世界通貨戦争(9)危険なアメリカ
2010-11-26

サブプライムショック以降の世界経済は金融不安に始まり、各国政府による過剰流動性の供給が投機バブルを産むのみで、財政不安を招き。遂に通貨政策でブロック化に至っている。いや、正確にはブロック内も対立し始めている。
元来が、戦後の基軸通貨体制は虚妄であり、十数年で崩壊し、30年で金兌換停止。冷戦構造崩壊により基軸通貨ならぬ新自由主義と軍事支配を進めようとしたが、遂に実体経済の数十倍もの過剰与信のバブル崩壊に導びかれた。
「導いた」国際金融資本「家」については、荒っぽいですが「国際金融資本の成立」をご参照ください。
通貨問題を軸とする対立に発展していること。
米欧の政策と現状、G20のアメリカと欧州、中国の対立。分解。「G2」はもろくも飛んだ。
これまで、「世界通貨戦争(6)ドルのインフレ」「通貨、金利と信用創造の特殊な性質」世界通貨戦争(7)バーナンキ」「世界通貨戦争(8)財政の問題化」などを御覧ください。
世界金融恐慌は、既に開始されていると考えて良いと思う。
各国金融当局によって、ソフトランディングが図られているにすぎない。
本当の治療ではない。「延命」治療である。
暗黙の各国協調が壊れかかっている。
基軸通貨国アメリカ。今年来年とは言わないが、そろそろ限界に向かって進み始めたようだ。
経済の危険は、政治・軍事の危険と裏表を為している。
「世界通貨戦争(5)」に続いて、hillser氏から引用します
(引用開始)
23日に米連邦預金保険社が発表した 「バランスシート問題あり」 の金融機関が、860行まで拡大した。 これは第2四半期の829行からみて一層悪化している。
過去遡ってみても、第1四半期が775行だった。 09年第4四半期が702行(うち140行破綻) リーマンショック後の08年第4四半期が252行(うち25行破綻) と比べても、急激に増加している。 銀行の破綻数は、来年、そして再来年と、最悪を記録していくに 違いない。
今米国では虚無感や絶望感が漂っている。 日本の新聞やTVといったメディアは、こういった状況を報道しな いが、モチベーションの低さやチャレンジ精神の欠如は凄まじいほ ど低下しているということだ。 米国はいずれ自己責任で自己破壊することは間違いないだろう。 米国政府や州政府、金融機関や民間企業、そして個人の負債は すでに200兆ドルを超えている。 日本円にして約1京6千兆円である。
また生活保護やフードスタンプ等といった、食糧援助がなければ 生活できない人々も全人口の4割を超えている。 信じられないとはこのことだ。 まるで最貧国並みの生活水準に陥ったと考えていい。
しかし国の崩壊と通貨の崩壊は強ち平行線ではない。 この点についてはやや話が違ってくる。 これまで米国の危機が頻繁に取り沙汰されるにつれて、対円以外 の通貨に対し、上昇している。 米国の危機が起こるたびに、発展途上国を中心にドルを調達しよう と考えるからだ。
これらの国にとってドルという通貨は、単に米国の通貨であるとい う考え方は持っていないのかもしれない。 これからも特別な存在として必要とされていだろう。 この辺が欧州や日本、BRICsといった新興国と違うのである。
しかしそれでも、せいぜいあと5年が限度だ。 私はかねてから言っているが、米国のデフォルトはあと2年でやっ てくるだろうと予想している。 今では欧州でギリシャから、アイルランド、ポルトガル、スペインの 危機が連鎖しようとしているから、その分、米国債といった最後の 砦に資本が進むかもしれない。 だが天文学的な財政赤字や負債からみれば、いくら世界がマネー を差し出しても、それははした金に過ぎないのだ。
最後に念を押しておく。 今後もドルは、対円に対してだけは下落していく。 このことを日本政府や企業は、ある意味で最大のチャンスと考える べきだろう。 企業が調達する原材料や光熱費などの経費削減、企業のM&Aと いったチャンスが到来するのだ。
(引用終わり)
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