投資信託にご用心!海外のかもネギ
2014-04-11
11月がインフルエンザワクチンの稼ぎどきであるように、4月は投信の稼ぎどき(かもネギの罠)。
かもネギを餌食にするのが、サギという鳥の一種。
良心的なエコノミストはあえて毎年この時期に、仕方なく警鐘を鳴らします。
ーーーーーーーーーーーーーーー
投資信託にご用心! 4/8 闇株新聞
あまり本誌で取り上げたことがない投資信託についてですが、いいたいことは最後の2行だけです。最後の2行だけ読んでいただいても結構ですが、ややわかりにくいと思いますのでやはり最初から読んでください。
日本で販売されている公募投資信託の残高は本年2月末現在で85.4兆円です。主な内訳は株式投資信託が64.7兆円(うちETFが8.1兆円)、公社債投資信託が14.9兆円、投資法人型のREITが5.7兆円となっています。
株式投資信託の定義は「元本が保証されていないもの」で、内外の株式だけではなく外国債券やREITで運用するものも含まれます。またそのうち30兆円以上が毎月分配型です。
本年3月末現在の個別投資信託残高ランキングの上位には、この「元本が保証されていない」「海外の債券株式に投資する」「販売手数料も運用報酬も非常に高い」「やっぱり毎月分配型」の投資信託がずらっと並んでいます。
第1位が、米国の低格付け社債に投資するフィデリティ投信の「USハイ・イールド」の1兆1997兆円、第2位が先進国の国債などに投資する国債投信投資顧問の「グローバル・ソブリン・オープン」の1兆1928億円、第3位が米国の不動産投資信託(REIT)に投資する新光投信の「US REITオープン」の1兆1598億円となっています。
第2位の「グローバル・ソブリン・オープン」は、2002年1月以来ずっと残高がトップで、ピークでは5兆8000億円もあったのですが、今回12年ぶりにトップの座を明け渡しました。
以下、第4位が高配当利回りの見込める公益株に分散投資するピクテ投信投資顧問の「ピクテ・グローバル・インカム株式」の8771億円、第5位が世界のREITに分散投資する日興アセットマネジメントの「ラサール・グローバルREIT」の8497億円、第6位が米国のREITに分散投資するフィデリティ投信の「フィデリティ US REIT」の7416億円となっています。
以下省略しますが、すべて高利回りが見込める海外の株式、債券、REITなどに投資するもので、低格付けの債券や、ブラジルやトルコなどの新興国の株式・債券に投資するものもあります。
当たり前ですが必ず高利回りには呼応するリスクが隠れており、また当然に(新興国通貨も含めた)為替リスクも負っています。
本日は、毎月配当といっても元本を取り崩すタコ配当であるとか、その「毎月配当」だけを前面にリスクをよく説明しないで販売しているとか、頻繁に入れ替えてそのつど高額の手数料(販売手数料が1.5~3.5%で、それ以外に運用等の報酬が毎年1.3~1.8%かかる)を徴収しているとか、たまたまここ1年ほどの円安で運用状況が好転しただけで本当のリスクが認識されていないことなどを問題にするわけではありません。
この中で長く残高トップを維持していた国際投信投資顧問の「グローバル・ソブリン・オープン」は、先進国の国債など高格付けの債券だけに投資しており、リスクは「世界の金利と為替」だけです。
重要なことは投資対象の債券も為替も流動性に問題はなく「リスクが目に見える」「すぐに逃げ出せる」ことです。
また販売手数料も運用報酬も比較的良心的で、タコ配当ではあるものの毎月の配当を勘案すると運用開始以来の投資元本を大きく上回っています。
しかしそれ以外の残高上位の投資信託は、全て少なからず問題があります。
ほぼ共通している問題は、運用会社が日本の会社でも海外の会社でも「海外の第三者」に運用を丸投げしていることで、手数料や運用報酬がかさむだけではなく、リスクが「目に見えにくく」問題が発生しても「なかなか逃げ出せない」ことです。
もっと考えられるリスクは、実際の運用が「海外の第三者」なので(海外の運用会社は自社運用かもしれませんが、そもそも海外の運用会社なので同じです)、知らないうちに問題のある資産を大量に押し付けている可能性があることです。
そもそも何で急に海外のREITや低格付け債券を組み込んだ投資信託が日本で大量に販売されているのか?
を考えてみる必要があります。現地で「ダブつき」はじめた資産を、持っていくところがないので日本に大量に持ち込んでいるのかもしれません。
「そんな考えすぎだ」と思われるでしょうが、実は海外で運用する投資信託はこの歴史なのです。本誌も「いやっ」というほどみています。
つまり「海外ものの投資信託の残高が急増すると、その運用対象は大変に要注意である」ことになり、本日いいたかったことはこれだけです。
かもネギを餌食にするのが、サギという鳥の一種。
良心的なエコノミストはあえて毎年この時期に、仕方なく警鐘を鳴らします。
ーーーーーーーーーーーーーーー
投資信託にご用心! 4/8 闇株新聞
あまり本誌で取り上げたことがない投資信託についてですが、いいたいことは最後の2行だけです。最後の2行だけ読んでいただいても結構ですが、ややわかりにくいと思いますのでやはり最初から読んでください。
日本で販売されている公募投資信託の残高は本年2月末現在で85.4兆円です。主な内訳は株式投資信託が64.7兆円(うちETFが8.1兆円)、公社債投資信託が14.9兆円、投資法人型のREITが5.7兆円となっています。
株式投資信託の定義は「元本が保証されていないもの」で、内外の株式だけではなく外国債券やREITで運用するものも含まれます。またそのうち30兆円以上が毎月分配型です。
本年3月末現在の個別投資信託残高ランキングの上位には、この「元本が保証されていない」「海外の債券株式に投資する」「販売手数料も運用報酬も非常に高い」「やっぱり毎月分配型」の投資信託がずらっと並んでいます。
第1位が、米国の低格付け社債に投資するフィデリティ投信の「USハイ・イールド」の1兆1997兆円、第2位が先進国の国債などに投資する国債投信投資顧問の「グローバル・ソブリン・オープン」の1兆1928億円、第3位が米国の不動産投資信託(REIT)に投資する新光投信の「US REITオープン」の1兆1598億円となっています。
第2位の「グローバル・ソブリン・オープン」は、2002年1月以来ずっと残高がトップで、ピークでは5兆8000億円もあったのですが、今回12年ぶりにトップの座を明け渡しました。
以下、第4位が高配当利回りの見込める公益株に分散投資するピクテ投信投資顧問の「ピクテ・グローバル・インカム株式」の8771億円、第5位が世界のREITに分散投資する日興アセットマネジメントの「ラサール・グローバルREIT」の8497億円、第6位が米国のREITに分散投資するフィデリティ投信の「フィデリティ US REIT」の7416億円となっています。
以下省略しますが、すべて高利回りが見込める海外の株式、債券、REITなどに投資するもので、低格付けの債券や、ブラジルやトルコなどの新興国の株式・債券に投資するものもあります。
当たり前ですが必ず高利回りには呼応するリスクが隠れており、また当然に(新興国通貨も含めた)為替リスクも負っています。
本日は、毎月配当といっても元本を取り崩すタコ配当であるとか、その「毎月配当」だけを前面にリスクをよく説明しないで販売しているとか、頻繁に入れ替えてそのつど高額の手数料(販売手数料が1.5~3.5%で、それ以外に運用等の報酬が毎年1.3~1.8%かかる)を徴収しているとか、たまたまここ1年ほどの円安で運用状況が好転しただけで本当のリスクが認識されていないことなどを問題にするわけではありません。
この中で長く残高トップを維持していた国際投信投資顧問の「グローバル・ソブリン・オープン」は、先進国の国債など高格付けの債券だけに投資しており、リスクは「世界の金利と為替」だけです。
重要なことは投資対象の債券も為替も流動性に問題はなく「リスクが目に見える」「すぐに逃げ出せる」ことです。
また販売手数料も運用報酬も比較的良心的で、タコ配当ではあるものの毎月の配当を勘案すると運用開始以来の投資元本を大きく上回っています。
しかしそれ以外の残高上位の投資信託は、全て少なからず問題があります。
ほぼ共通している問題は、運用会社が日本の会社でも海外の会社でも「海外の第三者」に運用を丸投げしていることで、手数料や運用報酬がかさむだけではなく、リスクが「目に見えにくく」問題が発生しても「なかなか逃げ出せない」ことです。
もっと考えられるリスクは、実際の運用が「海外の第三者」なので(海外の運用会社は自社運用かもしれませんが、そもそも海外の運用会社なので同じです)、知らないうちに問題のある資産を大量に押し付けている可能性があることです。
そもそも何で急に海外のREITや低格付け債券を組み込んだ投資信託が日本で大量に販売されているのか?
を考えてみる必要があります。現地で「ダブつき」はじめた資産を、持っていくところがないので日本に大量に持ち込んでいるのかもしれません。
「そんな考えすぎだ」と思われるでしょうが、実は海外で運用する投資信託はこの歴史なのです。本誌も「いやっ」というほどみています。
つまり「海外ものの投資信託の残高が急増すると、その運用対象は大変に要注意である」ことになり、本日いいたかったことはこれだけです。
- 関連記事
-
- 通貨戦争(70)米国と多極世界の金融大戦 (2014/05/17)
- 米国債の偽装信認など (2014/05/17)
- TPPは企業利益のための窮乏化協定:スティグリッツ (2014/05/03)
- ピケティ、拡大の一途をたどる格差:NYタイムス (2014/04/27)
- ピケティ、資本主義と民主主義:エドソール (2014/04/27)
- 投資信託にご用心!海外のかもネギ (2014/04/11)
- 破綻するウクライナと賢明なロシア (2014/03/06)
- TPPの崩壊が始まった:山田 (2014/02/28)
- 進む日本包囲網と米中緊密化:田岡 (2014/02/04)
- 投信はカモネギ詐欺の罠:覆面座談会 (2013/11/19)
- 公共の銀行を (2013/10/06)
コメント
コメントの投稿
トラックバック
この記事へのトラックバックURL
http://bator.blog14.fc2.com/tb.php/2229-00375f9d
日本はどうなるのでしょうね
政治家は・・・
日本の政治家なら、命賭けて日本を護ってほしい