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亀井静香:愛国心で理性を停止させるな

 亀井静香

  愛国心で理性を停止させるな  亀井静香 10/23 月刊日本編集部

 石原慎太郎氏は過激な論を控えるべきだ!

―― 尖閣諸島をめぐる日中の対立が激しくなっている。
 領土問題は国家にとって極めて重大な問題だが、最近のマスコミ論調には、国民の愛国心を過剰に煽るようなものが目につく。

亀井 動物が縄張り争いをするのが本能的なものであるのと同様、人間の場合も、領土を守るのは本能的なものだが、人間はそこに知恵を出さなければいけない。
 たとえやっかいな隣国があるからといって、国は引っ越しすることなどできない。お互いにずっと隣国として生きていかなければならない。
 隣の家の木が伸びて、自分の家に枝が垂れてきて、枯葉が庭に落ちたとしよう。このとき、隣の家に怒鳴り込んだらどうなる。隣の家との関係は悪くなる。
 枯葉が落ちたからといって、いがみ合うより、お互いに相手の木を褒め合うような気持ちを持ってこそ、隣同士は仲良くできるのだ。国家間の関係だって同じことだ。
 領土をめぐる対立があったとしても、うまく共存することを考えなければならない。人間はそれくらいの知恵を出すべきものだ。

―― 他国の間違った主張に反論し、わが国の主張を唱えることはもちろん必要だ。しかし、好戦的、排外的な主張をすることが果たして愛国なのか。
 弊誌は創刊の辞において、「偏狭なナショナリズム」を戒めたが、自国に対する誇りを噛み締め、尊敬される国になるべきことを説く愛国心こそが求められているのではないか。

亀井 国を愛するというのは、当たり前のことだ。誰もが持っている感情であり、いちいち取り立てて言うようなことじゃないし、
 一部の保守派言論人たちだけが独占するようなものじゃない。
 自分たちの郷土を素晴らしいところにしていくために努力することが愛国だ。「国の中身」をどうするかが最も大切だ。
 国は器。中身のない空っぽの器には意味がない。ナンセンスだ。
 「愛国心だ、愛国心だ」と、ことさらに強調されるときには、何かよこしまな意図がある場合が多い。
 かつて、日本は愛国心を煽り、理性的な思考を停止してしまった。
 戦前の政府は、愛国という、誰も抵抗できない言葉でその政策を正当化、美化し、人びとを戦争に駆り立てた。政府に従わない人間に「あいつは愛国心がない」と批判した

―― 対外強硬論を煽るマスコミは、「政府は弱腰だ」と批判して国民の強硬論を煽った。

亀井 一九〇五年九月、日露戦争後の講和条約締結の際、マスコミは対露強硬論を煽り、講和条約に調印した小村寿太郎外相を弱腰と批判した。
 『朝日新聞』(一九〇五年九月一日付)は「小村許し難し」とまで書いた。九月五日に日比谷公園で行われた集会をきっかけに、暴徒化した民衆は内務大臣官邸などを襲い、小村邸には石が投げ込まれた。
 一度ナショナリズムに火がつくと、理性的な判断ができなくなる
 政治家がマスコミの強硬論に乗ることは簡単なことだ。しかし、国家の指導者たるものは常に冷静に知恵を出していかなければいけない。
 ところが現在、指導者自らがお互いの国内事情でナショナリズムを煽りまくっている
 石原慎太郎都知事も過激で極端な論を展開するのは控えるべきである。

 オスプレイ配備を強行した森本防衛相は間違っている

―― 今回の問題は、訪米中の石原都知事が四月十七日にヘリテージ財団での講演で、尖閣の一部を都が買い取る意向を示したことから始まっている。
 結局、政府は九月十日に魚釣島、南小島、北小島の三島を地権者から購入し正式に国有化する方針を決定、日中両国の対立が激しさを増した。

亀井 本来、尖閣諸島は、十分な時間をかけて、実効支配すべきであった。そうした努力をしないで、短兵急に一挙にやろうとしたところが間違いだった。急激に物事を進めれば、強い摩擦が生じる。
 だから私は、石原氏には国に投げてしまえと言ってきた。結局、石原氏の顔がつぶれないように、国が国有化に動いた。

―― 日中関係が悪化すると、自主防衛という議論ではなく、アメリカに頼らなければいけないという議論ばかりが強まる。
 こうした中で、六月四日に発足した野田第二次改造内閣で、森本敏氏が防衛大臣に就任し、オスプレイ配備が強行された。

亀井 オスプレイは、火事場泥棒的に強引に配備された。
 米軍は七月二十三日に、オスプレイ十二機を岩国基地に搬入、十月に入って普天間飛行場に配備、すでに訓練飛行を始めている。
 オスプレイは、尖閣諸島の防衛にも寄与するなどと主張されているが、それは全くナンセンスだ。オスプレイ配備を正当化しようとしているに過ぎない。
 日本の「防衛オタク」たちは、アメリカの機嫌をとることしか考えていない
 オスプレイが本当に役立つというのなら、アメリカで徹底的に訓練してから来い。

―― オスプレイは四月に北アフリカのモロッコで、六月に米フロリダ州で墜落事故を起こしている。米軍は、ニューメキシコ州でのオスプレイ低空飛行訓練を住民の反対で延期し、ハワイ州でも住民に配慮して着陸訓練を控えている。

亀井 森本防衛相は、このような状態にあるにもかかわらず、沖縄県民の反対の声を無視して、日本への配備を強行した。全くイカレている
 事故原因について、森本氏は、人為的ミスだから、安全性に問題はないなどと、ふざけたことを言っている。
 自動車を例にとれば、レーサー並みの運転技術を備えていないと事故を起こす可能性のある自動車を走らせていいのかということだ。
  ーーーーーーーーーーーーーーーー
 2010年以来の尖閣(釣魚)事件と領土問題、米中関係と日米関係に関連するページ。

あまりにひどい尖閣事件
仕組まれた尖閣か
敵は中国ではない
尖閣(釣魚)は歴史的領土問題
尖閣ビデオの流出
仕組まれた尖閣ビデオ
尖閣(釣魚)事件(8)政権崩壊へ自滅か
アメリカの操り人形内閣が公然となった
通貨戦争(27)ドル覇権の終わりが見えてきた
北朝鮮の中国属国化と東アジア、日本:田中
日本の権力構造と在日米軍
孫崎氏講演:領土問題と日米同盟の事実
国際金融資本の歴史と米中関係
尖閣(釣魚)問題への基本スタンス
米国、外務省と「北方領土問題」
前原と石原、領土問題を煽るマスコミと米国奴隷
日中韓、緊張の先に:孫崎
尖閣・竹島と米大統領選:山田
悪化する日中関係に笑う米国
尖閣問題と日米中の利害
日本の国境問題:孫崎
尖閣と日中対立、スイスとロシアの解説
尖閣をめぐる日中の対立:イラン国営放送
重要な問題から意図的にそらすための尖閣、竹島
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コメント

 亀井氏の言うことは全くもって正しい。
 欠陥があるのが明らかなオスプレイを日本で飛行実験させるなど言語道断!アメリカ隷従の森本をこともあろうに防衛大臣に据えることからして、国防をまともに考える気がない証拠。

コメントをありがとうございます

> 亀井氏の言うことは全くもって正しい。
亀井氏の識見、責任と実行力は実力のある政治家と言って良いかと思っています。
経済論も明快に解っており、松下塾連中でかなう者はおりません。
ただ、真面目な人間は、他人の卑劣さが理解できないので、かつての同志たちに裏切られ、国民新党を横領されたのが残念です。
今の民主と国民新党の連立は、ともに横領罪同士の連立としか言いようもありませんね。

知れば知る程好きになる親父

極めて大人な発言というか「普通の人」である。
私は亀井さんには違和感を抱くことも少なくないが、正直、いわゆる保守勢力よりよっぽど信用できる方だと評価している。要は保守親父だけと、無茶しない常識人ってこと。元来、保守派のコア的な立ち位置ですらあってもよい(笑)静香ちゃんだが、何故ここまで隅に追いやられているのかについてコメントしておきたい。
①こと経済政策では右寄りを突き進む毎日や朝日さんによる「守旧派」フレームアップ
→口先では地方の格差対策を等と「良識派ぶる」が、新自由主義礼賛に近い喧伝の片棒を担ぐ毎日や朝日にとって、バッシングキャラにはもってこいだから。はたして現在も大型ハコモノ、バラマキ型公共事業バンザイな政治家なのか?
亀井静香さんほど昭和と昨今とのギャップを感じる政治家を私は知らない。無論、夫婦別姓反対を叫ぶ静香ちゃんには、やっぱりあんたは保守親父と笑ってしまう面もあるんだが、それも単なる政策や心情の差異の粋であり、慎太郎や橋下みたいな「吐き気を催す」ゲロゲロ感とは断じて違うのだ。毎日や朝日にとっての彼は「経済のみが許されない存在」なのであるが、「改革」は世紀の、または「正義」の御旗なので、気に入らないのだろう。
②ナベツネの逆鱗にふれまくりな「死刑廃止論者」って立ち位置
→元来、橋下や慎太郎みたいな[本音はともかくも(笑)]物騒な右翼には、保守社会の大ボスたる讀賣グループは、窘める立ち位置にすらあるはずだ。亀井静香などは牽制、御意見番キャラとして使いたいくらいだろうがハードな死刑反対論者であることがネックになりまくりになっている。
ナベツネが「あいつは反対論者だ」と怒ったとか云々は、かなり前に読んだ記憶あり(笑)。村山政権樹立時に「鳩を護る鷹」だのと宣うたのは、はたしてどれくらいの憎しみになったかは知らないが「大衆の国教でもある死刑教」の信者であろうナベツネには、たまらない違和感なんだろう!
私は、ここでも静香ちゃんに頭が下がってしまうのだ。いや、単に反対論者だからではない!世論なるものに断じて妥協しない[政治家、ましてや長年保守親父としてリアルな側で働いてきた人なのに、もっと大衆に妥協する術は知り尽くしているはずだ]姿勢。死刑だけは良くないよと明言すればするほど、人気はがた落ち(笑)、ネット世界でも悪党、非国民扱いされまくりなのに…。彼が「絶対終身刑」的なことを唱えるのは妥協ではなく、まともな対案だと思いますよ。
①②より、世間のだいたいな多数派意見を集約するメディアから「負の烙印」を押されっぱなしな静香ちゃんに、私は心から同情している。
亀井静香って、知れば知る程、好きになってしまいますな。
政権交代少し前に、何かの大学研究サイトらしき所で「あなたの政党距離感チェック」的なのがありました。それで遊んでみたら考え方の近い順で「社民党→国民新党→日本共産党→民主党」という順位になって大笑いした経験ありです。何故に共産党より静香ちゃんなのか?うーん、このサイト分析「よく心の内」まで覗き込んでいるなあと…確かに綿貫単独バージョンの「若者よぉ~」CMが政党CM最強だと信じている私!なんだ、あの吉田戦車的ハイセンスは!

亀井静香:愛国心で理性を停止させるな

 失礼します。
 この国で陰湿ないじめがなくならないのは、結局同じ根っこで「敵を作り、敵意をむき出しにして、矛盾から眼をそらせ、憂さを晴らす」大人の世界があるためではないでしょうか。
 子供も子供なりの矛盾や不満を抱えていますが、それをどうしたらいい?って時、見本になる大人が「教師が悪い」「役人が悪い」「奴が悪い」「誰はゴミだ」って言ってるんですから。
 私だって、中国的手法で、ある地域を自分たちのものに「いつのまにか」してしまうことや、だまし討ち抜け駆け平気の平左ということを嫌悪していますが、歴史も世界観も違う人たちであるということを十分踏まえて、物事を考えなければいけないと考えています。
 また、「シナ人」とか「朝鮮人」と侮蔑の意味を込めて言う人にはやはり嫌悪感を持ちます。

 ま、私のことは置いといて(笑)。
 …愛国心って「他者を憎むこと」ですか?愛国者って、「他国を侮蔑」しなければなれませんか? 
 自分の生まれ育った国の国土や自然、国民や風習・習慣を大事にする。それが愛国心ではないのでしょうか?それができる人が愛国者ではないのでしょうか。

 「かまどから立ち上る煙があまりに少ない」ことから我が施政を省みた…でしたっけ?そんな話は今は昔。かまどの煙にも税を課す勢い(炭素税?笑)のこの国ではまず誰よりも「お上」に愛国心が感じられません。
 そんなお上にいいように操られる「愛国心風感情」は見直してみませんか?
 

A国に住んでる人が居て、B国に住んでる人が居て、AB両国の利害が対立したらそれぞれ住んでいる国の利益を図ろうと考えるのは当然で、先祖代々ならなおのこと。「いちいち取り立てて言うようなことじゃない」。
鬼畜とか罵詈雑言を発言して日頃の「うさ」をはらしているのは、「いじめ」や暴力でうさをはらしているのとおなじこと。
理屈に合わないので、同類の感情論で巻き込もうとする。まさに理性なき盲動と思います。
実によこしまな意図だから
「ゴロツキ」と言われてしまいました。
ことさら「愛国心」などと言う発言そのものが、理性を失った感情論。人々を盲動的な「憂さ晴らし」に巻き込もうとする、悪質な社会犯罪と思います。

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