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もうすぐ北風が強くなる

世界で日本のみデフレ

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 2010/4/15に書いた「労働分配率の強制」の続きです。 

 要旨は次のとおりです。
 賃金が下がり、物価も下がるが、そんな循環がいつまでも続いたら...................そのうち社会崩壊かも。

 十数年にわたる賃金総額の減少と、雇用の質の悪化。これに起因する消費者物価の下降。
 物価と賃金の限りない、下降のスパイラルである。
 
 この間に欧米、途上国共に日本の様な賃金と物価の下降は無い。2008年以降の欧米も例外的に下がった「瞬間」はあったが「二つの下降」には至っていない。

 賃金と物価の循環は、直接にはあくまで賃金が親で物価に影響すること。物価が総賃金に影響するのは、多くの迂回を通ってである。従って、縮小循環の原因は労働賃金の縮小である。
 
 欧米は時期的に少ないときもあるが、いわゆる賃金率は常に上昇している。下降は無い。従って消費物価も下降には至らず僅かな上昇が続いている。故にまた賃金は僅かだが上昇する。いわゆる縮小循環はしない。

 「賃金の下方硬直性」が当てはまらない、不思議の国、日本なのである。
 
 市場経済は欧米も日本と多くは変わらず、個別企業は利益のため労働分配率を下げるか生産性を上げるかの選択肢である。
 
 問題は日本の労働市場の特殊性である。
 非常に特殊なのは、労働組合である。職業別組合、産業別労組が実体を持たず、基本組織が個別企業内労組である。 
 これは基本的には、労使が個別企業の利潤追求に協力し合うことに結果するとともに、もとより雇用時点での対等な交渉が不可能なことになる。
 
 近代先進国は労働三権の保証で「同一労働、同一賃金」が、曲がりなりにも労働市場を機能させている。
 結論をを言えば、日本では(曲がりなりにも対等な)労働市場が機能していない。
 (曲がりなりにも対等でさえない労働市場は、市場でさえない。)
 「賃金の下方硬直性」が当てはまらなくなってしまったのだ。
 
 デフレスパイラルからの脱出の処方せんは、もちろん賃金だけではありませんが、最も基礎的で、最も迅速な効果があり、将来的にも安定する国民生活を生み出すためには、賃金総額の上昇を作り出すことです。
 
 迅速な景気回復は、迅速な国内需要拡大からしかありません。
 そのための最も近道は、消費性向の高い貧困層の収入を上げることです。
 
 労働分配率のの国家規制です。
 
 まずは、最低賃金をヨーロッパ並にすること。
 決定方法と労働基準監督を強化すること。
 労働組合が弱体だからでは済まされない。「同一労働同一賃金」を国が守らせること。
 
 ちなみに、国民経済と言う基本の概念は「金持ちだけが豊か」と言う意味ではありません。
 経済成長と言う概念も「大企業だけが儲ける」と言う意味ではありません。
 
 どちらも国民全体でひとつの経済単位であり、それが国民国家の基礎(土台)的な力(パワー)です。

 
 参考はこちら
 (富士通総研:根津利三郎氏)
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