軍事挑発は誰のためか
2010-11-24

11月23日の午後、北朝鮮は「演習中の韓国軍が我が海域を砲撃した」として、韓国側延坪島に約1時間にわたり約50発の砲撃を加えた。韓国側も直ちに同程度の砲撃を返した。
李明博大統領は「戦線が拡大しないようしっかりと管理せよ」との指示を出した。
韓国軍の一部はこれに反感を示した。
韓国海兵隊2人が死亡した。
以下は朝鮮日報からの事後報 2010/11/24 10:42:13
http://www.chosunonline.com/news/20101124000037
北朝鮮が延坪島に砲撃を行った23日、韓国軍当局は全軍に非常警戒命令を下すなど、慌ただしく動いた。これまで北朝鮮が行った大小様々な挑発とは異なり、今回は延坪島に海岸砲、および曲射砲で直接攻撃が加えられ、韓国の海兵隊員2人が死亡するなど、被害が続出している。韓国軍の一部からは、戦闘機で北朝鮮の基地攻撃を求める声が上がるなど、戦線の拡大を主張する意見も出ている。ちなみにこの日は、哨戒艦「天安」沈没時も業務終了後に帰宅していたソウル市内の非戦闘隊員も、将校や幹部を含めて全員が帰宅禁止となった。特に一部の幹部は戦闘態勢を整え、24時間の警戒態勢に入っている。
北朝鮮による延坪島攻撃が確認された午後3時ごろ、韓国軍合同参謀本部は「珍島犬ハナ」と呼ばれる極地挑発への最高警戒態勢を発令し、全軍に警戒を強化するよう指示した。北朝鮮が最初に砲撃を開始した午後2時34分から13分後の2時47分、合同参謀本部はK-9自走砲による報復攻撃を命令し、同時に「無謀な挑発行為は韓半島(朝鮮半島)の緊張を高め、南北対決を造成する行為である。直ちに中断せよ」という内容の警告文を北朝鮮に送った。また韓国空軍からはKF-16が4機、F-15Kが4機の計8機が西海5島に緊急出動し、必要な場合には北朝鮮の基地などを攻撃する態勢を整えていた。
合同参謀本部は午後4時10分の会見で、「午後2時34分から2時55分の間に、北朝鮮による武力攻撃が行われ、3時10分から3時41分の間に数十発が随時着弾した。これに対して韓国側からも数十発の報復を行った」と明らかにした。また午後3時55分に韓国軍は、南北将校級会談の韓国側代表名義で北朝鮮の団長宛にファクスを送付し、「直ちに挑発行為を中断せよ。挑発が繰り返された場合には、断固とした対応をとる」と通告した。合同参謀本部の韓民求(ハン・ミング)議長は、午後3時40分から4時まで、シャープ韓米連合司令官とテレビ電話で協議を行い、連合危機管理を宣布するかどうかについて話し合った。
午後4時前後には、李明博(イ・ミョンバク)大統領が大統領府の担当者を通じ、「戦線が拡大しないようしっかりと管理せよ」という内容の指示を下したと報じられた。これに対して軍関係者の一部からは、「大統領がこのような指示を出したのは本当か」という反応が相次いだ。その後4時30分ごろ、国軍首都病院に移送されていた韓国軍兵士一人が死亡したとのニュースや、朝鮮人民軍が午後3時10分から41分まで30分にわたり海岸砲と曲射砲で再び攻撃してきたことなどが伝えられると、合同参謀本部の周辺からは、「戦闘機で北朝鮮の陣地を攻撃すべきだ」「全面戦争も覚悟しなければならない」という声も出始めた。しかし合同参謀本部はその後の会見で、「午後3時41分にわが軍が報復攻撃を行ってからは、北朝鮮からの海岸砲攻撃は1時間以上ストップしている」と発表した。
合同参謀本部作戦本部のイ・ホンギ本部長(陸軍中将)は、この日午後6時40分からの会見で、「韓国軍の被害は拡大し、海兵隊員18人(戦死一人を含む)の死傷と、民間人3人が軽傷を負った事実を確認した」と述べた。その後、午後7時が過ぎると重傷を負った兵士一人が死亡したとの知らせも伝えられた。合同参謀本部は、「(海岸砲を発射した)基地に集中攻撃を加えたため、北朝鮮でもかなりの被害が発生しているはずだ」との見方を示し、深夜に入っても朝鮮人民軍の動きを注視しつつ、延坪島に救援軍を派遣したことを明らかにした。また「珍島犬ハナ」が発令されている西海5島以外の地域に展開する部隊からも、一定割合以上の将校や士官が24時間体制で警戒に当たっている。ある将校は、「夕方以降、指示があるまで警戒を緩めないよう指示が下された」と話した。
崔慶韻(チェ・ギョンウン)記者
(引用終わり)
演習中の韓国軍が北の領海付近を砲撃する可能性は、ないかと言えば、あり得る。
事件はどちらかが不明だが、軍事挑発したと言うのが、事実だろう。
軍事挑発された側は、その国内政治によるが、少なくとも同程度かそれ以上を反撃することとなる。
そして、同時に双方ともに衝突の拡大を防ぐことが必須となる。
何故なら、準備のない衝突拡大は軍事の自滅につながるからである。
この事件について、北の核濃縮、アメリカを交渉に引っ張る、等々の意見が述べられているが、いずれも北による挑発を前提としている。
可能性としてはどちらか不明だが挑発だと言う事実である。どちらにしても偶発的衝突の規模を超えている。
韓国が軍事政権時代には選挙が近づくたびに、不思議と、北からの軍事侵入事件があり、反共防衛を盛り上げて、政治反対派を潰していた。
金大中政権になってから、南の政権と北とのマッチポンプだったことが明らかにされた。
このような秘密取引が在韓米軍に黙って行われていたとは誰も思わないだろう。
米・韓・北のマッチポンプだったと考えるのが、妥当だろう。
また、近年ではアメリカがブッシュ政権時代に、選挙が近づくと、不思議とテロ警戒のランクが上がったり、TVにオサマ・ビン・ラディンが登場すると言う事実があったことを思い出すだろう。
挑発の首謀者が誰かとは、考える必要はない。マッチポンプかも知れないのだから。
はっきりしているのは、哨戒艦事件、尖閣事件、そして今回の延坪島事件と続く、この三つの事件は、東アジアに緊張対立を作り出すことで、米軍の存在価値増大に多大な貢献をしていることである。
日本の巨大マスコミが、不自然にもほとんど報道しない沖縄選挙。
10月28日は沖縄知事選の投開票日であり、最大の争点は米軍基地問題にほかならない。
アメリカ軍産複合体にとっては、単に辺野古の問題ではない。
アジア軍事戦略のキイ・ストーンたる沖縄米軍基地の多くが、今後十数年かけて存続のフリーハンドを持つか、徐々に消滅に向かうかの問題であるだろう。
今回の延坪島事件が、どの勢力を後押しするかは明らかだ。
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