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もうすぐ北風が強くなる

朝鮮再戦争の挑発は抑えたようだ

 軍事分界線
 青線Aが米軍など主張の軍事分界線。赤線Bが北朝鮮主張領海線。1が延坪島。2が天安艦沈没。3は原潜疑惑。射撃は1地点から一応南西方向。

 10/21の朝鮮日報によると延坪島における韓国軍の射撃訓練は、軍は発表しないが、20日に1,600発を撃ったが、その内1,500発は射程2~4kmのバルカン砲など。実際に北側を挑発する危険性のあるk9自走砲は4発を撃ったのみにとどまった模様である。(11/23の際は3,600発)。

 また、国連安保理は中国とロシアがそれぞれの立場で議論を活発化させて、北朝鮮非難決議を見送りに追い込んだ。アメリカも議論をそれ以上進めようとしなかった。

 先ずはアメリカ軍産複合体の目論見は抑え込んだ様子と考えられる。
 
 この間の経過で、見えてきたもの。

 o 韓国政権はアメリカ軍産複合体によって軍事挑発を要求されてきた。
 o 韓国軍は11/23の延坪島事件で明らかになったとおり、北側に練度も装備も劣る。
 o 従って、北側を挑発することは再戦争の危険をさておいても、韓国軍にとって対外的にも国内的にも極めて不利となる。
 o 米軍が派遣した21人の指導軍人は、子細は不明だが、制服将校である以上韓国軍と北側の内情と様子などは把握している部署の軍人だろう。彼らが現場的に無謀な跳ね上がりを警戒した可能性もあるだろう。
 o アメリカ政府の国務省筋は軍産複合体にさほどは浸透されていないようだ。

 田中宇氏から引用します。
 朝鮮再戦争の瀬戸際

2010年12月20日   田中 宇
 韓国・米国と、北朝鮮が、再び激しい戦闘(戦争)に入るかもしれない事態になっている。韓国軍は12月20日もしくは21日に、北朝鮮沖の南北の領海紛争地である延坪島周辺の海域で実弾軍事演習を行う計画だ。この記事を書いている間にも、演習が開始されるかもしれない。この海域は、韓国と北朝鮮の両方が領海と主張しているので、そこで韓国軍が実弾演習を行うことは、北朝鮮から見ると自国に対する実弾の撃ち込み、つまり戦闘行為になり、反撃が必要になる。韓国の演習は、北朝鮮による報復攻撃を誘発し、北朝鮮から見ると「演習」ではなく自国に対する「侵略」である。韓国軍は11月23日、同じ海域で軍事演習を行ったが、その時、北朝鮮は報復として延坪島を砲撃した。 (朝鮮戦争が再発する?)

 韓国軍は、11月末と同じ演習を繰り返そうとしている。実施すれば、当然ながら北朝鮮も報復の砲撃を繰り返す。北朝鮮は、韓国軍が再び自国(紛争)領海内で演習をするなら、11月よりずっと激しい報復の砲撃を行うと表明している。日米などでの報道は、韓国軍が紛争海域で軍事演習することの挑発性を無視し、北からの反撃のみを挑発行為とみなしているが、これは、日本のマスコミが、尖閣諸島が日中間の領土紛争地域であることを無視して「日本の領海を中国漁船が侵犯した」とだけ言っているのと同じ趣意である。 (North Korea Threatens New Attack)

 延坪島の周辺海域は、1953年の朝鮮戦争停戦直後、米英など国連軍側が南北の暫定の海上境界線として引いた「北方限界線(NLL)」と、北朝鮮が99年に自国領海の南限として宣言した「軍事境界線」に挟まれている。下記のURLにあるウィキペディアの地図の、Aの線が連合国(米英)が設定し韓国が主張する北方限界線(NLL)で、Bの線が北朝鮮主張の軍事境界線である。北朝鮮が設定した境界線よりも北側に、韓国の市民が住んでいる延坪島(地図の1番地点)、3月末に韓国軍の天安艦が近くで沈没したペクリョン島(地図の2番地点)、その隣の大青島(地図の3番地点)などが存在している。北朝鮮は、これらの島々の周辺と、島々と韓国本土を結ぶ航路帯だけは韓国領と認め、それ以外を北朝鮮領だと主張するかたちで、軍事境界線を引いている。 (北方限界線 NLL 地図)

 米英側が53年にNLLを発表した後、北朝鮮は異議を唱えず、NLLを南北の境界線として認めることを示唆する言動を何度か発している。ところが99年に、金大中政権の韓国が対北和解政策をとり、米国も核開発問題などで北に譲歩する姿勢を見せたすきに、軍優先政策を採る北の金正日政権が、北方限界線は無効だと宣言するとともに、自国に有利な軍事境界線を新たに宣言した。それ以来、米韓側がNLLを主張し、北側が軍事境界線を主張して平行線が続き、4回にわたって南北間の短期の戦闘が起きている。 (Northern Limit Line (NLL) West Sea Naval Engagements)

 北朝鮮はいったんNLLを容認のだから、後から主張を変更するのは認められないと米韓側は言っている。だが、北が途中で主張を変更したことの妥当性を含め、国連や米中露などが南北を仲裁し、境界線紛争を解決することが必須だ。それをせず、米韓が「延坪島の周辺は韓国領海なので、軍事演習するのは自由だ」と言って演習を繰り返すのは、北の反撃を誘発する挑発行為である。11月末の延坪島の戦闘がもう一段激しくなると、砲撃が、NLL周辺の海上から朝鮮半島本土に拡大し、北がソウルにミサイルを飛ばしたり、南が北を空爆したりする本格戦争になりかねない。(ソウルが火の海になると、日本人の中には、朝鮮人ざまあみろとか朝鮮特需の再来だと言って喜びそうな人もいるが) (North Korean motives on the line)

▼勝てないのに北を挑発する韓国の愚

 戦争になると、独裁下にいる北朝鮮国民は戦争で団結しうるが、自由社会の韓国は大混乱に陥る。北より韓国の方がずっと豊かなだけに、戦争になった場合の経済的な破壊は、韓国の方がはるかに大きい。現実的に考えて、北を挑発する軍事演習は、韓国にとって損につながる。韓国政府の軍事戦略の担当者は、「今の韓国軍では北朝鮮と戦って国家と国民を守ることができない」と指摘している。韓国軍は、米国に頼らない軍事戦略を持ち、指揮系統などを大幅改善することが必要だという。韓国軍は、北と戦って勝てないのに、北を挑発している。とても危うい。 (「現在の韓国軍では戦争は難しい」…李相禹国防先進化推進委員長

 北朝鮮は大した兵器を持っていないという楽観論は、11月末の延坪島への北の砲撃で吹き飛んだ。北は170発の砲弾を撃ったが、そのほとんどが標的に当たっていた。北が狙ったのはすべて韓国側の軍事施設だった。北が持っていた延坪島の地図が古かったので、以前は軍の施設だった建物が民家に変わっていたため、民間人に死者が出たのであって、北の砲弾自体は狙ったところに当たっていた(この話は韓国の人に聞いた話なので参考記事のリンクはない)。韓国軍が使うGPSなどを、北朝鮮側が撹乱できることも初めてわかった。北と中露の貿易は自由で、米韓の監視外だから、北はある程度の兵器を手に入れられる。

 韓国が、北と戦争できないのに、北との戦争を誘発する軍事演習を繰り返すのは、米国が煽っているからだろう。今回、延坪島沖で行われる韓国軍の軍事演習にも、21人の米軍トレーナーらが参加する。尖閣諸島での日中対立も、対米従属至上主義である日本側(前原外相とか)は、米国の後押しがなければ挙行しなかったと考えられるが、同様に韓国も、米国側からどんどんやれと言わなければ、北を挑発する軍事演習などしないだろう。今年3月の天安艦事件以来、韓国の対北強硬姿勢の裏に、米国の影が見え隠れしている。 (U.S. will take part in South Korea live-fire drill) (韓国軍艦「天安」沈没の深層

 朝鮮戦争再発のカギは、米国が握っている。米政府は「韓国の軍事演習は、北にとって脅威でないはずだ」と言っているが、そんなことはないことは、米当局がいちばんよく知っているはずだ。米国の投資家が韓国に多額の投資をしているので、韓国経済を破綻させる朝鮮戦争の再発まではいかず、米国は寸止めするだろうという考え方もある。半面、1950年の朝鮮戦争の前後の経緯と似たものが繰り返され、米国と中露の和解や、世界の覇権構造の多極化の流れを逆流させるため、軍産複合体からの反撃として、あえてソウルを火の海にする朝鮮再戦争が勃発され、米国と中露の関係を決定的に悪化させ、対立に転化させる動きになる可能性もある。 (South Korea drill no threat to North: US)

▼朝鮮に見る地政学的な戦い

 1945年の終戦から50年の朝鮮戦争勃発まで、米国内では、中露と米英が対立する冷戦構造を世界に広げようとする軍産複合体(米英中心主義)と、中露と米国が国連安保理などの場で談合して多極型の世界運営をする方向に持っていこうとする多極主義の動きが交錯していた。多極主義(多極型覇権への転換策)は、英国(英米)覇権体制で封じ込められ制裁されて経済成長を阻止される中露や中東諸国など地政学上の大陸側の国々を、経済発展の方向に解放することが目的と考えられる。

 朝鮮戦争の直前、米国務省は中国白書の中で、内戦に負けて台湾に逃げた国民党を見捨て、毛沢東の共産党政権と和解する方向性を示唆した。だがその後、金日成に「武力で韓国を併合するのはたやすい」と思わせる米英の諜報作戦が功を奏したらしく、サダムフセインのクウェート侵攻(1990年)と同様の誘発された間抜けさで、金日成が南進して朝鮮戦争が起こった。米軍は中朝国境まで攻め上って毛沢東をびびらせ、中国軍が米軍と戦う事態が作り出され、中国は米国の恒久的な敵に仕立てられ、軍産複合体が多極主義に勝ち、見事に冷戦がアジアに定着した。この状態は20年後のニクソン訪中まで続いた。アジアへの冷戦拡大を受け、日本は喜んで朝鮮特需を謳歌し、対米従属を強めて自民党の55年体制が形成された。

 今また世界は多極化しつつあり、米国は、中国を「責任ある大国」に押し上げている。この多極化の流れを阻止・逆転するため、軍産複合体が英米中心体制の復活を目指し、韓国と北朝鮮を戦わせ、朝鮮戦争の再発を目論むことは、十分にありうる。彼らが、かつて金日成を南侵に誘導したような諜報技能を保持しているなら、韓国や北朝鮮を戦争へと誘導することができる(尖閣問題などを使い、前原らを誘導して日中戦争をも起こしうる)。50年当時と同様、米国には、オバマの非公式な特使であるビル・リチャードソンの訪朝に象徴されるように、北朝鮮問題を外交で解決しようとする勢力と、朝鮮戦争の再発をもくろむ勢力が交錯し、暗闘状態にあるが、好戦派の方が優勢だ。 (日中対立の再燃) (Richardson arrives in Pyongyang)

 だが1950年代と現在を比べると、国際政治の状況は、大きく異なっている点がある。それは中国の台頭である。50年代の中国は、共産党政権が内戦を経て国家統一したばかりで、国際社会で弱い力しか持っていなかった。だが今の中国は、政治経済の両面で強大になりつつあり、米国は、中国に米国債を買ってもらわないと財政破綻する。50年には、米英は諜報力で朝鮮戦争を誘発できたが、今では、中露が金正日や李明博に圧力をかけ、米国の戦争誘発を抑止して、中露主導で朝鮮半島の安定を取り戻すことができうる状態になってきている(中露は、まだ心もとないが)。 (China Declines to Condemn North Korean Shelling as South Prepares Drill)

 国連安保理では、米国が日韓など傀儡諸国を率いて、北朝鮮だけを敵視する好戦的な姿勢をとっているのに比べ、中露は北朝鮮を敵視するのを拒否し、南北双方に対して比較的公正な姿勢を示している。ロシアは何とか韓国に延坪沖の軍事演習をやめさせようとしたが、実現しなかった。まだ中露の仲裁力は強くない。だが今後事態が進展し、韓国政府内で、北と戦争するわけにはいかないと考える傾向を強まると、中露による南北仲裁が現実路線として見えてくるかもしれない。これがうまくいくと、朝鮮半島は、アメリカの影響下で一触即発が続く状態から、中露の影響下で安定が模索される状態へと移り始める。どっちに転ぶかは、まず、今回の韓国の演習で朝鮮戦争が再発してしまうかどうかによって変わってくる。 (Russia summons US, S Korea envoys)
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