年度の税制改正の焦点となっている法人税率について、地方分をあわせた実効税率を5%引き下げるよう、野田財務大臣らに指示したことを明らかにしました。(後略)』
デフレの深刻化を受け、現在、日本の法人企業の70%は赤字になっており、法人税をほとんど支払っていない。すなわち、仕事が無くて困っている中小企業に対しては、法人税減税は何の恩恵も無いのである。
そもそも、日本の国内経済の問題は、需要不足から生じるデフレ不況により、黒字法人が少なくなってしまっていることだ。根本的な問題には手をつけず、法人税を全体的に引き下げても、黒字企業の内部留保を増やすだけの結果に終わる。すなわち、またもや「過剰貯蓄(預金超過)」の拡大である。
図81-1 日本の銀行の貸出金・実質預金・預金超過額の推移(単位:十億円)

出典:日本銀行 金融経済統計月報 ※預金超過額=実質預金-貸出金と定義
現在、日本の銀行の貸出残高は、11ヶ月連続で減少している。その裏で、実質預金(銀行にとっては借入金)は増え続け、日本の家計の現預金残高は、ついに800兆円という、人類前代未聞の規模に達してしまった。
また、銀行の貸出態度DIを見た場合、少なくとも大企業や中堅企業に対してはプラスになっている。(中小企業については、ぎりぎりマイナス)そうである以上、現在の日本国内は、明らかに資金需要不足に陥っている。貸し出し態度DIがプラス、すなわち銀行側が「お金を貸したくて堪らない」環境下にありながら、貸出金が減り続けているわけだ。
根っこの問題である需要不足に手をつけず、法人税引き下げで「政府から黒字企業への贈与」を行うなど、一体何を考えているのやら、さっぱりわからない。
無論、民主党政権がビジョンやグランドデザイン、成長戦略を示した上で、重点分野に「投資減税」をするというのであれば、反対はしない。現在の日本にとっては、グランドデザインに基づく公共投資拡大と、的を絞った投資減税こそが、最も適切なソリューションなのである。
ところが、民主党政権がやることは、「子ども手当」や「農家戸別所得補償制度」同様に、またまた「政府から民間への贈与」というわけだ。
要するに、この手の政策は、あまり知恵を絞る必要が無いため、やりやすいのだろう。何しろ、対象が建前上は「全法人」になるため、「一部の企業だけが潤うだけだ!」などという批判はやりにくくなる。とはいえ、現実に黒字企業が三割でしかない以上、「一部の企業だけが潤う」ことは間違いないわけだが。
菅直人首相は「経済界は国内に投資し、雇用を拡大し、さらには給料を増やす」などと言っているが、それができるならば、初めから苦労はしない。何しろ、政府は民間に「法人税減税分は、雇用を増やすか、投資をせよ!」などと命令することはできないのだ。
現在の民主党政権は、マクロ経済の知識に加え、「全体を見る視線」が完璧に欠落している。結果的に、却って逆効果の政策ばかりが浮上してくることになるわけだ。
法人税減税による税収減は、結局のところ国債発行で補うことになるだろう。政府が民間から借金し、民間企業に贈与するというわけだ。民間企業の内部留保増大を、負債増で支援して上げるなど、随分と気前がいい政府である。
などと考えていたら、法人税5パーセント引き下げが報道された翌日、度肝を抜かれるようなニュースが流れた。
『2010年12月15日 毎日新聞「法人税:5%引き下げ 内部留保に課税も 政府検討、企業側をけん制」
菅直人首相が法人税率の5%引き下げを指示したのを受け、政府税制調査会は14日、企業の内部留保に対する課税の検討に着手した。政府は減税分を雇用や国内投資に回すよう経済界に求めているが、税調メンバーらは減税分が「内部留保に回るだけ」と懸念しており、そうならないよう企業側をけん制する狙いがある。16日に閣議決定する11年度税制改正大綱には盛り込まないものの、来年度に法人税減税の雇用・投資効果がみられなければ12年度からの導入を検討する構えだ。(中略)
政府税調メンバーの一人は「法人税減税の結果、雇用に変化がなければ本当に(内部留保課税を)やる。そうした姿勢を見せることが大事だ」と話す。』
唖然、としか言いようがない。企業の金融資産というストックに課税するなど、一体いつから日本は共産主義国家になったのであろうか。上記の企業の内部留保への課税は、ほとんど民間の私有財産を否定したも同然だ。
結局のところ、民主党政権は全てが「泥縄式」であり、政権担当能力が全くないことがこの一件を見るだけでも分かる。泥棒を捕らえてから、慌てて縄を綯う(なう)という始末、何かをやる際に、先のことを全く予想しようとはしないのだ。
そもそも、 「法人税を引き下げると、三割の黒字組の内部留保に回る。なぜなら、国内に資金需要がないため」 というのは、少し考えれば誰でも分かる話である。
それを踏まえた上で、法人税を引き下げるというであれば、それなりの対策を用意しておかなければならない。が、現実の民主党政権は、法人税引き下げを発表した後に、 「法人税を引き下げても、内部留保に回るだけだ!」 との批判を浴び、慌てて「内部留保に課税」と言い出したわけである。
何と言うべきか、突っ込みどころが多過ぎ、筆者もいい加減に疲れてきた。ここまで泥縄式対策を繰り返す政権というのは、世界の歴史を見ても、さすがに例がないのではないだろうか。
(引用終わり)
追記
話は全く変わるのですが。
漢字変換で「とんちんかん」が一発で「頓珍漢」と出るのですね。
長年にわたって、「とんちんかん」は平仮名と思っていましたよ。
.................こいつはやはり、言語感覚が変わりますね。
もう、既に私自身変わってるみたいですものね。
どちらも、一国の経済などまるで考えずに、頭の中には自分たちの個別利害のみしかないと言う異様さだ。
責任あるはずの者たちが、社会全体のことなど誰も考えないと言う、不思議の国だ。
デフレと経済政策については「民間給与5%減」、「世界で日本のみデフレ」、「公務員叩きとデフレ政策」を御覧ください。
「英国の歳出削減」に続き、 三橋貴明氏から引用します。
なお、三橋氏の文中で「法人税は7割が払っていない」とありますが、正しくは上場企業の7割です。
中小・零細企業には何のご利益もありません。恩恵を受けるのは莫大な内部留保を貯めこむ、ほんのひとつまみの巨大企業だけなのです。
法人税引き下げと泥縄式対策
2010/12/21 (火) 14:02
極東のある地域に、デフレ下にも関わらず、消費税などの増税を強行しようとする奇妙な国が実在している。しかも、97年に一度「デフレ下の消費税アップ」他、緊縮財政を実施し、その後のデフレ深刻化を決定的にしたにも関わらず、再び同じことをしようとしているのである。
賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶという。だが、歴史からも経験からも学べない愚者については、果たして何と評価するべきだろうか。
そもそも、消費税などを増税する目的が「財政健全化」なわけであるから、もはや笑い話にしかならない。なぜならば、全く同じ目的で97年に消費税をアップした結果、却って税収減を招いてしまったためである。確かに、消費税自体は増えたのだが(税率が3%から5%にアップされた以上、当たり前だ)、それ以上に所得税と法人税が減少し、全体の税収が減ってしまったのだ。
消費税は、当然のことながら国家経済のフロー(GDP)に悪影響を与える。具体的には、個人消費と民間住宅投資である。個人消費や民間住宅投資とは、企業にとって「内需」そのものである。内需が低迷した結果、企業の設備投資も縮小し、全体的な税収減を招いてしまったわけだ。
税収が減ると、当たり前の話として財政は却って悪化する。
およそこの世界が始まって以来、デフレ下の緊縮財政で「財政健全化」を成し遂げた国など存在しない。逆の言い方をすれば、財政健全化とは経済成長によってしか達成できないのである。
たとえば、一時は政府の負債がGNPの三倍近くにまで拡大した、かつてのイギリスは、淡々と経済成長することで「政府負債対GNP比率」を改善していった。しかも、数年で実現したわけではなく、五十年、六十年という期間を費やし、比率を少しずつ下げていったのだ。別に、国家には寿命があるわけでも何でもないので、それで構わないわけである。
また、これまたイギリスの例になるが、サッチャー政権時代の好景気の時期に、政府の税収に「余り」が生じたことがある(随分と羨ましい話だ)。すなわち、使いどころが見当たらない税収が、政府の手元に残ったわけだ。結果、サッチャー政権は余った税金を国債償還(=政府の負債返済)に充てた。念のため書いておくが、サッチャー政権期に税収に余剰が生じたのは、別にデフレ下で増税したためではない(増税は景気を冷やし、税収をむしろ減らす)。単純に、景気が良くなり、税収が増えただけの話である。
好景気で税収が余り、政府の負債を返済するというのであれば、まだしも話は分かる(というか、むしろ普通の政策だ)。ところが、極東のある島国では、「政府の負債を返済するために、増税する」と主張する人が絶えないのだ。この手の人々は、国債や国債償還に関する過去の事例について、少しでも調べたのだろうか。デフレ下で増税により財政健全化を達成した国など、未だかつて存在したことがない。なぜならば、デフレ下で増税をすると、単純に国家経済のフロー(GDP)に打撃を与え、税収をますます減らしてしまうためだ。
イギリスの例からも分かるように、経済が成長し、名目GDPが健全に拡大していってこそ、財政は健全化できる。というよりも、経済成長率が高まり、インフレが加速するような局面を迎えたならば、むしろ財政健全化を「インフレ対策」として率先して行うべきだ。財政健全化とは、要するに緊縮財政である。政府の支出を切り詰め、増税をする。国家経済のフローでいえば、個人消費や民間住宅を増税により抑えつけ、公共投資などの政府支出を削っていく。結果、国内の需要が縮小することで、インフレ率は改善(低下)していくことになる。
例えば、現在の日本でインフレが加速しているのであれば、筆者としても、「消費税を上げろ! 公共投資を削れ! 財政健全化だ!」 と、叫ぶことになるだろう。
しかし、現実の日本はデフレなのだ。
供給能力が需要に追い付かず、物価が上昇している局面であるならばともかく、現在の日本は真逆の環境下にある。すなわち、需要(=GDP)に対して供給能力が大きすぎ、物価が継続的に下落していってしまっているわけだ。そんな状況で、増税(=GDP上の民間の支出を削り取る)や公共投資削減(=GDP上の公的固定資本形成を削り取る)を強行して、一体何をしたいのだろうか。需要不足の環境において、需要を削り取ることを続けても、デフレは悪化する一方である。
また、我が国ではデフレ環境下にありながら、「規制緩和」などのインフレ対策を叫ぶ人が絶えないわけであるから、こちらも困った話だ。規制緩和にせよ、民営化にせよ、あるいは生産性の向上にせよ、全ては「供給能力を高める」ことを目的としたインフレ対策である。需要不足のデフレ環境下で供給能力を高めてしまうと、デフレはますます深刻化してしまう。
結局のところ、日本経済が抱える問題は、多くの経済学者や「識者」と自称する人々が、「デフレ環境下でインフレ対策を叫び続けている」ことに原因があるのだ。筆者は別に財政健全化や規制緩和に、絶対的に反対しているわけではない。単に、これらの対策は「インフレ対策」であって、デフレ下では逆効果になると言っているだけだ。
戦後の経済学は、基本的に「インフレ対策」が主流であった。インフレ環境が継続的に続く中、経済学は未曾有の発展を遂げたわけである。
それはそれとして、現在の日本はデフレだ。デフレ環境下にある以上、インフレ下で発展した経済学は、箪笥の中に仕舞っておかねばならないのである。日本がデフレを脱却し、インフレが加速し始めたら、それらを箪笥の中から取り出せばいいだけの話だ。
ところが、現実にはデフレ環境下でインフレ対策を叫ぶ人が後を絶たない。そろそろ「困ったものである」では済まない話になってきた。
さて、現在の日本の民主党政権をの中心に位置する人々は、基本的なマクロ経済について全く理解していない。何しろ、財務大臣時代に国会で「乗数効果」を知らないことを暴露された人物が、首相の座についているのである。
民主党政権は、マクロ経済を知らない割に、人気取りや「支持率アップ」のためならば、突発的におかしな対策を取ろうとする。その代表的なものが、突如、話が浮上した「法人税5パーセント引き下げ」である。
『2010年2月13日 NHK「首相 法人税5%引き下げ指示」
菅総理大臣は13日夜、記者団に対し、来年度の税制改正の焦点となっている法人税率について、地方分をあわせた実効税率を5%引き下げるよう、野田財務大臣らに指示したことを明らかにしました。
この中で菅総理大臣は「先ほど、玄葉国家戦略担当大臣と野田財務大臣が、法人税を3%引き下げるか、5%引き下げるか、最終的な判断を決めてくれと求めてきた。企業が海外に出て行き、雇用が失われることは、日本経済や雇用に決してプラスではない」と述べました。そのうえで菅総理大臣は「ここは思い切って法人税を5%下げ、経済界は国内に投資し、雇用を拡大し、さらには給料を増やす。それによって景気を引き上げ、成長を促し、デフレを脱却する。そういう方向に積極的に使えるように、法人税を5%引き下げる方向で調整するよう両大臣に指示した」と述べ、来年度の税制改正の焦点となっている法人税率について、地方分をあわせた実効税率を5%引き下げるよう、野田財務大臣らに指示したことを明らかにしました。(後略)』
デフレの深刻化を受け、現在、日本の法人企業の70%は赤字になっており、法人税をほとんど支払っていない。すなわち、仕事が無くて困っている中小企業に対しては、法人税減税は何の恩恵も無いのである。
そもそも、日本の国内経済の問題は、需要不足から生じるデフレ不況により、黒字法人が少なくなってしまっていることだ。根本的な問題には手をつけず、法人税を全体的に引き下げても、黒字企業の内部留保を増やすだけの結果に終わる。すなわち、またもや「過剰貯蓄(預金超過)」の拡大である。
図81-1 日本の銀行の貸出金・実質預金・預金超過額の推移(単位:十億円)

出典:日本銀行 金融経済統計月報 ※預金超過額=実質預金-貸出金と定義
現在、日本の銀行の貸出残高は、11ヶ月連続で減少している。その裏で、実質預金(銀行にとっては借入金)は増え続け、日本の家計の現預金残高は、ついに800兆円という、人類前代未聞の規模に達してしまった。
また、銀行の貸出態度DIを見た場合、少なくとも大企業や中堅企業に対してはプラスになっている。(中小企業については、ぎりぎりマイナス)そうである以上、現在の日本国内は、明らかに資金需要不足に陥っている。貸し出し態度DIがプラス、すなわち銀行側が「お金を貸したくて堪らない」環境下にありながら、貸出金が減り続けているわけだ。
根っこの問題である需要不足に手をつけず、法人税引き下げで「政府から黒字企業への贈与」を行うなど、一体何を考えているのやら、さっぱりわからない。
無論、民主党政権がビジョンやグランドデザイン、成長戦略を示した上で、重点分野に「投資減税」をするというのであれば、反対はしない。現在の日本にとっては、グランドデザインに基づく公共投資拡大と、的を絞った投資減税こそが、最も適切なソリューションなのである。
ところが、民主党政権がやることは、「子ども手当」や「農家戸別所得補償制度」同様に、またまた「政府から民間への贈与」というわけだ。
要するに、この手の政策は、あまり知恵を絞る必要が無いため、やりやすいのだろう。何しろ、対象が建前上は「全法人」になるため、「一部の企業だけが潤うだけだ!」などという批判はやりにくくなる。とはいえ、現実に黒字企業が三割でしかない以上、「一部の企業だけが潤う」ことは間違いないわけだが。
菅直人首相は「経済界は国内に投資し、雇用を拡大し、さらには給料を増やす」などと言っているが、それができるならば、初めから苦労はしない。何しろ、政府は民間に「法人税減税分は、雇用を増やすか、投資をせよ!」などと命令することはできないのだ。
現在の民主党政権は、マクロ経済の知識に加え、「全体を見る視線」が完璧に欠落している。結果的に、却って逆効果の政策ばかりが浮上してくることになるわけだ。
法人税減税による税収減は、結局のところ国債発行で補うことになるだろう。政府が民間から借金し、民間企業に贈与するというわけだ。民間企業の内部留保増大を、負債増で支援して上げるなど、随分と気前がいい政府である。
などと考えていたら、法人税5パーセント引き下げが報道された翌日、度肝を抜かれるようなニュースが流れた。
『2010年12月15日 毎日新聞「法人税:5%引き下げ 内部留保に課税も 政府検討、企業側をけん制」
菅直人首相が法人税率の5%引き下げを指示したのを受け、政府税制調査会は14日、企業の内部留保に対する課税の検討に着手した。政府は減税分を雇用や国内投資に回すよう経済界に求めているが、税調メンバーらは減税分が「内部留保に回るだけ」と懸念しており、そうならないよう企業側をけん制する狙いがある。16日に閣議決定する11年度税制改正大綱には盛り込まないものの、来年度に法人税減税の雇用・投資効果がみられなければ12年度からの導入を検討する構えだ。(中略)
政府税調メンバーの一人は「法人税減税の結果、雇用に変化がなければ本当に(内部留保課税を)やる。そうした姿勢を見せることが大事だ」と話す。』
唖然、としか言いようがない。企業の金融資産というストックに課税するなど、一体いつから日本は共産主義国家になったのであろうか。上記の企業の内部留保への課税は、ほとんど民間の私有財産を否定したも同然だ。
結局のところ、民主党政権は全てが「泥縄式」であり、政権担当能力が全くないことがこの一件を見るだけでも分かる。泥棒を捕らえてから、慌てて縄を綯う(なう)という始末、何かをやる際に、先のことを全く予想しようとはしないのだ。
そもそも、 「法人税を引き下げると、三割の黒字組の内部留保に回る。なぜなら、国内に資金需要がないため」 というのは、少し考えれば誰でも分かる話である。
それを踏まえた上で、法人税を引き下げるというであれば、それなりの対策を用意しておかなければならない。が、現実の民主党政権は、法人税引き下げを発表した後に、 「法人税を引き下げても、内部留保に回るだけだ!」 との批判を浴び、慌てて「内部留保に課税」と言い出したわけである。
何と言うべきか、突っ込みどころが多過ぎ、筆者もいい加減に疲れてきた。ここまで泥縄式対策を繰り返す政権というのは、世界の歴史を見ても、さすがに例がないのではないだろうか。
(引用終わり)
追記
話は全く変わるのですが。
漢字変換で「とんちんかん」が一発で「頓珍漢」と出るのですね。
長年にわたって、「とんちんかん」は平仮名と思っていましたよ。
.................こいつはやはり、言語感覚が変わりますね。
もう、既に私自身変わってるみたいですものね。
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小沢一郎氏12/23岩上安身
2010-12-24
小沢一郎 Ust 岩上安身インタビュー
http://honnosense.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/ust-56a9.html
(参考添付:動画 101223小沢一郎議員インタビュー)
http://www.ustream.tv/recorded/11595483
2010年12月23日 (木)
岩上ー 我々のようなインターネットメディアに対して、
小沢さんに出ていただこうと考えていただいたのは
たいへんありがたいのですが出ていただけるようになってきた
きっかけをお聞かせいただければ
小沢ー 最近要請があった場合には出ようと心がけているのですが
スピーディーに、ありのままを伝達してもらえるということ
ですね。
7,8年前は、選挙なんかでも、僕らの政権の発表や意識調査とは
一致しなかった。最近急速にネットを使う人が増えて
一番の特徴はその人たちが行動するようになった。
行動に移さなかった。
最近は量も増え、行動に移す人が増えた
既存のメディアよりも、ネットの方がいいと思う
岩上ー ツイッターなどで呼び掛けて、例えば検察がおかしい、
ということで呼び掛けるとデモをする。
見知らぬ人たちが1000人くらい集まったりする
小沢ー ほ~、そうなんですね
岩上ー 情報開示の請願書などで
小沢ー 国民が直接行動するというのが、インターネットで
量も質も増えてきたように思います
岩上ー 恣意的な編集が行われないというのが
信頼感のベースにあると思います
まずは、年明けすぐにでも裁判に臨むかもしれない
立場なんですが
強制起訴という結論が出ています。
先日、主任弁護士になられた
弘中弁護士が記者会見されまして、、
被告人の人権というものをきちんと守ってもらいたい。
そこの折り合いをつけてもらいたい、と会見しました。
質問させていただきます
弘中先生と言えば村木事件の主任弁護士でありますが
選任の理由は?
小沢ー 僕の知り合いの議員で、弘中先生と懇意にしておられる方がいて
経験の多い人を裁判に臨むには弘中先生が一番適当だという
推薦がありました、皆さんが勧めてくれたので
岩上ー 弘中先生の方針はどうなんでしょうか
小沢ー 基本的には話していない。ただ、自分自身のことについて
弁護側として必要なことは私に聞いていただければいいので
打ち合わせは全くしていない。
岩上ー おまかせしている>
小沢ー 僕は何も不正なことはしていない。
強制捜査を1年やっても不起訴になったわけですから、
僕としては最初から隠し立てすることもないし、
不正は何もない。あとは先生方にお任せする
岩上ー 説明責任を果たせという周囲の声がありますが
いつもオープン会見をしておられる。
毎週毎週同じ質問がある、
その部分だけ、オンエアーされるという
これは何でこんなことが起こるのかが不思議で、
全部見せればいいのではとおもっていたんですよ。
どんな思いで記者会見をつづけておられたのでしょうか
小沢ー 一人の人間として、国民全員に説明するのは不可能。
だからメディアに
説明している。どなたでもおいでくださいと、
記者クラブ以外でもどんな人でもいいですよ、
という方針でやりましたし、既存の大手メディアから、
けしからんと言われる理由だったと思いますが、
本当に改革しようとすると、
旧体制で既得権をもっている人は反発するにきまっている。
その旧体制の中で一番既得権をもっていたのが
メディアじゃないでしょうか?
情報独占ですから。情報だけでなく、
いろんな既得権をもっているから。
岩上ー 世論を喚起し、作り上げるとか
小沢ー 既存メディアに本気で挑むと思われているのかもしれませんね
岩上ー クロスオーナーシップについてどうですか?
小沢ー 事実上すでにお題目になっている。徹底しなければならない
同時に、テレビ、電波の免許、新聞の再販も、
みんなこれは独占権なんですよね。 ある程度 競争の原理を入れないと、小泉流とは違いますが、
そんなこと言うから余計にらまれる(笑)
岩上ー この間 政倫審に出席せよというのがありましたが
岡田幹事長に書面で出席しない、ということを言われました
このあたりの理由をお聞きしたい
小沢ー 政倫審は私がロッキードの時に作った。
捜査を受け司法の場に該当していなくとも、
政治家が国会の場で説明するという政治的な趣旨なんです。
政治家としての行為規範に著しく違反した場合に
説明するということになっています
去年の三月から強制捜査があって、検察は不起訴でしたが、
強制起訴になりました。その意味では司法の場に映っている
三権分立の観点から、
既に司法の場で検討されようとしている問題を
さらに立法府でやるというのは原理的に反する
それを棚に上げたとしても、
ぼくが出ることによって国会の議論がスムーズに行くとか、
支持があがるとか、そういうことがあるなら
出ることはやぶさかではない
僕が障害になって、野党が審議拒否する、ベタまけする、
とか、政治家としては
現実には、私の問題よりも国会運営の問題
経済だ、社会保障だ、という問題でもっとしっかりせいと
国民は言っているのではないか?
岩上ー 岡田さんはなんとおっしゃった?
小沢ー 一対一の話だからよくないとおもいますが、
わたしはさきほどのような趣旨のことをいいました。
ただ、彼自身は、国会運営でも、
あらかじめ野党と話し合うべきではない、
ということをいっているようです。
そうすると、どうやって国会運営をすると
いうことになっちゃうんですが、
お前さん自身の問題だ、ということを言いました
岩上ー 国会対策を認めないという話になりますと、取引が交渉で
行われてきたのが根回ししてない、ということになりますね
小沢ー 多分、明確に問答があったわけじゃないですが
そういうことは
よろしくないとおもっているようです。
そうすると僕としては、原則の論理に戻る以外ないので
みんなのためになるなら出るけれど、そうでないのであれば、
既に司法の場に出ているのだから、それで決着すればいい
岩上ー 菅首相は感情的になっていたというはなしがありましたが
小沢ー いや、岡田さんとおんなじでしたね。
ともかく出席してくれと。
既に司法手続きに入っていて、
国民の前にオープンになっているんだから
それで決着すればいいんじゃないか。
先ほどと同じように
原理論を棚上げしたとして、
いろんな意味で役に立つというのであれば
出ることにやぶさかではないが国会は動かない
岩上ー 西松事件の話、検察審査会の話を国民は知らない。
例えば去年3月、逮捕されたんですが
今年の5月、訴因変更が行われて中身が変わっている、
実質事件が消えているのに、
この話が全然報道されていない。
検察審査会の議決の内容が全く公開されていない
民主党議員の方々が情報公開請求をしたのだが
黒塗りで全く分からない状態だった。
次の段階である程度明らかになってきた
二度目の議決に問題がある。それまでになかった話が
加えられている。
おかしいのでは?
審査員になった一般人の平均年齢が
三回も変わるという不思議なことが
おこっています
お話できる範囲で
小沢ー 当事者ですから、今の制度そのものについての論議は・・
ただ、党の法務部会でも、二回目の議決についても
ちゃんと提出しろ、という議決をしたようですけれども
計算間違いやら何やらはあったと思いますが、
政治資金収支報告書についての計算間違いと
報告の間違いはあったかとおもいますが、
裏金とか、資金を隠そうとか、
そういうことは全くしていないし、
秘書たちも全くしてないので、
しっかりと法廷で明らかにしていきたいとおもっています。
政治資金そのものについても、
一般行政についても日本はクローズドな社会である。
何かあると規制ばっかり増える。
官僚の権限が増えるだけで
1円から政治資金は明らかにする。
何に使ったのかまで全て国民が分かれば、
次の選挙でおとせばいいんだし、
そういうことが余りにもクローズドだから、
ヨーロッパ並みにオープンにしなければ
ならないというのはこれからの課題だと思います
岩上ー 小沢さんは情報公開してきたと思うんですよ。
検察や検察審査会も情報公開してもらわないと困りますよね。
最高検がようやくやり始めましたが、それでも録音禁止ですし、
フルオープンではないです。
小沢ー 一番の権力は大きなメディアです。
それが正確に伝えさえすれば、
かなりの部分オープンになると思うんです。
最近の記者は、本人に裏を取るということを
ほとんどしなくなっている
自分達の都合のいいように報道しちゃいますから。
大きなメディアがもっと正確に真実を報道してくれたら
岩上ー 可視化ということだと思うんですが、
取調過程の可視化というのが
マニフェストにはいっていた。今、ちっとも進んでいない
どうお考えですか
小沢ー それは日本社会をもう少しオープンにしようとすることの
一つです。
行政は権力ですから、
それの内容はなるべく少なくするようにするのが
政治ですから。
しかし今言ったように、おおきなメディアが、
きちんと勇気をもって真実を語れば、
日本社会はもっともっと透明になると思います。
自分達が既得権をもっているから、
それをやりきれないんですよ
岩上ー 50を過ぎてからこんなことやろうとは思わないわけで
新しい可能性があると思うんですが
どうしても前からお聞きしたいことがあります
巨悪を検察が倒すという構図が
田中角栄首相が逮捕され追われた。
あの時正義の味方なんだな、と思い込んでいました
ところがどんどんどんどんそうではないんではないか?
ジャーナリストになってからはますます
ふりかえってみてロッキードはどうなんですか?
小沢ー 悪いことをすればどんな権力者であれ罰せられる、
それは当然
政治というのは、日本の国の存否、国民を守るという
意義がありますから
単にお金だけの問題に矮小化しちゃって、
スケープゴートに誰かを立てて、
それでその場を通り過ぎようとするのはいけないし、
日本はそれが多い。
じゃあ、どうしたらいいのか、というところに、
おおきなメディアが議論をもっていこうとしない。
こいつさえいなければ全ていいんだ、
というのはおかしい。
それは既得権益を守ろうとする動きなんだ
僕はそんなに不安がる必要なないと思うんですが、
誰かをスケープゴートにして問題を先送りしてきた。
日本の政治は悲劇だと思う。
もっともっと本当の所に迫っていってほしい、
事実を伝え、真実を語り、
あとは主権者たる国民が判断をするということになればよい
岩上ー ロッキードでは違法な取り調べが行われていた
小沢ー あの時は最高裁が裁判官単位で免責したんです。
日本のシステムがないのに。日本の司法に大きな汚点を残した。
民主主義国家ではあり得ない汚点
岩上ー あれなら免責して勝手なことしゃべらせればいい
小沢ー
岩上ー 背景にアメリカの圧力があった
小沢ー 国際政治の舞台ですから知る由もないですが
岩上ー 外国からの圧力というのはあり得るんでしょうか?
小沢ー アメリカが直接それをやるというのは思いませんけども、
米政府が時の内閣をつぶそうとするような
意図的なことをやろうというのはないと思いますけどねえ
岩上ー そうですか~?(笑)
日米関係に注関係についてお聞きしたい。
鳩山内閣が崩壊したプロセスをみると、
普天間辺野古への移設がネックになったと言える。
鳩山内閣の運営の問題だったというんですが、
去年ロバートゲーツが来日していらい、
私 外務大臣の会見に毎日いっていて難じるような
雰囲気だったことを感じておりました。
アメリカの圧力はどう掛かっていた?
小沢ー 鳩山内閣をつぶそうというのではなくて、
ゆうとおりせい、ということなんでしょうね。
鳩山さんは沖縄のことを考え、
国外あるいは沖縄以外と一生懸命努力した。
しかし、外務省、防衛相は全てアメリカの言うがままだった。
それを乗り越えるのは大変だった。
岩上ー それらが米のいううがままというのはどういうことか?
小沢ー アメリカは日本の復興を助けてくれたのは感謝する。
しかしその中で官僚も何となくアメリカに依存するようになった。
依存するというのもあるが、アメリカの言うとおりにしていた方が楽だ。
国民もこれはよくない。日本国民が舐められて、信用されない、
これが一番の問題だ。
日本人が自分の意思をもって自分で考えて行動する
これがないから信用されないんだ
同盟は対等な関係であって、対等な関係ではない。
一方アメリカにしてみると、その方がいいと思う節もある。
でも、本当に彼らが深刻になった時、彼らだって頼りがいのある国が
同盟者じゃないと困るはず。
彼らだってそういうことを考えているはずだ。
でも、情けない現実が存在する
岩上ー 93年細川内閣
樋口レポートがあまれて、多角的安全保障というのが言われた。
また対等関係をうたったんだが、またつぶれた。
アメリカと対等で相対的に自立してパートナーシップを取ろうとすると
既得利権をもって楽していこうという官僚財界の思惑
小沢ー それの方が強いですね。それに何も言えない、アメリカも
前線に大兵力おく必要がない、という戦略に転換している。
実際沖縄にそんなに海兵隊は今いないですよ。
日本が自分の考えがないためにそれが言えない。
自己主張するためには、自分で一定の責任を負わなきゃいけない。
結局日本人っていうものはそういうもんだ、
押しつけてカネ出させておけばいいんだ、
日中も日韓も腹の中では相手にしていない。
そういうなかで平和が続いていればいけれど、
マグマがたまりつつある
中近東だっておんなじだ。
自分というものをきちんと持っていないと、
波に翻弄されてついには沈没ということになりかねない。
日本は日本の役割、アメリカにはアメリカの役割、というものが
ある。その国力やその条件に応じて役割を果たす、これが対等ということ
の意味です。何も日本が軍事力を増強して云々という話じゃないんだ
これからのことを考えると危うい
岩上ー 国内のまとめ役をやった。
今回のイラク戦争、アフガニスタン戦争と93年の戦争とはどう違う
小沢ー それはないとおもいます。93年の時は大義名分がある。
だから国連も承認した。
それで僕はいろんなことを考えて輸送機にエジプトから飛べるように
することで許可取ったりとか、輸送船兵站を担当してくれ、
後方の野戦病院も担当してくれ、飛行機での輸送物資を担当してくれないか、
といろんなことを言ってきた。
最終的に内閣として決断できなくて、何にも出来なくなった
アメリカから屈辱的な話された。
日本の油のタンカーは23席ペルシャ湾にいる、
自分達の商売のためなら行くのか、
国際協力だと危ないから断るのか、
どういうことだ?といわれました。米大使から。
戦争終わってからそう書いて言った。
その連中が帰ってきてその連中を慰労した。隊長が言った
「アメリカのカウンターばp-とに申し訳なかった」
僕はそういう意味で、実戦部隊を派遣してとか言っていない。
日本で可能な限りのことをすべきだと
後方支援も内閣法制局は密接不可分の行為だから、憲法違反だ
といった。
戦争というのは兵站。その意味では正しかった。
イラクの後方支援までは攻撃及ばないし、やれるじゃないか
今度小泉になってから「後方支援は憲法違反じゃない」と
言い始めた
内閣法制局はお上の象徴だ
政府は自分の政策のために法律作って出す、国会に
内閣に法制局はいらない。
岩上ー 官僚をおこらせているりゆうですかね
小沢ー 国際政治で言うと、ブッシュ・ジュニアの時代は
アメリカの単純で悪い部分が出た。
俺たちの戦争だ、と言った。
国際合意は必要ないといって戦争を始めた。それでやって、
フセインは大量破壊兵器はないといってたのに倒しちゃった。
俺の戦争だといって困ったら助けてとった。
自分で始めた戦争なのに自分でしりぬぐいをしなさい、と
アメリカ大使に私は言った
もう一つ変なのは、ない、と言ってたわけなのに、イラクには侵攻し、
核持っているというやつを話し合うというのはどういうことだ
筋道が通らんじゃないか、と。
現実には北に進攻できない。イラクは武力討伐、
北は交渉、どういうわけだ。
その代わり、日米のためにも日中のためにも、友好のために
一生懸命やっているから、ちゃんと聞いてくれる
岩上ー 5分延長します
日本が国際社会の力学の中に置かれている
中国がノーというだけできた北侵攻は不可
小沢ー 中国は現状維持ですから。
ぶっ壊したらごちゃごちゃになって朝鮮族というのはもともといっぱいいる。
国民の交流が激しくなって統治の上で非常に困る。
その気持ちはわかるけど、
あんな乱暴は止めさせなきゃだめだと言わなきゃいけない。
岩上ー 半島問題非常に緊迫している。
中国の指導者たちと話し合う可能性はありますか
小沢ー 背景は中国だから、中国が多民族の大きな国家だから
強い権力でやらないと統治できない。それはわかる。
しかし民主主義の手法に徐々に変えていかないと
政権の限界がくるよ、と私は言った
相手は中蓮部の議長
こきんとうさんと会うということで、
ビスコンティの
「かわらないためにはかわらなければならない」という言葉を
こきんとうにおくった。
かわらないとだめになるよ、と直言した。
短い言葉で彼に送った。
岩上ー 誤解している人も多いと思うんですが
小沢さんを中国におもねっていると言っている人間も多い。
中国の利益におもねっているという人もいる
代表選の時、菅さんと決選をやった。
演説をしていたとき、領土問題を述べていた
中国に対するけん制のように聞こえました
そういう意味でおっしゃりたかった?
小沢ー 前から言ってますからそれは。前から中国にはね。
尖閣諸島は中国の支配下に入ったことは一度もない。
琉球の一部だ。
だから日本の領土だ、そこは絶対譲らんよ
とうしょうへいにまかせたもんだから
もう20年たってるじゃねえか。
もう解決しなさいと。
日本の領土ということで完全決着だ。曖昧にはできないよ!
岩上ー 稚拙な対応 アメリカ頼み、いきなり釈放
小沢さんだったらどう対応していましたか
小沢ー 事実通りであれば、明らかに領海侵犯だから
法に照らして処分すべき。
釈放の決定を那覇地検の次席検事が発表。
これはまったくおかしい。
役人が国際間の重大問題に関が見て釈放とか逮捕とか、
そんなバカなことはあり得ないことですよ
民主主義国家として。政府が決めるべきです。
それ以上に大事な国益にかかわる問題だから、
政府がしっかり言わなきゃいけない。
一官僚にいわせるなんておかしい。
岩上ー 実際は
小沢ー 事実上命じた
あれは那覇地検が決めたことというのは禍根を残す
岩上ー 内閣がきちんと決断し、生じる責任を政治家がとる
小沢ー 国民を代表する政治家が責任を取らないといかんですよ
岩上ー 政治主導という話が出た。
枝野氏が「主導はうかつだった」
企業団体献金禁止をころっと変える、消費税も変える
ことごとく09年マニフェストをひっくり返すのは納得いかない
小沢ー 国民の皆さんに約束したことは守ろうという努力を一生懸命
旧来の体制でやったらカネがないに決まっている
現実の壁があったから我々の理想の旗を捨てるというのは
それじゃ国民に申し訳が立たないし 見放されていくに
きまっている。
そこは、それぞれ民主党の議員それぞれが使命・責任を
強く認識しないといけない。
http://honnosense.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/ust-56a9.html
(参考添付:動画 101223小沢一郎議員インタビュー)
http://www.ustream.tv/recorded/11595483
2010年12月23日 (木)
岩上ー 我々のようなインターネットメディアに対して、
小沢さんに出ていただこうと考えていただいたのは
たいへんありがたいのですが出ていただけるようになってきた
きっかけをお聞かせいただければ
小沢ー 最近要請があった場合には出ようと心がけているのですが
スピーディーに、ありのままを伝達してもらえるということ
ですね。
7,8年前は、選挙なんかでも、僕らの政権の発表や意識調査とは
一致しなかった。最近急速にネットを使う人が増えて
一番の特徴はその人たちが行動するようになった。
行動に移さなかった。
最近は量も増え、行動に移す人が増えた
既存のメディアよりも、ネットの方がいいと思う
岩上ー ツイッターなどで呼び掛けて、例えば検察がおかしい、
ということで呼び掛けるとデモをする。
見知らぬ人たちが1000人くらい集まったりする
小沢ー ほ~、そうなんですね
岩上ー 情報開示の請願書などで
小沢ー 国民が直接行動するというのが、インターネットで
量も質も増えてきたように思います
岩上ー 恣意的な編集が行われないというのが
信頼感のベースにあると思います
まずは、年明けすぐにでも裁判に臨むかもしれない
立場なんですが
強制起訴という結論が出ています。
先日、主任弁護士になられた
弘中弁護士が記者会見されまして、、
被告人の人権というものをきちんと守ってもらいたい。
そこの折り合いをつけてもらいたい、と会見しました。
質問させていただきます
弘中先生と言えば村木事件の主任弁護士でありますが
選任の理由は?
小沢ー 僕の知り合いの議員で、弘中先生と懇意にしておられる方がいて
経験の多い人を裁判に臨むには弘中先生が一番適当だという
推薦がありました、皆さんが勧めてくれたので
岩上ー 弘中先生の方針はどうなんでしょうか
小沢ー 基本的には話していない。ただ、自分自身のことについて
弁護側として必要なことは私に聞いていただければいいので
打ち合わせは全くしていない。
岩上ー おまかせしている>
小沢ー 僕は何も不正なことはしていない。
強制捜査を1年やっても不起訴になったわけですから、
僕としては最初から隠し立てすることもないし、
不正は何もない。あとは先生方にお任せする
岩上ー 説明責任を果たせという周囲の声がありますが
いつもオープン会見をしておられる。
毎週毎週同じ質問がある、
その部分だけ、オンエアーされるという
これは何でこんなことが起こるのかが不思議で、
全部見せればいいのではとおもっていたんですよ。
どんな思いで記者会見をつづけておられたのでしょうか
小沢ー 一人の人間として、国民全員に説明するのは不可能。
だからメディアに
説明している。どなたでもおいでくださいと、
記者クラブ以外でもどんな人でもいいですよ、
という方針でやりましたし、既存の大手メディアから、
けしからんと言われる理由だったと思いますが、
本当に改革しようとすると、
旧体制で既得権をもっている人は反発するにきまっている。
その旧体制の中で一番既得権をもっていたのが
メディアじゃないでしょうか?
情報独占ですから。情報だけでなく、
いろんな既得権をもっているから。
岩上ー 世論を喚起し、作り上げるとか
小沢ー 既存メディアに本気で挑むと思われているのかもしれませんね
岩上ー クロスオーナーシップについてどうですか?
小沢ー 事実上すでにお題目になっている。徹底しなければならない
同時に、テレビ、電波の免許、新聞の再販も、
みんなこれは独占権なんですよね。 ある程度 競争の原理を入れないと、小泉流とは違いますが、
そんなこと言うから余計にらまれる(笑)
岩上ー この間 政倫審に出席せよというのがありましたが
岡田幹事長に書面で出席しない、ということを言われました
このあたりの理由をお聞きしたい
小沢ー 政倫審は私がロッキードの時に作った。
捜査を受け司法の場に該当していなくとも、
政治家が国会の場で説明するという政治的な趣旨なんです。
政治家としての行為規範に著しく違反した場合に
説明するということになっています
去年の三月から強制捜査があって、検察は不起訴でしたが、
強制起訴になりました。その意味では司法の場に映っている
三権分立の観点から、
既に司法の場で検討されようとしている問題を
さらに立法府でやるというのは原理的に反する
それを棚に上げたとしても、
ぼくが出ることによって国会の議論がスムーズに行くとか、
支持があがるとか、そういうことがあるなら
出ることはやぶさかではない
僕が障害になって、野党が審議拒否する、ベタまけする、
とか、政治家としては
現実には、私の問題よりも国会運営の問題
経済だ、社会保障だ、という問題でもっとしっかりせいと
国民は言っているのではないか?
岩上ー 岡田さんはなんとおっしゃった?
小沢ー 一対一の話だからよくないとおもいますが、
わたしはさきほどのような趣旨のことをいいました。
ただ、彼自身は、国会運営でも、
あらかじめ野党と話し合うべきではない、
ということをいっているようです。
そうすると、どうやって国会運営をすると
いうことになっちゃうんですが、
お前さん自身の問題だ、ということを言いました
岩上ー 国会対策を認めないという話になりますと、取引が交渉で
行われてきたのが根回ししてない、ということになりますね
小沢ー 多分、明確に問答があったわけじゃないですが
そういうことは
よろしくないとおもっているようです。
そうすると僕としては、原則の論理に戻る以外ないので
みんなのためになるなら出るけれど、そうでないのであれば、
既に司法の場に出ているのだから、それで決着すればいい
岩上ー 菅首相は感情的になっていたというはなしがありましたが
小沢ー いや、岡田さんとおんなじでしたね。
ともかく出席してくれと。
既に司法手続きに入っていて、
国民の前にオープンになっているんだから
それで決着すればいいんじゃないか。
先ほどと同じように
原理論を棚上げしたとして、
いろんな意味で役に立つというのであれば
出ることにやぶさかではないが国会は動かない
岩上ー 西松事件の話、検察審査会の話を国民は知らない。
例えば去年3月、逮捕されたんですが
今年の5月、訴因変更が行われて中身が変わっている、
実質事件が消えているのに、
この話が全然報道されていない。
検察審査会の議決の内容が全く公開されていない
民主党議員の方々が情報公開請求をしたのだが
黒塗りで全く分からない状態だった。
次の段階である程度明らかになってきた
二度目の議決に問題がある。それまでになかった話が
加えられている。
おかしいのでは?
審査員になった一般人の平均年齢が
三回も変わるという不思議なことが
おこっています
お話できる範囲で
小沢ー 当事者ですから、今の制度そのものについての論議は・・
ただ、党の法務部会でも、二回目の議決についても
ちゃんと提出しろ、という議決をしたようですけれども
計算間違いやら何やらはあったと思いますが、
政治資金収支報告書についての計算間違いと
報告の間違いはあったかとおもいますが、
裏金とか、資金を隠そうとか、
そういうことは全くしていないし、
秘書たちも全くしてないので、
しっかりと法廷で明らかにしていきたいとおもっています。
政治資金そのものについても、
一般行政についても日本はクローズドな社会である。
何かあると規制ばっかり増える。
官僚の権限が増えるだけで
1円から政治資金は明らかにする。
何に使ったのかまで全て国民が分かれば、
次の選挙でおとせばいいんだし、
そういうことが余りにもクローズドだから、
ヨーロッパ並みにオープンにしなければ
ならないというのはこれからの課題だと思います
岩上ー 小沢さんは情報公開してきたと思うんですよ。
検察や検察審査会も情報公開してもらわないと困りますよね。
最高検がようやくやり始めましたが、それでも録音禁止ですし、
フルオープンではないです。
小沢ー 一番の権力は大きなメディアです。
それが正確に伝えさえすれば、
かなりの部分オープンになると思うんです。
最近の記者は、本人に裏を取るということを
ほとんどしなくなっている
自分達の都合のいいように報道しちゃいますから。
大きなメディアがもっと正確に真実を報道してくれたら
岩上ー 可視化ということだと思うんですが、
取調過程の可視化というのが
マニフェストにはいっていた。今、ちっとも進んでいない
どうお考えですか
小沢ー それは日本社会をもう少しオープンにしようとすることの
一つです。
行政は権力ですから、
それの内容はなるべく少なくするようにするのが
政治ですから。
しかし今言ったように、おおきなメディアが、
きちんと勇気をもって真実を語れば、
日本社会はもっともっと透明になると思います。
自分達が既得権をもっているから、
それをやりきれないんですよ
岩上ー 50を過ぎてからこんなことやろうとは思わないわけで
新しい可能性があると思うんですが
どうしても前からお聞きしたいことがあります
巨悪を検察が倒すという構図が
田中角栄首相が逮捕され追われた。
あの時正義の味方なんだな、と思い込んでいました
ところがどんどんどんどんそうではないんではないか?
ジャーナリストになってからはますます
ふりかえってみてロッキードはどうなんですか?
小沢ー 悪いことをすればどんな権力者であれ罰せられる、
それは当然
政治というのは、日本の国の存否、国民を守るという
意義がありますから
単にお金だけの問題に矮小化しちゃって、
スケープゴートに誰かを立てて、
それでその場を通り過ぎようとするのはいけないし、
日本はそれが多い。
じゃあ、どうしたらいいのか、というところに、
おおきなメディアが議論をもっていこうとしない。
こいつさえいなければ全ていいんだ、
というのはおかしい。
それは既得権益を守ろうとする動きなんだ
僕はそんなに不安がる必要なないと思うんですが、
誰かをスケープゴートにして問題を先送りしてきた。
日本の政治は悲劇だと思う。
もっともっと本当の所に迫っていってほしい、
事実を伝え、真実を語り、
あとは主権者たる国民が判断をするということになればよい
岩上ー ロッキードでは違法な取り調べが行われていた
小沢ー あの時は最高裁が裁判官単位で免責したんです。
日本のシステムがないのに。日本の司法に大きな汚点を残した。
民主主義国家ではあり得ない汚点
岩上ー あれなら免責して勝手なことしゃべらせればいい
小沢ー
岩上ー 背景にアメリカの圧力があった
小沢ー 国際政治の舞台ですから知る由もないですが
岩上ー 外国からの圧力というのはあり得るんでしょうか?
小沢ー アメリカが直接それをやるというのは思いませんけども、
米政府が時の内閣をつぶそうとするような
意図的なことをやろうというのはないと思いますけどねえ
岩上ー そうですか~?(笑)
日米関係に注関係についてお聞きしたい。
鳩山内閣が崩壊したプロセスをみると、
普天間辺野古への移設がネックになったと言える。
鳩山内閣の運営の問題だったというんですが、
去年ロバートゲーツが来日していらい、
私 外務大臣の会見に毎日いっていて難じるような
雰囲気だったことを感じておりました。
アメリカの圧力はどう掛かっていた?
小沢ー 鳩山内閣をつぶそうというのではなくて、
ゆうとおりせい、ということなんでしょうね。
鳩山さんは沖縄のことを考え、
国外あるいは沖縄以外と一生懸命努力した。
しかし、外務省、防衛相は全てアメリカの言うがままだった。
それを乗り越えるのは大変だった。
岩上ー それらが米のいううがままというのはどういうことか?
小沢ー アメリカは日本の復興を助けてくれたのは感謝する。
しかしその中で官僚も何となくアメリカに依存するようになった。
依存するというのもあるが、アメリカの言うとおりにしていた方が楽だ。
国民もこれはよくない。日本国民が舐められて、信用されない、
これが一番の問題だ。
日本人が自分の意思をもって自分で考えて行動する
これがないから信用されないんだ
同盟は対等な関係であって、対等な関係ではない。
一方アメリカにしてみると、その方がいいと思う節もある。
でも、本当に彼らが深刻になった時、彼らだって頼りがいのある国が
同盟者じゃないと困るはず。
彼らだってそういうことを考えているはずだ。
でも、情けない現実が存在する
岩上ー 93年細川内閣
樋口レポートがあまれて、多角的安全保障というのが言われた。
また対等関係をうたったんだが、またつぶれた。
アメリカと対等で相対的に自立してパートナーシップを取ろうとすると
既得利権をもって楽していこうという官僚財界の思惑
小沢ー それの方が強いですね。それに何も言えない、アメリカも
前線に大兵力おく必要がない、という戦略に転換している。
実際沖縄にそんなに海兵隊は今いないですよ。
日本が自分の考えがないためにそれが言えない。
自己主張するためには、自分で一定の責任を負わなきゃいけない。
結局日本人っていうものはそういうもんだ、
押しつけてカネ出させておけばいいんだ、
日中も日韓も腹の中では相手にしていない。
そういうなかで平和が続いていればいけれど、
マグマがたまりつつある
中近東だっておんなじだ。
自分というものをきちんと持っていないと、
波に翻弄されてついには沈没ということになりかねない。
日本は日本の役割、アメリカにはアメリカの役割、というものが
ある。その国力やその条件に応じて役割を果たす、これが対等ということ
の意味です。何も日本が軍事力を増強して云々という話じゃないんだ
これからのことを考えると危うい
岩上ー 国内のまとめ役をやった。
今回のイラク戦争、アフガニスタン戦争と93年の戦争とはどう違う
小沢ー それはないとおもいます。93年の時は大義名分がある。
だから国連も承認した。
それで僕はいろんなことを考えて輸送機にエジプトから飛べるように
することで許可取ったりとか、輸送船兵站を担当してくれ、
後方の野戦病院も担当してくれ、飛行機での輸送物資を担当してくれないか、
といろんなことを言ってきた。
最終的に内閣として決断できなくて、何にも出来なくなった
アメリカから屈辱的な話された。
日本の油のタンカーは23席ペルシャ湾にいる、
自分達の商売のためなら行くのか、
国際協力だと危ないから断るのか、
どういうことだ?といわれました。米大使から。
戦争終わってからそう書いて言った。
その連中が帰ってきてその連中を慰労した。隊長が言った
「アメリカのカウンターばp-とに申し訳なかった」
僕はそういう意味で、実戦部隊を派遣してとか言っていない。
日本で可能な限りのことをすべきだと
後方支援も内閣法制局は密接不可分の行為だから、憲法違反だ
といった。
戦争というのは兵站。その意味では正しかった。
イラクの後方支援までは攻撃及ばないし、やれるじゃないか
今度小泉になってから「後方支援は憲法違反じゃない」と
言い始めた
内閣法制局はお上の象徴だ
政府は自分の政策のために法律作って出す、国会に
内閣に法制局はいらない。
岩上ー 官僚をおこらせているりゆうですかね
小沢ー 国際政治で言うと、ブッシュ・ジュニアの時代は
アメリカの単純で悪い部分が出た。
俺たちの戦争だ、と言った。
国際合意は必要ないといって戦争を始めた。それでやって、
フセインは大量破壊兵器はないといってたのに倒しちゃった。
俺の戦争だといって困ったら助けてとった。
自分で始めた戦争なのに自分でしりぬぐいをしなさい、と
アメリカ大使に私は言った
もう一つ変なのは、ない、と言ってたわけなのに、イラクには侵攻し、
核持っているというやつを話し合うというのはどういうことだ
筋道が通らんじゃないか、と。
現実には北に進攻できない。イラクは武力討伐、
北は交渉、どういうわけだ。
その代わり、日米のためにも日中のためにも、友好のために
一生懸命やっているから、ちゃんと聞いてくれる
岩上ー 5分延長します
日本が国際社会の力学の中に置かれている
中国がノーというだけできた北侵攻は不可
小沢ー 中国は現状維持ですから。
ぶっ壊したらごちゃごちゃになって朝鮮族というのはもともといっぱいいる。
国民の交流が激しくなって統治の上で非常に困る。
その気持ちはわかるけど、
あんな乱暴は止めさせなきゃだめだと言わなきゃいけない。
岩上ー 半島問題非常に緊迫している。
中国の指導者たちと話し合う可能性はありますか
小沢ー 背景は中国だから、中国が多民族の大きな国家だから
強い権力でやらないと統治できない。それはわかる。
しかし民主主義の手法に徐々に変えていかないと
政権の限界がくるよ、と私は言った
相手は中蓮部の議長
こきんとうさんと会うということで、
ビスコンティの
「かわらないためにはかわらなければならない」という言葉を
こきんとうにおくった。
かわらないとだめになるよ、と直言した。
短い言葉で彼に送った。
岩上ー 誤解している人も多いと思うんですが
小沢さんを中国におもねっていると言っている人間も多い。
中国の利益におもねっているという人もいる
代表選の時、菅さんと決選をやった。
演説をしていたとき、領土問題を述べていた
中国に対するけん制のように聞こえました
そういう意味でおっしゃりたかった?
小沢ー 前から言ってますからそれは。前から中国にはね。
尖閣諸島は中国の支配下に入ったことは一度もない。
琉球の一部だ。
だから日本の領土だ、そこは絶対譲らんよ
とうしょうへいにまかせたもんだから
もう20年たってるじゃねえか。
もう解決しなさいと。
日本の領土ということで完全決着だ。曖昧にはできないよ!
岩上ー 稚拙な対応 アメリカ頼み、いきなり釈放
小沢さんだったらどう対応していましたか
小沢ー 事実通りであれば、明らかに領海侵犯だから
法に照らして処分すべき。
釈放の決定を那覇地検の次席検事が発表。
これはまったくおかしい。
役人が国際間の重大問題に関が見て釈放とか逮捕とか、
そんなバカなことはあり得ないことですよ
民主主義国家として。政府が決めるべきです。
それ以上に大事な国益にかかわる問題だから、
政府がしっかり言わなきゃいけない。
一官僚にいわせるなんておかしい。
岩上ー 実際は
小沢ー 事実上命じた
あれは那覇地検が決めたことというのは禍根を残す
岩上ー 内閣がきちんと決断し、生じる責任を政治家がとる
小沢ー 国民を代表する政治家が責任を取らないといかんですよ
岩上ー 政治主導という話が出た。
枝野氏が「主導はうかつだった」
企業団体献金禁止をころっと変える、消費税も変える
ことごとく09年マニフェストをひっくり返すのは納得いかない
小沢ー 国民の皆さんに約束したことは守ろうという努力を一生懸命
旧来の体制でやったらカネがないに決まっている
現実の壁があったから我々の理想の旗を捨てるというのは
それじゃ国民に申し訳が立たないし 見放されていくに
きまっている。
そこは、それぞれ民主党の議員それぞれが使命・責任を
強く認識しないといけない。
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